ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 20:53:31.45 ID:LRXFuXLrO



季節は、秋。
辺りが暗くなる時間も日ごとに早くなる。
厳しかった残暑も最近は鳴りを潜め、気温も低下の一途を辿っていた。

町を行き交う人々も、次第に身に着ける衣服の厚さが増していく。
外の暗さも相まってか、皆一様に落ち着いた雰囲気となっている。

しかしそれは決して不快ではない。
どこか和やかであり、それはクラシックが流れる部屋で
何も考える事無くソファーにどっしりと腰を預けている様に似た、心地良い空間だった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 20:55:25.57 ID:LRXFuXLrO
さて、そんな街の一角にあるのは周辺でも最大の面積を誇る森林公園。
今の時期、紅葉のピークはもう過ぎてしまったものの、
落ち葉が並木道一面に広がっていて、それはそれで風流である。

早朝はジョギング、夕暮れには犬の散歩など、この並木道を利用する人は多い。
人が通る周辺の草木は手入れされているが、
奥に行けば敷地の七割を占める膨大な原生林が広がっている。

そんな自然の魅力がこれでもかと詰め込まれた、その公園の名称は



『爆裂VIPPER三丁目』



おおよそ、公園とは思えないネーミングだった。
因みに一丁目や二丁目なんてのは存在しない。当然、四丁目や五丁目も。



そんな優雅で、且つ繊細で、ちょっぴりエキセントリックな公園に二人の姿が見えた。

その二人とは勿論、本編の主人公であるギコとクーの二人だ。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 20:57:24.87 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「ああぁー、ううぁぁー」

川 ゚ -゚)「気持ち悪い声を出すな」

(,,゚Д゚)「いやーだってさぁー、こう、良くね? この『いかにも秋だぜっ!』って風景良くね?」


今、二人は先に記した『爆裂VIPPER三丁目』の並木道をゆっくりと歩いている。

時刻は平日の昼下がり。
ギコやクーの他にもちらほらと散歩をしている人が居る。
皆一様に、前後に広がる植物たちを目で楽しんでいるようだ。


川 ゚ -゚)「まあ確かに気持ちは晴れるな」

(,,゚Д゚)「ですよねー、でっすよねぇーえ」



川 ゚ -゚)(うぜぇ)

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 20:59:26.02 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「あああー、なーんかそこの草むら辺りで寝っ転がって昼寝してえ」

川 ゚ -゚)「もう秋も深まってるから風邪引くぞ」

(,,゚Д゚)「大丈夫だって。そんなヤワな体してねえよ。俺を誰だと思ってるんさ」

川 ゚ -゚)「ああ、馬鹿だったな」

(;゚Д゚)「ちょ、おま、バカって……、バカは無いだろバカは」

川 ゚ -゚)「馬鹿に馬鹿と言っても何も問題ないだろ馬鹿」

(;゚Д゚)「いや、思ったとしてもだな、直接過ぎんだよ。
     もっとこう、オブラートに……。あれ? ビブラートだっけ?」

川 ゚ -゚)「コンビナートじゃなかったかな馬鹿」

(,,゚Д゚)「あ、そうだっけ? まあ何ートでもいいや。つーかまたバカって言ったな?
     アレか? お前の語尾は『馬鹿』なのか? きょーび流行んねえぞそんなの」

川 ゚ -゚)「第一こんな曇り空なのにひなたぼっこかヴァコァ」

(,*゚Д゚)「ちょ、ちょっとカッコ良く言ってみても駄目だぞ!
     何故かほんのりと嬉しかったりなんかしちゃったりしないんだからな!」

川 ゚ -゚)「あ、こんなんで喜ぶんだ……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:01:25.40 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「大体、確かに今日は生憎の曇り空だが……」


ギコは天を仰ぎ見る。
空は一面に雲が敷き詰められていて、どんよりと暗い。
雨は降りそうにないのは幸いか。


(,,゚Д゚)「だがしかし、この空に押し潰されそうな圧迫感。
     暗く、冷たい周りの空気……。『秋』、だよな」

川 ゚ -゚)「はぁ、そうですか」

(,,゚Д゚)「確かにからっとした秋晴れも気持ちがいいものだ。
     しっかーし! この陰鬱とした感じ!
     これこそまさに『秋』の本領だと! 私は思う訳ですよ!」



川 ゚ -゚)(あ、冷蔵庫のプリン、賞味期限今日までだった)

(,,゚Д゚)「思う訳ですよっ!!」

川 ゚ -゚)「え? ああ、うん、そうだね。プロテインだね」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:03:25.22 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「だからっ! 俺は昼寝をするぞ! クーっ!!」

川 ゚ -゚)「え、今の話そういう流れだったの?
     ていうか寝るなよ。お前、私たちが何用でここに来たのか判ってるのか?」

(,,゚Д゚)「昼寝」

川 ゚ -゚)「ちげーよどんだけ昼寝をプッシュしたいんだよ」



川 ゚ -゚)「私たちは毎度のごとく『COLOR's』に呼ばれてここに来たんだ」

(,,゚Д゚)「へー」



川 ゚ -゚)つ<゚Д゚;)
       イタイイタイゴメンナサイオボエテイマス!

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:05:25.50 ID:LRXFuXLrO
川 ゚ -゚)「思い出した?」

(;゚Д゚)「お陰様で」

川 ゚ -゚)「さて、指定の時間は過ぎているんだが……」


クーがキョロキョロと辺りを見渡す。
周りは歩行者が三人ほど。どれも只の一般人に見えるが……。


川 ゚ -゚)「ん?」


クーの目が一点に止まる。あるものに気付いたようだ。

その先にはベンチが一つ。
そこには座っている男と、その彼の隣に立っている男。
二人の男はこちらを向いている。

クーの視線に気付いたのか、座っている男が動き出した。

具体的には、右手を軽く握り喉の下辺りに持って行き、その後体に沿って手を真っ直ぐ降ろす。
仮に男がツナギを身につけていたら、そのホックは外れていたのだろう。
実際には、彼らは白衣を着ていたのだが。

続いて男は口を開き、ゆっくり、はっきりと
自分の意思を正確に相手に伝えるかのように一言。―――

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:07:25.09 ID:LRXFuXLrO
                                  .









(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)



第八話-a
「や ら な い か」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:09:24.87 ID:LRXFuXLrO
川 ゚ -゚)「…………」

(,,゚Д゚)「…………」

( ´_ゝ`)「…………」

(´<_` )「…………」


沈黙する四人の間に、一陣の風が舞い込む。
風は落ち葉を運び、空き缶を運び、彼らの体温を運ぶ。

この何とも形容し難い空気も同時に運んでくれたらいいのに。
そんな事を誰かが思ったとか思わなかったとか。




川 ゚ -゚)「…………」

(;゚Д゚)「…………」

(;´_ゝ`)「…………」

(´<_`;)「…………」


寒い。
多分、気温や風のせいだけじゃない。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:11:25.58 ID:LRXFuXLrO
四人はそれぞれ、この現状を打破する為に知恵を巡らせる。



(;゚Д゚)(なんなんだ、この状況……。え、俺どうしたらいいの?)



(;´_ゝ`)(お、おかしいな。俺の予想ではドカンと笑いが
       起こるはずだったのに、失笑すら無いなんて……)



(´<_`;)(……やはり止めるべきだったか。兄者、それはない、と)



川 ゚ -゚)(あ、やべ。もしかしたらプリンの期限、昨日までだったかも)



緊迫した空気に誰も動き出そうとはしない。
行動したら即、その者に全てのプレッシャーがのしかかる事を皆、容易に想像できるからだ。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:13:29.43 ID:LRXFuXLrO
だが、その耐え難い圧力をものともせずに動き出す者が居た。




川 ゚ -゚)「―――ギコ」


彼女の名ははクー。さすが『クールビューティー』の名を欲しいままにしている存在だ。


(;゚Д゚)「は、はい! 何でごじゃいましょうか!?」


名を呼ばれたギコはすぐさま返事をしつつ敬礼する。
若干噛んでしまったのも、突然の事であったのを考えると致し方ないと言えるだろう。

さあ、ここでクーは何と答えるのか。
彼女が選んだ行動は―――!






                                   .

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:15:25.17 ID:LRXFuXLrO
                                   .









川 ゚ -゚)「『COLOR's』、見つからないな。何処にいるんだろうか?」






ガン無視だった。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:17:25.36 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「!」

(,,゚Д゚)+ キュピーン


クーの意図を感じ取るギコ。この辺はさすがパートナーである。


(,,゚Д゚)「ああ、そうだな。ホントどこに居るんだろうなー。せっかく来てやったってのになー」

(;´_ゝ`)「!!」


まさかの完全スルーに座っていた男が目に見えて慌てだす。

ギコとクーの二人は足を進めて、ベンチにいた彼らを横目にも見ずに通り抜けた。


川 ゚ -゚)「全く失礼な奴らだな。自ら約束を破るとは」

(,,゚Д゚)「その通り。嗚呼その通りだとも。もう帰っちまおうぜ」

(;´_ゝ`)「ちょ、ちょ、待ってーぇなぁー!」


たまらず席を立ち上がり、男は二人に駆け寄る。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:19:39.09 ID:LRXFuXLrO
だけどもギコとクーは相手にしない。構わずグングン歩を進める。


川 ゚ -゚)「だな。サッサと帰ってプリンを食べないといけない。
     なーに、一日くらい期限が過ぎていても問題ないさ」

(;´_ゝ`)「待ってぇー! ご、ごめんっ! 謝る、謝るから!」


男はクーのスーツの裾を引っ張って止めようとするも、クーは気にもとめず前に進む。
スーツが破れそうになってしまったので男は手を離した。結構小心者である。


(,,゚Д゚)「あたぼーよ。一日位じゃ過ぎた内に入らんだろ。
     俺の部屋には全身真っ黒で何か変な液が出てきたバナナが有るんだぞ」

(;´_ゝ`)「はい、ごめんなさい! すいませんでした! 申し訳ごぜーません!
       ほら、謝ったよ! 俺、今メッチャ謝ってるよ! だから止まって話を聞いてー!!」


男はギコの両足にしがみついた。だがギコは何ともないように歩き続ける。

男は引きずられていく。


( ゚_ゝ゚)「へぶうっ!」


ギコのカカトが男の顔にジャストミート。
男はその場で倒れ込んでしまった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:21:25.48 ID:LRXFuXLrO
川 ゚ -゚)「いや、それは捨てろよ。何で取ってあるんだよ。アート? アートなのか?」

(,,゚Д゚)「ああ、フルーツは熟した方が美味いと思ったんだが。
     熟し過ぎてジュクジュクになってしまった」


しかし二人は歯牙にもかけず、スタスタと歩いている。




(  _ゝ )「うう……」


這いつくばっている男はプルプルと体を震わせ、


( ;_ゝ;)「うわあああああん!!」


大声で泣き叫ぶ。それでもゴキブリのようにカサカサと這いながらギコとクーの前に現れ、


( ;_ゝ;)「本当に申し訳ございませんでしたァ!!」


盛大に土下座した。
それはもう見事な土下座だった。
日本土下座協会の役員たちが揃って唸りをあげる程の土下座だった。
まあ、そこには気品のかけらも無かったのだが。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:23:25.68 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「あ」

川 ゚ -゚)「え」


だが地を這う蛆虫の事など、高貴なるクー様の視界に入る事は無く、



カーン


( ゚_ゝ゚)「ぎゃほう!」


ししおどしが落ちた時のような音を響かせながら、クーのつま先が男の額を撃ち抜いた。

男は土下座の体制から、美しい半円の弧を描きつつ後ろに倒れ込む。
それは全日本裏返り協会の幹部らが泣いて彼をスカウトしそうな程に立派なものだった。
今回はちょびっと気品さも感じられたような気がする。

しかしこの一連の動作により、遂にギコとクーの足が止まる。
彼の頑張りは僅かながらであるが報われたようだ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:25:25.56 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「ちっ……、ついつい足を止めちまった」

川 ゚ -゚)「仕方有るまい。そろそろ周りの目も気になってきたし」


そう言いながら二人は倒れている男を見下ろしている。
それはもう汚物を見るような目で。


(;´_ゝ`)(うー……。何で俺、ここまで見下されなきゃならんのだろう?)


男はチラッと上を見る。そこには未だ侮蔑の感情を孕んだ目が並んでいた。



川 ゚ -゚)


(,,゚Д゚)


(´<_` )





(;´_ゝ`)「いやいや弟者! 何でお前まで俺を見下してんの!?」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:27:29.33 ID:LRXFuXLrO
ギコとクーの隣には、いつの間にかもう一人の男が立っていた。


(´<_` )「え、ああ。兄者が余りにもキモかったからな。
       俺と血が繋がっているとは思えない程に」

(;´_ゝ`)「心に刺さる言の葉!」




そんな二人のやり取りを見ていたギコは、
思い出したようにポン、と手のひらに握り拳を落とした。


(,,゚Д゚)「あーそうだそうだ、そうだった。お前ら『流石兄弟』じゃねえか。
     いや、どっかで見た顔だと思ってたんだよな」

(´<_` )「お、兄者。話を進めるチャンスだぞ」

(*´_ゝ`)「え、そんないきなり……。兄者、恥ずかしいっ♪」

(´<_` )「大丈夫。兄者の存在そのものが恥だから」

( ´_ゝ`)「そろそろ俺のハートがバーストストリームしそうです」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:29:26.43 ID:LRXFuXLrO
ギコとクー。そして二人の男は改めて対峙する。


(´<_` )「さて、もう判ってるとは思うが、今回の刺客は俺らだ」

( ´_ゝ`)「ふっふっふ」

(´<_` )「戦闘続きで疲れているところ悪いな」

( ´_ゝ`)「ひっひっふー」

(´<_` )「だが、俺らもアンタらを倒すように言われてるんでね」

( ´_ゝ`)「はっひふっへほーぅ」

(´<_` )「運命だと思って諦め……」

( ´_ゝ`)「『こんにちは! ボクは今日からカレーパンマンの相方となったナンマンだよ!』」

(´<_` )「スマン兄者。ちょっと未来永劫黙っててくれ」

( ´_ゝ`)「はーい」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:31:25.11 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「じゃあもう知ってるみたいだけど、一応自己紹介しておこうか」

(´<_` )「俺は流石弟者。んでコレは兄者」

( ´_ゝ`)「兄をデフォでコレ呼ばわり。流石だな弟者」

(´<_` )「ま、顔を見たら判るが、俺たちは双子だ」

川 ゚ -゚)「しかし本当に似てるな。顔は勿論、背格好も同じだから鏡写しみたいだ」

(,,゚Д゚)「なのに何で二人の見分けが微妙に判るんだろうな……」

(´<_` )「それはアレだな。兄者の類い希なる変態度が体から滲み溢れているからだ」

(*´_ゝ`)「なんかいいな。オーラみたいで」

(´<_` )「満場一致で負のオーラだが、いいのか?」

( ´_ゝ`)「問題ないさ。脳内で闇のオーラに変換しとくから」

(´<_` )「どこまでも流石だな兄者」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:33:25.36 ID:LRXFuXLrO
(,,゚Д゚)「んー、でもさー」


ギコはどこか納得していない顔を見せる。


(,,゚Д゚)「お前ら元々戦闘員じゃなくて研究員だっただろ? 何で『COLOR's』になってるんだ?」

(´<_` )「別に今でも研究員だ。ただちょっと今人手が足りなくてな。
       猫の手として俺らが駆り出された訳だ」

(,,゚Д゚)「人手が足りない? 『COLOR's』は少数精鋭がモットーだろうが」

(´<_` )「……その少数すら居なくなってきているんだ」

(,,゚Д゚)「は?」

(´<_` )「ん、これから先は話せないな」


弟者は口を固く紡ぐ。自分の組織の『裏』をこれ以上吐き出さぬように。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 21:35:25.54 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「ここじゃ人目に付きやすいな。場所を変えよう」


そう言って弟者は振り返り、歩き出す。その横に付き添うようにして兄者も歩を進めた。

ギコとクーは互いの顔を見て同時に頷くと、二人の後を追った。





(´<_` )「さて、こんなトコでいいかな?」


四人は人目どころか日の光もロクに入らない原生林の深部にいた。
周りは木々に覆われ、地面は腐葉土が広がっている。一歩踏みしめるごとに足が沈んだ。


(,,゚Д゚)「あー……、やるのは構わんがよ。お前ら戦えんの?」


ギコがもっともな疑問をぶつける。彼らは自分らも言っている通り、只の研究員のはずだ。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 22:46:35.72 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「ああ。確かに俺ら自体には戦闘力なんてのは皆無だ」

( ´_ゝ`)「だが! 俺らにはスペシャルな道具が有るのだ!」

川 ゚ -゚)「スペシャルな道具?」

(´<_` )「俺らも気紛れで『COLOR's』になった訳じゃない。少しは相手になるとは思うぞ」

(,,゚Д゚)「…………?」




二人は着ていた白衣の下からそれぞれの道具を手に取る。
兄者はノートパソコンを、弟者は何やら巾着袋のようなものを出した。


川 ゚ -゚)「何だそれは? 武器には見えんぞ」

(´<_` )「戦闘力は無いって言ったろ? 剣や槍を持ったところで到底使いこなせない」

( ´_ゝ`)「だから武器ではなく道具。研究者である俺らは道具に頼るのさ!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[取り敢えず3分で] 投稿日:2008/11/20(木) 22:50:00.78 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「さあ、見せてやろう! 我ら流石兄弟の研究成果を!」


兄者はノートパソコンを開いた。電源は既に入っているようだ。

デスクトップに右の手のひらを押し付ける。
すると、ほとんど抵抗を感じさせずに右腕が画面の中に『沈んだ』。


( ´_ゝ`)「え〜と……、コレだ!」


兄者はゴソゴソと中をまさぐるような動作を見せた後、手を引き抜く。
彼の右手にはクルミほどの大きさをした黒色の丸い物体が三個ほど握られていた。


( ´_ゝ`)「これをー……、ほぅい!」


宙に投げる。
その物体は地面から二、三メートル上の木の幹に当たり、中に溶けるように入り込んだ。


( ´_ゝ`)「弟者! 仕上げだ!」

(´<_` )「あいよ」


呼びかけられた弟者は手にした袋から、先程兄者が投げた物体と同数の小さな粒を取り出した。
大きさも形も向日葵の種に酷似している。ただ、色は焦げ茶一色であった。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 22:53:28.65 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「狙いを定めて、と」


弟者は右腕を前に出す。
手は親指を軽く中に入れたグーの形を取った。
親指の爪の先には種が一つ。


(´<_` )「発射」


弾く。
種は弾丸のように真っ直ぐ飛んでいき、
兄者が投げた物体が溶けた幹の部分に、寸分違わず突き刺さる。
続けて二射、三射としていき、全ての場所に射撃を終える。


(´<_` )「これで準備完了だな」


弟者のその言葉の数秒後、彼らが投げた先の幹に変化が生じた。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 22:56:24.78 ID:LRXFuXLrO
川 ゚ -゚)「む……?」


事の成り行きを静観していたクーが声を漏らす。

幹の中腹辺りから豆粒程度の黒いモノが顔を覗かせた。
かと思えば、それは徐々に肥大。両手でも抱えきれない程に大きくなったそれは。




川 ゚ -゚)「ヤシの、実?」


幹が折れる。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 22:59:26.64 ID:LRXFuXLrO
ギコとクーの頭上から三つの巨大ヤシの実が落ちてくる。

二人はその場から飛び退く。
そのすぐ後にヤシの実は地面に落ちた。体に染み込むような重低音が鳴り、大地が少し震えた。


(,,゚Д゚)「ほうほう。なかなか面白い感じの武器だなあ、それ」

(´<_` )「だから武器じゃなくて……、いや、まあどっちでもいいか」

川 ゚ -゚)「ふむ……。推測するに、パソコンから取り出した物を巨大化させている?」

( ´_ゝ`)「はっはっはー。すごいだろー、かっこいいだろー」

(*´_ゝ`)「よーしパパちょっと説明しちゃおうかなー?」

(*´_ゝ`)「これはだね……」



〜中略〜



(*´_ゝ`)「という訳だったのさ!」

(,,゚Д゚)「済まん、中略されたから全然判らん」

(;´_ゝ`)「俺の情熱が無駄に!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:02:25.69 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「まあ簡単に言えば、兄者のパソコンの中で造られた物を現実に取り出して
       俺の種で成長させる、ってとこだな」

川 ゚ -゚)「研究をしていたという事は、それらの道具はお前らが作ったのか?」

( ´_ゝ`)b「ふはは、もちろんだ」

(,,゚Д゚)「よくそんな訳の判らんもん作れるなあ」

(´<_` )「今更そんな事言うのか?」

( ´_ゝ`)「まあ俺の夢への情熱がカタチになった訳だな」

川 ゚ -゚)「夢?」

( ´_ゝ`)「そう、俺の夢さ。いや、全ての人類の夢とも言ってもいい」


兄者の目が輝く。真剣なそのまなざしは希望で溢れかえっている。


(,,゚Д゚)「ほう、大きく出たな。して、その夢とは?」

( ´_ゝ`)「ふっ、言わなくても察しはつくだろうが、ここは敢えて言おう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:05:25.34 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「そう、俺の……、ひいては全人類の夢。それは―――!」





ヽ(*´_ゝ`)ノ「『二次元の美少女(幼女含む)たちを三次元へとご招待』だぁ―――――っっ!!!」



(*´_ゝ`)「今までは見るだけでしか楽しめなかった嫁が遂に現実にっ!
       そうすればあんなコトやこんなコトがし放題!」

(*´_ゝ`)「まさにパラダイス! びっくりするほどユートピア!
       素晴らしいだろう、なぁみんな!!」



(,,゚Д゚)「で、どうしようか? やっぱ火葬?」

川 ゚ -゚)「変な有害物質が出そうだな。土葬がいいのでは?」

(´<_` )「あんな汚物を埋めたら土壌が汚染されてしまう。
       やはりロケットにくくりつけて宇宙に捨ててしまおう。
       広大な宇宙ならは、兄者という名の癌細胞も残さず包み込んでくれるさ」



(;´_ゝ`)「何か変な会議してる!? つーか一番酷いこと言ってるな弟者!」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:08:34.93 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「ゴホン。まあとにかく、まだ未完成では有るが、
       俺のパソコン『FMV』と弟者の種『VAIO』が認められて
       俺らは『COLOR's』の一員になった訳だ」

(´<_` )「兄者は『緑』、俺は『茶』の称号を与えられたよ」

( ´_ゝ`)「つまり『緑茶兄弟』だな」

(´<_` )「あ、いや、まあその通りだが……。兄者はそれでいいのか?」

( ´_ゝ`)「いいよ? 俺、緑茶好きだし」

川 ゚ -゚)「ああ、判ってるじゃないか。やはり日本人は緑茶に限る」

(,,゚Д゚)「また変なとこで同意者が現れたな」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:11:24.96 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「では改めてお相手しよう。この
       『アニジャ=ミラクルグリーン3rdインパクトカスタムショッキングレベル512クーポン券付き発進!』
       がな!!」

(´<_` )「待て」



(´<_` )「……………?」



(´<_` )「待て兄者。今の何?」

( ´_ゝ`)「ん、何が?」

(´<_` )「いや、ミラクルなんとかっての」

( ´_ゝ`)「え、名前に決まってるじゃん」

(,,゚Д゚)「あれ名前だったのか……」

(´<_` )「そもそも俺らにそんな名前与えられて無いだろ」

( ´_ゝ`)「おう。だから昨日の晩、寝ずに考えたんだ。カッコいいだろ?」

川 ゚ -゚)「ああ、そうだな。お前のセンスは決して理解できない事が判ったよ」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:14:25.48 ID:LRXFuXLrO
(´<_` )「名前なんてどうでも良いだろ。『サスガグリーン』とかで良いだろ」

(#´_ゝ`)「ダメだダメだそんなの!
       そんなヒーロー戦隊みたいな名前、お兄ちゃん許しません!
       だいたいグリーンとブラウンだけって……。
       どんだけ地味なんだよ! おっさんか!? おっさん戦隊か!?」

(´<_` )「おっさん、ね……。確かにな。
       脂ぎった鼻を持つ小太りの男と
       バーコード頭のやつれ顔の男の二人組みたいな戦隊だな」

( ´_ゝ`)「夢も希望もねぇ……。一体どの辺の客層を狙ってるんだ」





(,,゚Д゚)「……なあ、クー」

川 ゚ -゚)「何だ?」

(,,゚Д゚)「今回こんな感じで進むのか? もっとこう、シリアスな展開とかは無いのか?」

川 ゚ -゚)「……無理だろうな、コイツら相手じゃ」

(,,゚Д゚)「だよなぁ……」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:17:25.23 ID:LRXFuXLrO
( ´_ゝ`)「さあ、バトルしようぜ!」

(´<_` )「何キャラ?」


兄者がパソコンから何かを取り出し、ギコとクーの足元に投げつける。
弟者は追随するように種を飛ばした。

それらは一緒に地面に埋まり、すぐさま地中から飛び出してくる。その形は―――


(,,゚Д゚)「タケノコかっ!」


複数の真っ黒なタケノコがとてつもないスピードで成長する。
先端は槍の穂先のように鋭く、ギコたちの体に向かって伸びてきた。

ギコとクーはその場から後ろに退いてやり過ごす。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[ああ、五分置きだ……] 投稿日:2008/11/20(木) 23:48:25.00 ID:LRXFuXLrO
だが。


( ´_ゝ`)「どんどん行くよ☆」

(´<_` )「だから何キャラなんだ」


二人が逃げる先の上空、木の幹にあらかじめ『実』と『種』をセット。
成長したのは巨大スイカ。重さに耐えきれず落下してくる。


川 ゚ -゚)「スイカか。ほぼ真っ黒だから縞々も目立たんな」

(,,゚Д゚)「季節に全くマッチしていないのは目に付くけどな!」


避ける。
避ける避ける避ける。
次々と襲いかかる巨大植物を片時も止まる事無く避け続ける。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:53:25.27 ID:LRXFuXLrO
絶え間なく続く敵の攻撃。地面には黒々とした無数の植物が散乱している。


(,,゚Д゚)「やれやれ、自然を汚してんじゃないよ」

川 ゚ -゚)「植物なんだから地に還るんじゃないのか?」

(,,゚Д゚)「こんな工場から流れ出た有害物質みたいな色したモンが土と同化するとでも?」

川 ゚ -゚)「ん、無いな」

(,,゚Д゚)「だろ? ……にしても奴らのストックは底無しか?」


兄者と弟者の方を見る。二人とも続々と植物をばらまいている。
遠慮のないその放出は、まだまだ貯蓄がある事を示していた。


( ´_ゝ`)「はっはっは! それそれまだまだ行くぞぉー!」

(´<_` )「そんな気張っていると後でバテるぞ兄者」


阿吽の呼吸でピッタリと合わせてくる二人。
流石、双子の成せる技か。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/20(木) 23:58:26.15 ID:LRXFuXLrO
(*´_ゝ`)「ぶはははは! 逃げまどえ愚民どもー!」


テンションがハイになっている兄者が不意に口走った言葉。
それが二人の瞳に炎を灯らせた。


川 ゚ -゚)「まったく、何時までも調子に乗ってるんじゃ……」

(,,゚Д゚)「無ぇぞ!」



(´<_` )「!」


ギコとクー、二人の動きに鋭さが増す。
彼らは迫り来る無数の植物を最小の動きで躱し、一気に流石兄弟の元にやってきた。


(,,゚Д゚)「もらった! 『五月雨蜂』っ!」

川 ゚ -゚)「はああっ!」

ギコは鎖を無数の弾丸に、クーは鋼鉄の右腕を前に突き出して流石兄弟に襲いかかった。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:04:03.48 ID:jN0uYHp3O
( ´_ゝ`)「ふふふ」


しかし兄者は笑う。
自分の身に降りかかる危険を理解していないのか。



違う。
前提が間違っている。
兄者は知っていたのだ。

自分ら兄弟は危険に晒されていないという事を。




( ´_ゝ`)「『ファイアーウォール』っ!」



川 ゚ -゚)「!」(゚Д゚,,)




突如、流石兄弟の前に半透明の黒い膜が張られた。

その膜は鎖の弾幕を一つ残らず弾き飛ばし、クーの右腕をせき止めた。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:08:29.40 ID:jN0uYHp3O
( ´_ゝ`)「ははははは! どうだ我が社のセキュリティーは! セ〇ムもビックリだぜ!」

(´<_` )「ファイアーって言う割には燃えてないけどな」


ギコとクーの反撃は流石兄弟には届かなかった。
バリアのような膜はドーム型に広がっており、二人を360°の方向から囲い、守っていた。


(,,゚Д゚)「にゃるほど。確かにそこそこ頑丈なようだが……」

川 ゚ -゚)「所詮は急場しのぎ。いつまで耐えられるかな?」


二人は同時に振りかぶる。力で押し切るようだ。

対して流石兄弟は薄く笑みを浮かべた。


(´<_` )「まあ急場しのぎなのは間違いないけど、今は急場じゃないぞ?」

川 ゚ -゚)「っ!」(゚Д゚,,)

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:13:25.96 ID:jN0uYHp3O
( ´_ゝ`)「上から来るぞ! 気をつけろ!」

川 ゚ -゚)「むっ!」

(,,゚Д゚)「うおっ!?」


ギコクーの足元からタケノコが複数生えてくる。
二人はとっさに垂直に飛び上がり、難を逃れる。


(,,゚Д゚)「せっけぇ真似しやがって! 下からじゃねぇか!」


空中から流石兄弟を見下ろし、ギコは非難を浴びせかけるが。


( ´_ゝ`)「いやいや、上からで合ってるよん?」


兄者はニヤニヤと愉快そうに言葉を返す。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:18:28.52 ID:jN0uYHp3O
(,,゚Д゚)「はあ?」

川 ゚ -゚)「! ギコ、上だ!」

(,,゚Д゚)「ん? って、ああ!?」


ギコが上を見ると、それは既に目の前に在った。

重厚なフォルム。
伝統の一品として時代を流れてきたそれは、ある種の気品を感じさせられる。

昔から色々な人に愛された一撃必殺の武器。その名は―――






(;゚Д゚)「た、……」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:23:41.00 ID:jN0uYHp3O
                                   .









(;゚Д゚)「タライだぁぁぁぁぁぁあああ!!!?」




タライ。
コントとかで使うあのタライ。

天から直径2メートルは裕に越してるような巨大なタライが降ってきた。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:28:24.93 ID:jN0uYHp3O
川 ゚ -゚)「ギコ! 歯ぁ食いしばれ!」

(;゚Д゚)「え、何!?」


クーは急にギコに叫びかける。
彼女は空中で器用に体を反転し、要領を得ない顔をしているギコに向き直り、




川 ゚ -゚)「そぉい!」

(;゚Д゚)「ぶはぁ!?」


蹴り上げた。

結果、ギコは更に体を上昇させて、






(,, Д )「オイィ―――――――――ッス!!!!!」


頭から、がこぉん、という小気味良い音を響かせる事となった。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:33:27.09 ID:jN0uYHp3O
(,, Д )「…………」


うつ伏せで大の字になって倒れているギコ。隣にはそれは見事なタライが一つ。


川 ゚ -゚)「おーい。大丈夫か?」


クーはギコの体をツンツンする。


(,, Д )「だいじょばない。ていうかクーさん?」

川 ゚ -゚)「なんだい?」

(,, Д )「どうして僕を蹴り上げたのでしょう?」

川 ゚ -゚)「あーそれはだな」

(,, Д )「それは?」

川 ゚ -゚)「それはね……」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:38:24.96 ID:jN0uYHp3O
                                  .




川 ゚ -゚)b「あんな珍妙な攻撃、喰らいたく無かったからだ」

(,#゚Д゚)「俺だって喰らいたく無かったわ!!」


こめかみに『#』マークを宿しつつ、がばっとギコが起き上がった。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:43:25.53 ID:jN0uYHp3O
川 ゚ -゚)「ああいう汚れ役はギコにピッタリだと思ってな」

(;゚Д゚)「何でだよ!? どういう方程式だよ!?
     つーか仲間を蹴って自分が敵の攻撃を受けるってのが王道だろ!
     なのに蹴りは喰らうわ、タライは直撃するわで最悪じゃん! 何様だお前は!?」

川 ゚ -゚)「そうです、私が神様です」

(,,゚Д゚)「一縷の淀みも無く言い切った!」

(゚Д゚,,)「お前らもそうだ! 何故タライなんだ!?」

( ´_ゝ`)「ああ、あのタライはね……」





( ´_ゝ`)「所謂バラエティー用の軽いタライじゃなくて、
       むしろ重さを二割増しにした特注品のタライだから」

(´<_` )「その本格派っぷり。流石だな兄者」

(,#゚Д゚)「そんなどうでも良いこだわりなんぞ聞いてねぇよ!!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:48:28.32 ID:jN0uYHp3O
(*´_ゝ`)「はっはは。盛り上がってきたな」

(,,゚Д゚)「俺のテンションはだだ下がりだっつーの」

( ´_ゝ`)「という訳で『アレ』いってみよーか」

(´<_` )「お? もう出すのか?」

( ´_ゝ`)「俺は出し惜しみをしない男」


兄者は今までと同じようにノーパソから塊を取り出す。そして前にポンと放り投げた。


(´<_` )「兄者、『何個』だ?」

( ´_ゝ`)「うーん、まだ試作段階だし……。三個で」

(´<_` )「把握した」


弟者は種を手に持ち、続けて三粒、先に投げた塊のところに飛ばす。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:53:24.44 ID:jN0uYHp3O
川 ゚ -゚)「……今度は何だ?」

(,,゚Д゚)「どうせまた珍妙なのだろ」

( ´_ゝ`)「ところがどっこいコイツはちょっと違うぜ」

川 ゚ -゚)「お前が言っても信憑性ゼロだな」

(´<_` )「……気付かないか?」

川 ゚ -゚)「?」

(´<_` )「今まで俺は『実』一つに対して『種』は一つずつしか飛ばしていない」

(,,゚Д゚)「!」

川 ゚ -゚)「ふむ……、つまりこう言いたい訳か」



川 ゚ -゚)「『遊びはここまでだ』、と」




双子の兄弟は同時に笑う。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/11/21(金) 00:58:49.25 ID:jN0uYHp3O
(´<_` )「『Yes,that's right』」

( ´_ゝ`)「さあ、出てこい! お前の力を見せつけるんだ!!」


横に並んで立つ二人。
二人はゆっくりと腕を上げ、真っ直ぐ前に伸ばす。

右側に立つ兄者は左腕を。
左側に立つ弟者は右腕を。
お互いに、手を取り合うかのように。

それはまるで鏡写し。

二人は一つとなり、そして同時に言葉を放った。






( ´_ゝ`)(´<_` )
「「『"Cockle" on battle-show-stage』!!」」



第八話-a 終わり

   →第八話-bに続く?


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