ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです
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6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:43:28.10 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「参ります!」
三叉槍を手に、飛び込んでくるフィレンクト。
先程よりもそのスピードは上がっている。
それに対してギコとクーはお互いに真逆の方へと飛ぶ。
フィレンクトも合わせて進行方向を変える。矛先を向けたのは―――。
(,,゚Д゚)「今度は俺か!」
ギコに向かって刺突が繰り出される。
速さが増したそれを躱し続けるのは至難の業だ。
よってギコは腕に鎖を巻き付け、槍を弾きながら回避していった。
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7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:45:03.57 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「はっ!!」
クーが背後から襲い掛かる。
その気配を感じ取ったフィレンクトは矛先とは逆の先端部分―――石突きでクーを突く。
川 ゚ -゚)「!」
カウンター気味に飛び出した石突きに不意をつかれたのか。
当たりはしなかったものの、踏み込み切れなかった。
挟み撃ちの状況を嫌ったフィレンクトは獲物を振り回しつつ横に飛ぶ。
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9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:47:04.99 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「私も少しは良いところを見せないとな」
(‘_L’)「!!」
横に飛んだはずなのに、いつの間にかクーがすぐ後ろに立っていた。
(‘_L’)(行動を先読みされた……!?)
フィレンクトがとっさに後方に槍を薙ぐ。
川 ゚ -゚)「そうする事も……、読んでいた!」
クーは更に前に踏み込んで攻撃を無効化する。
互いの距離がほぼゼロとなったこの位置では、槍は不利だ。
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10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:49:13.05 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「くっ!!」
即座に石突きを振り上げて応戦するが。
川 ゚ -゚)「遅いっッ!!」
それよりも速く左の掌底を顔に叩き込む。
( _L )「ぶっ……!」
川 ゚ -゚)「喰らえ!!」
右の正拳突き。力を込めた一撃は再びフィレンクトを吹き飛ばす。
ただ今度は拳の重みが違っていた。
もんどり打って倒れ込む。瓦礫で姿は見えなくなったが、そこそこのダメージは受けたはずだ。
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11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:52:03.91 ID:WyEl4KtQO
-
(,,゚Д゚)「オイオイ、『本気出す』ったくせにあんま変わってねーぞ。ニートかお前は」
パラパラと破片が散らばる音だけが鳴る。
他の物音―――例えば立ち上がってくるような音とかは、聞こえてこない。
(,,゚Д゚)「あれ? まさか本当に終わり?」
川 ゚ -゚)「確かに手応えはそこそこあったが、あの程度で倒れるはずは……」
疑問に思った二人はフィレンクトが吹っ飛んだ場所へ近付いてみる。
だが、そこには。
川 ゚ -゚)「いない……?」
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12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:54:03.81 ID:WyEl4KtQO
-
.
(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)
第五話-b
「……今のは、なかなか効きましたよ」
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13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:56:07.40 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「!」
川 ゚ -゚)「後ろ!?」
二人は声が聞こえた方、つまりは背後を急いで振り向く。が。
(‘_L’)「オオォッ!!」
(,,゚Д゚)「うおっ!」
強烈な横薙ぎ。
それを脇腹にマトモに受けたギコは、バットで打たれたボールのように飛んでいく。
川 ゚ -゚)「ギコ!!」
(‘_L’)「余所見とは……、感心しませんよ!」
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14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 20:59:03.92 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「! しまっ……」
(‘_L’)「貰ったっ!!」
クーに襲い掛かる必中の刺突。完全に虚を突かれたそれは躱す事は不可。
その体を射抜かんとばかりに一直線に向かってくる―――!
槍が、止まる。
甲高い金属同士の衝突音のみを残して。
(‘_L’)「!?」
その矛先はクーの体に届いていない。
その間に在るのは、二本の腕。
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15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:01:04.30 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「ちぃっ!」
フィレンクトは後ろに飛ぶ。仕留め損なった事で、多少の焦りを見せていた。
(‘_L’)「その腕……、手甲……? いや、違う」
(‘_L’)「そうか、そうでしたね……。
貴女はあの荒巻博士の『子供』たちの一人でしたね……。迂闊でした」
川 ゚ -゚)「……」
クーが軽く両腕を振る。破れたスーツの隙間から、黒い金属の腕が見えていた。
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17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:03:04.18 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「痛ってぇー……」
ギコが脇腹をさすりながら立ち上がる。
川 ゚ -゚)「ギコ、無事か?」
(,,゚Д゚)「無事な訳ねーだろ。絶対コレ青痣になってるよ」
川 ゚ -゚)「無事のようだな」
(,,゚Д゚)「人の話聞けよ。……それにしても」
ギコがフィレンクトの方を見る。
(,,゚Д゚)「テメエどうやって俺らの背後に回った? そんな気配全く感じなかったぞ」
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18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:05:04.06 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「ふふ……。いくらおしゃべりな私でも、それは言う事は出来ませんよ」
(,,゚Д゚)「さいですか」
(‘_L’)「知りたければ、その目でしかと見て下さい。では、改めて行きますよ」
再三、フィレンクトが突っ込んでくる。
守りに入っても、一対二では捌ききれないからであろう。
右下から左上へと、槍を大きく振り上げた。
ギコはバックステップで距離を取りつつ思考する。
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19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:07:03.68 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)(さて、コイツが一体何をしてんのかを見極めねーとな)
(,,゚Д゚)(……さっき、俺たちは何も感知できずに背後を取られた)
(,,゚Д゚)(事前にクーが一撃与えて吹っ飛ばしてるっていうのに、だ)
(,,゚Д゚)(俺は吹っ飛んだ奴を確かに見ている)
(,,゚Д゚)(なのに奴は何の物音を立てずに逆側に回り込んでいる)
(,,゚Д゚)(どうやって? 身代わりの術? それともテレポートでもしたっていうのか?)
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20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:09:03.57 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)(…………)
(,,゚Д゚)(……そう言えば、さっき)
『海底に潜む者の恐怖……、教えて差し上げましょう!』
(,,゚Д゚)(とか、言ってたな)
(,,゚Д゚)(どういう意味だ? 周りがコンクリートで覆われているこの部屋で、海?)
(,,゚Д゚)(海底……、潜む…………)
(,,゚Д゚)(……まさか)
(‘_L’)「戦闘中に考え事ですか?」
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21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:11:05.51 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「! うおっ!?」
ギコの喉元に刃が迫る。
川 ゚ -゚)「させん!」
それよりも早くクーの足がフィレンクトの脇腹に突き刺さる。
(‘_L’)「むうっ……!」
(,,゚Д゚)「! おおっ!!」
ギコが追撃で殴り飛ばす。フィレンクトは数メートル先の瓦礫の破片を散乱させながら倒れ込む。
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23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:13:28.41 ID:WyEl4KtQO
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瓦礫に隠れてフィレンクトの体が見えない。
(,,゚Д゚)「っ! マズい! 奴の姿を見失うな!」
(‘_L’)「もう遅い!」
川 ゚ -゚)「くうっ!?」
フィレンクトの槍がクーの背中を襲う。
間一髪の所で身を捻ったが、完全には避けきれない。
クーの脇腹辺りから鮮血が迸る。
(,,゚Д゚)「……っ、おおおおおっ!!」
(‘_L’)「!!」
突如、弾かれたようにギコがフィレンクト目掛けて体当たりを仕掛ける。
予想だにしなかった行動だったのか、フィレンクトはそれをまともに受ける。
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24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:15:16.08 ID:WyEl4KtQO
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フィレンクトの体を抱え込むように持ち上げたギコは、
そのまま突っ走り、コンクリートの壁に叩きつける。
(;‘_L’)「がはっ!!」
(,,゚Д゚)「これで逃げ場はねぇぞ! 喰らえ!」
ギコが拳を握り締め、前方に繰り出す。
コンクリートに亀裂が走る。
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27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:17:12.67 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「消え……!? いや、やはり―――」
川 ゚ -゚)「ギコっ! 上っ!!」
(,,゚Д゚)「!!?」
ギコがとっさに見上げるとそこには。
(‘_L’)「シャッッ!!」
槍を下方に構えつつ、落下してくるフィレンクトの姿。
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28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:19:23.48 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「ぐおっ……!」
ギコは後ろに身を引いて逃れようとするも、僅かに遅かった。
肩口を矛先で抉られる。
決して少量ではない血が流れる。
(,,゚Д゚)「ちっ、やっちまった……。だが、ようやくお前の能力がどんなのかが判ったぜ」
ギコが下―――地面を睨みつける。
視線が向く先には。
(‘_L’)「ふふ、知られてしまいましたね」
上半身だけを残し、残りの部分はコンクリート内に隠れている状態のフィレンクトがいた。
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29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:21:20.91 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「それがお前の……、いや、その槍の力か?」
(‘_L’)「はい。そうですね……、知られた以上は話しましょう」
(‘_L’)「私がこの槍を使えば、私はありとあらゆるものに『潜る』事が出来る」
(‘_L’)「潜る、と表現したのは、つまりこういう訳です」
そう言ってフィレンクトは片手をコンクリートの中に『潜らせる』。
トプン、と手は中に消えていく。
実際に音は鳴ってはいないが、それが聞こえてきそうなほど、その動作は自然なものだった。
水の中に手を入れているかの如く、コンクリート上に波紋が立っている。
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30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:23:04.60 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「判りますか? 私にとって、ここは『海の中』なのです」
(‘_L’)「私はこの空間を自由に泳ぐ事が出来る」
(‘_L’)「そして貴方たちは……」
(‘_L’)「逃げ場のない網の中に捕らわれた、哀れな獲物にしか過ぎない」
(‘_L’)「これが我が槍『デイトラント』の能力―――『潜隠』(ダイブ)です」
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31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:25:23.14 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「おうおう、相変わらずよく喋るな」
(‘_L’)「ふっ……。判ったところでどうにか出来るものではないでしょう?」
(,,゚Д゚)「余裕ってか? うざってえ…………、な!」
ギコが鎖を飛ばす。だが先端が当たる直前で、フィレンクトは再び『潜って』いった。
(,,゚Д゚)「チッ! ホントうざってえな!」
「ふふふ。逃げ回らない方が苦しまずに済みますよ」
何処からかフィレンクトの声が聞こえる。その姿は見る事が出来ない。
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32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:27:15.92 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「ギコ、落ち着け」
(,,゚Д゚)「判ってんよ、ったく」
ギコは肩の力を抜かすと、注意深く辺りを見渡す。
だが無数のガラクタがあるせいで、死角が多い。
これでは、どこから来るのか判りづらい。反応が遅れてしまう。
川 ゚ -゚)「……そのためか。この部屋だけ異様に散らかっていたのは」
(,,゚Д゚)「せこい真似しやがって」
「敵をおびき寄せるんですから、それくらいの細工は当たり前ですよ」
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33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:29:14.51 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「! 後ろか!」
クーはその声に反応して横に倒れるように転がる。
そこを、槍を構えて突進してきたフィレンクトが通り過ぎる。
(‘_L’)「おっと、躱されてしまいましたね」
そのままフィレンクトは再び壁に『潜隠』した。
(,,゚Д゚)「アホか。攻撃するときに喋ってりゃ意味ねーだろが」
「まあ、サービスみたいなものですよ」
(,,゚Д゚)「いちいちムカつくヤローだな」
川 ゚ -゚)「全面的に同意だ」
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34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:31:03.74 ID:WyEl4KtQO
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「さあ、ドンドン行きましょうか」
その言葉を皮切りに、攻防は激しさを増した。
前後左右、神出鬼没に現れては消えていくフィレンクト。
先手を取れず、反撃もままならない二人はただ逃げ回るしかない。
着実に増えていく体の傷。そして減っていく体力。
状況はジリ貧となっていた。
(,,゚Д゚)「あーもう、どーすっかな……」
川 ゚ -゚)(せめて少しでも隙が出来れば……)
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37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:33:10.00 ID:WyEl4KtQO
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「ふふふ……。それにしても素晴らしい反応を見せますね、お二人とも。
もう十数回は攻めているというのに、未だにクリーンヒットが無いなんてね」
(,,゚Д゚)「ふん。そいつはどーも」
ギコが素っ気なく言葉を返す。クーは特になにも返さず、
フィレンクトが何処から現れるかだけを注意していた。
だが、ふと。
川 ゚ -゚)(……隙を突くとしたら、ここか?)
クーの頭の中にある考えが過ぎる。
川 ゚ -゚)(試してみるか)
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38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:35:16.22 ID:WyEl4KtQO
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おもむろに、クーが大きな溜め息をついてみせる。
川 ゚ -゚)「別に私たちが優れている訳じゃないさ。お前がトロいだけだ」
そして、相手を嘲るような言葉を発した。
(,,゚Д゚)(クー?)
ギコは頭に疑問符を浮かべる。
クーは戦闘中にこのような挑発をする性格ではない事を知っているからだ。
「ほう、言ってくれますね。しかし、そのようなボロボロの格好では決まらないですよ」
川 ゚ -゚)「ハッ、この程度の傷を付けたぐらいで満足か?
最強の戦闘集団、『COLOR's』が聞いて呆れるな」
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39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:37:35.71 ID:WyEl4KtQO
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「ぬ……」
川 ゚ -゚)「大体その戦法は何だ?
コソコソと影から現れて少し傷付けたらそれで満足してさっさと隠れ出す。
正面からでは私たちに挑む度胸なんて無い、弱虫が考えそうな方法だな」
「……」
(,,゚Д゚)「……」
フィレンクトは黙りこくる。ギコは様子見に徹したようだ。
クーの挑発は続く。
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41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:39:13.10 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「そんなものでよく恐怖を教える、などと大口を叩けたものだ。
深海? 違うな。お前がやっているのは浅瀬、いやもっと下か。
そうだな、水溜まりをバシャバシャ踏んで遊んでいる子供と同レベルだ」
「っ……!」
(,,゚Д゚)(あ、怒ったかな?)
「……いいでしょう。遊びはお終いです。せいぜい今の発言に悔いを残しつつ、死になさい」
川 ゚ -゚)(……さて、前準備はこんなとこだな)
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42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:41:04.48 ID:WyEl4KtQO
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場に殺気が宿り出す。フィレンクトが放つものだ。
(,,゚Д゚)「あーあ、こりゃマジだな、やっこさん」
(゚Д゚,,)「おいクー。お前一体何を……」
ギコはクーを諫めようとしたが。
川 ゚ -゚)「ギコ。サポートは頼むぞ」
突っ返されてしまった。
(゚Д゚,,)「……」
(-Д-,,)「……ハァー」
(,,゚Д゚)「判りましたよっと」
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43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:43:03.94 ID:WyEl4KtQO
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シンと静まり返る。物音は一切しない。聞こえるのは、自分の呼吸音だけ。
川 ゚ -゚)(さて、どう来るかな)
辺りを窺う。
大きな破裂音。
川 ゚ -゚)「!」
音のした方を向くと、何かが飛来してくるのが見えた。
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44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:45:14.68 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)「むうっ!」
とっさに片手で弾く。飛んできたのはそこらに転がっていた椅子だった。
そして、いたるところから同じような破裂音。
大小様々の瓦礫が、全てクーに向かって飛んでくる。
川 ゚ -゚)(まずは牽制か!)
全てを弾くのは不可能と判断したクーは、
飛来する瓦礫の唯一の隙間をを見つけ、そこを縫って跳躍する。
だが、逃れた先にも、さらに一つの大きな瓦礫が飛んできた。
クーはその瓦礫をしゃがんで躱そうとするが。
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45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:47:18.61 ID:WyEl4KtQO
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川 ゚ -゚)(待て! 逃れた先に一つの瓦礫。
他の所には飛んではいない、狙い澄ましたかのような一撃。
という事は、この位置に来る事を奴に読まれていた!)
膝を曲げる。瓦礫はクーの真上を通る。
川 ゚ -゚)(つまり襲いかかるのは今! この状況下ならば奴が現れるのは……)
川 ゚ -゚)「瓦礫で死角になった真上!」
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46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:49:17.44 ID:WyEl4KtQO
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クーが上を見る。そこには今まさに通り過ぎようとしている瓦礫。
そしてその陰から僅かに覗いている、三叉槍の先端。
川 ゚ -゚)「そこだっ!」
クーは勢い良く立ち上がり、同時に拳を上に突き出した。
川 ゚ -゚)「なっ……?」
だが、クーの目に映ったのは。
三叉槍の先端部分のみ。そこに、フィレンクトの姿はない。
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48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:51:17.61 ID:WyEl4KtQO
-
(,,゚Д゚)「クー! 下だっ!!」
川;゚ -゚)「!!」
(‘_L’)「もう遅い!」
クーがとっさに下を見ると、そこには床から体を出したフィレンクトの姿が。
手には槍。三叉槍の先端を外した状態の、槍。
その内部に隠されていた第四の刃先は、クーの心臓へと向けられていた。
(‘_L’)「その命、貰い受ける!」
フィレンクトは標的に向けて、槍を一気に突き上げた。
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49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:54:03.72 ID:WyEl4KtQO
-
.
突き上げた、右腕。
その手には、相棒の槍。
(‘_L’)「……………」
タイミングは完璧。
彼女が、クーが気付いた時にはもう行動は終了していた。
(‘_L’)「…………で」
全ては自分の思い通り。
ほんの僅かの狂いもなく、事は進んだ。
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50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:56:03.95 ID:WyEl4KtQO
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(‘_L’)「………んで」
そう、文句の付けようもないほど完璧。
彼女の心臓から溢れ出す血をまるでシャワーの様に浴びる。
(‘_L’)「……なんで」
そのはずだった。
そうなるはずだった。
それなのに。
それなのに、なんで。
(;‘_L’)「なんでお前は『空中にいる』んだぁ―――――っ!!!?」
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52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 21:58:11.74 ID:WyEl4KtQO
-
ピンと張った右腕。
フィレンクトは必殺の一撃をクーに繰り出したが。
その穂先はクーに届いていなかった。
そう。クーは空中に飛んで回避していた。
(;‘_L’)「馬鹿なっ! そんな行動を取れる時間など無かった!
それとも何だっ! 予備動作なしで跳躍したというのか!?」
混乱するフィレンクト。視界がグニャリと歪み、吐き気を覚える。
それはまるで質の悪い悪夢を見ているようだった。
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53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:00:04.26 ID:WyEl4KtQO
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(;‘_L’)「ッ!?」
その時、フィレンクトの目があるものを捉える。
視線の先はクーの左足。
槍がかすっていたのか、スーツが破れてしまっている。
その奥に見えたのは。
彼女の両腕と同じ、黒色の金属。
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55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:02:11.04 ID:WyEl4KtQO
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(;‘_L’)「腕だけでなく……、足も、機械……?」
という事は。
足を伸ばした状態のまま跳躍出来た理由とは。
(;‘_L’)「ギミック、かっ……!」
(,,゚Д゚)「やれやれ、『隙』だらけだぜ。……『蛇』」
(;‘_L’)「!?」
フィレンクトが呆然としている間に、ギコの鎖が彼の右拳に槍も含めて絡み付いた。
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58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:04:06.76 ID:WyEl4KtQO
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(;‘_L’)「しまっ……!」
(,,゚Д゚)「釣り上げたぜ大物を。これは逃がすことはできんね」
ギコは鎖を両手でしっかりと握り。
(,,゚Д゚)「フィィ――――――シュッ!!」
勢い良く引き上げた。
(;‘_L’)「おおお!?」
恐るべき力で引っ張られたフィレンクトは、弧を描きながらギコの元に引き寄せられる。
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60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:06:12.21 ID:WyEl4KtQO
-
空中に上げられ、無防備となったフィレンクト。
その彼に向けて、ギコは次の行動に出る。
飛んでくるフィレンクトに向かって大きく踏み込む。
それと同時に体を反転。背を向ける。
(,,゚Д゚)「ロォ〜リングゥ〜……」
そして踏み込みと回転の勢いを殺さず跳躍。
(,,゚Д゚)「ソバットォ!!」
そのまま更に回転して回し蹴りのようにカカトを顔面に叩き込んだ。
-
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:08:23.42 ID:WyEl4KtQO
-
(; _L )「ゴフッ……!」
半ばカウンターのように蹴りを受けたフィレンクトは後方へと飛んでいく。
彼がいた、元の場所へと。
川 ゚ -゚)「ナイスコントロールだ、ギコ」
クーは跳躍後、そのまま上昇。天井に足を着ける。
そして真下に向けて、踏み切った。
吸い込まれるように、フィレンクトが来る。
やがてクーとフィレンクトは重なり―――
クーの拳によって、フィレンクトは頭から地面と衝突した。
-
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:11:01.44 ID:WyEl4KtQO
-
クーが立ち上がり、髪を片手でかき上げる。
そして一言。
川 ゚ -゚)「フィレンクト。貴様の敗因は『知らなかった』事だ。
私たちがお前の能力を知らなかったのと同時に、お前は私の力を知らなかった。
そしてお前はそれを知ろうともしなかった。
敵の戦力の情報を知る事は基本中の基本だ。覚えておけ」
クーはそう言って、フィレンクトに背を向ける。
フィレンクトには、その声は届いていなかったのだろうが。
既に彼の髪の色は、元の黒色へと戻っていた。
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67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:14:14.31 ID:WyEl4KtQO
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※
車を『バーボンハウス』の前に止め、二人は外に出た。
(,,゚Д゚)「いや〜流石に『COLOR's』相手だと一筋縄じゃいかんな。かなり汚れちまった」
川 ゚ -゚)「全くだ。早く帰ってシャワーを浴びたいな」
(,,゚Д゚)「ま、俺様相手じゃちょっと力不足だったけどな!」
川 ゚ -゚)「今回お前活躍してないだろ」
(;゚Д゚)「活躍したよ! 敵の能力を発見したじゃん!」
川 ゚ -゚)「あの男ならその内自分から言いそうだったがな」
(;゚Д゚)「ぬぐぐ。否定できん」
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68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:16:04.77 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「にしても、お前が煽りだした時は何事かと思ったよ」
川 ゚ -゚)「あのままじゃ埒があかんかったからな。相手から動き出すように仕向けた」
(,,゚Д゚)「つっても奴が何するか判んねーっつのに……。
お前がそんなバクチみたいな事するなんて珍しい」
川 ゚ -゚)「お前の性格が移ったのかもな」
(,,゚Д゚)「誰が人生適当男だ!」
川 ゚ -゚)「誰もそんな事言っていない。というか自覚あったのか?」
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69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:18:03.56 ID:WyEl4KtQO
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二人は店の扉の前まで来る。
川 ゚ -゚)「それに、人をおちょくるというのは楽しいものだな。
是非これからもやっていこう。主にギコ相手に」
(,,゚Д゚)「もう過去に何度もやってる気がするんですが……」
ギコがドアノブを掴もうとした、その時。
(,,゚Д゚)「ん?」
川 ゚ -゚)「どうしたギコ? 開けないのか?」
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72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:20:03.95 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「いや、中から何か音が……」
「〜〜〜〜! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
(,,゚Д゚)「ほら」
そう言ってギコは壁に耳を付ける。
川 ゚ -゚)「ふむ。何事かな?」
クーも同じようにして聞き耳を立てる。
(,,゚Д゚)「ショボンとモララーがなんかやってんのかな?」
そんな二人の耳に入り込んできたのは。
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73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:22:11.69 ID:WyEl4KtQO
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「オラアッ! これだけ言ってもまだできねぇのかこの能なしが!
貴様の脳みそはミジンコ並みか!?」
「申し訳ございませんでしたっ!!」
「頭下げる暇があったら一発でも多く弾撃てやクズがっっ!」
「イエス、マイマスター!!」
ばきゅーん、ばきゅーん
「テメエ何処狙ってんだ、ああ!? 幼稚園児でももっとマシなとこに行くぞ!
お前は人じゃねえのか? 両生類か?」
「いいえ! 自分は人間であります!!」
「だったらしっかり的に当てろや!!」
「イエス、マイマスター!!」
ばきゅーん、ばきゅーん
「〜〜〜! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
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75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州) 投稿日:2008/09/14(日) 22:24:55.30 ID:WyEl4KtQO
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(,,゚Д゚)「……」
川 ゚ -゚)「……」
(,,゚Д゚)「……帰ろっか」
川 ゚ -゚)「そうだな。邪魔しちゃ悪いし」
(,,゚Д゚)「早くシャワー浴びてサッパリしたいし」
川 ゚ -゚)「ね」
二人は車に乗り込み、走り出す。
目の前でキラキラと輝く夕日が、ほんのちょっぴり目にしみたのは内緒だ。
第五話-b 終わり
→第六話に続く?
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