ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:11:08.69 ID:9zd0NxyoO
- キュッキュッ
ガチャッ バタン
(,,゚Д゚)「ふーい。やはり朝風呂、もとい朝シャワーは気持ちいいな」
ギコはまだ濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら、シャワールームから出てくる。
大きな姿見の前に立ち、しばらく頭を拭くことに専念する。
(,,゚Д゚)「…………」
ギコは自分の胸元を見る。そこにはいつも肌身離さず首にぶら下げている指輪があった。
鎖を指輪の間に通して身に付けている。その指輪はギコが指にはめるには小さすぎるようだ。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:12:27.30 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「…………」
ギコはその指輪をただじっと眺めていた。
いや、正確には指輪の向こう側―――何か別のものを見ている。
そのような目をしていた。
ギコは何を思っているのか。それは本人にしか判らない。
意識を己の内に埋没させる。
そのような状態だから、彼は背後から近づいてくる音に気付かず―――
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:13:31.68 ID:9zd0NxyoO
- ガチャ
( ・∀・)「ギコさーん。ちょっといいですかー? こないだの仕事の……」
( ・∀・)「……」
(゚Д゚,,)「……ん? おう、モララーか。……どうした? ボケッと突っ立って」
( ・∀・)「……ギコさん。つかぬ事をお聞きしますが」
(,,゚Д゚)「?」
( ・∀・)「前々から薄々思ってたんですが、もしかしてギコさんって―――」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:14:49.95 ID:9zd0NxyoO
- .
(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)
第二話-a
「ナルシストなんですか?」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:15:54.02 ID:9zd0NxyoO
- (;゚Д゚)「違うっッ!!!」
( ・∀・)「えーだってタオル一枚で鏡の前に突っ立ってるし……」
(;゚Д゚)「ただの風呂上がりだ!!」
( ・∀・)「自分の裸を見てウットリしてるし……」
(;゚Д゚)「ウットリしてねぇ! つーか自分の裸を見ていたわけでもねーよ!!」
( ・∀・)「まあいいじゃないですか。
自分大好きって思うのは悪い事じゃないですよ。むしろ良い事です」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:16:59.79 ID:9zd0NxyoO
- (;゚Д゚)「だから違うって言ってるだろコンチクショー!!!」
川 ゚ -゚)「大体こんな巨大な姿見があるというのがそもそもおかしかったんだ」
(;゚Д゚)「コレはトレーニング用だ! ジムにある奴と同じだ! お前も使ってるだろうが!」
川 ゚ -゚)「いやあ、でもなあ……」
(・∀・ )「ねぇ」
(;゚Д゚)「お前らしつけええええ!!
てゆーかクー! 自然に混ざってくるな! 何してんだお前!」
川 ゚ -゚)「いや、私もお風呂に入ろうかな、と。朝の散歩で汗をかいてしまったし」
(,,゚Д゚)「自分の部屋のを使え!!」
(゚- ゚ 川 ...「・・・セコい漢だ。」
(,,゚Д゚)「セコいって何だよ……。……ああ、朝から叫び続けて気持ち悪りぃ……」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:18:32.28 ID:9zd0NxyoO
- ( ・∀・)「さて、僕も仕事に戻りますね。いい気分転換になったし」
(,,゚Д゚)「……お前、そんないやな性格してたっけ?」
( ・∀・)「ここで働いてるんですから、マトモな性格していられませんよ」
(,,゚Д゚)「最初の頃はあんなに純情だったのに」
( ・∀・)「空回りするので。じゃあ着替えたら降りてきてくださいね。聞きたいことあるんで」
(,,゚Д゚)「はいはい、判りましたよっと」
モララーも下に降り、一人残されたギコは肩を落とす。
(,,゚Д゚)「嫌な汗かいた……。シャワー浴びた意味ないじゃん……」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:19:37.17 ID:9zd0NxyoO
- ※
カタカタと小気味よい音がリズムよく聞こえる。
ギコはソファーに座ってただその音を聞く。
もちろん今のギコの格好は裸ではなくスーツ姿だ。……髪の毛だけは相変わらずボサボサだが。
(,,゚Д゚)「ああ……暇だ」
(#・∀・)「そう思うなら少しは手伝ったらどうです?」
(,,゚Д゚)「無理。俺パソコン使えねーもん」
(#・∀・)「使い方を覚える気がないだけでしょう」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:21:21.31 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「まあまあ。そもそも俺は肉体労働者だし。んで事務的な仕事はお前の役目だろ?」
( ・∀・)「そこは同意しますが、事あるごとに僕も依頼先に連れだそうとしてるじゃないですか」
(,,゚Д゚)「いいじゃん。一人より二人、二人より三人だろ?」
( ・∀・)「遊びに行くみたいな感じで言わないでください」
(,,゚Д゚)「冷たいやつめ。まあでも、そうだな。助かるよ」
( ・∀・)「何です? 急に」
(,,゚Д゚)「いやあ、俺もクーもそういう事しないからさ。
二人でやってた時は電話来るのをひたすら待ってただけだったし」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:22:34.31 ID:9zd0NxyoO
- ( ・∀・)「よくそんなんで仕事成り立ってましたね」
(,,゚Д゚)「意外といるんだよ。警察に話せない問題を抱えたやつらがな」
( ・∀・)「そんなもんですか」
(,,゚Д゚)「世の中悪い事してるやつらばっかりだからな。……お前が以前勤めてた会社とか」
( -∀-)「あー……、まあ、そうですね」
(,,-Д-)「お前に最初に会ったときはびっくりしたよ……」
( ・∀・)「あ、回想モードに入った」
( ・∀・)
( ・∀・)ノシ「過去編始まるよー」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:23:48.60 ID:9zd0NxyoO
- ※
カタカタと単調な音が繰り返される。
割と広い部屋だというのに、聞こえるのはそのつまらない音。
それと時折漏れる溜息だけだ。
室内にたった一人だけ存在している男はまだ若いのにも関わらず、
その顔には生気と言うものはなかった。
パソコンとにらめっこしていたその男は、一度作業を中断させる。
椅子に座ったまま両手を真上に上げ、大きく延びをする。
部屋に椅子のきしむ音が悲しく響く。
男の視界の端に移った窓の外は、既に明かりが点々としかついていなかった。
( ・∀・)「ふう……」
今日何度目になるか判らない溜息を、モララーはついた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:26:21.57 ID:9zd0NxyoO
- ( ・∀・)「あー。やっぱり失敗だったかな、この会社」
誰もいないからなのか。
モララーは独り言にしては大きな声で会社への不満をこぼす。
そうする事によって少しでも我が身のストレスを減らそうとしているのだろう。
( ・∀・)「大体ここのところ毎日残業だもんなー。もはや残業じゃないよコレ」
残業手当てはしっかり付くのはいいけどねー、と皮肉っぽい笑みを浮かべる。
( ・∀・)「第一この会社って何をやってるのかイマイチ
わかんないんだよなぁ。それが判れば仕事にも身が入るのに」
上司から渡された書類を整理し、まとめる。モララーがしていたのは主にそのような仕事だった。
それが何の書類であるのかは、よく判らない。
専門用語、というより暗号に近い言葉が羅列してあるからだ。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:27:30.62 ID:9zd0NxyoO
- ( ・∀・)「……」
モララーは就職活動をしていた当時の事を思い出す。
あまり深く考えずに面接を受け、そのことごとくに落ち、
焦ったモララーはこの会社を選んだ。選んでしまった。
少々危険な香りがしたものの、すんなり通った事と
就職活動に疲れていたのも相まってここに決めたのだった。
無論、始めから長居するつもりはない。
ある程度のお金が貯まったら別の窓口を探そうと思っていたのだが……。
( -∀-)「挫けそうだ。早くも挫けそうだ」
僕の精神が弱いのかな、とモララーが再び溜息をつこうとした。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:28:40.18 ID:9zd0NxyoO
- その時―――。
( -∀-)キィィン…
(・∀・;)「ッ!?」
(・∀・;)(マズいっ……! ここにいたら危険だ……!)
(;・∀・)「こんな嫌な予感がする時に限って当たるんだよな、僕の勘って……。
今日はもう帰ろう……!」
モララーが急いでパソコンの電源を落とそうとした時。
誰もいない、誰も入ってこないはずの部屋のドアが、開いた。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:29:59.24 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚ー゚)ノ「よっ、こんばんは」
川 ゚ -゚)「……」
入ってきたのは二人。
一人の男と一人の女。
どちらも黒を基調としたスーツ姿。男は勿論、女も男性用のスーツだ。
男の方はボサボサの黒髪で気さくにモララーに手を挙げて挨拶している。
女の方はストレートロングの黒髪でこちらは無愛想だ。
(;・∀・)「あ、あなた達は……?」
(,,゚Д゚)「おう、そうだったな。俺はギコだ」
川 ゚ -゚)「クールだ。クーで良い」
( ・∀・)「あ、どうも。モララーです」
(;・∀・)(って普通に自己紹介しちゃったよ。まさか答えが帰ってくるとは思わなかったし……)
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:31:26.70 ID:9zd0NxyoO
- (;・∀・)「あ、あの、今日は何用で……」
(,,゚Д゚)「しっかし一人だけとは都合がいいな。なあ? クー」
川 ゚ -゚)「そうだな、難しく考える必要がない」
(;・∀・)「あのー……」
(,,゚ー゚)「これも俺の日頃の行いがいいからかなぁ?」
川 ゚ -゚)「ほーう。そのような口がよく利けたものだな」
(,,゚Д゚)「む、何だよ? 何か文句あんのかよ?」
川 ゚ -゚)「大ありだ」
(;・∀・)「あのー、もしもーし」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:33:06.02 ID:9zd0NxyoO
- 川 ゚ -゚)「例えば前回の仕事の時とかな」
(,,゚Д゚)「あ? 俺は前は何もミスって無いぞ?」
川 ゚ -゚)「仕事はな。私が言っているのは車の事だ」
(;゚Д゚)「あっ……!」
川 ゚ -゚)「君はすぐ済むからと言って依頼先の近くに違法駐車をした。
そして仕事が終わって戻ってみたら見事に無くなっていたな」
(;゚Д゚)「いや、その」
川 ゚ -゚)「お陰でレッカー車代を含む罰金を支払う羽目になってしまったんだが?」
(,,゚Д゚)「……あんな時だけ真面目に働きやがる警察が悪いんだよ」
( ・∀・)「何この放置プレイ」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:34:24.27 ID:9zd0NxyoO
- 川 ゚ -゚)「ほう。つまり自分は悪くないと?」
(;゚Д゚)「いや、何て言うか……、た、たまたまだよ! 運が悪かったんだ!」
川 ゚ -゚)「そうか。では前々回の依頼の時もそうだという事か?」
(;゚Д゚)「ぜ、前々回? 何かしたっけ……?」
川 ゚ -゚)「お屋敷でのボディーガードの仕事だよ」
(,,゚Д゚)「ボディーガード……」
(;゚Д゚)「……はっ!?」
( ・∀・)(今日の晩ごはん何にしようかなー)
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:36:16.93 ID:9zd0NxyoO
- 川 ゚ -゚)「お屋敷に忍び込んできた賊を倒している間にテンション上がってきたお前は
狭い廊下で鎖を振り回していたんだよな」
(;゚Д゚)「あうあう……」
川 ゚ -゚)「そしたら『パリーン』とかいう音が聞こえて
何事かと思ったらそこには高そうな壷が……」
(;゚Д゚)「きゅ、急にザコが来たので……」
川 ゚ -゚)「弁償はしないで済んだものの、変わりにただ働きになってしまったよな?」
(;゚Д゚)「あばばばば」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「あ、次から話が先に進みますんで」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:37:25.62 ID:9zd0NxyoO
- 川 ゚ -゚)「まだあるぞ。あれは前々々回の……」
(;゚Д゚)「判った! 判ったからもういい! 一体どんだけ覚えてんだ……」
川 ゚ -゚)「ワシのネタは108個まであるぞ」
(;゚Д゚)「もういいっつってんだろ!!」
(゚Д゚,,)「おい! そこのお前!」
(;・∀・)つ旦~「えっ!? あ、はい!」
(;・∀・)ズズ…(ようやく終わったのか、あの漫才……)
(,,゚Д゚)「お前に聞きたいことがある。……つーかなかなか肝が据わってんな、お前」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:38:32.70 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「お前、ここの社員だろ?」
(;・∀・)「あ、はい。そうですが……」
(,,゚Д゚)「よし。それでな、お前はこの会社がどんな事をしているのか知っているか?」
(;・∀・)「え? えーと……」
川 ゚ -゚)「……知らないみたいだな」
(,,゚ー゚)「知りたくないか? ここが実は裏でどんな事をしているのか」
( ・∀・)「……やっぱり、マトモではないんですか?」
(,,゚Д゚)「マトモに会社やってるところに俺達みたいなのが来ると思うか?」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:39:40.29 ID:9zd0NxyoO
- ( ・∀・)「……」
( ・∀・)(……この会社が怪しいのは事実だけど、
だからと言ってこの人達が正しいと言うわけでもないし……)
川 ゚ -゚)「……悩んでいるようだな」
川 ゚ -゚)「……」
(゚Д゚,,)「……」
ギコとクーの視線が一瞬交わる。
その時。
( -∀-)キィィン…
(;・∀・)「……!!」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:40:41.22 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「まあ聞くだけ聞いてみなよ」
(;・∀・)「……」
モララーは二人に気付かれないように椅子を軽く引き、足に力を入れる。
(,,゚Д゚)「実はこの会社はな…………っとお!!」
(;・∀・)「!!」
ギコは話の途中で、ノーモーションで隠していた鎖をモララーに向けて打ち出した。
だがモララーはギコが鎖を投げるより少し早く、後方に飛ぶようにして自ら地面に倒れ込んだ。
(,,゚Д゚)「!」(゚- ゚ 川
鎖はモララーの少し上をかするようにして飛んでいった。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:41:44.02 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)(躱した? 普通の社員じゃなかったのか……?)
(,,゚Д゚)「チッ! クー!!」
川 ゚ -゚)「判っている」
ギコとクーが同時に動き出す。
(,,゚Д゚)「ったく、面倒な事になったな」
川 ゚ -゚)「やはりギコの日頃の行いが悪かったせいだな」
(,,゚Д゚)「あーもう判ったから! 判ったから言うな!」
(;・∀・)(あわわわ……。い、一体何がなにやら……)
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:42:47.50 ID:9zd0NxyoO
- 川 ゚ -゚)「ハッ!!」
(;・∀・)「うわぁっ!」
気合一閃。重厚な拳が繰り出される。クーのかけ声に合わせてデスクが崩れ落ちた。
(,,゚Д゚)「おいおいクー。出来るだけ怪我させないように捕まえろよ?」
川 ゚ -゚)「勿論判っているさ」
(,,゚Д゚)「じゃあ何で机を真っ二つにするんだよ……」
川 ゚ -゚)「やる気のあらわれ」
(;・∀・)「や、やる気で真っ二つにされてたまるか……」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:43:54.86 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「そぉい、そぉい、そぉぉぉぉい!!!」
(;・∀・)「うわっ、と、ひゃあ!!」
モララーに向けて鎖が高速で発せられる。
だがモララーはその全てを間一髪で逃れていた。
(,,゚Д゚)(うーん、随分お粗末な体捌き……。どう見たって素人なのに何で避けられるんだ?
まるで鎖が飛んでくるところがあらかじめ判っているかのような……)
川 ゚ -゚)「ギコ」
(,,゚Д゚)「んあ?」
川 ゚ -゚)「このままでは埒があかない。一気に行くぞ」
(,,゚Д゚)「あー、まあしょうがないか」
川 ゚ -゚)「という訳だ。少々手荒になるが許せよ……!」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:45:26.38 ID:9zd0NxyoO
- (;・∀・)(……あれ? 鎖が飛んでこなくなった?)
先程まで何とか避けていた鎖がぴたりと止んだ。机割りパンチも降ってこない。
まあ、だからといってあの二人が動くのも止めた訳ではないので
モララーは逃げ続けなければならなかったが。
(;・∀・)(諦めたって感じでも無いから……、チャンスを窺っている?)
不安を感じたものの、逃げ回るのに精一杯なこの状況ではどの道どうしようもない。
(;・∀・)(そんな事より……)
モララーは走りながらもチラリと、二人が入ってきたドアの方を見る。
(;・∀・)(こんな狭いところでいつまでも逃げ切れる訳ない……。
何とか隙を見つけて外に出なきゃ……)
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:47:00.22 ID:9zd0NxyoO
- モララーが何とかこの場を切り抜けようと考えた次の瞬間―――!
川 ゚ -゚)「あてっ」
クーが足をくじいて、走っていた勢いそのままに前方に吹っ飛んだ。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:47:39.86 ID:9zd0NxyoO
- (*・∀・)「チャ、チャーンス!!」
その瞬間を発見したモララーは今しかないと思い、一目散にドアの前に飛び込む。
が。
川 ゚ -゚)「なんちゃって」
(・∀・;)「え!?」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:50:41.52 ID:9zd0NxyoO
- クーは水泳の飛び込みのような格好で倒れかかっていた。
腕も、指もピンと伸ばした状態。やがて手の先が地面に接触する。
そこで、クーは指先を丸め込むようにする。
それから手首、肘、頭と順に巻き込む。
前転受身。
地面との接触の際の衝撃を分散させる体捌きだ。
だが、これはただの受身ではなかった。
通常ならそのまま地面に背中をつけるのだが。
クーは手のひらを両手とも地面にピッタリとつける。
回転する体。足の裏側が進行方向に向けられた時。
手のひらで地面を押し出し、前方へ加速させた。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:54:33.58 ID:9zd0NxyoO
- 加速した先にあるのは一つのデスク。
クーは両足を一度畳み、勢いのついた体ごと、デスクを押すように蹴りつけた―――!
(;・∀・)「ッ!!」
デスクはモララーの前を滑るように吹き飛び、ドアに激突する。
これではデスクが邪魔してすぐに脱出できない。
(;・∀・)「そんな……」
しばし呆然とその光景を眺めるモララー。
その背後に。
(,,゚Д゚)「余所見してる場合じゃないぜ」
(・∀・;)「しまっ……!」
目と鼻の先まで近づいた、ギコが立っていた。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/07/14(月) 21:57:13.83 ID:9zd0NxyoO
- (,,゚Д゚)「『蜘蛛』」
その言葉がモララーに聞こえた時には。
蜘蛛の巣のように形作られた鎖が、目の前にあった。
(;・∀・)「うわぁっ!!」
鎖がモララーに覆い被さる。
どうにか抜け出そうとして足掻いてみるものの、
鎖が体にまとわりつくようになっていて離れない。
そんな四苦八苦しているモララーの頭に、ポンと手が置かれる。
ビクッとするモララー。
ジタバタするのを止めるモララー。
そーっと後ろを振り向くモララー。
(,,゚ー゚)「さて、鬼ごっこはおしまいだ」
泣きたくなるぐらい優しい声をかけられたモララーは、がっくりと肩を落とすのだった。
→第二話-bに続く?
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