大切なものを守るようです
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4 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/02/18(月) 23:49:36 ID:sDFjx8Yo0
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( ´∀`)「……」
( ´∀`)「……」
( ´∀`)「……」
( ^ω^)「理事長!」
( ´∀`)「……」
ξ゚听)ξ「理事長!」
( ´∀`)「……」
.
-
5 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/02/18(月) 23:50:08 ID:sDFjx8Yo0
-
ξ゚听)ξ「くそ、聞こえてない」
(^ω^ )「もうイイお歳だからだお」
( ´∀`)「まだ還暦を迎えたばかりですよ、校長先生」
( ;゚ω゚)「あにゃあああああああああッッ!」
ξ゚听)ξ「理事長……聞こえているならお返事を。そのうち倒れますよ、校長」
( ´∀`)「ホッホッホッ」
失礼な。私はまだ、老化を心配されるような歳ではない。
むしろ、幼い頃にとうに失ったはずの童心が、蘇りつつある。そんな実感さえ、します。
内藤ブーン校長は、抜けているところがあります。
たまにこうしてからかうと、オモシロい反応がもらえるのです。
津出レイ教頭も。しっかりしていて、校長を支えるのには適役と思われますが、やはり彼女もどこか抜けているようで。
……いや、むしろ何かを隠している。考えすぎかもしれませんが、そんな気がします。
まだ校長と同じ三十台前後と聞いているのですが。
能ある鷹はなんとやら……。
.
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6 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/02/18(月) 23:50:41 ID:sDFjx8Yo0
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(;^ω^)「とにかく、理事長!探したんですお!」
( ´∀`)「ほう」
よく考えると、彼らが用もなく私を呼び止めるはずもない。
そのことを、失念しておりましたな。
振り返り、二人を視界にいれる。
両手は後ろで組んだまま。いつものことです。
ξ゚听)ξ「理事長、目を離すとすぐにうろちょろするものですから……」
(^ω^ )「放浪癖だお。老化の現象だお」ボソッ
( ´∀`)「校長先生」
(;^ω^)「はっはい!あっれ、聞こえましたお!?」
( ´∀`)「あなたの給料……他の教員たちにおすそ分けしても、よろしいのですよ」ボソッ
(;^ω^)「はは、HAHAHA。そんな、ごジョーダンを……」
情けなくも、校長がオーバーに動揺する。
彼が笑うときはおっ、おっ、なんて声を発するのに。
背筋がそうとうかたくなっているのでしょう。いやはや……
ξ゚听)ξ「あ、でしたら校長の二割はワタシに――」
(;^ω^)「つつつ、津出クン!」
.
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7 名前:同志名無しさん 投稿日:2013/02/18(月) 23:51:13 ID:sDFjx8Yo0
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( ´∀`)「ホッホッホッ。なあに、ちょっとしたジョークですよ。大人気ないですね、取り乱して」
(;^ω^)「(理事長はむしろガキすぎるお……」
(´∀` )「さて……」テクテク
( ;゚ω゚)「え、あッうそ、心読んだお!?」
ξ゚听)ξ「声に出てました」
≡(;^ω^)「『童心』を褒めただけですお、理事長!待って!」
童心とガキとでは、ウリとナスくらい違う気がしますね。
形は似てるけど、色がぜんぜん違う。
美しい緑と、毒々しい紫と、で。
きびすを返し、意味深なため息を吐いて歩き始めると
私が給与査定にメスをいれることを危惧したのでしょう、校長が私を止めようとします。
そうするつもりなら最初から言わなければよいものを……。
(;^ω^)「あっそーだ、昨日実家からなすびが送られてきたんですお!いかがですかお?
. マーボーナスなんか、酒にグッてきますお!」
( ´∀`)「……」
私は酒は飲まない主義です。
酒は、ヒトを変える。
.
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8 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:51:44 ID:sDFjx8Yo0
-
ξ゚听)ξ「理事長、どちらへ」
( ´∀`)「ホッ。なあに、図書室の様子を見よう、と思いましてね」
(;^ω^)「図書……室……?」
ξ゚听)ξ「本でも?」
( ´∀`)「もう期末試験まで10日をきります。学習している生徒がいかほどのものになったか、自習室をまわっているのです」
( ^ω^)「あ、あ……なーる…。僕はてっきり給料が……」ボソボソ
ξ゚听)ξ「……いまのところ、何人…?」
訊かれて、私は右手でマルをつくった。
オッケー、とでも言いたげなハンドサインですが、これが現実なのです。
決して、オッケー、と言えない数字。
それを見て、教頭は「ああ……」と、ばつの悪そうな顔を。
まあ、荒らされないだけ、上出来でしょう。
数年前までは自習室が荒らされに荒らされ、警備員を複数人就けないとだめだった、というのと比べると。
……もっとも。
学習にかける比重は、まだまだ薄いようですが。
生徒に、歳が近いことによる親近感を持たせて、授業に対する抵抗を減らそうと、若い教師陣で固めたのですがねえ……。
.
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9 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:52:15 ID:sDFjx8Yo0
-
エレベーターから降りて、図書室に向かう。
ここ数年、わが校の治安はだいぶ秩序だってきつつある。
その証拠に、廊下を渡っていても、誰もそこであぐらを掻いたりなどしていない。
こうして、気兼ねなく歩けるというのは、いやはや、嬉しいものですね。
そんな感情をいだくのを、情けなく思いますが。
校長も教頭も、私のあとを着いてくる。
ホッホッ、と笑っていると、図書室に着いた。
過去に、イタズラで本が何度も破かれることがありましたが
一度生徒を器物破損で送検させると、以降は他のみんなもまとまっておとなしくなりましたな。
弁償させるときも、五割ほど水増しして請求しましたし。
これが愛と鞭。いくら生徒でも、罰はとびっきり厳しいものを与えないと。
それが私の教育方針なのですから。
( ´∀`)「さて……何人いるのやら」
ξ゚听)ξ「もう授業が終わって、一時間は経っていますからね」
(;^ω^)「あ、あの〜……えっと、話が………ボソボソ……」
聞こえませんね。
すぐにおちょぼ口になるのが校長の悪いところでしょう。
大した期待はいだかずに、扉に手をかける。
ゆっくり、扉を開いた。
.
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10 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:52:46 ID:sDFjx8Yo0
-
( ´∀`)「………」
ξ゚听)ξ「やはり、誰も……あっ」
( ´∀`)「ホッ?」
ぱっと見た感じでは、誰もいない。
やはり、か……そう思うと、教頭がなにやら声をあげた。
誰か、いたのでしょうかね。
ξ゚听)ξ「理事長……あそこ……」
( ´∀`)「ホッ…ん?」
教頭が指をさすのは、部屋の隅の方。
そこらに陳列されている本は参考書ではなく、確か就職関係の本だったゆえ……
おそらく、恥ずかしいから隅っこで勉強しようと思った、恥ずかしがり屋なのでしょう。
校長も気づいたようで、「あっ」とわりかし大きな声を発した。
大声を出すと勉強のジャマになる……そんな常識すら弁えていないのでしょうか。
しかし、どうやら事情が違うようで。
・ .・
(;^ω^)「りりッ理事長、彼女は……ッ!!」ブルブル
( ´∀`)「ホ?」
.
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11 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:53:19 ID:sDFjx8Yo0
-
どうしたのでしょう、年甲斐もなく情けない声を出して。
……いや、校長に限ってはこれがふつうでしたな。
目を凝らして、その生徒の顔を見る。
白い、髪……。
特攻隊のような、白く大きな服……。
なるほど……「彼女」、でしたか。
確かに、校長が怯える理由も、わかる。
从 )
( ´∀`)「高岡……ハインリッヒ……」
(;^ω^)「かかかッ帰りましょう理事長!キケンですお!」ブルブル
ξ゚听)ξ「……ご存じで?」
( ´∀`)「ええ、そりゃあもう」
( ´∀`)「あんなに暴力事件を起こされては……ねえ」
彼女、高岡さんは、おとなしくなってきた本校での、数少ない「不良」でしたな。
いったい、どうして周りに協調せず暴れることができるのか……。
・ ・ ・ .・ .・ ・ .・
いや……彼女がいたから、周りがおとなしくなった、のか。
無理が通れば道理が引っ込む、とは、実に的を射た言葉のようだ。
.
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12 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:53:51 ID:sDFjx8Yo0
-
ξ゚听)ξ「はあ……。心中お察しします」
( ´∀`)「ホッホッ、気遣いはいりませんよ」
(;^ω^)「はは、HAHAH……」
( ^ω^)
( ;゚ω゚)「!?」
;゚ω゚)≡「ギャッ!!」ザッ
ξ゚听)ξ「校長?」
( ´∀`)「………ッ……」
なにが起こったのか。
校長が悲鳴をあげたかと思うと、彼はなにかに引っ張られたかのように、後退した。
何だと思って振り返る。
……いや、合っていた。
「引っ張られたかのよう」ではなく、本当に「引っ張られた」ようだ。
校長の襟首を掴んで引っ張ったその生徒に、目を遣る。
……目を疑いましたな。
金髪を、後頭部で縛っている、長身の女子。
高岡さんとは対照的な、黒い服。大きい学ランのように見受けますが……
いやはや、このご時世にこのような服を、よく用意できたものです。
都村トソン……、第二の問題児は。
.
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13 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:54:27 ID:sDFjx8Yo0
-
(゚、゚トソン「どけ」
( ;^ω^)「いた、痛たたたたッ……!」
( ´∀`)「(ほう……)」
都村さんは、校長の胸ぐらを掴んでは締め上げる。
校長が爪先立ちせざるを得ないほど、校長を持ち上げている。
身長は彼女のほうが高いが……しかし、あのウエイトのある校長を、こうも軽々と……。
(゚、゚トソン「もう一度言う。どけ」
(;;;^ω^)「きっキミ!!校長に向かって、なにを――」
( ´∀`)「どきなさい、校長先生」
(;;;^ω^)「り、理事長!?」
私が言うと、都村さんは鼻を鳴らして校長をおろした。
解放され、彼はぜえぜえと肩で息をする。
都村さんはと言うと、私たちに一瞥を与え、そのまま中に入っていった。
都村さんが室内に消えたのを確認してから、校長は怒りを見せる。
本人の前ではゼッタイに怒りを見せないのに……面白い人だ。
.
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14 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:55:15 ID:sDFjx8Yo0
-
ξ゚听)ξ「校長、大丈夫でs
(#^ω^)「なんだおアイツ!これはもー退学ですお!」
( ´∀`)「黙りなさい。図書室への入り口を塞いでいたあなたが悪い」
(#^ω^)「・・・・・・・・・・ッ!で、でm
( ´∀`)「それに、です」
( ´∀`)「こうしないと、彼女はあなたに実害を与えていたでしょう」
ξ゚听)ξ「肋骨の一本や二本など?」
( ´∀`)「まあ」
(#^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)「……」
( ;ω;)「ギャアアアアアアアアアア!!!怖えェおおおおおおおお!!」
( ´∀`)「静かに。せっかく生徒が学習をしているのです」
ξ゚听)ξ「あの二人……ほっといて、いいのでしょうか」
( ´∀`)「過保護に接すると、社会性の欠如に繋がります。……図書室は監督の先生にまかせて、私たちはひきましょう」
ξ゚听)ξ「そうです、か」
( ´∀`)「……ところで。私に用、とは?」
ξ゚听)ξ「あ、それですが……あの、二人のことです」
( ´∀`)「……」
.
-
15 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:55:47 ID:sDFjx8Yo0
-
「あの二人ですが………」
「……ほう」
「ささ、さすがに、そろそろ手を打たないとダメっぽいですお!」
「………そうですね。……では、今から話し合いましょうか」
( ´∀`)は大切なものを守るようです
.
-
16 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:56:22 ID:sDFjx8Yo0
-
◆
(゚、゚トソン「……」
从∀゚ 从
(゚、゚トソン「………」
从∀゚ 从
(-、-トソン「……………。」
从∀゚ 从
.
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17 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:56:53 ID:sDFjx8Yo0
-
タカラが、アタシとハインのことを仲がいいなんてよく言うが……
自分でも、一瞬それを信じてしまった。
どうして最近、行く先々でこうもコイツと出くわすのか。
アタシは、ただ、本を借りにきただけだ。
それをミセリに言うと目をまるくされたが……。
借りるのは参考書ではない。就職の本だ。
いくら『脚のトソン』と呼ばれようが、ずっとツッパり続けるつもりなどない。
さすがのアタシでも、その辺の思慮分別くらいはできる。
しかし……だ。
(゚、゚トソン「……」
从∀゚ 从
どうしてハインが、図書室に。
しかも、こんな隅っこに。
照れ隠しなのだろうが、こんな目立つかっこうで隠れるもくそもないだろうに。
それだけならいいのだが、問題は「隅っこ」の意味だ。
この学校では、最近教育に比重を置いているようで、図書室にもそれが表れている。
教養の本や参考書が入り口付近に、就職などの本が奥にあるのだ。
奥、つまり、隅っこ。
そしてハインは、ここにいる。
アタシが就職の本を手に取ろうとすると、必ずハインに存在が知られる。
ハインはなにかの本に夢中なようで、今は気づかれていないが……。
なんだ、コイツもアタシと同じ考えか?
これをあのセンコーが見たら、どこまでも似たもの同士なやつらだ、などとほざくだろう。
面倒だ。知らん顔して、さっさと借りて帰ろう。
.
-
18 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:57:25 ID:sDFjx8Yo0
-
(゚、゚トソン「……」テクテク
从∀゚ 从
从∀゚ 从 ゙
やば。もう気づかれた。
从∀゚;从「なっ―――あああ!?」ガバッ
(゚、゚;トソン「……?」
アタシがいることに気づいたハインは、すぐに机に突っ伏した。
なんだ、なにか見られちゃまずいものが……?
ごそごそと何か動いてはじめて、ハインはクチを動かした。
机に突っ伏し、なにか――読んでた本?――を隠しながら。
从;゚∀从「なッ―――なんで、テメエがここに――はっ!」
なんだコイツは。うるさい。
.
-
19 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:57:56 ID:sDFjx8Yo0
-
从;゚∀从「なんだ、昨日と一昨日のの続きか!?いまはオレ、そんな気分じゃ―――」
(゚、゚トソン「うるさい」バサッ
从; ∀从「痛ッ」
本を手に取って、それでハインの頭をはたいた。
ほこりが舞う。
(゚、゚トソン「人に突っかかってくんなァー言っときながら、自分もじゃねーか。こちとら願い下げよ」
从 ゚∀从「……チッ。じゃあ最初からそう言えよ」
(゚、゚トソン「最初に言う前にそっちがやってきたんじゃねーか」
从 ∀从「あーはいはい!わァーったよ、ッるせえな!」
(゚、゚トソン「……チッ」
ハインが理不尽にもそう喚き立てる。
いまはアタシもヤる気ナシだからよかったが、これがいつもなら早速ハジメてるところだぞ。
まあ、読んでいたのをジャマしたのは悪かった気がしなくもないが――
――アタシはなにもジャマしてねえじゃねーか!!このクソゴリラ!!
.
-
20 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:58:27 ID:sDFjx8Yo0
-
(゚、゚トソン「……」
从 ∀从「あーもう……」
しかし、なんか、違和感を感じる。
なんか、こう……ハインの様子が、変だ。
もう一度、突っ伏したままのハインを見る。
するとその視線に気づいたのか、ハインがこっちに顔を向けた。
从 ゚∀从「……ンだよ。用ねえんじゃねーのかよ」
(゚、゚トソン「……いや、……」
从 ゚∀从「帰れよ。顔も見たくねえ」
(゚、゚トソン「………」
なんだ。
どこか、変だぞコイツ。
………本、か?
.
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21 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:58:57 ID:sDFjx8Yo0
-
(゚、゚トソン「おい」
从 ゚∀从「あ?」
(゚、゚トソン「……なに読んでたんだ?」
从 ゚∀从「………………マンガ」
(゚、゚トソン「ココにマンガなんざねーよ」
从∀゚ 从「なんだっていいだろー。オレぁベンキョー中なんだ」
(゚、゚トソン「へー」
なんだ、勉強中だったのか。
確かに、隠したくなる気持ちもわかる。
あのハインが、きまじめにベンキョーなんざしてるなんて知られたら、ハインの威厳が堕ちるからな。
別に、ベンキョーくらいしてもおかしくないと思うんだけど。
それに、期末テストまで結構近い。
アタシは別にアタマ悪いわけじゃないから、ミセリにノートをちょろっと見せてもらえたらそれでいいんだけど。
ハインの場合、しぃに借りるのか?
いや……、しぃだとして、アイツ、そもそも授業受けてるのか……?
一年のとき一緒だったけど、気がつけばクッチャネクッチャネで。
……ああ、だからコイツは教科書読んでるのね。
しぃは相変わらずみたい。
.
-
22 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/18(月) 23:59:29 ID:sDFjx8Yo0
-
(゚、゚トソン「数学いけるのか?テスト作んの、タカラらしいけど」
从∀゚ 从「………」
从 ゚∀从「……え?」
こ、コイツ……アタシのことをムシしてたのか?
――なんて思ってたら
从 ゚∀从「え……数学って、なによ」
(゚、゚トソン「………ハ?」
予想外の反応がきた。
え?期末テストの勉強じゃないのか?
(゚、゚トソン「いや、期末……」
从 ゚∀从「………?」
从;゚∀从「…………っ!」
みるみるうちに、顔が青くなってくハイン。
も、もしかして、コイツ……!
.
-
23 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:00:01 ID:VAP5o7ec0
-
从;゚∀从「お、おい!」ドン
(゚、゚;トソン「なによさっきから。うるさい」
出ました「机割り」。
図書室の机は木製じゃないし、ぶ厚いから簡単には割れないだろうけど。
でも、上体は突っ伏したままだし。
なんなの、コイツ。
从;゚∀从「期末って、いつからだ!?」
(゚、゚;トソン「……?来週末から……」
从;゚∀从「―――!ッベ、次落としたら留年確定じゃねーか!」
あらら。
まあ、去年も一昨年もお情けで進級させてもらったほどなんだし、トーゼンか。
(゚、゚トソン「留年なんか気にするくらいなら、せいぜい授業中は起きとくことね」
从∀゚;从「ハン!テメエなんざとしゃべってる時間がもったいねーよ!オレ、帰る!」イソイソ
(゚、゚トソン「あ、ちょ
从;゚∀从「あばよ猿オトコ!」
ハインは持ってた本を隠すように持って、立ち上がった。
呼び止めようとしてもムシして、そのまま出口に走っていった。速い。
司書のセンコーが一瞬ハインを止めようとして、しかし、やめた。
「ああ、どうしよう」なんて言いたげな顔をしてる。
怖がらず止めればいいのに。あれ、あー見えて実は小心者なんだから。
.
-
24 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:00:35 ID:VAP5o7ec0
-
(゚、゚トソン「…と」
とか考えるも、ハインはハインだ。
アイツのことなんか考えても無駄。
すぐにアタマを切り替えて、アタシは本を持ってカウンターに行く。
センコーが、アタシの顔を見て露骨にビビる。
いっつもいっつも思うんだが、アタシがいったいなにをしたってのよ。どいつもこいつも。
よけいなことしなかったらアタシは何もしないってのに。
むしろ、こうして変に反応される方がムカつく。
あんたは黙って貸し出せばいいだけじゃない。
(;゚д゚)「へ、返却は……」
(゚、゚#トソン「あ?」ギロ
(;゚д゚)「ヒッ……て、テスト明けでいいですから!そんだけです!」
(゚、゚#トソン「わかったから、こっち見んな」
(∩д∩;)彡
(゚、゚トソン「ったく………」
ため息を吐いて、アタシも帰ろうとする。
(゚、゚トソン「あ」
そういえば……ハインは期末テストのこと、忘れてたんだよな。
じゃあ……結局、何を読んでたんだ?
.
-
25 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:01:10 ID:VAP5o7ec0
-
◆
(*;ー;)「あっははははははははははハハハハ!!」バンバン
从;゚∀从「なんだってんだよ、笑うこたァねーだろ!」
(*ぅー )「ごめんって……wwww」
从;゚∀从「たけのこ奮発して三つも買ってきたんだぜこっちは!だから、なあ!」
ハインが、情けない顔をして頼んでくる。
ご丁寧に、たけのこの入ったレジ袋を提げて。
いやいや、確かに頼んだけどさ……
(;´・_ゝ・`)「あ、あの……し、しぃちゃん?」
(*゚ー゚)「あっはは、ごめんねw急にこんなのがきてww」
(;´・_ゝ・`)「あ、その……うん…」
从#゚∀从「誰が『こんなの』なんだ?あ゙あ!?」
(;´・_ゝ・`)「ヒッ!」
(*゚ー゚)「ちょっとー、カレなんだから私の」
私がカレんちにいるって聞いたら、わざわざここまで来て。
住所教えただけで来れるとか、実はアタマいいのかな?なんて。
ハインの場合、自分に何かまずいことが起こりそうなときだけホンキだすんだから。
しかも、そのまずいことが……
:(* ー ):「(まさか、期末テストって……ぶぷっ)」プルプル
.
-
26 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:01:43 ID:VAP5o7ec0
-
从#゚∀从「だあああーッッ!」
(;´・_ゝ・`) ビクッ
从#゚∀从「なんだ?アルフォートもいンのか!?」
(*゚ー゚)「明日貰うよ……んふっwwww」
从# ∀从「じゃあとっとと教えてくれってンだよー!!」ドンドン
あのハインが、まさかテストを恐れるなんて。
しかも、次赤点続きだったら留年だからって……。
伝説の不良が留年するのがイヤで地団駄踏むって、なんのジョーダンww
カレはハインにオーバーにビビるし……
カレも一応どっかのガッコでやんちゃしてるって聞くのにね。
さすがにハインにはかたなし、か。
从#゚∀从「お前、授業まるで聞いてないくせに、ヤケに点数はいいじゃねーか!カラクリはなんだ!」
(*゚ー゚)「ああ、それ?」
私は、ついきょとんとする。
確かに授業はほとんど――もはや、サッパリ聞いてない。
授業中は、音楽聴きながら(イヤホンはするよ)トッポくわえて、でスマホいじるか雑誌読んでるかだし。
でも赤点はとってない。それがハインの疑問なんだろう。
カレを前に種明かしは気が引けるけど……まあ、いいか。
.
-
27 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:02:29 ID:VAP5o7ec0
-
从 ゚∀从「あ、カンニングか!?うまいやり方教えてくれよ、オレ前いっぺんそれやったらすぐn
(*゚ー゚)「カンニングなんかすっか。監督のセンセイ、四隅にいるのに」
从 ゚∀从「だよなー……」
ハインは露骨に肩を落とす。
そのくせしてレジ袋は提げたまんまだし、つか、立ったまんまだし。
ちなみにここ、カレんちの玄関ね。情けなさすぎるわ。
从 ゚∀从「じゃーお前はどうしてンだよ」
(*゚ー゚)「んー?」
((;´・_ゝ・`))
.
-
28 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:02:59 ID:VAP5o7ec0
-
チラッと、カレの顔を見る。
ハインにビビりまくって、そわそわしていた。
視線をハインに戻す。
(*゚ー゚)「テスト前に、そのとき付き合ってたカレに聞いたの」
(;´・_ゝ・`)「し、しぃちゃん?」
(゚ー゚*)「だぁーいじょうぶッ。いまはあなたしか好きじゃないから」
(*´・_ゝ・`)「だ、だよね。うんうん」
从#゚∀从「……………切り落とすぞ」ボソッ
(;´・_ゝ・`)「ヒェッ!?」
(*゚ー゚)「ハーイーンー?」
从# ∀从「だあああああああああああああ!!」ドンドン
シッケイな。
カレ、これでもなかなかハゲシいのに。見た目は冴えないけど。
ハインは、地団駄踏んでばかりじゃラチが明かないことに気がつかないみたい。
こうしてる間にでもベンキョーしとけば、なあ……。
.
-
29 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:03:29 ID:VAP5o7ec0
-
从#゚∀从「オレぁどーすりゃ――」
(;´・_ゝ・`)「あ、あの」
从#゚∀从「あ゙ぁん!?」
(;´・_ゝ・`)「いえッその……」ビクッ
从#゚∀从「言いたいことがあンなら、ハ・ッ・キ・リ・言・え」
いやいや、ムチャ言うなよ。
そんな至近距離で睨みつけて「ハッキリ」もないでしょ。
さて、どう追い返そうかなー今から部屋でキャッキャウフフするつもりなんだけどなー
(;´・_ゝ・`)「べ、勉強……ちょっとでよければ、教えr……ます、けど」
(*゚ー゚)
从 ゚∀从「へ?」
(*゚ー゚)「え?」
……え、ちょ、あれ?
今からキャッキャウフフするんじゃなかったの?
ちょっと、え??
.
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30 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:03:59 ID:VAP5o7ec0
-
◆
(´・_ゝ・`)「――で、この数字を右にやれば……」
从 ゚∀从「あ、解けた」
(´・_ゝ・`)「はい。この手の問題は、文z……アルファベットと数字とで分ければいいんですよ」
从*゚∀从「ホントだな!ウヒャヒャヒャ、解ける!解けるぞ!」
(´・_ゝ・`)「でも、これ中学の範囲なんだけど……」ボソッ
从 ゚∀从「え、なんて?」
(;´・_ゝ・`)「な、なんでもないです」ビクッ
この盛岡デミタスってヤツ、思ってたよりもイイ人だった!
コイツに教科書の問題見せると、解説を見ずともすらすら解いていくんだ。
しぃのオトコだからてっきりオレ以上にバカだって思ってたけど、誤解だったようだ。
今まで「なんだこのバツ」とか思えてたのが一転、
いま改めて問題見たら、これが「モジ」ってのがすぐに理解できた。
数学って、意外と面白い。解けたら。解けたら、な。
でも……ちょっと、まずったかな……。
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31 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:04:30 ID:VAP5o7ec0
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(´・_ゝ・`)「で、これが……」
从 ゚∀从「あ、あのな、デミやん」
(´・_ゝ・`)「はい?」
从 ゚∀从「その………」
从 ゚∀从「しぃ、ほっといてもいいのか?」
(´・_ゝ・`)「え」
(#゚ー゚)
(;´・_ゝ・`)「……あ!」
おいおい……
まさか、素で忘れてたのかよ……
こりゃーまずいぞ。しぃがキレたら、トッポ程度じゃクチ利いてくんねェくなる。
デミやん(オレが考えたあだ名)が慌ててしぃのとこにいく。
一方のしぃは、ベッドの上で、手と脚両方を組んでる。
デミやんをずっと睨んでたらしい、目が据わってる。
ちょっと、二人のジャマしすぎたかな……?
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32 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:05:25 ID:VAP5o7ec0
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(;´・_ゝ・`)「しぃちゃん、あn
(#゚−゚)「ばーかばーか!」
<;´・_ゝ・`>「伸びる、ほっぺが伸びる……」
しぃが、デミやんの両頬を思いっきり引っ張る。
ヤらしいオトコは頬がよく伸びるって聞いたことあるけど、デミやんもそうなのか?
それはいいとして、コイツ、頬引っ張られてるのに若干嬉しそうな顔してるぞ……!
(#゚ー゚)「ふんだ!ハインとつきあっちゃえばいいんだ!」
(;´・_ゝ・`)「そんな、ぼくはしぃちゃんしか〜〜」
しぃが露骨に怒りを見せる。
が、このデミやんの反応からして、こんなシチュエーションは日常茶飯事のように見える。
そうだとすれば、しぃは、やっとまともにレンアイするようになったみたいだな。
それはいいことじゃねーか。確かに「サイフ」じゃないっぽいわ。
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33 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:05:58 ID:VAP5o7ec0
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从 ゚∀从「悪かったよーしぃー」
(#゚ー゚)「思ってないくせに」
从 ゚∀从「ちょっとコンビニ行ってくっけど、なんか菓子買おうか?」
(#゚ー゚)「……!………、………。」
お、悩んでる悩んでる。
やっぱりお菓子のチカラは絶大か。
(#゚ー゚)「………アルフォートを、ふた箱」
≡从*゚∀从「お、買ってくるぜ!ウヒャヒャヒャ!」
オレはそう言い残して、走って買いにいく。
……パシらされてんじゃねーよ、これはほんのお礼のキモチだよボケ。
でも、なんだかんだ言って、やっぱしぃはしぃだ。
随分とまあ、素直なヤツになったもんだ。
………。
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34 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:06:31 ID:VAP5o7ec0
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◆
なんだよあの店員。
ちょっとチラ見しただけで、露骨に目を逸らしやがって。
気分が悪い。この辺のコンビニは、ろくなのがいないんだろう。
オレの地元……少なくとも顔なじみのコンビニには、礼儀正しいヤツが多い。
オレが入店するだけで深々と挨拶するし。
廃棄処分するつもりだったチキンとかくれるし。
おろすつもりだった弁当をいくつか分けてくれるし。
ソイツらに比べたら、ここのヤツは……
从 ゚∀从「なよなよしすぎなンだよボケどもが……」
从 ゚∀从「……まあ、いいか。よく来るわけでもないし」
独り言を漏らすのは、静かなのが嫌だからだ。
しゃーない、と最後に呟いて、バイクをデミやんちの庭に押し込んだ。
インターホンを押そうとするが……鍵は閉まってないみたいだ。
いちいち向こうが動くのを待つンもめんどうくさい。勝手に入ろう。
階段を上って、通路奥の部屋。そこがデミやんの部屋で、しぃとの愛の巣。
気兼ねなくノブに手をかけ……、……?
愛の……巣……?
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35 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:07:04 ID:VAP5o7ec0
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从 ゚∀从
(*゚ー゚)
(*´・_ゝ・`)
从 ゚∀从
从 ゚∀从
………しまった。
最高にまずったよ、これ。
でもよ、オレが帰ってくるって知っといて、なのに鍵すらかけようとしねえコイツらが悪いよな?
わかったなら、そうだな、しぃ。お前の握ってるそれを、早く仕舞わせろ。吐くぞ、ゲロ。
………なーんて言っても、聞いてくれないよなあ……。
(#゚ー゚)「〜〜〜ッッ!」
(*´・_ゝ・`)「あ、ちょ」
从∀゚ 从彡
仕方ない。
しぃもああ見えて実はバカなんだ。
今からでも、見てみぬふりをすれば……
(#゚ー゚)「遅いわ!!」
从 ゚∀从「だよなー」
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36 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:07:35 ID:VAP5o7ec0
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◆
……まあ、あれだ。
しぃにこってりしぼられたけど、結局は許してくれた。
しぃ自身が何も見せていなかったことと、デミやんが気にしてなかったから、だと。
だが、しぃ、たぶんコイツあれだぞ、「イジメられるのが好き」タイプだぞ。
とかなんとか思いつつ、あれから一時間経って。
しぃとデミやんの自宅デートをジャマすることにはなったが、おかげでオレはベンキョーできた。
これで、赤点で留年……は、ないだろう。
从*゚∀从「あ、これはこーだろ!解けた!」
(´・_ゝ・`)「すごいよハインさん、これでやっと中二レベルだ!」
从 ゚∀从「え、なんて?」
『拳のハイン』たるオレが、こんなふうにベンキョーするってのはどうなんだ、としぃに言われたが
ショージキ言ってオレ、そこに変なプライドは持ってないんだ。実は。
それよりも、オレの場合、あっちの方が大切だし。
卒業。
もう、そんな時期なんだなーとしみじみ。
だって、今回の試験終わって、冬休みを明けると、だ。
三年の三学期は、驚くほど、短い。
つまり、あっという間に終わる。
一年、二年とやんちゃをしてきたオレが、まさか三年目にしてテストのためにベンキョーをするとは。
確かに聞いたら情けないけど……ま、笑いたけりゃ笑えってやつ。
笑ったヤツはあとでシメるけど。
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37 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:08:12 ID:VAP5o7ec0
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(*゚ー゚)「しっかし、ねえ」
从 ゚∀从「ん?」
オレと一緒にベンキョー教わればよかったものを、しぃはなぜかそうしなかった。
教わるときは二人っきりでしたいんだと。
だから、オレが教わっている間、しぃはベッドの上でころころ転がってた。
アルフォートとたけのこを交互に食いながら、スマホいじったり、デミやんのマンガ読んだりで。
そんなしぃが、不意にそう声をかけてきた。
どうやら、マンガも全部読み飽きたみたいだ。
(*゚ー゚)「最初はあんなにハインにビビってたのに」
(´・_ゝ・`)「え?」
あ、なんだ、デミやんに言ってたのね。
でも確かに、気がつけばデミやんはふつうにオレとクチ利いてたな。
最初はあんなになよなよしてたのに。
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38 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:08:43 ID:VAP5o7ec0
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(*゚ー゚)「実はそんなに怖くないって、わかったでしょ?」
从 ゚∀从「嘗めたら、デミやんでもシメる」
(´・_ゝ・`)「え、いや……」
ん?どーした、急に。
なんかそわそわしだした。
実はまだビビってる、とか?
訊いたら、デミやんは首を横に振った。
そして、興味深いことを言った。
(´・_ゝ・`)「違うんだ、ぼくはてっきり『ダブルビクトリー』の人なのか、って思って」
(*゚ー゚)「ああ、あの?」
从 ゚∀从「……?ダブル…、…なんて?」
なんだ?そのナントカっての。
有名みたいで、しぃは知ってるそぶり見せるし。
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39 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:09:13 ID:VAP5o7ec0
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(*゚ー゚)「ハイン知らないの?ヴィッ校モってるくせに」
(´・_ゝ・`)「え?意外だなあ」
从#゚∀从「……それは、どっちがだ?デミやんよ」
ヴィッ校ってのは、言うまでもなく、オレやしぃの通う学校のことな。
……まあ、モってるかどうかは、まだ決まっちゃねーよ。
トソンとかいう猿オトコをいっぺんシメねーと、かっこ悪くてそんなこと言えるかってんだ。
それはいいとして。
聞いてる感じ、とにかくワルの連中のことを言ってンのはわかった。
最近、トソンと張り合っちゃいるが、逆にその他の連中とは張り合う気あんまなくなってきてるんだよな、オレ。
トソン以外にオレに突っかかってくるヤツなんて、あのクソセンコー以外、いないし。アイツはタイマン弱そうだし。
(´・_ゝ・`)「はは、前者だよ」
从 ゚∀从「意外でもなんでもいいから教えてくれよ、なんだそのナントカっての」
すると、デミやんは少しもったいぶった。
そういや、コイツもこの見た目でなかなかツッパってるそうだな。しぃが言ってた。
コッチの世界がわかるんだったら、この手の話をするとき真剣な雰囲気に自然となってしまうのもわかる。
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40 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:09:43 ID:VAP5o7ec0
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(´・_ゝ・`)「十年前にラウンジ校でできた暴走族集団だよ。そうとうカゲキらしい」
从 ゚∀从「ハン!好かねえな、集団でハシんのは」
(*゚ー゚)「ハイン、集会もそんなに開かないしめったにハシんないもんね」
(´・_ゝ・`)「ぼくはしぃちゃんがいたらいいよ」
(*゚ー゚)「ねー」
(*´・_ゝ・`)「ねー」
从#゚∀从「………………」
オレが黙ってデミやんを睨む。
言葉にはしないが、右腕を震わせて、デミやんに向ける。
その真意がわかったんだろう、デミやんは慌てて首を振った。
しぃにデレたりオレにビビったり、忙しいヤツだ。
(;´・_ゝ・`)「で、一回潰れたんだそれ」
从 ゚∀从「ほーん」
(´・_ゝ・`)「でもなんか、いまラウ校モってる男が、ダブルビクトリーの伝説に憧れて、再興させたみたい」
サイコウ?……ああ、最高ね。
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41 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:10:13 ID:VAP5o7ec0
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从 ゚∀从「伝説って?」
オレは、訊きながらしぃのお菓子に手を伸ばす。即弾かれた。
いいじゃねーか……買ったのオレだぞ……。
(´・_ゝ・`)「『肉体で勝つ。同時に、精神で勝つ』をモットーに、ダブルビクトリーってのはここら一帯を一時期シハイすらしてたらしい」
从 ゚∀从「精…神……?」
(´・_ゝ・`)「あ、ああ。なんでも、あまりにも強すぎるから、誰一人としてフクシュウしようだなんて思えなくなるらしい」
从 ゚∀从っ「カーッ!そりゃー伝説だ、伝説。オレなら一晩でツブすわww」
(#゚ー゚)「だからあげないッ!!」ガバッ
从∀゚ 从「ケチ」ボソッ
(;´・_ゝ・`)「……しぃちゃん、一個くらい、あげなよ。見てて気の毒に思えてきた……」
从*゚∀从「お、そーだろそーだろ!ウヒャヒャヒャヒャ!」
(*゚ -゚)「ん〜〜。」
(*゚ー゚)「……しょーがないなあ。その代わり…」
(*´・_ゝ・`)「ああ、わかってるよ」
从 ゚∀从「ヒャヒャ……ん?」
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42 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:10:44 ID:VAP5o7ec0
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(*゚ー゚)「よし!ハイン、アルフォートならアゲル」
从;゚∀从「お、おう………え、え?」
な、なんだ?いまの無言の会話……
なにが「その代わり」でなにを「わかっ」たんだ?
(*゚ー゚)「あ、ハイン、急用できたから帰って」
从;゚∀从「ハア!?ちょ、お前r
(*´・_ゝ・`)「今度また勉強教えますから」
从∀゚;从「お前はお前でなんで照れてンだ!?おい!」
(*゚ー゚)「ハインもオンナになればわかるよ」
从;゚∀从「ハ?そりゃどういう意m―――」
从 ゚∀从「………!」
(*゚ー゚) ネー
(*´・_ゝ・`) ネー
こ、コイツら………!
わざと見せつけやがって!
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43 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:11:15 ID:VAP5o7ec0
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从# ∀从「だあああああああああッ!!帰りゃーいいんだろ、帰りゃー!!だああああああああああああ!!!」ドンドン
((;´・_ゝ・`))「ちょ、揺れてる!家が、家が揺れてるうううううう!!」
((*゚ー゚))「さすがに床に穴が開くよ」
≡从#゚∀从「チクショおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
……くそ。オレはそのまま走って、バイクにまたがってデミやんちを出た。
しぃとデミやんは謝るどころか、ニタニタして見送るだけだったし。
なんだよ、オレだけが惨めじゃねーか。
まさか……オレが二人のジャマをしたの、まだ怒ってたりして。
……ああああああああああああああああああああああああああああ!!クリスマス、しぃを監禁したる!!
………どうでもええわ。
そんなことよりも気になったのが、オレの中を、一つの言葉がぐるぐるまわってるんだ。
そう、デミやんが言ってたヤツよ。
えっと、なんだっけ……?
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44 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:11:45 ID:VAP5o7ec0
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从 ゚∀从「ダブル……ヒステリー?」
ううん……なんか違う気がする。
从 ゚∀从「まあどーでもいいけど。……帰ろ」ブロロ
………まあ。
結果としては、どうでもよかなかったんだけどな。
そんなことよりも、だ。
このとき、オレはとりあえず、クリスマス、どーやってこの二人を引き離すかだけを考えていた。
惨めじゃない。ゼッタイ。惨めじゃ……惨め……
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45 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 00:12:15 ID:VAP5o7ec0
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从#゚Д从「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
. ああああああああああああああッ!!」ブロロロ
「あッあれって『拳のハイン』じゃない!?」
「嘘だろ、どーしてこんなところで!!」
「に、逃げ―――」
≡从#゚Д从「ジャマだテメエらあああああああ!!」
「「ぎゃあああああああああああああああ!!!」」
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