ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです
-
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:32:14.56 ID:gyhtd6m1O
-
部屋には、は瀬川と一人の男がいる。
_
( ゚∀゚)「で、どうすんの?」
男がは瀬川に尋ねる。ターゲットは判ったものの、どう動くのかはまだ聞かされていない。
( ^^ω)「そうだな……」
_
( ゚∀゚)「なんなら俺が行ってやっても良いんだぜ?」
( ^^ω)「そうがっつくなジョルジュ。君の出番はまだ早いホマ」
_
( ゚∀゚)「あ? じゃあ誰が行くんだよ」
-
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:34:03.69 ID:gyhtd6m1O
-
( ^^ω)「もう決めているホマ。……フィレンクト、居るか?」
は瀬川は男―――ジョルジュの方を向いたまま後方へと言葉を飛ばすと、
それに答えるように一人の青年が現れた。
(‘_L’)「はい、ここにいます」
フィレンクトと呼ばれた青年。
短く、清潔に整えられた黒髪。そしてそこには穏やかな微笑が張り付けられている。
身長も体格も、一般の人と何ら変わらないように見える。
( ^^ω)「フィレンクト。君に『銀』と『黒』、そして『ナチュラル』の捕獲を頼みたい」
(‘_L’)「承りました」
-
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:36:13.25 ID:gyhtd6m1O
-
( ^^ω)「舞台は用意している。後は任せるホマ」
(‘_L’)「はい。それでは行って参ります」
( ^^ω)「いい結果を期待しているホマ」
フィレンクトが身を引く。彼の体はすっと闇に溶けていった。
しばしの静寂。
ジョルジュが口を開く。
_
( ゚∀゚)「……おい。あんなひょろっちいのでいいのかよ?」
( ^^ω)「ククク……。まあ、今は結果を待つホマ」
は瀬川は笑っている。
その思惑は何処に在るのか。
( ^^ω)「存外良い報告が聞けるかもしれんぞ。なにせ彼も―――」
-
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:38:03.79 ID:gyhtd6m1O
-
.
(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)
第五話-a
「『COLOR's』の一人、なのだから」
-
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:40:07.34 ID:gyhtd6m1O
-
※
コツコツと足音が響き渡る。
(‘_L’)「……」
薄暗い廊下を一人歩くのは先程のフィレンクトという男。
(‘_L’)「…………、……!」
人の気配に気付き、立ち止まる。
視線の先に一人の男が立っていた。
ミ,,゚Д゚彡「……」
そこにいたのは大柄の男。その金髪は闇の中でも尚、光っていた。
金髪の男がフィレンクトの元に向かってくる。
そして彼の目の前で静止した。
互いの目を見つめる二人。金髪の男の方が背が高いので、フィレンクトは見上げる形になっている。
-
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:42:31.19 ID:gyhtd6m1O
-
しばらく睨み合った後、フィレンクトが口を開いた。
(‘_L’)「何か私に御用ですか?」
ミ,,゚Д゚彡「……」
フィレンクトが問いかけても、金髪の男は何も言わなかった。
フィレンクトは目前の男が話し出すのを待っていたが、やがて溜め息をついて首を振った。
(‘_L’)「だんまりですか」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(‘_L’)「まあ、貴方が言いたい事は判りますけどね」
-
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:44:08.08 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「『錆びた銀弾』について、でしょう?」
ミ,,゚Д゚彡「……」
何も、言わない。
(‘_L’)「貴方が彼を気にかけるのは判りますが、……私が仕留めさせていただきます」
フィレンクトは男の横を通り抜け、先に進む。
ミ,,゚Д゚彡「……やってみろ。お前に、出来るのならば」
-
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:46:03.61 ID:gyhtd6m1O
-
フィレンクトの足が止まる。そして振り向く。
金髪の男はこちらを見ていない。後ろ姿のままだ。
(‘_L’)「出来ますよ。今の彼……『錆びてしまった』彼になら、
私でも勝てる見込みは充分に有ります」
ミ,,゚Д゚彡「……」
金髪の男は歩き出す。もうフィレンクトに用は無い、とでも言うかのように。
フィレンクトはその男の背中を、ただ黙って見つめていた。
-
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:48:04.49 ID:gyhtd6m1O
-
※
―――BAR『バーボンハウス』店内。
(´・ω・`)「そう、『COLOR's』が……」
川 ゚ -゚)「ああ、奴らは残っていた」
(´・ω・`)「うーん。彼らの情報は僕には入っていなかった」
(´・ω・`)「これでも情報屋だからね。僕に届いていなかったんだから、
恐らく彼らはごく最近になって活動し始めたんだと思う」
(,,゚Д゚)「それまで潜伏していた理由は?」
(´・ω・`)「人体実験の事件のほとぼりが冷めるのもそうだろうけど、
一度散り散りになった戦力を回復させるのが主な理由だろう」
-
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:50:10.91 ID:gyhtd6m1O
-
ギコ、クー、モララーの三人はショボンのいるバーボンハウスへと足を向けていた。
『COLOR's』の情報がほぼ皆無なため、こちらから動く事は出来ない。
それ故に三人は情報屋であるショボンに会いに行っていた。
直接的な情報は無くとも、何か些細な手掛かりが見つけられるかもしれないと判断したためだ。
川 ゚ -゚)「つまり彼らが活動し出した今は」
(´・ω・`)「うん。充分な戦力が整っているのは間違いないと思っていい」
-
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:52:07.28 ID:gyhtd6m1O
-
(´・ω・`)「でも、疑問がある。彼らは何故、再結成したのかだ」
川 ゚ -゚)「当時は他社の征服のためが主な活動だったが……、
VIPコーポレーションが無くなった今では意味がない」
(,,゚Д゚)「ハッ、奴らの理由なんざ知るかよ。奴らが存在するのなら、俺はそれを潰すだけだ」
川 ゚ -゚)「……」
クーは押し黙る。気になるようだ。
(´・ω・`)「クー。ここでいくら悩んだところで、それは推測でしかないよ」
川 ゚ -゚)「……ああ、判っている。済まないな、気を使わせてしまって」
(´・ω・`)「いえいえ」
-
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:54:07.82 ID:gyhtd6m1O
-
( ・∀・)「でも本当にどうしましょうか? 現時点ではどこにも動きようが無いし……」
その時、奥の部屋から電子音が聞こえた。
(´・ω・`)「ん? eメールか……。ゴメン、ちょっと席を外すよ」
ショボンは音が鳴った方へと向かう。
川 ゚ -゚)「とにかく少しでも情報を入手するために虱潰しにでも……」
(´・ω・`)「みんな」
(゚Д゚,,)「お? もういいのかショボン」
(´・ω・`)「……たぶんだけど、手掛かり、見つかったよ」
-
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:56:03.86 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「ああ!? 手掛かりって『COLOR's』のか!?」
(´・ω・`)「それ以外に何があるのさ」
川 ゚ -゚)「……さっきのメールか?」
(´・ω・`)「ご名答。ま、そうは言っても確かでは無いけれど」
そう言ってショボンは再度店の奥に入り、ノートパソコンを手に持ってきた。
(´・ω・`)「コレを見て欲しい」
-
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 21:58:05.85 ID:gyhtd6m1O
-
ショボンのノートパソコンを覗いてみると、
そこには一件のメールが開かれている状態になっていた。
そこに書かれていた文章は、こうだ。
『今日の×時に解決屋の二人に○○ビルまで来てもらいたい』
( ・∀・)「随分と簡素な依頼内容ですねー」
(,,゚Д゚)「確かにメチャメチャ怪しいな。ていうかほぼ確定?」
-
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:00:04.42 ID:gyhtd6m1O
-
( ・∀・)「でも、何でわざわざショボンさんのトコにメールしてきたんでしょう?」
川 ゚ -゚)「……牽制、のつもりかもしれんな」
( ・∀・)「それはどういう?」
川 ゚ -゚)「この間の『No』の襲撃もそうだが、奴らは私たちの周り、
人間関係や行動先を掌握している。
お前たちに逃げ場はない、と伝えているのかも、という訳だ」
(,,゚Д゚)「ま、逃げるわきゃねえけどな」
-
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:02:03.59 ID:gyhtd6m1O
-
川 ゚ -゚)「無論だ。さあ行こうか、その指定されたビルに」
(゚Д゚,,)「じゃ、ショボン。モララーを頼む」
(´・ω・`)「うん、判ったよ」
( ・∀・)「え? 僕、待機ですか?」
(,,゚Д゚)「ん? 行きたいの?」
( ・∀・)「いえ、行きたくはないですが……、
いつもなら無理やり連れて行きたがるじゃないですか」
-
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:04:14.28 ID:gyhtd6m1O
-
川 ゚ -゚)「……今回の敵は私たちと同じく、強化された人間である『COLOR's』が相手だ。
私たちでも余裕で勝てる相手じゃない。だから君を護りながらでは、勝てない」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「……そう、ですか」
(,,゚Д゚)「……」
( ・∀・)「じゃあ僕は留守番してます。お二人とも、頑張って下さい」
(,,゚Д゚)「おう」
モララーは笑顔で二人を見る。
だが、自分の手が強く、何かに訴えかけるかのように
強く握り締められていたのを、彼は気付いているのだろうか―――。
-
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:06:03.82 ID:gyhtd6m1O
-
川 ゚ -゚)「それでは行ってくる」
(,,゚Д゚)「お土産期待してろよ」
( ・∀・)「どこか旅行にでも行くつもりですかアンタは」
ギコとクーが『バーボンハウス』から出て行く。
モララーは二人の後ろ姿をぼんやりと眺めていた。
(´・ω・`)「……寂しいかい? モララー君」
-
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:08:04.03 ID:gyhtd6m1O
-
不意に、ショボンが話し掛ける。
( ・∀・)「え……?」
( -∀-)「あー、はい……」
( ・∀・)「……どうなんでしょうか。自分じゃよく判りません」
(´・ω・`)「……君には、君のやり方がある」
( ・∀・)「え?」
(´・ω・`)「そして君にはそれが出来る力もある。……それが幸か不幸かなのかは判らないけど」
( ・∀・)「……」
-
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:10:22.64 ID:gyhtd6m1O
-
(´・ω・`)「だから、今は待っていれば良いと思うよ。
その内、また一緒に行動出来る日が来る。君の力が必要になる日が来るさ」
( ・∀・)「そうですか……」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「いつ、来ますかね?」
(´・ω・`)「それは君次第かもね。と、いう訳で……」
( ・∀・)「はい?」
ショボンは懐からさっと黒光りするものを取り出した。
ジャコン、とあまり穏やかでない、撃鉄が上がる音が鳴る。
(´・ω・`)「コレの使い方でも練習しておこうか」
ショボンはとても晴れやかな顔で、拳銃をモララーに差し出していた。
-
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:12:04.19 ID:gyhtd6m1O
-
(;・∀・)「え、えーとそうだ。僕まだ仕事が残っていたんで帰らないと」
(´・ω・`)「はっはっはっモララー君。君、狙われているって事忘れているんじゃないかい?
だからギコとクーは僕に任せるって言ったんだよ」
(;・∀・)「あう……」
(´・ω・`)「それともハインのところに行くかい?」
( ・∀・)「え……?」
-
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:14:06.96 ID:gyhtd6m1O
-
( ・∀・)「……」
( つ∀と)ガクガクガク
(´・ω・`)「決まりだね。じゃ、地下に行こうか」
(;・∀・)(ギコさん、クーさん。ご無事に帰ってきて下さい。出来れば僕の体が無事な内に)
モララーはそんな事を願いつつ、地下の階段へと引きずられていった。
-
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:16:16.27 ID:gyhtd6m1O
-
※
(,,゚Д゚)「このビルか」
ギコたちは一つのビルの前に車を停める。
川 ゚ -゚)「そのようだ。……どうやらこれも廃ビルみたいだな」
(,,゚Д゚)「こないだと同じ、VIPコーポレーション関連のビルか」
川 ゚ -゚)「……では、乗り込むぞ」
(,,゚Д゚)「ラジャ」
ギコたちは一階の、ガラスが割れていた窓から内部へと侵入した。
-
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:18:26.66 ID:gyhtd6m1O
-
ビルの内部はかなり埃にまみれていた。放置されてからしばらく時間が経過されたのだろう。
当然照明などはついておらず、外はまだ日が昇っているというのに、中は薄暗い。
二人はガラスの破片が散乱した廊下を音を鳴らして歩く。
(,,゚Д゚)「さて、何処に行けばいいのかね?」
川 ゚ -゚)「む。ギコ、あれを」
クーが何かに気付いたようで、廊下の先を指差す。
ギコが目で追うと、そこには白いペンキで乱雑に描かれた巨大な矢印があった。
-
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:20:04.32 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「これはご丁寧に」
川 ゚ -゚)「どうやらこの通り進めばいいようだ」
矢印が描かれているところに着き、指されている方向を見る。すると、その先にまた矢印があった。
(,,゚Д゚)「そんじゃ、誘われますかね」
二人は先に進む。
やがて、矢印は一つの扉を指し示す。
-
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:22:04.46 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「この先、か」
川 ゚ -゚)「罠らしい罠は無し、だな」
(,,゚Д゚)「この奥に大きな罠が待ちかまえてんのか」
川 ゚ -゚)「それとも、よほど己に自信があるのか」
(,,゚Д゚)「ま、さっさと入りましょうぜ」
扉を開けて、中に入る。
-
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:26:12.30 ID:gyhtd6m1O
-
内部を見渡す。
中は割と広く、ちょっとしたスポーツでも出来そうなほどある。
但し、異様なほど部屋の中は荒らされていた。
デスクや椅子、はたまたコンクリートの破片で散らかっていて、足場は悪い。
辺りは廊下を歩いていた時よりもさらに暗かった。
(,,゚Д゚)「んー」
ギコがキョロキョロと周りを見渡す。誰の姿も見当たらない。
(,,゚Д゚)「んだよ。誰もいねーのか?」
「いいえ、此処に居ますよ」
唐突に、第三者の声が聞こえた。
-
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:28:07.38 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「こんにちは」
闇の中から姿を現してきた男―――フィレンクト。
手に持つ金属の棒の先は、三方向に分かれている。
三叉槍(トライデント)という槍の一種だ。
川 ゚ -゚)(いつの間に……、全く気配を感じなかったが……)
(,,゚Д゚)「……俺らを呼び出したのはお前か? だとするなら、用件を聞こうか」
(‘_L’)「用件?」
フィレンクトは抑え目に笑う。
-
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:30:10.12 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「随分と惚けた事を言うんですね」
(,,゚Д゚)「バカやろう。万が一、一般人だったら手加減しねーといけねえだろうが」
(‘_L’)「ふふ。その心配はありませんよ。なぜなら私も―――」
唐突に大股で踏み込み刺突。次いで横に薙ぎ払うように槍を一回転させる。
ギコとクーは後ろに大きく跳んで距離を取った。
(‘_L’)「貴方たちと同様、人に在らざる者ですから」
-
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:32:05.04 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「けっ、そーですかっと」
(゚Д゚,,)「……おい、クー」
ギコがクーにボソッと呼び掛ける。
川 ゚ -゚)「……いや」
ギコの意図を読み取ったクーは、首を横に振り否定の意を示す。
(‘_L’)「私が誰か判りませんか?」
(,,゚Д゚)「……」
川 ゚ -゚)「……」
-
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:34:08.47 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「まあ、仕方の無い事でしょう。私たち『COLOR's』は
基本的には一つのチームに一人まで、ですからね」
(‘_L’)「そして互いに馴れ合うこともありませんでしたから。
顔も名前も、ましてやその者の戦闘スタイルなど、知るはずもないでしょう」
(‘_L’)「ま、その中でも特別な者はいましたが。例えば、そう」
フィレンクトはギコに視線を移す。
(‘_L’)「貴方、とかね。『皇鋼三色』の一人、『銀弾』―――ギコ=シルバーブレット」
-
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:36:06.11 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「……」
川 ゚ -゚)(……ギコ)
(,,゚Д゚)「……ったく、頼んでもいねえのにベラベラベラベラ喋りやがって」
(‘_L’)「……」
(,,゚Д゚)「何だテメエは。おしゃべりでもしにきたのか? 違うだろうが」
(‘_L’)「ええ、無論です」
(,,゚Д゚)「だったら四の五の言わずにとっととかかって来いや。
テメエ一人で俺ら二人に勝てるって言うんならよ」
-
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:39:05.19 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「ふ、ふふふ……。そうですね。我らの間に会話など、意思疎通など必要ないのです」
(,,゚Д゚)「そうだ。俺たちがする事はただ一つ」
(‘_L’)「圧倒的な、理不尽な暴力によって―――」
(,,゚Д゚)「相手を屈服させるっ! ただそれだけだ!!」
その瞬間、三人が同時にその場から跳躍した。
-
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:42:25.69 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「いきますよ!」
先に仕掛けたのはフィレンクト。三叉槍を片手に持ち、高速の突きを連打する。
それに応対するのはクー。
スウェー、ダッキング、サイドステップなどを駆使して巧みに避けていく。
(,,゚Д゚)「『蜂』ッ!!」
二人から距離を取っていたギコが、フィレンクトの後頭部目掛けて鎖を飛ばす。
フィレンクトはそれを確認せずに気配だけを読み取り、しゃがんで躱した。
-
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:45:04.51 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「はっ!!」
そのまま三叉槍を振り回し、クーに足払いを仕掛ける。
クーはそれを上方に飛んで免れるが―――
(‘_L’)「おおおっ!!」
川 ゚ -゚)「!」
フィレンクトは勢いのままに一回転。立ち上がり横に薙いだ。
空中にいるため、クーは避ける事が出来ない。
-
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:48:04.19 ID:gyhtd6m1O
-
川 ゚ -゚)「っ、ハァッ!!」
クーはとっさに片足を振り上げ、三叉槍の柄の部分を蹴りつける。
三叉槍の軌道を無理矢理変える事で攻撃をいなした。
だが。
(‘_L’)「まだです!!」
追撃の回し蹴り。クーの体勢は完全に崩れている。
(,,゚Д゚)「チョーシ乗ってんじゃ……」
(‘_L’)「!?」
フィレンクトのすぐ後ろから声。
(,,゚Д゚)「無ぇぞゴルァ!!」
その背中に拳が叩きつけられる。
-
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:51:16.46 ID:gyhtd6m1O
-
フィレンクトは吹き飛ばされ、地面に転がっていたデスクと激突した。
舞い上がった埃が彼の体を包み込む。
(,,゚Д゚)「ったく、油断してんじゃないよ」
川 ゚ -゚)「取りあえずありがとう。だがあの程度なら捌けたぞ」
(,,゚Д゚)「ハイハイそーですか」
川 ゚ -゚)「ホントだぞ」
(‘_L’)「……余裕そうですね。真剣さが足りませんよ」
ガラガラと音を立ててフィレンクトが立ち上がった。
服の汚れを叩き落としているその様子を見る限りでは、大したダメージは受けていないようだ。
-
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:54:03.87 ID:gyhtd6m1O
-
(,,゚Д゚)「バカ。実際に余裕なんだよ」
(‘_L’)「言いますね」
川 ゚ -゚)「……それに、真剣では無いのはお前もだろう?」
(‘_L’)「ふふ……、真剣ですよ。ただ本気を出していないだけです」
(‘_L’)「しかし、流石にお二人を相手に力を抑えたまま、というのは苦しいですね」
(‘_L’)「……良いでしょう。本気、出させていただきます」
-
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 22:57:18.16 ID:gyhtd6m1O
-
フィレンクトが槍を構えたまま、目を閉じる。
精神集中。体の底に眠っている力を呼び覚ます。
場が張り付く。空気が変わり出す。
フィレンクトから放たれる戦意が肌を刺すように感じられる。
( -_L- )「おおおおおっ!!!」
気合咆哮。一気に力を引き出す。足場のコンクリートにヒビが入る。
その衝動は、フィレンクトに変化をもたらす。
-
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 23:00:14.63 ID:gyhtd6m1O
-
フィレンクトの髪がみるみるうちに『青』に染まっていく。
先の方から変化は始まり、やがて髪全体が鮮やかな『青』に染まった。
フィレンクトが三叉槍を持ったまま、すっと構え直す。
そして目を開き、ギコとクーを睨みつけた。
その目は、蒼くなっていた。
-
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/09/06(土) 23:03:04.20 ID:gyhtd6m1O
-
(‘_L’)「……そう言えば、自己紹介がまだでしたね」
ゆっくりと話しかける。その顔には、笑みが浮かんでいる。
自分の力に、自信を持っている。
(‘_L’)「私の名は、フィレンクト。フィレンクト=ブルーフィッシュ」
(‘_L’)「『COLOR's』が一人、『青』の称号を与えられた者」
(‘_L’)「海底に潜む者の恐怖……、教えて差し上げましょう!」
第五話-a おわり
→第五話-bに続く
戻る