从 ゚∀从は大切なものを守るようです
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:47:06.31 ID:RsZRTUlf0
 
 
【第一話】
 
 
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:49:10.84 ID:RsZRTUlf0
(‘_L’)「寒い……」
 
(‘_L’)「くそっ…どうしてこんなに寒いんだ…!」
 
( ΦωΦ)「そりゃあ…もう冬であるからなぁ」
 
(‘_L’)「手袋つけても、凍えちゃうんだよ!どうにかならないの、これ」
 
( ΦωΦ)「ワガハイは電車通学ゆえ……」
 
(‘_L’)「ロマネスク氏……拙者を裏切ったの……か…?」
 
(;ΦωΦ)「…し、しかたないであろう!フィレンクト氏も、チャリ通はやめて、電車で来るべきである!」
 
(‘_L’)「親友と思っていたけど……そっか…しょせんその程度の……」
 
( ΦωΦ)「貴殿が親友でないわけがなかろう。この眼を見るである」
 
(‘_L’)「………!」
 
( ΦωΦ)「フィレンクト氏……」
 
(‘_L’)「…ロ、マネスク…氏……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:50:08.38 ID:RsZRTUlf0
( ΦωΦ)「……」ジー
 
(‘_L’)「……」ジー
 
 
 
(‘_L’)「ロマネスク氏…」
 
( ΦωΦ)「どうした、同志よ」
 
(‘_L’)「帰る前に、コーヒーが飲みたいところだよ……」
 
( ΦωΦ)
 
( ΦωΦ)「は?」
 
(‘_L’)「それも、この、チャリ通のせいで冷たくなる手先をあっためてくれるような、あったか〜い缶コーヒーを……」
 
( ΦωΦ)「いや、いやいやいやいや、ちょ
 
(‘_L’)「そうだよね……拙者とロマネスク氏は、しょせんその程度の…」
 
(;ΦωΦ)「おごってほしかったんなら、最初からそう言うである!」
 
(‘_L’)「ははw ゴチになります!」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:50:57.19 ID:RsZRTUlf0
( ΦωΦ)「その代わり、クーにゃんの握手会、ワガハイが先に並ばせていただくである」
 
(‘_L’)「冗談じゃない。『クーにゃんを愛で隊』隊長のロマネスク氏と言えど、そこは番号が若い拙者が」
 
( ΦωΦ)「隊長に口ごたえするつもりであるか、副隊長?w」
 
(‘_L’)「………」
 
( ΦωΦ)「………」
 
(‘_L’)「……………」
 
( ΦωΦ)「……………」
 
 
 
(‘_L’)「…とりあえず、自販機に寄ろう…」
 
( ΦωΦ)「そうするである……ワガハイも何かあったか〜いものが……」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:52:06.45 ID:RsZRTUlf0
(‘_L’) テクテク
 
( ΦωΦ) テクテク
 
 
(‘_L’)「……ロマネスク氏」
 
( ΦωΦ)「おごらないであるよ」
 
(‘_L’)「いや……その。前、見てほしいんだ」
 
( ΦωΦ)「前?」
 
(‘_L’)「自販機に人影が見えるんだけど……」
 
( ΦωΦ)「?」
 
 
 
            从  )
 
 
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:54:02.76 ID:RsZRTUlf0
( ΦωΦ)「ワガハイ、こう見えて視力はわるいのだ」
 
(‘_L’)「あ、ああ…そっか」
 
( ΦωΦ)「どうした?全部売り切れか?」
 
(‘_L’)「違うんだ…。人影、が問題なんだよ……」
 
( ΦωΦ)「都合の悪い人か?」
 
(‘_L’)「うーん……いや、その…」
 
( ΦωΦ)「はっきり言うである。ワガハイも、空気を読まぬ男ではないがゆえ」
 
(‘_L’)「じゃ、じゃあ言うけど、驚かないでね」
 
( ΦωΦ)「モチ」
 
 
 
(‘_L’)「自販機に、高岡さんがいるんだ」
 
 
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:55:34.68 ID:RsZRTUlf0
( ΦωΦ)
 
 
( ΦωΦ)
 
 
( ΦωΦ)「か、帰ろう。な。今度コーヒーおごってやるから」
 
(‘_L’)「で、でも……飲みたいし…」
 
((‘_L’))「だ、大丈夫…だよ。気づかないふりして、さっさと…買え…ば……」ブルブル
 
(;ΦωΦ)「震えているぞ…ww」
 
((‘_L’))「ろろロマネスク氏だって…顔が…笑ってない…」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:56:23.58 ID:RsZRTUlf0
 
 
            从  )
 
 
(‘_L’)「高岡さん…飲むもの考えてるだけ…だよ、きっと」
 
(;ΦωΦ)「帰るである…怖いであるよ……」
 
(‘_L’)「そうしようかn……あっ」
 
(;ΦωΦ)「ッ!?」ビクッ
 
 
 
            从  )
 
 
           从∀゚ 从彡
 
 
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:57:23.96 ID:RsZRTUlf0
((‘_L’))「あばっばばああっばっbbばあa」ブルブル
 
(;ΦωΦ)「なな、な――どうしたであるか!」ヒソヒソ
 
(‘_L’)「高岡さん……こっち向いた……」ヒソヒソ
 
(;ΦωΦ)「ッ!!逃げ――」
 
(;‘_L’)「馬鹿!逃げたら逆に怪しまれる!自然なふりしてジュースを買って、そのまま回れ右だ!」ヒソヒソ
 
(;ΦωΦ)「クックル氏がいれば落ち着けるのに……〜」
 
(;‘_L’)「拙者だって怖いさ。……さあ、行こう」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:58:28.70 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从
 
(;‘_L’)「……」テクテク
 
(;ΦωΦ)「……」テクテク
 
 
从 ゚∀从
 
(;‘_L’)「………」テクテク
 
(;ΦωΦ)「………」テクテク
 
 
从 ゚∀从
 
(;‘_L’)「あ、ろろ、ロマネスク氏」
 
(;ΦωΦ)「ろろ、r…どーしたであるか?フィレンクト氏ぃ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 18:59:49.30 ID:RsZRTUlf0
(;‘_L’)「そういや、新発売のコーヒーが、入ったんだってねえ?」
 
(;ΦωΦ)「ど、どれであるか?ワガハイも飲んでみたいである」
 
(;‘_L’)「たた確か、ソーサク社の――あ、コレだよ」
 
(;ΦωΦ)「ワガハイ、ねッ猫舌であるが、あったか〜いほうを買うよ」
 
(;‘_L’)「オッケー、二個ね。ポチッと」ガコン
 
 
(;‘_L’)「はい、ロマネスク氏」
 
(;ΦωΦ)「恩に着る」
 
(;‘_L’)「じゃ、じゃあ拙者も買お――」
 
(;ΦωΦ)「あ、今ので売り切れたみたいである」
 
(;‘_L’)「あっ本当だ」
 
 
 
从 ゚∀从 ゙

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:01:04.03 ID:RsZRTUlf0
(;ΦωΦ)「(反応したである!怖ええええええええええ!!)残念であrちゅn……ゴッホン!」
 
(;‘_L’)「じゃ、いつものでいっか――」
 
 
从 ゚∀从「おい」
 
 
(;ΦωΦ)「ヒッ!!!」ビクッ
 
(;‘_L’)「(馬鹿、動揺しちゃまずいぞ!)な、なんですか?」
 
从 ゚∀从「……それ」
 
(;ΦωΦ)「(ワガハイに指ささないでえええええ!)これがいったいなんでありましょうか」
 
从 ゚∀从「売り切れた……のか?」
 
(;ΦωΦ)「あっそう見たいです!」
 
(;‘_L’)「(ロマネスク氏!である口調は!)」
 
(;ΦωΦ)「(キャラづくりとかもはや考えてられん!)これがどうかしましたか?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:02:05.81 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「……オレが買いたかったやつ」
 
(;ΦωΦ)「どどッどうぞ!!!」
 
(;‘_L’)「(買ったのぼk…拙者なのに!)」
 
从 ゚∀从「それなんだがよ」
 
从 ゚∀从「それ買うのに10円足らなくてn
 
(;ΦωΦ)「お代なんかケッコーです!払ったのコイツだし!」
 
(;‘_L’)「あ…て、てめえ!」
 
从 ゚∀从「……110円で、いいか?」
 
(;‘_L’)「お代なんかケッコーです!どうぞです!」
 
从 ゚∀从「……いや、そr」
 
 
 
    「なーにカツアゲしてんだよ」
 
 
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:03:06.48 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「!」
 
 
(((;ΦωΦ)))「(ここここの声は!!)」
 
(((;‘_L’)))「(嘘だ嘘だ嘘だ!!どーして、どーして……)」
 
 
从 ゚∀从「なんだと?」
 
(゚、゚トソン「相変わらずシケたことしてんだなって言ってんのよ」
 
 
 
(((;‘_L’)))「(どーして学校のツートップが一気にくるんだよおおおおおおお!!)」
 
(((;ΦωΦ)))「(怖えええええええええええ!!都村さん怖ええええええええ!!)」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:04:49.21 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「カツアゲじゃねーよボケ。カネ払うつm
 
(゚、゚トソン「どー見てもビビりまくってんじゃねーかコイツら」
 
(((;ΦωΦ)))「!」ビクウッッ
 
从 ゚∀从「オレはなんもしてねーよ。変な言いがかりつけやがって」
 
(゚、゚トソン「あ、そう?それにしても情けないねー、あの『拳のハイン』が聞いて呆れる」
 
从 ゚∀从「ハア?」
 
(゚ー゚トソン「手持ち110円しかないなんて、ねえ!
       アッハハハハハハ、あのハイン様もキ・ン・ケ・ツですかwwwwww」
 
 
 
(;;;ΦωΦ)「(ハジマるぞ!!)」
 
(;;;‘_L’)「(でも逃げらんないよこの状況!!)」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:05:48.67 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「テメエ……今すぐここで相手したってもいいんだぜ……?」
 
(゚ー゚トソン「やめときな。動いたはずみで、ただでさえ少ない小銭が、チャリーンチャリーンって落ちてくのがオチよ」
 
从#゚∀从「あーこれはキたわ。今すぐ、ノす」
 
(゚、゚トソン「ふん。相変わらず短気ゴリラなのね。喧嘩しか能がないオンナ」
 
从#゚∀从「ケッ!よく言うぜ、オンナのくせに、でくの坊で!」
 
(゚、゚トソン「!」
 
 
从#゚∀从「ナイチチで!!」
 
( 、 トソン「!!」
 
 
从#゚∀从「淫らに脚を振り回す、ヤローがよ!!!」
 
( 、 トソン「」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:07:25.76 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「オレとヤりあいたけりゃ、まずオンナを磨くことだな!できねーだろうけどww」
 
(゚、゚トソン「プッツーン。はいキましたこれ。今回こそ半殺しにする」
 
从 ゚∀从「テメエの方が短気じゃねーか『脚のトソン』さんようww
      その脚で男の腰でも囲んどきなww」
 
(゚、゚#トソン「あん…た……ねえ…!!」
 
(゚、゚#トソン「毎回毎回、あのセンコーに止められてばっかだけどね、今日はそうはいかないからな」
 
从#゚∀从「こっちのセリフだぜ。逃げられる思うなよ」
 
 
(;ΦωΦ)「(そうか!もう放課後も遅い!先生が偶然通りかかるのは望み薄であった!)」
 
(;‘_L’)「(こうなったら、ハジマった隙に逃げよう!)」
 
(゚ー゚#トソン「ちょーどいいわ。コイツらに、見てもらおうじゃないの。どっちが、ココをモつんに相応しいか」
 
 
(;ΦωΦ)「(UWAAAAAAAAAAAA!!!)」
 
(;‘_L’)「(帰りたい、帰ってクーにゃんのDVD見て癒されたいよおおおおおおおおおおおおお!!)」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:09:12.96 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「なんだー?テメエ、保険かけてェってハラか?」
 
(゚、゚#トソン「なに?」
 
从#゚∀从「必要以上に殴られるのが怖いから、負けそうになったらコイツらに止めてもらうつもりなんだろ?
       小心者なんだなwww」
 
(゚、゚#トソン「小心者はどっちだ。こんなへなちょこ共に、あんたはともかくとして
       アタシを止められるはず、ないじゃない」
 
(゚ー゚#トソン「ま、見られるのが怖いだけ?でしょうけど?ww」
 
从#゚∀从「見られるって……なにを?」
 
(゚ー゚#トソン「あのハイン様が、惨めにも負けてアタシを前に泣いて詫びるサマよ!
       わかんないかーwwアタマ悪いもんな、あんたはーww」
 
从# ∀从「あーそうさ、わかんなかったぜ」
 
从#゚∀从「オレが猿に負けるとかありえねーから、想像できんかったわ。わりぃわりぃwww」
 
( 、 #トソン「さ……る………?」
 
从 ゚∀从「あ、違った?わりぃ、オトコはみんな猿だと思ってたんだが、違った?wwww」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:10:35.31 ID:RsZRTUlf0
( 、 #トソン「………聞いてればさっきから…」
 
(゚、゚#トソン「チチだの、シンチョーだの、カラダのことばっかりね」
 
(゚ー゚#トソン「もしかして、あれね。意識しちゃうお年頃?」
 
从#゚∀从「……ハア?」
 
(゚ー゚トソン「ごっめーん、誰もあんたみたいなガ・サ・ツなオンナなんて
       抱きたがらないから、タマってたのねww気づかなかったww」
 
 
(゚ー゚トソン「だってあんた、腕太いから。抱いたら男はみんな萎えちゃうのが目に見えてるもん」
 
从 ∀从「」
 
 
从 ∀从「…………もう……ガマンならねーわ」
 
(゚ー゚トソン「挑発によわいとか中学生?ww社会やり直してきなさいww」
 
从#゚∀从「テメエの言う、ぶっとーい腕で、首ごと―――」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:11:22.76 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从≡つ「持っていってやらァ!!」ブン
 
≡(゚、゚#トソン「チッ…やってみな!ゴリラ!」サッ
 
从#゚∀从彡「知ってっか?猿の方が、格下なんだ………」
 
 
从∀゚#从ミつ「ぜ!!」ブン
 
(゚、゚;トソン「(裏!しまっ―――)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:12:23.57 ID:RsZRTUlf0
 
 
 
 
 
 
 
 从 ゚∀从は大切なものを守るようです
 
 
 
 
 
 
 
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:14:13.43 ID:RsZRTUlf0
 
 
 
 

 
 
 眩しい日射しがうっとうしい、朝。
 私立のなかでも、「ニュー速VIP高校」はここらじゃ一番の底辺ってされてる。
 
 いつもは私は定刻より30分以上は遅れて登校するんだけど、
 朝帰りなだけに、今日はカレのバイクでここまで送ってもらった。
 だから、私は朝から優雅にお菓子を食べてくつろいでいるところ。
 
(*゚ー゚)「……」ポリポリ
 
(*゚ー゚)「…ハイン、遅いなー」
 
 トッポをクチにくわえて、それの三箱目を開ける。
 そして、ふと思ったことを口走った。
 今日早くに登校して一番の楽しみは、そのハインのことなのだ。
 
 高岡ハインリッヒ。この学校でも一、二番を競うほどの、不良。
 違う。私は不良じゃない。ただちょっとやんちゃなだけ。
 私みたいな、遅刻やお菓子や化粧とかでやんちゃな人と違って、ハインは正真正銘の「不良」。いや、レディース、の方があってる。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:15:20.49 ID:RsZRTUlf0
 喧嘩っ早くて、男女関係なく、気に喰わなかったやつは片っ端からシメるらしい。
 その結果、男連中をさしおいて、この学校の番長格にまで上り詰めた。
 二年の頃で既にその地位はつかんでたから、三年のいま、あの子の権力はそれはもう強いものなんだろう。
 
 ……私は地位だの、権力だのに興味なんてないけど。
 ただお菓子があれば、それで大大満足。
 
 
 話がずれた。
 そんなハインなのに、なぜか登校時間だけは守ってる。
 遅刻してくる私をなじるのは、もはや挨拶だ。
 
 でも、私はハインをからかうのが大好きなわけで。
 あの子に手玉にとられるのは、言うまでもなく悔しい。
 だから、こうして先に登校できたことで、いつもの仕返しができる。
 そう思うと、朝から楽しみで仕方がなかった。
 
 もう、予鈴が鳴る5分前。
 前に聞いた話じゃ、この頃には学校に来てるらしいんだけど……

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:16:56.77 ID:RsZRTUlf0
    「…きた……」ヒソヒソ
    「シッ!目をあわすな…」ヒソヒソ
 
(*゚ー゚)「ん?」
 
 
 と思ったら、やっと来たみたいだ。
 この3−Gじゃあ、『拳のハイン』はおばけとか以上に怖い存在らしい。
 あ、『拳のハイン』ってのはあの子の通り名で、あの子の鉄拳が次々に物を壊していくからついたんだそうで。
 授業中、あの子がイライラして机を叩き割ったという事例は、もはや武勇伝だ。
 
 で、そんなハインだから、あの子が姿を見せると必ず周りがざわめく。
 目でハインを見ずとも、耳だけ動かしとけばあの子が来たかどうかがわかるのだ。
 今みたいに、トッポを加えながらスマホをいじってても、この通り。
 
 
从# ∀从「あ゙あ゙あ゙・・・・・・・・・ッ・・」
 
    「怒ってるぞ!」ヒソヒソ
    「だから目をあわすな!」ヒソヒソ
 
(*゚ー゚)「あらあら」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:18:17.16 ID:RsZRTUlf0
 『拳のハイン』さんはお怒りのようで、教室に入るやいなや壁を鉄拳で殴った。
 瞬間、その壁が少し砕けて、破片がぽろぽろと落ちた。
 続けてなんかうなり声みたいなのが聞こえてくる。
 ……こんなの聞いて、朝から怯えるクラスメートは何人になるのやら。
 
 スマホを閉じて、トッポを噛み砕いた。
 破片がこぼれ落ちたけど、踏みつぶして証拠隠滅。
 掃除は係りの人がするから、これで一件落着でしょう。
 
 傍らにスマホを置いて、椅子にもたれかかった。
 脚も組んで、左手は後頭部に、右手は前に。
 ハインの席は最後列の左から二番目。つまり私の隣である。
 だからこっちに恨めしげな顔をしてやってくるこの子に、私はピースを見せた。
 
从# ∀从「………チッ」
 
(*゚ー゚)「ピース!」
 
从# ∀从「あのクソが……」
 
(*゚ー゚)「ピース!ピース!」
 
从 ゚∀从「……お、どうした。いたのか」
 
(#゚ー゚)「だからピースしてんじゃない!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:19:27.68 ID:RsZRTUlf0
 ハインが椅子に腰かけた。
 この子は、鞄は持ってこない。
 机からはみ出て見えるプリントやら教科書やらを見れば、それも納得できるけど。
 ハインって勉強ぜんぜんしないんだから、捨てちゃえばいいのに。
 
 
(*゚ー゚)「きてやったのよ朝イチでー。ほら、ほめたたえなさい」
 
从 ゚∀从「……どーせ、サイフに運ばせたんだろ」
 
(*゚ー゚)「サイフじゃないよー。愛のチカラなの」
 
从 ゚∀从「お前の『愛』は、毎月何万もミツがせることを言うのかよ」
 
(*゚ー゚)「カレが良心で買ってくれるんだ。ほら、これも」
 
 私は不良じゃないので、鞄は持ってきてるのだ。
 愛の証拠にと、ハインに革でできたそれを自慢げに見せつけた。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:20:19.06 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「うわ。オレ、それ知ってんぞ。ブランドもんだろ」
 
(*゚ー゚)「ヴァニラ知らないとか、さすがね」
 
从 ゚∀从「あ、それだ!バニラだろ?ww」
 
(*゚ー゚)「ヴァ!」
 
从 ゚∀从「バ?」
 
 
(;゚ー゚)「……やっぱいいわ。そう、バニラよコレ。よく知ってるね」
 
从*゚∀从「だろー?オレ、最近ベンキョーしてんだからな」
 
(;゚ー゚)「そ、そう……」
 
 ハインは『拳のハイン』と思わせないような、満面の笑みを浮かべて返した。
 ヴァニラ=アイスも知らない番長……なんか、面白いかも。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:21:39.78 ID:RsZRTUlf0
从 ゚∀从「――って」
 
从*゚∀从「結局サイフじゃねーかww」
 
(*゚ー゚)「昨日買ってもらったんだ。付き合って78日記念日ってことで」
 
从*゚∀从「ウヒャヒャヒャ!なんじゃそりゃ!」
 
 
 すっかりハインは上機嫌になったようで、椅子から身を乗り出しては私のトッポに手を伸ばした。
 机の上に無造作に置いているので、ハインの席からなら簡単にとれる。
 
 ――って、あ!
 
 
(#゚ー゚)「やらん!!」バッ
 
从;゚∀从「な、なんだよー。いいじゃねーか一本くらい」
 
 だめだだめだ。
 アマいお菓子は私の動力源なのだ。
 いくらハインでも、特にチョコ系はあげない。
 
 そう言うと、ハインはしょんぼりした。
 日頃からこうなら、カレの一人や二人、できるのに……

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:22:41.48 ID:RsZRTUlf0
(*゚ー゚)「しょーがないな。こっちアゲル」
 
从 ゚∀从「なんだそれ?」
 
(*゚ー゚)「梅のグミ。まずいからアゲル」
 
从;゚∀从「いらんわ!なんで買ったんだ!」
 
(*゚ー゚)「カレがいっぱい買ってくれて……」
 
从 ゚∀从「もうええわ」
 
 疲れたのか、ハインは身を乗り出すのをやめた。
 机に片肘をついて、窓の外をぼんやりと眺める。
 
 どこか、いつもより気疲れしているようだ。
 どうしたんだろう。そんなにトッポ欲しかったのかな。
 
 そう思って声をかけようとしたときだ。
 
 
(*゚ー゚)「あ」
 
 そういえば……。
 さっきまで、ハインがすごいお怒りの様子だったことを思い出した。
 
 そうだ、何かあったんだ、ハインに。
 ここはハインの数少ない親友として、話を聞かないわけにはいかないでしょう。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:23:45.81 ID:RsZRTUlf0
(*゚ー゚)「ねえハイーン」
 
从 ゚∀从「ンだよ」
 
(*゚ー゚)「どーしたの、朝からプリプリして」
 
从 ゚∀从「ん? あ、……」
 
(*゚ー゚)「……ハイン?」
 
 そこでハインは少し黙った。
 どうしたんだろう……そう思ったときだ。
 
 クラスの連中が飛び上がるほどの大声で
 
 
从#゚∀从「それ!それだッ!聞いてくれよ、しぃ!!」ドン
 
(;゚ー゚)「な、なにナニ!」
 
 そう、言い放ってきた。しかも机を殴りながらよ。
 あなたの「机割り」にトラウマ抱いてる人もいるんだし、そもそも耳障りなんだからやめてほしい。
 
 
 あ、ちなみに私は猫乃しぃ。ネコノ、ね。
 伝説の『拳のハイン』のトモダチ。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:25:05.90 ID:RsZRTUlf0
 ハインは体をずい、とこちらに乗り出してきた。
 トッポをとられないように、机の左端に寄せる。
 でも、さすがにもうそっちに興味はないみたいだ。
 
从#゚∀从「昨日、まッたあの猿オトコがつっかかってきてよー!」
 
(*゚ー゚)「トソンちゃん?よく飽きないね」
 
从# ∀从「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!その名前聞いただけでムシャクシャする!!」ガリガリ
 
 なにをアレルギー反応起こしているのか、ハインは地団駄踏みながら頭をぐしゃぐしゃにかき乱した。
 これはカルシウム不足なのか、糖分の不足なのか。
 さすがに、優雅なはずの朝からこうだと面倒だから、余ったお菓子で落ち着かせよう。
 
(*゚ -゚)「……。」
 
 ちらっと、傍らのお菓子に目を遣る。
 トッポは残りふた箱だけ……。
 
 これはゼッタイにあげない。ゼッタイ。
 でも、他にアマいものは……。
 
 
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:26:35.99 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「でさ、アイツが――」
 
(*゚ー゚)つ「えいっ」
 
从;゚n从「――〜〜!」ムグ
 
 
 下品に大きく開かれたクチに、すかさずアマいのを押し込んだ。
 きのこのチョコレート菓子だけど、私はたけのこの方が好きだし。
 どのみちチョコで、アマいから別にいいでしょ。
 
 ハインはお菓子を押し込まれたとわかって、不思議そうな顔をしてクチを動かしはじめた。
 私からお菓子をもらえたことに驚いているのかな。
 ダメなのはトッポだけであって、他のお菓子なら別にあげてもいいのに。
 
 ほんとうはチョコ系はあげないんだけど、今回は特別。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:28:21.46 ID:RsZRTUlf0
从;゚〜从「………、……。」
 
(*゚ー゚)「話聞いたげるから、落ち着きな」
 
从;゚ー从「……」ゴクン
 
从;゚∀从「………喉が詰まるところだった、ぞ」
 
(*゚ー゚)「はいはい。おいしいでしょ〜それ」
 
 ハインはきょとんとした。
 そうそう、それでいいんだ。こっちの方が話しやすい。
 
 
(*゚ー゚)「で、どったの」
 
从#゚∀从「昨日の放課後よう、オレが―――」
 
 あらら、もう怒りスイッチが入ったみたい。
 少しは淑やかさ、ってものを身につけてもらいたいな。
 そうだな、私みたいに?
 
 
 
 だから私は不良じゃない。
 茶髪に染めてるけど、化粧は薄いし、テストは毎回欠点をぎりぎり下回る程度だし。
 そもそも茶髪だってウチの学校じゃおとなしいほうだもん。
 金髪とか緑(笑)だの青(笑)だのがいるし、ハインなんか白だよ、白。灰色がかった。
 白い髪でしかもアシメ。その上白衣みたいな暴走族の服着てるし。
 こんなのに比べたら――

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:29:32.36 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「聞いてンの?」
 
(*゚ー゚)「あーはいはい、確かに確かに」
 
从#゚∀从「だよな!?オレぁオドシなんかしてねーっつの!!
       どんな妄想だよ単細胞セーブツのクセしてよwww」
 
(*゚ー゚)「きのこ一個じゃ足らんかったか」
 
 どうやら、ハインは、一方的に自分につっかかってきて、その上濡れ衣までかぶせてきたトソンちゃんが憎いようで。
 でもしょうがないよハイン。おとなしい時のあなたの声って、かなり低いもん。
 伝説の不良が、真顔で、静かで、しかも声が低いって。そら相手ビビるわ。
 挙げ句の果てに話って要は「コーヒー売れや」だもんなあ。
 
 でも、トソンちゃんが絡んだ時のハインほど、話の通じないオンナはいない。
 いつからこんなに険悪な仲になったのか……。
 
 ハインの話はほとんど聞いてないけど、もう聞かなくても話の全貌がわかったよ。
 ここから、恥ずかしくて後輩にも見せられないような、罵りあい。それも小学生レベル。
 で、喧嘩に発展する手前で帰った――なんてところだろう。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:30:47.70 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「――で、プッツンよ。ここまではよかった、ジャマなしでヤりあえるー思ったからなあ」
 
(*゚ー゚)「へえ。え?」
 
 
 あれ?
 
 
从#゚∀从「見せしめに一発、マッスグうったぜ。避けられたけど」
 
(;゚ー゚)「ちょ、ちょ!」
 
从#゚∀从「ンだよ」
 
 
 あれれ?
 
 
(*゚ー゚)「今回、したの?喧嘩」
 
从#゚∀从「……ちげェ。タイマンはどっちかが負けを認めるまで続いて、はじめてタイマンだ」
 
(*゚ー゚)「???」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:31:54.04 ID:RsZRTUlf0
 あれれ。
 いつもは、喧嘩はしないのだ、あの二人の場合。
 一年や二年の頃は、そりゃあもうやんちゃ盛り。なにも考えずに暴れることができたから。
 
 でも、今はもう三年。卒業も視野にいれる頃合いとなった。
 そして、センセイから口癖のように「次暴力事件を起こしたら卒業は〜〜」と言われるようになったのだ。
 珍しくもそれが効いたのか、三年になってからは二人はなかなか喧嘩しなくなった。
 ……たまに、小突きあいはするけど。
 
 そんな二人なのに、まさか、ホンキでぶつかりあった?
 なんのジョーダン。
 
 
(*゚ー゚)「……続けて」
 
从#゚∀从「お?お、おう……。」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:34:04.74 ID:RsZRTUlf0
 私の聞く姿勢がいきなり変わったからか、ハインは少し動揺した。
 しかたないじゃない。気になるもの。
 
 一応、ハイン率いるグループの参謀ポジションだから。私。
 参謀、って言ってもハインのよき相棒ってだけで、喧嘩なんてとうていできないけど。
 バイクも嫌いだし。あ、でもカレのバイクは別ね。
 
 
(*゚ー゚)「トソンちゃんにかわされて……から?」
 
从#゚∀从「違う!わざと避けさせたんだ!一回転して、不意打ちしよーとだな――」
 
(*゚ー゚)「ほうほう」
 
从#゚∀从「……そしたら、よ」
 
 
 
 
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:35:37.14 ID:RsZRTUlf0
 

 
 
(゚、゚;トソン「(裏!しまった!)」
 
从#゚∀从「(先手!もらった―――)」
 
 
 
    「あいてッ!!」ドンッ
 
 
从;゚∀从「!?」
 
(゚、゚;トソン「ッ!あ、あんた―――」
 
 
    「ちょ、ちょちょ、君たち!」
 
从#゚∀从「ッ!おいテメエ、まさか最初っから呼んでたのか!?」
 
(゚、゚#トソン「ンなわけないでしょーが!!こっちから願い下げよ!」
 
    「おーい、…。無視ですかー、泣くよーボク」
 
从#゚∀从「ッるせーよ、テメエ!」
 
(゚、゚#トソン「毎度毎度毎度毎度、ジャマばっかし……!」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:36:43.97 ID:RsZRTUlf0
 
 
 
从#゚∀从「「こんの、クソセンコーが!!」」(゚、゚#トソン
 
 
(;^Д^)「声そろってやんの。相変わらず、仲いいなー…」
 
从#゚∀从「ビョーインに送られてーか!」
 
(゚、゚#トソン「つーか、いつからいたんだ!」
 
从#゚∀从「そもそも、テメエもう担任じゃねーだろ!関わんなよ、ウットーしい!」
 
(゚、゚#トソン「あーハラ立つ。今日こそ決着つくって思ったのに」
 
从#゚∀从「まったくだぜ。ほんとうなら、このババア打ちのめしてオレが天下取ってたのによ」
 
(゚ー゚#トソン「……ンだって?」
 
从#゚∀从「あ゙あ?」
 
(゚、゚#トソン「なによ」
 
从#゚∀从「なんだよ」
 
(゚、゚#トソン「センコーがきたって、関係n
 
(;^Д^)「大アリだ!少しはためらいってモンをだなー」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:37:53.03 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「ハン!常識わきまえてねートソンちゃんですいませんねえ」
 
(゚、゚#トソン「あんたこそ。いつまでセンコー殴ったままなんだ」
 
(;^Д^)「え、あ、これ?ダイジョーブ、ダイジョーブ。三日したら治るから、ほんと。痛いけど」
 
(゚ー゚#トソン「あーあ。ついにセンコー殴っちゃった。こりゃー停学スッ飛ばして退学ね」
 
从#゚∀从「ハア?コイツが勝手に割り込んでき――」
 
(゚、゚#トソン「はいそれイイワケー。どのみち殴――」
 
从#゚∀从「テメエだって脚だしt――」
 
(゚、゚#トソン「それとこれt――」
 
从#゚∀从「ハン!違――」
 
 
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:39:35.47 ID:RsZRTUlf0
( ^Д^)「君たち、ここにいたらとばっちりくらうから。帰りなさい」
 
(。ΦωΦ)「明日から先生のいい噂流すであるうう!」
 
( ;_L; )「次のテストは拙者、赤点ぎりぎりまでならとるよ!」
 
( ^Д^)「はは。あんまし嬉しくねえ」
 
 
从#゚∀从「タカラ!聞いてんのか!!」
 
(゚、゚#トソン「ちょっとコッチ来いよ!!」
 
( ^Д^)「えー…。ボク、一応センセーなんだけd
 
(゚、゚#トソン「タマぁ惜しかったら次からは止めんなよ?いいな!?」
 
从#゚∀从「どーして、こうも毎度止めンのかねー!次は、コロすぞ!!あ゙あ!?」
 
( ^Д^)「でも、暴力事件はなー…」
 
从#゚∀从「「いいな!?」」(゚、゚#トソン
 
( ^Д^)「えー…」
 
 
 
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:40:29.82 ID:RsZRTUlf0
 
 
 

 
 
从# ∀从「――いっつもそうだ!オレとアイツがヤろうとするたんびに、ジャマしやがる!」
 
从#゚∀从「去年までは担任だったけどな、もうアイツの生徒じゃねーんだよ!お節介うぜーっての!!」
 
从#゚∀从「退学?ハン!怖くないね!どーせ退学すンだったら、一度あのババアを――」
 
 
:(* n ):「………、……」プルプル
 
从 ゚∀从「……しぃ?」
 
 
 あ、だめ。
 こりゃだめだ。久々に。
 
 
 
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:41:38.26 ID:RsZRTUlf0
(*;ー;)「あっはははははははハハハハハハハハハハ!!」
 
从#゚∀从「なッ!?笑うんじゃねえコラ!真剣だぞコッチは!!」
 
(*;ー;)「だって……だって、…wwwwwwwww」
 
从# ∀从「わあああらあああうううううなあああああ!!」ドンドン
 
 ハインの話を聞いたら、なんかもう、おかしくてしかたがなかった。
 だめだよ、こんなの聞いて笑うのをガマンしろ、なんて。
 まんま子どもの喧嘩に、仲介として入った高村センセイ。あ、これでタカラって読むんだって。
 
 で、その後の二人の対応。
 もう、仲良しコンビのじゃれあいとしか思えない。
 センセイもセンセイだし、二人も二人だ。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:42:39.89 ID:RsZRTUlf0
 ハインはなにを悔しがっているのか、地団駄踏んで周りに当たり散らす。
 こんなにおかしい話なのに、クラスの他のみんなは「フ」と息を漏らしすらしない。どうしてだろう。
 
 
(*ぅー゚)「あー、はいはい。ごめんって」
 
从#゚∀从「しぃは知らねーだろうけどな、アイツ、一年の頃からずっとああなんだぞ!
       もうウットーしすぎてむしろ尊敬するレベルよ!」
 
(*゚ー゚)「あのセンセイも、なかなかの変わりものだからねー」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:45:10.06 ID:RsZRTUlf0
 そう、タカラセンセイ。
 あの人、弱冠28歳でこのガッコの学年主任をもつとめるというのだ。
 しかも、荒れに荒れている三年を。
 (ハインとトソンちゃんが暴れるせいで、今の一年や二年はすっかりおとなしいらしい。)
 
 掴みどころがない、ただのなよなよしたオトコかと思いきや
 なんと、ハインとトソンちゃんのタッグを止められる、ガッコ唯一のセンセイ。
 なかなか、不思議が多いセンセイなのだ、タカラとは。
 
          タカラ
 そのせいか、『高村の持ち腐れ』なんて言葉ができた。
 意味はよく知らないけど。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:46:19.74 ID:RsZRTUlf0
从#゚∀从「あー思い出しただけでキそうだわ。しぃ、トッポくれ」
 
(#゚ー゚)「やなこった!」
 
从# ∀从「……………………きのこでいいから!」
 
(*゚ー゚)つ「はーい」
 
从# 〜从「……」モムモム
 
(*゚ー゚)「ふふっ」
 
 やっぱり、ハインは可愛いなあ。
 だって、普段から殴り合いの喧嘩をするような伝説の不良も、
 私の前じゃこんな子猫ちゃんみたいになるんだもの。
 
 
 ……。
 ハインは、私のヒーローだ。
 二年のときは一緒のクラスになれなかったけど。
 
 一年のときにいろいろあって、仲良くなって。
 で、二年で離れ離れになったものの、三年で再会。
 最初は「私のこと覚えてるのかなあ」と不安だったけど、それも杞憂だったみたいで。
 いまとなっては、私が気兼ねなく話せる……唯一の友人……?
 
 
 
 唯一なんて言ったら、なんか私が寂しい人みたいじゃないか。
 親友……そう、親友。ソレ。親友よ。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:47:33.82 ID:RsZRTUlf0
 ちなみに。
 ハインとよくつるむようになったせいで、どうしてか私まで格の高い不良ポジションに就いちゃっているのだ。
 この子にタメで話せて、手玉にも取れるからだろうけど、そうだとしても
 
 
    「ね、ネコノさん…!プリントです…」
 
(*゚ー゚)「あ、置いといて」
 
    「は、はい…!」ビクッ
 
 
 どーして、私まで恐れられないとだめなんだ。
 私は不良じゃないってのに。
 
 
 ……しかし、プリントか。
 久々に朝早く登校したから気づかなかったけど、もうそんな時間か。一時間目。
 
 あ…でも、待てよ。
 今日の一時間目って、確か――
 
 
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:48:56.81 ID:RsZRTUlf0
( ^Д^)「はーい、授業開始1分前ー。プリント配ったから見といてねー」
 
从# ∀从「…………」
 
(*゚ー゚)「あら」
 
 昨日の今日で、しょっぱなからタカラセンセイ。
 これはハインにはキツいんじゃないかな。
 
 現に、ほら。
 運悪くハインの前の席になった人がプリントをまわそうとして、
 でも気づいてくれないハインにどうすればいいか、と立ち往生している。
 
 
    「高岡…さん……、その…」
 
(*゚ー゚)「ハイン、プリント。前の人が困ってる」
 
从#゚∀从「あ゙あ!?」
 
    「ヒッ…!ごご、ごめんなさいごめんなさいッ!なんでもないでs

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:49:39.39 ID:RsZRTUlf0
( ^Д^)「ハイン、さすがにそのイジワルは」
 
从#゚∀从「〜〜〜…チッ。置いとけ!オレの名前も書いとけよな!」
 
    「は…はいッ」ビクビク
 
( ^Д^)「いや、それも……、……別にいっか」
 
从#゚∀从「…フン」
 
 
:(* n ):「くっ………」プルプル
 
 
 やばい。
 センセイに素直に従うハインが可愛すぎる。
 
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:50:42.21 ID:RsZRTUlf0
( ^Д^)「よし。出席代わりにプリント回収するから、みんなも名前書キーンコーンカーンコーンないkチャイムうう!」
 
(*ぅー゚)「やれやれ」
 
 
 今日も一日がはじまった。
 こんな風に、喧嘩なんてない、穏やかな日々が卒業まで続けばばんばんざいなんだけどなあ。
 
 
 卒業……、か。
 
 
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/01/03(木) 19:51:32.57 ID:RsZRTUlf0
 
 
( ^Д^)「いやーしかし、今日もいい天気だn
 
从#゚∀从「そのノリいい加減やめろよウゼえ!」
 
(;^Д^)「あ、ボクこれでもセンセーなんだけど!?」
 
从#゚∀从「知るか、ボケ!」
 
 
 こんな調子で、ハインははたして卒業できるのやら……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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