ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:02:23.87 ID:uHeKQnOgO



彼らの呼びかけと共に、『植えつけた』ところの土が盛り上がる。

やがて地中から何やら黒いものが顔を覗く。
そしてそれは瞬く間に巨大化していき、
全長2メートル程の大きさになったところで成長は止まった。




( ゚∋゚)「…………」


ギコとクーの前に現れたのは、全身を黒く染めた人型の物体。
『人間』と記さなかったのは、その生まれ方もそうなのだが、何よりもその造形による。

一番先に目に付くのは、その頭。
本来髪の毛が在るところに、体の中心線を軸として、縦に何やら扇状のものが生えていた。
そう。ニワトリなどに代表される『トサカ』がついていた。

そして口。それはクチバシ。

頭から下に目をやる。
全身が黒い羽毛で覆われている。
その下に僅かに覗くのは鍛え上げられた隆々たる筋肉。
身長も高いせいか並々ならぬ威圧感を漂わせている。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:05:23.37 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「…………鳥人間?」


クーの言うとおり、『彼』を一言で形容するのであれば、
これほど当てはまる言葉は他に無いだろう。


( ゚∋゚)「…………」


彼は生まれ立った場所から動かずに立ち尽くしていた。
その姿は、主である流石兄弟に命令を下されるのを、ただじっと待っているかのように見える。
光が見えない瞳の奥が、そう語っていた。


( ´_ゝ`)「ふっふん、どうかね? これが我らのヒミツ兵器、『クックル』だ!」

(´<_` )「それじゃ、いってみよう。兄者」

( ´_ゝ`)「おう! 行け、クックル! 作戦名は―――」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:08:22.29 ID:uHeKQnOgO
                                   .









(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)



第八話-b
「『ガンガンいこうぜ』!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:11:25.91 ID:uHeKQnOgO
兄者が呼びかけるのと同時にクックルの瞳に光が灯る。そして、






( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――!!!!!!」


咆哮。
その声は、千里に渡るのではという程に響かせる。
近くにいた鳥たちが、一斉にその場から離れていった。


(,,゚Д゚)「おおう……、馬鹿でかい声出しやがって。
     つーかいいのか? あの叫び方、まるパクリじゃね?」

川 ゚ -゚)「さあな。そんな事より」



川 ゚ -゚)「来るぞ!」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:14:22.79 ID:uHeKQnOgO
( ゚∋゚)「■■■■■■!!」


体を前に倒し、一歩踏み出す。
もともとあまり開いていなかった彼らの距離は、この行動のみでゼロになった。

クックルは横薙ぎに腕を振るう。


川 ゚ -゚)「ふっ!」

(,,゚Д゚)「おっと!」


ギコとクーは一足飛びでクックルの射程外に退避する。
目標を失ったその腕は二人が元居た場所にあった木と激突し、



木の上半分が破片を散らせながら吹き飛んだ。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:17:35.59 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「おお!? ラリアット一発で木を粉々にしやがった!」

川 ゚ -゚)「呆れたパワーだな」


彼方へと飛ばされ藻屑と化した木をあんぐりと見る。
動きが止まる二人に、クックルは間を置かず襲いかかった。


( ゚∋゚)「■■■■■!!」

(,,゚Д゚)「! うおっ!」


斜め上から振り下ろされた拳を、ギコは懐に潜りつつしゃがんで躱す。


(,,゚Д゚)「あめーんだよ! いただきだ!」


そして曲げた足を一気に伸ばし、下から拳をクックルの顎目掛けて体ごと振り上げた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:20:25.22 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)(うむ、タイミングも角度もバッチリだ)


ギコとクックルから少し離れて観戦していたクーは、
ギコのクリーンヒットを見て満足そうに軽く頷く。
端から見ても会心の一撃だ。割と勝負は早く着いたか、とクーは考えた。

だが、当のギコは全く違う思いを抱く。


(,,゚Д゚)(か、硬てぇ……!)


拳を通して感じたクックルの肌は、まるで岩、いや、金属で構成されているかのように硬かった。


( ゚∋゚)「■■■■■■■■!!!」

(,,゚Д゚)「!?」

川 ゚ -゚)「むっ!?」


ギコのアッパーをものともしていないクックルが、うねりを上げて左フックを繰り出してくる。

ギコの足は伸びきっているので、クックルの拳を躱すというのは間に合わないだろう。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:23:29.32 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「ちいぃっ!!」


ギコは瞬時に鎖を両腕に巻き、ガードの姿勢をとる。
そして腹に力を入れて、クックルの拳を迎え入れた。


(,,゚Д゚)「来るなら来いやチクショウ!」

( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」


クックルの雄叫びと共に振るわれる左拳。

それは弧を描きながらギコの両腕と重なり―――




(,,゚Д゚)「!!?」


ギコの足が地面を見失った。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:26:23.49 ID:uHeKQnOgO
あたかも爆発に巻き込まれたかのように、ギコの体が弾かれる。

そのスピードは少しも緩まないまま10メートル程滑空し、一本の木に背中から激突した。


(;゚Д゚)「がはっ!」


全身が叩きつけられる。肺の中の空気が丸ごと吐き出されてしまう。
一瞬呼吸が出来なくなり、軽くせき込んだ。


( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■!!!」


追撃をかけるためにクックルがギコに向かって飛び出そうと試みる。

しかし、


川 ゚ -゚)「させるか!」

クーがそれよりも速くクックルの前に躍り出て、鳩尾に前蹴りを叩き込んだ。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:29:36.62 ID:uHeKQnOgO
だがクックルはダメージを受けた様子を見せない。
そして前に出されたクーの足を片手で掴み上げた。


川 ゚ -゚)「っ!」


逆さに吊るし上げられるクー。
この状態では満足に動く事は出来ない。

クックルはその場でクルリと反転。槍を投げるような姿勢をとり、


( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!」


大きく円を描く彼女の体。
クックルは力任せにクーの体を地面に叩きつけた。


川  - )「ぐ、ううっ……!」


地雷でも起爆したかのように地面の土が噴出した。クーの体から力が抜ける。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:32:39.55 ID:uHeKQnOgO
クックルはそんなクーの状態などお構いなしに、また足を持って体を引き起こす。
そして再度、投擲の格好をとり―――




(,,゚Д゚)「ぜぇりゃぁっ!!」


クックルの真上からギコが飛来する。
ギコは落下の勢いと共に、クーの足を掴んでいるクックルの腕に向けて左足を打ち下ろした。

クックルの手が離れ、クーの体が自由になる。
ギコはクーの腕を引いてクックルから距離をとった。


(,,゚Д゚)「クー。大丈夫か?」


ギコの問いかけに対し、クーは手のひらで額を押さえ、頭を左右に振りつつ答える。


川 ゚ -゚)「ああ、何とかな。地面が柔らかい土で良かった。
     もしこれがコンクリートだったら……、ぞっとするな」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:35:23.41 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「しかしありゃあ……」


ギコは今さっき逃れてきた方に目を向ける。


( ゚∋゚)「…………」


そこにはその場に立ち尽くし、こちらを見ているクックルの姿があった。
二人の様子でも窺っているのだろうか。


(,,゚Д゚)「タイプとしては『No』とそう変わりないが……、
     パワーやタフネスさが比べものにならんぜ」

川 ゚ -゚)「特にあの異常な程に硬質な体は厄介だな。こちらの攻撃が効いているとは思えん」

(,,゚Д゚)「むう、どうすっかな……」


ギコは腕を組んで思案顔になる。
そんな彼にクーが話し掛けた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:39:15.30 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「良かったな、ギコ」

(,,゚Д゚)「はあ、何が?」

川 ゚ -゚)「お前が所望していたシリアスな感じになってきたじゃないか」

(,,゚Д゚)「…………あー、いや……。今更真面目にやられてもなぁ」


ギコは困った表情を見せつつ、人差し指で頬を掻いた。


(,,゚Д゚)「出来れば最初からお願いしたかったぜ」






(*´_ゝ`)「ヒャッハー! 流石クックル! スゴいぞーカッコいいぞー」

(´<_` )「うむ。上々の動きを見せているな」


一方の流石兄弟と言えば、兄者はクックルの活躍に両手を上げて目を輝かせており、
弟者は何処からかノートを取り出し何やらメモを取っていた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:41:31.12 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「さて、どうするギコ?」


クーがギコの顔を見て尋ねる。
どうする、というのは勿論、目の前の敵をどうやって倒すのか、という事である。


(,,゚Д゚)「ふーむ、そうだなぁ。ま、セオリー通りに行けば、
     鳥マッチョは無視して兄弟の方を叩くってとこかな」

川 ゚ -゚)「まあ妥当な線だな」

(,,゚Д゚)「だ・が・し・か・し」

川 ゚ -゚)「駄菓子歌詞?」

(,,゚Д゚)「そんなんでは、何か筋肉烏骨鶏から逃げたっぽい」

(,,゚Д゚)「つー訳で、セオリーなんぞ放っておいて、あのマッスルバードを討ちに行きます」


ギコはそう言いつつ、左手の親指で自分の首をかっ切るジェスチャーをしてみせた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:44:27.02 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「やれやれ、また勢いに乗せた考えなしの行動か?」

(,,゚Д゚)「む」


クーは少し大袈裟に溜め息をついてみせたが、


川 ゚ -゚)「とは言え、確かに逃げたと思われるのも癪だな」

(,,゚Д゚)「お」

川 ゚ -゚)「いいだろう。あのガチムチニワトリ、倒すぞ」


静かに瞳を燃やしながら、クーは同意した。


(,,゚Д゚)「おっしゃ! そうこなくっちゃ!」





川 ゚ -゚)「で、何か策は有るのか?」

(,,゚Д゚)「うんにゃ」

川 ゚ -゚)「先にお前から倒していいか?」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:47:23.16 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「はっはっは、まあ落ち着けよブラザー。
     とりあえず落ち着いて、そしてお願いだから
     地味に脛をげしげし蹴ってくるの止めて下さい」

川 ゚ -゚)「はあ……、ま、どうせそんなんだろうとは思っていたが」

(,,゚Д゚)「ぬぐぐ」


一呼吸置いた後、クーが小さく、しかし決意を込めた強い言葉を吐き出す。


川 ゚ -゚)「……私に、策がある」

(,,゚Д゚)「お? マジ?」

川 ゚ -゚)「ああ、試してみたい事があるんだ」

(,,゚Д゚)「へーえ、んじゃそれでいこうぜ」


ギコは特に詳細も聞かずに即興で承諾した。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:50:22.85 ID:uHeKQnOgO
しかし、いまいちクーの顔は明るくない事にギコが気付く。


(,,゚Д゚)「ん、どしたん?」

川 ゚ -゚)「……ああ、確かに策は有るんだが、これを決めるには
     あの鳥の動きを少し止めなければいけないんだ」

(,,゚Д゚)「何だそんな事か。おkおk。じゃあそっちは俺の仕事だな」

川 ゚ -゚)「頼んだよ」

(,,゚Д゚)「そっちこそちゃんと仕留め切れよ?」

川 ゚ -゚)「任せろ、思いっきり吹き飛ばしてやろう」


それぞれの仕事を確認した二人は、拳を合わせて互いの健闘を祈った。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:53:22.56 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「では、そうと決まれば」

(,,゚Д゚)「行きますか!」

(´<_` )「お、じゃあこちらも」

( ´_ゝ`)「迎え撃て、クックル!」

( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!!!」




前線にいた三人が一斉に動き出す。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:56:22.80 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「シャアアッ!!」


ギコがクックルに向けて一直線に鎖を投げる。
銀色の分銅は突進してくるクックルの額へと狙いを定めたが、
彼は頭を横に倒すことでそれをやり過ごした。


(,,゚Д゚)「『乱蜂』」


だが鎖は急に180°方向を変え、クックルの後頭部に吸い込まれるように撃ちつけられる。


( ゚∋゚)「…………」


しかし彼は少し頭を下げた程度で、前進する足を止めようとはしなかった。

大きな地響きを立てつつ、クックルが二人に肉迫する。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 20:59:23.64 ID:uHeKQnOgO
それでもギコは動じなかった。


(,,゚Д゚)「ま、止まらない事は予想してたさ。……なら、これはどうだ?」



(,,゚Д゚)「『蛇』」


ギコが前に飛び出していた鎖をぐい、と引っ張る。
すると鎖が螺旋を描き、クックルの頭に巻き付いて彼の視界を塞いでしまった。


(  ∋ )「!?」


突然訪れた暗闇に、思わず足が止まる。
それと同時にクーが前に飛び出した。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:02:25.96 ID:uHeKQnOgO
クーは詰め寄りながら、自分に言い聞かせるかのように口を開く。


川 ゚ -゚)「生半可な打撃ではコイツには何の足しにもならん。ならばどうするか?」

川 ゚ -゚)「答えはより強力な攻撃をするか、若しくは―――」



川 ゚ -゚)「当てる場所を選ぶ事だ!」


間合いを詰めたクーは、走った勢いそのままに、
押し込むような蹴りで立ち尽くすクックルの無防備な左膝を貫いた。


(  ∋ )「!!?」


ミシ、といった骨が軋む音が耳に届く。
今までどんな攻撃にも意に介しなかったクックルがぐらついた。


川 ゚ -゚)「いくらお前でも、関節は十分な堅さには出来なかっただろう?」


人体をベースにしている以上、クックルとてそれを例外には出来ない。
クーは構造上ガード不可の攻撃を放ったのだった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:05:29.52 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「うしっ、今の内に……」


ギコはこの隙に次の攻撃を仕掛けようとしたが。


(  ∋ )「■■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!!」


クックルはそのまま首を勢い良く後方に持って行く事で、頭に巻かれた鎖を無理矢理引っ張った。


(,,゚Д゚)「おおっ!?」


ピンと張る鎖。
その引力はギコのところまで伝わっていき、
手綱を握っていた彼の体が前方に投げ出されてしまう。

まるでブラックホールに吸い込まれるかのように、クックルの元に飛ぶギコ。
彼が前を見ると、クックルの目元に巻かれた鎖が弛み片目が露わになっていた。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:08:22.93 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「マズっ」


目標を視界に捉えたクックルは右拳を高く掲げ、


(  ∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!!」


ギコの頭に振り下ろした。






川 ゚ -゚)「今日二度目だな、感謝しろよ」


だがそれよりも速く、クーがギコにドロップキックを放つ。
ギコはクーに蹴られて進行方向を変え、
またクーもギコを蹴ることによってギコと正反対の方向に飛んだ。
結果、クックルの拳は空を切り裂くのみに終わる。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:11:26.45 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「クーちゃんナイス! ただ一度目は違うから!
     むしろこれでプラマイ0だから! そこんとこよろしく!」


ギコがクーの近くに駆け寄る。


川 ゚ -゚)「へいへい。……っと、来るぞ」

( ゚∋゚)「■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!!」


周りの空気を弾き飛ばしながら、クックルの左足が横薙ぎに振るわれる。
その圧力は山でも破壊しそうに思える程だ。

横に世界を断つその蹴りを、ギコは真上に跳び、クーはその場で手をつき屈むことで躱す。


(,,゚Д゚)「せいっ!」


ギコが跳躍したまま鎖を投げる。
しかしそれはクックルの頭上を通り過ぎて後方に飛ばされた。

鎖の先はギコとクックルを結ぶ線と同軸上にある木の幹へと飛び、巻き付く。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:14:22.50 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「そして引っ張る! 上手く絡まったら思い切り引っ張ーる!」


両手で引く。ギコの体は重力を無視して前方、斜め上に駆け上がる。


(,,゚Д゚)「喰らっとけ!」


その力を利用し、クックルの眉間に膝を叩き込んだ。

クックルの体が少し後ろに反り返る。
だがそれに構わずに、ギコの足を掴もうと腕を上に伸ばした。


( ゚∋゚)「!?」


しかし、手が止まる。膝が曲がり腰が折れてしまったからだ。
クックルが何事かと下を見ると、そこにはクーの姿が。
彼女はクックルの右膝の裏側にローキックを入れていたのだ。


川 ゚ -゚)「先程左膝にダメージを受けたお前は、
     それを庇う為に無意識に重心を右寄りにしていた。……狙いどころさ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:17:22.70 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「クー、行くぞ! 合わせろ!」


ギコは斜め上に飛んだ後、鎖を巻きつけた木に着地していた。


川 ゚ -゚)「承知した」


クーが返答すると同時にギコが木を蹴り、真っ直ぐクックルの元に落下していく。

そしてクーも左肩を前に出し腰を落として半身を取り、準備する。

クックルはまだ体勢を取り戻していない。



ギコは左膝を限界まで曲げて押さえ込む。インパクトの瞬間に最高の威力を叩き出す為に。
クーは重心を左足に全て預ける。次の攻撃に全体重を乗せる為に。





―――狙いは、そこの鳥頭だ。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:20:23.59 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「オッシャァッ!!」


引きつけ、引きつけ、引きつけて。
限界まで力を溜め込んで。
まだ早い。
まだ足りない。
後少し。
後ちょっと。
後ほんの……。

―――今。爆発させる。






川 ゚ -゚)「…………っ!」


傾け、傾け、傾けて。
限界まで体重を乗せて。
まだ前へ。
まだ前へ。
まだ前へ。
まだ前へ。
ただ、前へ。

―――ここ。この位置が最高点。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:23:23.94 ID:uHeKQnOgO
撃ち下ろされるギコの左足。

撃ち上げられるクーの右足。

二つの足は全く同時に発射されて








「「喰らいやがれっっ!!!」」




声は重なり、そして彼らの足はクックルの頭を両側から貫いた。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:26:23.41 ID:uHeKQnOgO
( ゚∋゚)「!!!!!」


今まで無表情だったクックルの顔が歪む。
いかに堅固な彼の体も、ギコとクーの同時攻撃によるダメージは殺しきれなかったようだ。


(;´_ゝ`)「な、何ぃっ!?」

(´<_`;)「あのクックルにダメージを通すか……!」


兄者と弟者の間に動揺が走る。想定外の出来事だったのだろう。


川 ゚ -゚)「ギコ!」

(,,゚Д゚)「合点!」


地面に着地したギコは、ここぞとばかりに行動に移す。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:29:23.02 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「『蜘蛛』っ!」


ギコが蜘蛛の巣をかたどった鎖を投げつける。
ふらつくクックルの体に蜘蛛の糸が纏わりついた。


(,,゚Д゚)「さあ、ここからが新技だぜ」


ギコの言葉を合図として、手元を離れた鎖が独りでに動き出す。
鎖は複数の線に分かれ、クックルの全身に巻き付いていった。

その箇所は右腕、左腕、右足×2、左足×2、腰、そして目元周りの計8箇所。

それぞれの鎖のもう一端は、周りの木々に巻かれ固定されている。

これによりクックルの体は磔にされ、自由を失った。



獲物に襲いかかる蜘蛛。
その8本の足は分かれ、一つ一つが蛇へと姿を変え、その者の動きを封じ込めた。




(,,゚Д゚)「『八分蛇(ヤブヘビ)』―――!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:32:24.44 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「へっ、どうだ! 体のあらゆるところを完全に抑え込む究極の捕縛術は!」


ギコは両手を腰に置き体を反らして自慢気に語り出す。



しかし、その言葉を打ち消すかのように。


(  ∋ )「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!!!」


今までよりも一回りも二回りも大きな咆哮が辺りを塗り潰した。

鎖はギシギシと音を立て、繋がっている木々は今にも割れてしまいそうに悲鳴を上げている。


(;゚Д゚)「うおおっ!? 腕が伸びきったあの状態から何てパワーを出しやがるんだっ!」

(゚Д゚;)「おいクー急げよ。あの様子じゃあんまり持たんぞ!」

川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だ。ここからは私が務めよう」


クーは落ち着いて歩き出し、爆発でも起こしそうなクックルの正面に静かに立った。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:35:28.35 ID:uHeKQnOgO
一つ大きく深呼吸をする。
その後、左の手のひらを右手の上に置き、右の手のひらをクックルの胸の中央に押し付けた。

腰を下ろし、足を軽く広げる。
左足は少し後ろに、右足は膝を軽く曲げ、しかし地面をしっかりと噛めるように配置する。


川 ゚ -゚)「『シシクロ』、全空圧縮装置を活動限界まで稼働」


その言葉に呼応してクーの両手両足から、薄く高い耳鳴りのような機械音が鳴り出す。

それから直ぐに、クーの全身が小刻みに震え出す。
それは、身に余る力を抑えきれない事によるもの。
クーの顔に汗が一滴流れ落ちる。


川;゚ -゚)「ふ……っ、く、ううっ……!」


吐息が漏れる。
しかし耐える。
全てはこの一撃の為に。


川 ゚ -゚)「……ゲージMAX。準備、完了」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:38:22.88 ID:uHeKQnOgO
(  ∋ )「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     ■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!!!!!」


更に叫び狂うクックル。
目の前の危険を感じ取っているのか。

不意に、クックルから向かって左の方にある木が、一際大きな音を立てた。


(,,゚Д゚)「まじぃ! もう押さえつけんのも限界だ!」


メキメキとか細い音が鳴り響き、そして、



支えになっていた木が破裂した。


(  ∋ )「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
     ■■■■■■■■■■―――――!!!!!!!」


自由になったクックルの左腕が、クーを破壊せんと襲いかかる。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:43:44.34 ID:uHeKQnOgO
だが、それよりも速く。




川 ゚ -゚)「全『圧空』、一点集中解放」



川 ゚ -゚)「吹き飛べ……っ!」


右足を踏み込み、左足で体を押し上げ、腰に回転を加える。






「―――『極空・双槍掌』!!」




両手両足の『圧空』を同時に発動。そのエネルギーを全て右腕に凝縮させて射出した。

あらゆる守りを貫く必殺の槍が、クックルの鉄壁の牙城を撃ち砕く―――!

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:46:37.61 ID:uHeKQnOgO
( ゚∋゚)「!!???」


クーの一撃を受けたクックルは、縛られていたという事象を完全に無視し、
目にも留まらぬスピードで後方に吹き飛んだ。

そしてクックルが飛ぶ先にあるのは、


(;´_ゝ`)「うわ! ちょっ、こっち来る!!」

(´<_`;)「ば、馬鹿! 兄者っ、袖を掴むな! 逃げられ―――」


流石兄弟の二人。

クックルは狙い澄ましたかのように主の元へと帰っていき、




(;´_ゝ`)「ぎゃあああああああああああああ!!!」

(´<_`;)「うわあああああああああああああ!!!」


張られていたシールドも簡単に破り、二人を押し潰してしまった。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:49:33.79 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「ひょー、すっげー威力。回収が少しでも遅れてたら俺の鎖も壊れてたかも」


ギコは鎖を巻き取りつつ、クーの元に駆け寄る。


(,,゚Д゚)「よう! やったなクー! ……って、あれ? どした?」

川  - )「…………」


クーはクックルを吹き飛ばした格好のまま、動かない。


(,,゚Д゚)「おい、クー?」


不審に思ったギコがクーの肩に手をやろうとしたその瞬間。






(,,゚Д゚)「…………あ?」


ギコの顔が鮮血に染まった。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:52:23.62 ID:uHeKQnOgO
ブシュウ、っと空気が抜けるような音と共に、クーの体から大量の赤い液体が噴き出した。
クーの体ががくりとその場に落ちる。


(;゚Д゚)「お、おい、クー!」


ギコが慌ててクーの体を支える。


川;゚ -゚)「む……、いや、大丈夫だ」


クーはそう言うものの、体に力が入らないようだ。


川 ゚ -゚)「ふう……、やはり過ぎた力だったか。反動に体が着いていけなかったようだ」

(,,゚Д゚)「ったくビビらせやがって……。無茶すんじゃねーよ」


取り敢えず意識はハッキリとしているので、其処まで深刻なものではないようだ。
ギコは安心したように溜め息をつく。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:55:23.53 ID:uHeKQnOgO
川 ゚ -゚)「ふふ、私を心配してくれてるのか?」

(,,゚Д゚)「あのなあ、怒るぞ」

川 ゚ -゚)「ああ、済まない。……ふふっ」

(,,゚Д゚)「はあっ、……ったく。……少し休んどけ」

川 ゚ -゚)「ん、そうさせてもらう」


ギコはクーを両手で抱きかかえ、木の根元に降ろす。


(,,゚Д゚)「さて俺は、と」


ギコが振り向く。
その先にはクックルの下敷きになっている兄者と弟者。
三人仲良く気を失っているようだ。


(,,゚Д゚)「それじゃチャッチャと始めますか」


ギコは鎖を手に取りだした。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 21:58:32.07 ID:uHeKQnOgO



(,,゚Д゚)「おい、起きろ」

( ´_ゝ`)「……………………ん?」

(´<_` )「…………む? 俺ら……」


ギコは軽く兄者と弟者の頬を叩いて二人を起こさせた。


(´<_` )「……んー、俺ら、確かクックルとぶつかって……」

(;´_ゝ`)「って、おお!? なんじゃこりゃ!?」

(´<_`;)「ん? うわっ!」


二人がほぼ同時に驚く。
彼らは背中合わせで座り、まとめて鎖でぐるぐる巻きにされていたのだ。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:01:22.74 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「はっはっは。貴様らの自由は我が手中にあり!」

(;´_ゝ`)「むう、何というおにちく!」

(´<_`;)「……俺らをどうする気だ?」

(,,゚Д゚)「なに、ちょっち聞きたい事があってね」


くっくっくっ、とギコは暗黒微笑(笑)を浮かべる。


(´<_`;)「それは一体?」

(,,゚Д゚)「勿論、今の『COLOR's』の内情を聞くのさ」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:04:23.23 ID:uHeKQnOgO
(´<_`;)「…………」

(,,゚Д゚)「ほう、だんまりか?」

( ´_ゝ`)「当たり前だ! そう易々と敵に情報を流すと思うか!? 俺らを見くびるなよ!」

(,,゚Д゚)「そうか。じゃあ」


ギコは拳を握り、ハァーっと息を吹きかけると、


(,,゚Д゚)「直接体に聞くしかないな」

( ´_ゝ`)「あ、スミマセン。私共で良ければ何でもお聞き下さい」

(´<_`;)「折れるの早っ!!」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:29:23.38 ID:uHeKQnOgO
(´<_`;)「まあ、今の俺らに選択権は無いか……。それで、具体的には?」

(,,゚Д゚)「んーそだな。じゃあまずお前らの元締めは誰だ?」

(´<_` )「…………」


弟者は少し悩む素振りを見せたが、直ぐに口を開く。


(´<_` )「……は瀬川だ」

(,,゚Д゚)「は瀬川? ってのは確か元『COLOR's』の研究員で一時期チーフをやってた奴か」

(´<_` )「そうだ。今はその男が指揮を執っている。
       俺らも奴にアンタらを襲うよう指示された」

(,,゚Д゚)「成程。よし、次だ。残りの『COLOR's』はあと何人だ?」

(´<_` )「……そこは俺らもよく判らない。ただ、少なくとも後4人はいる事は確かだ」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:32:23.45 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「名前は?」

(´<_` )「判っているのはジョルジュという男と、トソンという女だ。
       それと一人、名前……というか正体不明の女が居る」

(,,゚Д゚)「正体不明? まあいい。えーともう一人は?」

(´<_` )「……アンタなら俺よりも詳しいだろう?」



(´<_` )「……フサギコだ」

(,,゚Д゚)「!」


ギコの眉間に皺が寄る。
何かを思い出しているのだろうか。


(,,゚Д゚)「……ふん。やっぱ居やがったか」


吐き捨てるように、言葉を紡いだ。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:35:25.07 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「……奴らの能力は何か判るか? ―――ああ、フサギコ以外で」

(´<_` )「いや、判らない」

(,,゚Д゚)「だろうな。それじゃラストだ。お前らのアジトの場所を言え」

(´<_` )「…………」


今まで淀みなく答えていた弟者だったが、この質問には沈黙を返した。


(,,゚Д゚)「…………」


何も言わない弟者をギコは見つめる。その目は暗く、重い。
だがそれでも弟者は口を開く事は無かった。


(,,゚Д゚)「どうしても言わんか?」

(´<_` )「ああ、悪いな。別に『COLOR's』に忠義は無いが、俺らにも理由があるんだ」

(,,゚Д゚)「そうか」


二人に合わせて身を屈めていたギコは、スッと立ち上がった。
質問は終わりのようだ。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:38:25.34 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「んー、じゃ帰るか」


首をコキコキと鳴らしながら背伸びをするギコに、兄者が割って入る。


( ´_ゝ`)「あ、帰るのはちょいまち」

(,,゚Д゚)「ん?」

(´<_` )「と言うか、兄者やけに静かだったな」

( ´_ゝ`)「まあ、尺の都合上な」

(´<_`;)「そういうとこは空気読むんだな」

( ´_ゝ`)「作者も切実だからな」

(,,゚Д゚)「いいから。で、何?」

( ´_ゝ`)「あ、いや、俺らこのまま放置?」


二人は未だ鎖で縛られたままだ。
ギコが帰ってしまうと脱出方法が無くなってしまう。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:41:22.57 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「いんや、その鎖は俺の大事な武器だし、モチ回収するよ?」

(*´_ゝ`)「あ、じゃあ俺らはそのまま無事解放という事で―――」

(,,゚Д゚)「しかし、だ」


此処で再びギコの顔に暗黒微笑(笑)が宿る。


(,,^Д^)「仮にも俺らは敵同士。敗者を無事に帰すのもなぁ……」

(;´_ゝ`)「え゛?」


ふと、ギコはクルリと後ろを振り返り、スタスタと歩き出してしまった。


(;´_ゝ`)「え、ちょ、ちょっと、いずこに……」


行くの?と聞こうとしたが、ギコは地面から何かを拾い上げ、二人の元に戻ってきた。
何やらズルズルと引きずっている。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:44:22.41 ID:uHeKQnOgO
(,,^Д^)「はいっ」


ギコはとても楽しそうに拾ってきたものを二人に見せた。










そう、それはそれは見事なタライを。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:47:23.79 ID:uHeKQnOgO
(,,^Д^)「ところでこのタライを見てくれ。コイツをどう思う?」

(;´_ゝ`)「凄く……、大きいです…………」

(,,^Д^)「よし! それでは」


ギコは片手でタライを天に向け高く持ち上げた。
二人の頭上に落とす気満々である。


(;´_ゝ`)「ま、待って! お願いだ、許して! 何でもするから!」


兄者は首をブンブンと左右に振って必死に拒絶している。


(,,^Д^)「ん〜? 何でも?」

(;´_ゝ`)「は、はい! 何でも、何でもしますから! だから許して!」

(,,^Д^)「そうか、それなら……」





(,,^Д^)「豚の真似をshiro☆」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:50:23.48 ID:uHeKQnOgO
(;´_ゝ`)「へ?」

(,,^Д^)「どうした? 俺は豚の真似をしろと言ったんだが……」

(;´_ゝ`)「は、はい! 仰せのままに!」



(;´_ゝ`)「ブ、ブヒー、ブヒー」

(,,^Д^)「はっはっは! いいぞ!」

(;´_ゝ`)「ブヒーブヒー」

(,,^Д^)「……おや、弟者くん?」

(´<_`;)「え?」

(;´_ゝ`)「こら! こら弟者! 何やってんだ! お前もやるんだよ!」

(´<_`;)「え、ま、マジで?」

(,,^Д^)「おや、しないのか? 残念だなあ」

(;´_ゝ`)「ひいいっ!」

(;´_ゝ`)「は、早くやるんだ弟者ぁー! 間に合わなくなっても知らんぞぉー!!」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:53:27.03 ID:uHeKQnOgO
(´<_`;)「うう……」

(´<_`;)「え、えっと……」

(´<_`;)「ブ、ブヒー、ブヒー」

(,,^Д^)「はっはっは! そうだ良いぞ!」

(;´_ゝ`)「ブヒーブヒー」

(´<_`;)「ブヒーブヒー」

(,,^Д^)「良いぞ良いぞ! 実に無様で滑稽だ!」

(;´_ゝ`)「あ、あの」

(,,^Д^)「ん? 何だ?」

(;´_ゝ`)「こ、これで許してくれるんですよね?」



(,,^Д^)「ん〜、そうだな……」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:56:23.60 ID:uHeKQnOgO
                                   .














(,#゚Д゚)「豚は死ね!」



( ゚_ゝ゚)「「アッ―――――!!!」」(゚<_゚ )



がこおおおおおおおおん……



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 22:59:22.69 ID:uHeKQnOgO



(,,゚Д゚)「ふーすっきりした」


ギコは鎖を回収してクーの元に戻る。


(,,゚Д゚)「うーい、おまっとさん。じゃ帰ろうぜ」

川 ゚ -゚)「ああ。情報は手に入れたか?」

(,,゚Д゚)「うーん。まあ帰ってから話そう」

川 ゚ -゚)「そうだな」


クーは立ち上がる。しかし、ダメージがまだ抜けていないのか、フラついてしまった。


川;゚ -゚)「うっ……」

(,,゚Д゚)「おっと」


ギコは再び倒れそうになったクーの肩を抱いて支えた。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 23:02:24.36 ID:uHeKQnOgO
川;゚ -゚)「……ふぅ、済まんな。もう、大丈夫だ」

(,,゚Д゚)「とてもそうは見えんがな」


クーの顔は歪んでおり、まだ肩で息をしている。
これではとても一人で歩くことは出来ない。


(,,゚Д゚)「やれやれ、しゃーねーなぁ」


ギコは大袈裟に首を振りつつ溜め息をつくと、クーの前で背中を向けてしゃがんだ。


川 ゚ -゚)「お、おい、ギコ?」

(,,゚Д゚)+「ふはははは! カッマーン!」


狼狽するクーをよそに、クイクイッと親指で自分の背中を指差すギコ。
どうやら『俺に乗れ!』、という事らしい。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 23:05:23.94 ID:uHeKQnOgO
川;゚ -゚)「あ、いや、しかし」

(,,゚Д゚)「怪我人に拒否権は御座いません。至急お乗りになりやがって下さい」

川;゚ -゚)「むぅー」

(,,゚Д゚)「ほれほれ」

川;゚ -゚)「…………」

川 ゚ -゚)「はぁ……」



川 ゚ー゚)「判ったよ、私の負けだ」


クーはやれやれといった感じで、しかしどこか嬉しそうにギコの背中に体を預けた。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 23:08:26.26 ID:uHeKQnOgO
(,,゚Д゚)「じゃあ出発進行ー」

川 ゚ -゚)「おー」


ギコはクーをおんぶしつつ歩き出す。



原生林のエリアを抜け出し、遊歩道に出た。
外は何時の間にか晴れ渡っており、二人は夕日に照らされて長い影を作った。


(,,゚Д゚)「ああ、疲れたな」

川 ゚ -゚)「そうだな、疲れた」

(,,゚Д゚)「早く帰らなきゃな。モララーも待ってるし」

川 ゚ -゚)「ああ、早く帰ろう」



(,,゚Д゚)「……なあ、クー?」

川 ゚ -゚)「……なんだ、ギコ?」



                                   .

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/30(日) 23:11:23.33 ID:uHeKQnOgO
                                   .







(,,゚Д゚)「お前ちょっと重過ぎね? いくら半分金属だからっt」

川 ゚ -゚)「レディーにそんな言葉を吐くのはこの口か?」

(;゚Д゚>「痛い痛いほっぺが千切れる!」





長い長い影は、何時までもその姿を道に残していた。

そして、楽しそうな笑い声も、道に。





第八話-b 終わり

   →第九話に続く?


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