ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:36:30.07 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「んー……」

ギコは人差し指で頬を掻きながら辺りを見渡す。

そこには屍が累々と―――。
もしくは戦の後か―――。



まあ正しくはスクラップの山と化したデスク、椅子、パソコンが散乱していた。

川 ゚ -゚)「暴れすぎてしまったな、ギコ」

(゚Д゚,,)「待て。コレやったの9割お前だろ。何で俺も一緒にやっちゃったみたいに言うんだよ」

川 ゚ -゚)「そうだったか?」

(,,゚Д゚)「そーだよ。……さて、それじゃ作業に移るとしようか」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:38:29.21 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「えーと……、モララー、だったか?」

( ・∀・)「え? あ、はい。合ってます」

(,,゚Д゚)「よし、モララー。俺達はここの会社のパソコンに用があるんだが……」

ギコは一度言葉を切って後ろを見る。つられてモララーも見る。

(,,゚Д゚)「この通りこの部屋はこの有様だ。別の、パソコンがある部屋に案内してくれないか?」

( ・∀・)「あー、そうですね。他にも色々と聞きたい事は有りますが、取りあえず、」



モララーは首を下に傾ける。



( ・∀・)「この状態でどう案内しろ、と?」

その視線の先には、みの虫のように鎖で体をグルグル巻きにされた己の姿があった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:40:45.67 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「えー?」

( ・∀・)「えー?」



(,,゚Д゚)「だってそうしないとお前逃げるじゃん」

( ・∀・)「そりゃ逃げますよ。全力で」

(,,゚Д゚)「逃げてどうするんだ? まだこの会社に残るつもりか?
     この部屋こんなに荒れ放題なのに?」

( ・∀・)「……いや、僕が荒らした訳じゃないですし」

(,,゚Д゚)「だとしても何らかの責任は取らされるだろうな」

( ・∀・)「むう……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:43:31.19 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「仕方ないさ。そう落ち込むな」

(,,゚Д゚)「自分で荒らしといてよくもまあ……」



( ・∀・)「ああ、今月働いた分は……、パアになるのかな……」

(,,゚Д゚)「諦めろ。つーか早く案内しろよ」

( ・∀・)「だから動けないんですって」

(,,゚Д゚)「だから……ってこれじゃ堂々巡りだ」

(゚Д゚,,)「クー。どうする?」

川 ゚ -゚)「ふむ」

クーは腕を組み目を閉じて、しばし思考する。

すると、名案が思いついたようだ。
目を開き、人差し指をピンと立てて言葉を発す。

川 ゚ -゚)「そうだな―――」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:45:59.32 ID:LojVzpBGO
                                  .





(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)










第二話-b

「自力で歩けないのなら、地面を這っていけばいいじゃない」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:47:25.91 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「却下」

川 ゚ -゚)「このわがまま太郎め」

( ・∀・)「あーもう。縛ったままでいいですから、せめて歩けるようにしてくださいよ」

(,,゚Д゚)「まったく。しょうがないなー」

( ・∀・)「そんなんじゃいつまで経っても話が進みませんから」





注意:ギコが鎖をほどいています!
   (その辺の描写は作者急病のため、カット)





(,,゚Д゚)「ほら、これでいいだろ?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:49:08.92 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「まあ、ここいらで我慢しときましょう」

そこには両肘のちょっと上の辺りで、鎖をぐるりと一周させただけの姿のモララーがいた。

(,,゚Д゚)「ほらほら、さっさと行こうぜ」



そして三人は隣の部屋に移動する。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:51:09.39 ID:LojVzpBGO
三人は無数にある中の、一つのパソコンの前に来る。

そこでギコはモララーを座らせ、パソコンと向かい合わせた。

( ・∀・)「え? 僕がするんですか?」

(,,゚Д゚)「ああ。俺達はどっちもパソコン扱えないからな。だからお前を捕まえたんだよ」

( ・∀・)「あー、そうなんですか……。てゆーか何を調べるんですか?」

川 ゚ -゚)「勿論、この会社の悪行の証拠だ。それが依頼なんだ」

( ・∀・)「そうは言ってもですね、僕そんなのどこにあるか知りませんよ」

(,,゚Д゚)「大丈夫。ちゃんとタネはあるさ」

ギコは得意げに懐から一枚のフロッピーディスクを取り出した。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:53:05.92 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「コイツを差し込んで、と」

( ・∀・)「それじゃあ……」

モララーはフロッピーの中に入ってあったプログラムを、順を追って進めていく。



途中。

( ・∀・)「あれ?」

川 ゚ -゚)「どうした?」

( ・∀・)「いえ、何やらパスワードを入力しないといけないみたいで……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:55:07.63 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「ああ、それか。それについても聞いているから心配は不要だ」

クーは横から手を伸ばし、キーボードに打ち込む。

川 ゚ -゚)「『wkwktktk』、っと」

( ・∀・)「あ、解除された」

川 ゚ -゚)「よし。じゃあ作業を続行してくれ」



再びプログラムを進めていくモララー。

部屋はシンと静まり、キーボードを打ち込む音だけが反響する。





不意に、ギコが口を開く。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:57:10.71 ID:LojVzpBGO
(,, Д )「そうだ、ところでモララー。ちょっと聞きたい事があったんだが。
     ――ああ、作業はそのまま続けていてくれ」

( ・∀・)「はい、何ですか?」










                                  .

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 20:59:24.79 ID:LojVzpBGO
                                  .









(,,゚Д゚)「お前、何者だ?」



瞬間、その場が一転する。



(;・∀・)「……っ!?」

今までの穏やかな空気が全て排出された。
冷たく、肌を刺すような空気が辺りに満ちる。

モララーはかろうじて動き回る指先を止める事は無かったが、
背中に大量の冷や汗が吹き出すのは止めようがなかった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:01:34.24 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「お前は先程、俺やクーの攻撃をことごとく避けた。
     確かにお前の身体能力や体の動かし方は素人。そこらの普通の一般人だ。
     だが、お前は普通じゃない。並みの人間に俺達の攻めを躱す事は出来ない」

(;・∀・)「……」

(,,゚Д゚)「答えろ。お前は何者だ? 何故あんな事が出来た?」



モララーは追いつめられた。
目には見えないが、確かに押さえつけられている。そのプレッシャーに。

川 ゚ -゚)「……」

クーもこちらをじっと見る。何も話さないが、その威圧感はギコのそれと同等だ。

モララーは、まるで猛獣がいる檻の中に放り込まれたような錯覚を受けた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:04:20.98 ID:LojVzpBGO
そもそもモララーが今までそれ程危機感を持っていなかったのは。
ギコとクー、二人の雰囲気によるものだった。

いきなり現れては漫才もどきの行為をしでかした二人は、悪い人物とは思えなかった。

襲われている間も、むしろじゃれ合っているような感覚だった。
だからそんなに緊迫した状況にならなかったのだ。
もしかしたら二人はそこを見越した上で、あの様な行動を取ったのかもしれない。

それに加えて、何よりモララー自身が『危険を感じ取って』いなかったという事もあるのだが―――。



(,,゚Д゚)「答えろ」



今は違う。この場は危険そのもので、故に余裕が無く、逃げられない。

この状況で許される行動は一つ。





相手に、従うという事。



( ・∀・)「……僕には、判るんです。『危険』が」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:07:26.01 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「『危険』が判る、とは?」

( ・∀・)「僕は昔から……。物心が付く前から、何が危険か、
      どこが危険なのか、というのが何となく感じ取る事が出来ました。
      それは、他の人には出来ない。普通ではないと気付いたのは
      それからだいぶ後の事ですけど」

(,,゚Д゚)「……」

川 ゚ -゚)「それはどのように感じられるんだ?」

( ・∀・)「なんというか……、上手く、言葉に出来ないんですが……、
      こう、不安、がそこにある、というか……」

(,,゚Д゚)「それで俺達の攻撃を避けられた、って事か」

( ・∀・)「はい。そのままそこにいたら危ない、と感じるから、
      じゃあどこが安全なのかを見つけて、そこに移動するんです」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:09:26.34 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「……ギコ」

クーはギコの方を見る。
その目は普段無表情な彼女にしては珍しく、揺れていた。



ギコは睨みつけるような目つきで虚空を見ていた。

(,,゚Д゚)(……『ナチュラル』、か? まさか本当に……)



難しい顔をしていたギコを覗き見るモララー。その心境は気が気ではなかった。

(;・∀・)(うわー、怒ってる? 怒ってるのか?
      そりゃこんな突拍子もない話信じないよなぁ……。
      でも嘘ついてもしそれがバレたら何されるか判らないし……)

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:11:07.91 ID:LojVzpBGO
その様に焦っていたモララーに気付いたのか、クーがギコに話し掛ける。

川 ゚ -゚)「ギコ。……もうそろそろいいだろう」

未だに考え事をしていたギコは、その一言で我に返る。

(゚Д゚,,)「おっ……。そうか。そうだな」



ギコがクーに答えたのとほぼ同時に。

周りの空気が先程と同じ、穏やかなものへと変化した。



(;・∀・)「……………っぷは―――――っ!!」

緊張の糸が解けたのか、モララーは大きく息を吐いた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:13:35.81 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「悪かったな。息苦しかったろ?」

ギコはモララーと最初に会ったときのように陽気に語りかける。

川 ゚ -゚)「……」

クーも表情こそあまり変わらないものの、その身から感じられる威圧感はほとんど無い。



(;・∀・)「い、今のは……?」

(,,゚Д゚)「ああ、済まんな。ちょいと『圧』を、な」

(;・∀・)「あ、圧、ですか?」

(,,゚Д゚)「おう。お前、嘘つけなかっただろ? そうなるようにプレッシャーをかけた」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:15:06.24 ID:LojVzpBGO
(;・∀・)「は、はあ。便利な事出来ますね……」



(;・∀・)「え? というか、さっきの話信じるんですか?」

(,,゚Д゚)「え? 嘘なの?」

(;・∀・)「いや、本当なんですけど、あまりに非現実的な事ですし」

(,,゚Д゚)「あー、そうだな。ぶっちゃけそういう力は、ある意味そんなに珍しい訳でもないんだ」

( ・∀・)「そうなんですか?」

川 ゚ -゚)「君という存在は珍しいんだがな」

( ・∀・)「???」

(,,゚Д゚)「まあ、そういう事だ。それより作業の続きをしてくれ」

モララーはそう言われて初めて、自分の手が止まっていた事に気が付いた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:17:22.03 ID:LojVzpBGO
モララーは再びパソコンと対面する。

モララーには、正直色々と判らない事、聞きたい事があった。

しかしその情報量はあまりに多く、自分の中でも整理しきれずにパンク状態になっていた。

よって、今は目の前の作業に没頭する事に決めた。





やがてプログラムは終わりを迎えた。



その後に現れたものは。



この会社が隠してきた、『裏』だった。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:20:22.94 ID:LojVzpBGO
(;・∀・)「こ、れは……っ!?」

川 ゚ -゚)「……」

ディスプレイに映し出されたデータは、あまりに簡単なものだ。



性別、身長、体重、年齢、そして名前が記された人間の情報と。





その横に記載されている、『値札』。





(,,゚Д゚)「なるほどね。人身売買、か」

重く、のしかかってくるような声で、ギコは呟いた。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:22:34.85 ID:LojVzpBGO
(;・∀・)「ぐっ……!」

モララーが口元を抑えてうつむく。

(,,゚Д゚)「大丈夫か?」

ギコがモララーに声をかける。ぶっきらぼうな口調だが、その奥には気遣いが見える。

(;・∀・)「……はい。ちょっと気持ち悪いけれど、大丈夫です。ありがとうごさいます」



川 ゚ -゚)「……君が気に病む必要は何もない。君は何も知らなかったのだから」

( ・∀・)「……大丈夫、です。ありがとうごさいます」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:26:18.48 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「ま、何にせよこの情報を持ち出せば会社は潰れて、
     俺達の依頼も無事遂行出来る。一石二鳥だな」

川 ゚ -゚)「よし、モララー。そのフロッピーディスクに移し替えてくれ」

( ・∀・)「……はい、判りました」

モララーが然るべき操作をする。

後はアイコンを一つ押すだけで全てが終わるという、まさにその時。



( -∀-)キィィン…



(;・∀・)「うっ……」

川 ゚ -゚)「どうした? それを押せば終わりだろう?」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:28:11.84 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「……多分、トラップが仕掛けられています。
      移そうとすると何か良くない事が起こりそうです」

川 ゚ -゚)「……それも、感じ取ったのか?」

( ・∀・)「はい……」

(,,゚Д゚)「お前のその力の方が便利じゃねーか」



川 ゚ -゚)「ふむ。……移し替える事自体は出来るのか?」

( ・∀・)「え? あ、はい。そこは恐らく大丈夫だと思いますが」

川 ゚ -゚)「なるほど」

クーは理解した、と言わんばかりにコクコクと頷き、





川 ゚ -゚)「えいっ」

おもむろにアイコンをクリックし、データの移し替えを完了させた。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:32:01.04 ID:LojVzpBGO
ビル中に警報が鳴り響く。それと同時に、ビル全体の照明が点灯された。

(;・∀・)「ちょっ、えええ!? 何やってんですか!?」

川 ゚ -゚)「やっちゃった」

クーはグーにした手で頭をコツンとして、『失敗しちゃった☆』のポーズを取る。
あくまでも顔は無表情だが。



(,,゚Д゚)「おい、クー」

川 ゚ -゚)「何だ。何か文句でもあるか?」

(,,゚Д゚)「いや……」



(,,゚Д゚)b「よくやった」

川 ゚ -゚)b





モララーは思う。

神様。僕って何か悪い事しましたっけ?

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:36:11.98 ID:LojVzpBGO



(;・∀・)「あうあうあ〜〜〜〜〜っ!!」

(,,゚Д゚)「口閉じてろ! 舌噛むぞ!」

今現在、彼らは全速力で一階の出口に向かっている。

ただモララーはマトモに走っても他の二人に追いつかないので、
ギコに首根っこを掴まされて引っ張られている。

(;・∀・)「く、首が締まる〜〜」

(,,゚Д゚)「ちょっとの我慢だ! 死にゃしねえよ!」

(;・∀・)「ああ、目の前が、光に、包まれて……」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:38:46.17 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「ギコ! 正面!」

(,,゚Д゚)「チッ、またか!!」

ギコ達の前から男が二人、こちらに近づいている。
手にはサブマシンガンを持っている。

そしてこちらに向けて発砲してきた。



三人は横の部屋に飛び込む。
同時にクーが入口の上の方に飛びつき、わずかな出っ張りに手をかけてぶら下がった。

先程発砲してきた二人が並んで部屋に入ってくる。

それを確認したクーは、彼らの死角から下に降り、着地と同時に両手で攻撃。

右手の手刀で相手の喉を突き、左手の拳でもう片方の顎を打ち抜いた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:41:20.29 ID:LojVzpBGO
瞬く間に二人は地に沈んだ。

川 ゚ -゚)「よし、先を急ごう」

(,,゚Д゚)「おう。しっかしキリがねえな」

川 ゚ -゚)「いい運動になるじゃないか」

(,,゚Д゚)「ま、じっとしてるよりはマシなのは確かだな」

(゚Д゚,,)「うっし、じゃあ行くぞ!」

そしてギコはまた、モララーの首根っこを掴む。

(;・∀・)「ぐえっ……! ぎ、ギコさん! 別の掴み方はないんですかね!?」

(,,゚Д゚)「贅沢言うな! ……! くそっ! また出て来やがった!」

(;・∀・)「わーっ!! ちょっとギコさん! 僕を盾にしないで下さいよ!!」

(,,゚Д゚)「あ、間違えた。すまんすまん」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:44:14.86 ID:LojVzpBGO



(,,゚Д゚)「オラァッ!!」

ギコが目の前の扉を強引に蹴り開ける。
そこにあるのはこのビルで一番広い空間である、一階正面玄関ホールだ。

川 ゚ -゚)「やっと出口に着いたな」

(;・∀・)「た、助かったー。主に僕の首が」

(,,゚Д゚)「コラコラ、モララー。お前にはあれが見えないのか?」

(;・∀・)「あ、」

モララー達の前方、玄関の前には数人の男が陣取っていた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:46:54.00 ID:LojVzpBGO
その中に一人だけ、異彩を放つものがいた。



( `ハ´)



川 ゚ -゚)「一人だけ中華系の男がいるが……」

(,,゚Д゚)「ふん。用心棒ってところか。……この会社の取引先はそっち系のマフィアかもしれんな」

川 ゚ -゚)「さて、どうする? 強行突破でもするか?」

(,,゚Д゚)「いや、ちょっと遊ぼう。クー、モララーを頼む」

ギコは指をゴキゴキと鳴らしながら、前に出た。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:49:36.34 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「やれやれ。……程々にしろよ」

クーは軽く肩をすくめる。
ギコがこんな調子の時は、何を言っても聞かない事をクーは知っている。

(;・∀・)「ギコさん大丈夫なんですか?」

川 ゚ -゚)「何がだ?」

(;・∀・)「あの人いかにもカンフーマンって感じで強そうなんですが……」

川 ゚ -゚)「君はここに降りてくる間、何を見ていたんだ?」

( ・∀・)「……」



(・∀・ )(三途の川を見てました)



川 ゚ -゚)「まあ見てろ。我々と奴ら、何が違うのかが判るさ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:52:47.48 ID:LojVzpBGO
ギコが無手で前に歩いていく。

その行動を見て、中華系の男も同じ様に前に出る。

二人の距離が3、4メートル程に縮まったところで、二人がピタリと止まった。



中華系の男が口を開く。

( `ハ´)「二人掛かりで来なくていいアルか?」

(,,゚Д゚)「ああ、俺一人で相手だ」

( `ハ´)「ま、その方がこちらとしては楽アルね。一人ずつ順に始末させてもらうヨ」

(,,゚Д゚)「悪いな。アンタの相手は俺で終わりだ」

ギコはゆっくりと口端を吊り上げ、牙を見せる。



(,,゚Д゚)「目の前のご馳走は残さず食べる事。それが俺の流儀だ」

獰猛な笑みを浮かべて、ギコは戦闘態勢に入った。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:56:10.24 ID:LojVzpBGO
ギコがおもむろに近づく。
そしてフェイントや小細工などを一切入れず、ただ己の左拳を相手の顔に目掛けて突き出した。

それを中華系の男は顔を後方に向けるようにして体ごと右回転。
ギコの懐に潜り込み、右の肘をみぞおちに叩き込む。



(,,゚Д゚)「っと!」

だがギコはすんでのところで右腕を盾にした。

ギコは後ろに飛んで、距離をとる。

右腕をブルブルと振りながら、ギコは語りかける。

(,,゚Д゚)「良いねぇ。その調子で頼むぜ?」

( `ハ´)「今からでも仲間を呼ぶの、遅くないヨ」

(,,゚Д゚)「冗談言うなよ。まだ全然堪能して無いんだからさ」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 21:58:28.68 ID:LojVzpBGO
もう一度ギコが突っかける。先程と同じ様に左拳を突き出し―――





(,,゚Д゚)「って、んな訳ねーだろゴルァ!!」

( `ハ´)「!!」

途中で止め、右足を相手のわき腹目掛けて繰り出した。

フェイクに気を取られたのか、避ける事が出来なかった男は、
それでも何とか腕と足でガードした。

(;`ハ´)「くっ……」

重みのある蹴りだった。
衝撃を吸収しきれず、男の体がぐらつく。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:01:48.56 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「オラァッ!」

ギコはすかさずもう一度右で蹴る。

(;`ハ´)「ううっ……」

ガードする男。ダメージは少なくなさそうだ。

(,,゚Д゚)「もう一丁!」

再三、同じところを蹴りつける。



だが。

( `ハ´)「調子に乗るのも……、大概にするアル!!」

男は同じ様に蹴りを防いだ後、ギコの右足を腕で抱え、上に押し上げた。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:04:11.71 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「うおっ!?」

バランスを崩すギコ。
このままではしりもちをついてしまい、決定的な隙を生み出してしまう。

それを避けるため、ギコが即座に下した判断は―――。



隙を最小限に抑える事。





(,,゚Д゚)「おおおっ!!」

( `ハ´)「!」

ギコは上に持ち上がる体の勢いに乗せ、まだ地についていた左足を踏み出し、男を踏み台にする。

そしてそのまま後方に宙返りをした。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:07:05.36 ID:LojVzpBGO
倒れる隙を無くし、同時に距離を取る。
ギコが行った行動は間違いなく最善だった。



だが、それでも。



( `ハ´)「そうするであろう事は、予測済みアル」



ギコが再び男の姿を確認した時には、男は既にギコの目の前に移動していた。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:10:09.53 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「やべっ!」

力を込めた右手の一撃を打ち出した男。

ギコはまだ着地していない状態。





すなわち、不可避。



男の拳がギコの腹部に突き刺さる。

ギコは地に着かぬまま数メートル吹き飛び、転がりながら倒れ込んだ。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:13:06.51 ID:LojVzpBGO
(;・∀・)「っ!!」

ギコが倒れた事に動揺するモララー。

しかし、クーは全く動じていない。

川 ゚ -゚)「心配するな、モララー。……とは言え遊びすぎだ、あのバカ」

クーはいつもの表情を変えずに呆れかえっている。なかなか器用だ。





(,,゚Д゚)「聞こえてるぞクー。人の事バカって言うな」

ギコが立ち上がる。その顔には余裕が見られた。

川 ゚ -゚)「何だ、聞こえたか。否定するというのならさっさと片付けろ」

(,,゚Д゚)「もうちょっと、な」

ギコは言葉を切り、男と対峙する。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:16:05.05 ID:LojVzpBGO
( `ハ´)(……立ち上がるアルか?)

先程の一撃は会心だった。

手応えも十分にあった。

これで決まったと確信していた。



なのに、目の前の男は立ち上がった。しかも、まだ闘志を見せている。

顔には余裕が見られるが、ポーカーフェイスだろう。ダメージが無いはずがない。

( `ハ´)(とんでもないタフネスね。まあいいアル。後一撃入れればそれで終わりアル)

もう一撃。それさえ入れることが出来ればまず一人だ。

そう。まだ後一人残っている。こんな所で体力を使っている訳にはいかない。

( `ハ´)(次……。次で確実に決めるね)

男は気を集中させ、目の前の敵を睨みつけた。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:19:04.48 ID:LojVzpBGO
( `ハ´)「今度はこちらから行くアル」

右足を大きく前に出し、跳躍するように踏み込む。
そして足が地面を叩くと同時に、腰の位置にあった右の拳を振り上げるようにして突いた。

(,,゚Д゚)「っ……!」

ギコは顔面に迫ってきたそれを手のひらを使って防いだものの、
勢いを殺しきれずに後ろへと押されてしまった。

ギコに追撃を与えようと、男は更に前に出てくる。

ギコは押されたせいで体勢が崩れている。これでは避ける事が出来ない。



(,,゚Д゚)「ならば……」

ギコは一旦、相手に背を向ける。

(,,゚Д゚)「これでどうだ!」

そのまま回転の力を生かして、裏拳を放った。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:22:47.87 ID:LojVzpBGO
だが男は腰を落とし、重心を下げ、ギコの懐に入り込み、くぐるようにして裏拳を躱し―――



地面を両足でしっかりと踏み、下からギコの顎を目掛けて掌底を突き上げた。



(,, Д )「がっ!」

顎を打たれた事により、脳が揺さぶられたギコは膝を折る。

その隙を男が見逃す筈もなく。





( `ハ´)「これで終幕アル」

その一つひとつが必倒の一撃になるであろう連撃を、ギコの体に浴びせた。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:25:14.72 ID:LojVzpBGO
崩れ落ちるギコ。

向かい合う男の体にもたれかかるように倒れようとしている。

( `ハ´)(さて、次に移るアル)

男がギコを押しのけようとした。










「いや、なかなかいーもん貰ったわ」

(;`ハ´)「!!!」

今まさに倒れようとしていた―――いや、そのように見えたギコが、男の襟を掴んだ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:28:06.68 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「うんうん。ホントに見事だった。お世辞じゃなく、ね」

(;`ハ´)「な、何で……?」

男は動揺していた。

なぜ目の前の男は立っているのか。

なぜ自分の攻撃をあれほど受けたのに、何ともないかのように話しかけているのか。



(,,゚Д゚)「まあ、残念なことに、ちーっとばかしパワーが無かったな」



そんな訳が無い。

自分はこれまでに、この男よりも一回り体格が大きい男を何人も倒してきた。

そう、今まで倒れなかった相手はいなかったのに。



何故、この男は―――?

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:31:11.73 ID:LojVzpBGO
男はギコに両手で襟を掴まれ、軽く持ち上げられて身動きが取れない状態になっている。



(,,゚Д゚)「……まあ、アンタが驚くのは変なことじゃない」

ここで急にギコは声のトーンを下げた。

(,,゚Д゚)「アンタは正しい。悪くない。悪いのは―――」

先程は楽しそうに話していたのに。





(,,゚Д゚)「俺の方さ。……済まんな」

今のギコはどこか悲しげな、ともすれば泣き出しそうな、顔をしていた。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:34:06.29 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「だが、これは仕事だ。悪く思うなよ」

ギコは顔を元の調子に戻し、更に男を持ち上げ、





頭を思い切り振りかぶり、男の鼻のあたりに額をめり込ませた。

(;`ハ´)「があっ……!」

ギコから解放された男は、鼻血を出しながらよたよたとふらつく。

(,,゚Д゚)「しっかりガードしろよ」

ギコは男に近づき、これで通算四度目となる右のミドルキックを繰り出す。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:37:13.24 ID:LojVzpBGO
(;`ハ´)「!」

それに気づいた男は同じ様に防ごうとしたが。



(;`ハ´)「えっ……!?」

目の前が一瞬白くなる。



男は、自分が吹き飛ばされたのだと気づいたのは、地面を転がされた後だった。

(;`ハ´)(踏ん張りが効かなかった……? いや、そうじゃない……!)

男は痺れている左腕、左足に気付く。

(;`ハ´)(威力が上がってる? さっきまでのは本気じゃなかった?)

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:40:15.02 ID:LojVzpBGO
(;`ハ´)(くそっ……、まずは、今は起きなければ)










男の意識があったのはここまでだった。

男が下げていた頭を上げた時には、既にその男の頭のすぐ横にギコの足があった。



五回目のミドルキック。

ただ違っていたのは、男が膝をついていた為に、ギコの足が男の頭の高さにあった事。



男がそれを知覚する事は叶わず、彼の頭は悪夢の曲線に刈り取られた。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:43:15.29 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「さて、と」

男がうつぶせになり、完全に沈黙したのを確認すると。



(,,゚Д゚)「仕上げだ」



ギコは残っていた数人の敵のところに飛び込んでいった。



まさか中華系の男がやられるとは思っていなかったのだろう。

しばし呆然としていた男たちは、ギコがこちらに接近している事に気づくのが遅れた。

男たちは慌てて手持ちの銃を向けようとするものの。



(,,゚Д゚)「遅いんだよっ!!」

ギコの手によって、瞬く間に昏睡させられた。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:45:04.10 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「さあ、帰るか」

(;・∀・)「ギコさん!」

(,,゚Д゚)「おうモララー。見たか? 俺のカッコいい姿を!」

川 ゚ -゚)「どの辺が格好良かったんだ? ボコボコに殴られてたというのに」

(,,゚Д゚)「ばっか、演出だよ演出!」

川 ゚ -゚)「はいはい判った判った」

(,,゚Д゚)「むう。なんだかなー」

(;・∀・)「だ、大丈夫なんですか?」

(,,゚Д゚)「ふっふっふ。俺が無理してるように見えるか?」

(;・∀・)「あー……、いえ」

川 ゚ -゚)「無駄に元気そうには見えるな」

(,,゚Д゚)「いちいち一言多いんだよ」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:47:15.25 ID:LojVzpBGO
三人はビルの外へ出る。空は紫がかっていた。

(,,゚Д゚)「もう夜明けか……」

川 ゚ -゚)「帰ってゆっくり休みたいものだな」

(,,゚Д゚)「それじゃ帰るか。あ、車あっちにあるから」

ギコはモララーに指を差して説明する。

( ・∀・)「え? 僕も行くんですか?」

(,,゚Д゚)「ああ、そうだな。お前ウチで働け」

( ・∀・)「はあ……」










(;・∀・)「はあ!!?」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:49:05.09 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「ギコ?」

ギコの突然の発言に、クーも驚いたようだ。

だが、すぐに。

川 ゚ -゚)「いや、うむ……、そうだな」

一人で自己完結してしまった。



(;・∀・)「いやいやいやいや、納得しないでくださいよ。僕の意見は無視ですか?」

(,,゚Д゚)「え? だってお前、今日から職なしだろ?」

( ・∀・)「む。いや、だからと言ってですね……」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:51:09.27 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「それにな、お前の安全の為でもある」

( ・∀・)「え……」

(,,゚Д゚)「さっきも言ったが、お前は稀少な存在だ。お前は自覚していないのかもしれないが」

( ・∀・)「……」

(,,゚Д゚)「まあ、お前のその能力なら簡単には捕まらんだろうが、
     相手が本格的に捕まえようとすれば、身体能力はただの一般人であるお前は無力だ」

( ・∀・)「むー……」

(,,゚Д゚)「どうだ? 少なくとも俺たちがいる限り、お前は無事だ」

( ・∀・)「……」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:53:38.42 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「……」

( ・∀・)「……」

(,,゚Д゚)「……」

( ・∀・)「…………は」

(,,゚Д゚)「うん?」

( ・∀・)「給料は」

(,,゚Д゚)「は?」



( ・∀・)「給料は、どんな感じですかね?」

(,,゚Д゚)「は……はは、」



(,,^Д^)「はははははははは!!!」

(,,゚Д゚)「オーケーだ! ここの会社よりも稼がせてやるよ!」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:55:04.81 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「さあ、俺らの会社を紹介してやる!」

ギコは意気揚々とグレーの軽ボンネットバンタイプの車に乗り込む。

(,,゚Д゚)「さあ、入れ!」

( ・∀・)「ちょっと狭い」

(,,゚Д゚)「贅沢だ!」

車は三人を乗せて荒々しくその場を後にした。



( ・∀・)「ちょい乱暴すぎやしません?」

(,,゚Д゚)「贅沢だ!」

川 ゚ -゚)「それ贅沢と違うだろう」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 22:57:05.31 ID:LojVzpBGO



しばらく走った後、車は一つの小さなビルの一階部分に入っていく。

(,,゚Д゚)「着いた!」

( ・∀・)「何か描写がテキトーになってません?」

(,,゚Д゚)「ぶっちゃけ疲れた! サクサク進めんぞゴルァ!」



三人は階段を使ってビルの二階に入る。

部屋の中は質素だが綺麗にまとまっている。
机が二つと、応対用のテーブルとソファー。
あとは何らかの資料が収められている棚がある。

三人はソファーに座った。
一息ついた後にギコが話を切り出す。



(,,゚Д゚)「ようこそ新入り君。ここが俺たちの事務所だ」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:00:05.90 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「さあ、ここで働く上で何か質問はあるか?」

( ・∀・)「そう言えば、すごく今更なんですが……」



( ・∀・)「何の仕事なんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、言ってなかったな。……というか君は何の仕事か聞かないまま頷いたのか?」

( ・∀・)「はい。早くも後悔しています」

(,,゚Д゚)「まあまあ。そんなアレな仕事じゃないぞ」



(,,゚Д゚)「俺たちは『解決屋』を職業としているんだ」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:02:04.84 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「『解決屋』って?」

(,,゚Д゚)「そのまんまだ。何か解決して欲しい事があったら
     私たちにお任せください、って感じだ。なんでも屋みたいなモンだな」

( ・∀・)「はあ、なるほど。確かに割と普通っぽいですね」

川 ゚ -゚)「ところがそういうわけでもない」

(・∀・ )「え?」

川 ゚ -゚)「考えてもみろ。第一、困った時は警察に行けばいい。
     そうせずに私たちのところに来るという事は……」

(;・∀・)「……公には見せられない内容って事ですか」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:04:04.65 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「あれ? でもさっきの会社の仕事は普通に警察に話せば……」

(,,゚Д゚)「もう一つパターンが有るんだよ。つまり依頼が違法なものじゃなくて」

( ・∀・)「なくて?」



(,,゚Д゚)「依頼人が違法な場合だ」

( -∀-)「あー、そっち来たか……」

(,,゚Д゚)「な? 楽しそうだろ? 色々と」

( ・∀・)「あーそうですねー。すみません、ちょっとハローワーク行ってきていいですか?」

川 ゚ -゚)「まあ落ち着け。大丈夫だ。君に任せる仕事は主にデスクワークだ」

( ・∀・)「本当ですか!? 良かったー。本気で夜逃げしようかなと思いましたよ」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:06:04.20 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「んー、でもなあ。お前の危険察知って
     現場で凄い役立ちそうなんだけどなあ。俺たちの安全度が増す」

( ・∀・)「その際、僕自身の危険度がうなぎのぼりなので、謹んでお断りします」

(,,゚Д゚)「ちぇ」



川 ゚ -゚)「ああ、そうだ。安全の話で思いついたんだが」

( ・∀・)「何です?」

川 ゚ -゚)「君はここに暮らす事は出来ないか?」

( ・∀・)「? ここって事務所にですか?」

川 ゚ -゚)「ああ。現に私たちはここで暮らしている」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:08:05.88 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「このビルは五階建てなんだが……。一応説明しておこう」



(,,゚Д゚)「まず一階はさっき見た通り、駐車場になっている」

川 ゚ -゚)「で、二階はここ。事務所だな」

(,,゚Д゚)「三階は俺の部屋だ」

川 ゚ -゚)「そして四階は私の部屋で、五階は空き部屋になっている」



川 ゚ -゚)「君が希望するなら五階の部屋を使ってもいいが……」

( ・∀・)「うーん……」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:10:17.08 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「……折角ですけど、止めときます。
      実は、今暮らしているところ、気に入っているんで」

川 ゚ -゚)「そうか。まあ安全のためとは言ったが、コレばっかりは強要できないしな」

(,,゚Д゚)「よーし、今度モララーん家に襲撃するか」

( ・∀・)「……人ん家の冷蔵庫とか、勝手に開けないでくださいね」

(,,゚Д゚)「お前は俺を何だと思っているんだ」



川 ゚ -゚)「原始人」

(,,゚Д゚)「代わりに答えてくれてありがとう。ちょっと表出ろ」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:12:03.83 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「それにしてもさっきから危険、危険って僕そんなに危ないんですか?」

川 ゚ -゚)「今まで何にもなかったのが奇跡だと思え」

(;・∀・)「うえぇ……」

(,,゚Д゚)「おそらく無意識の内にそれすらも察知してたんだろうな。まあ、俺たちに任せとけって」





( ・∀・)「うーん、とりあえず質問はこんなとこですかね」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:14:07.46 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「よし。じゃ改めて」

ギコはそう言ってモララーに右手を差し出す。

川 ゚ -゚)「手袋したままで済まないが」

クーも同じ様に右手を出す。

モララーはそれぞれとしっかりと握手する。

(,,゚Д゚)「俺たちはチームだ。これからは三人で『S&B』としてやっていこう。よろしく頼む」

川 ゚ -゚)「ああ、よろしく」

( ・∀・)「よろしくお願いします!」










(・∀・ )「ん? 『S&B』?」

(,,゚Д゚)「やっべ重要な事忘れてた」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:17:05.83 ID:LojVzpBGO
川 ゚ -゚)「『S&B』というのは社名だ」

( ・∀・)「社名ですか」

(,,゚Д゚)「ああ、そして」



モララーは急に、ギコとクーがバックライトに照らされる電波を受信した。





(,,゚Д゚)「俺の名はギコ=シルバーブレット!」



川 ゚ -゚)「私はクール=ブラックラック」



(,,゚Д゚)「二人あわせて!」

川 ゚ -゚)「シルバー&ブラック!」



(,,゚Д゚)「「ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです!!」」(゚- ゚ 川

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:20:05.66 ID:LojVzpBGO
ざっぱーん



二人の後ろで、津波が岩にぶつかっているような映像が何故か流れる。

まるで映画が始まる前のように。





( ・∀・)



( -∀-)



( ・∀・)



                                  .

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:22:04.51 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「ごめんなさい。こんな時、どんな顔したらいいか判らないんですけど」



(,,゚Д゚)「笑えばいいと思うよ」



( ・∀・)「正直、苦笑いしか出来ません」







( ・∀・)「ああ、こんなんで過去編終了か……」



――――――――――――――――――――――――――――――――――

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:24:04.65 ID:LojVzpBGO



(,,゚Д゚)「というお話だったのさ」

( ・∀・)「これはひどい。なんというgdgd」

(,,゚Д゚)「予想以上に長くなりすぎて壊れたんだよ」





(,,゚Д゚)「さて、あんまりやりすぎるのもアレだからここまで」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:26:05.36 ID:LojVzpBGO
( ・∀・)「つーか今の話で思い出しましたよ」

(,,゚Д゚)「何を?」

( ・∀・)「何が稼がせてやるよ、ですか。めっちゃ不安定じゃないですか」

(,,゚Д゚)「まあ、自営業なんてそんなもんだよ」

( ・∀・)「その責任の7〜8割ぐらいは、今僕の目の前にいる人な気がしますが」



(,,゚3゚)〜♪



( ・∀・)「はあ、まったく……」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:28:04.09 ID:LojVzpBGO
(,,゚Д゚)「ま、要するに依頼を見つければいいのさ。当たればでかいんだから」

( ・∀・)「老後が不安だー」

(,,゚Д゚)「よろしく頼むぜ」

( ・∀・)「やっぱ今からでもハロワ行ってきていいですか?」

(,,゚Д゚)「ダメ」





第二話-b おわり


    →第三話へつづく?







                                  .

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/20(日) 23:45:06.51 ID:LojVzpBGO
                                  .













川 ゚ -゚)「ふう。シャワー浴びてさっぱりした。今日も一日がんば……」



(゚- ゚ 川「何! もう終わりか? 私の出番は?」





ないです。おわりです。


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