( ^ω^)荒野のサムライ×ガンマンのようです
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:15:19.26 ID:GpCr1wKB0
( ^ω^)荒野のサムライ×ガンマンのようです
1st Lesson : 昼下がりの決闘
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:19:49.17 ID:GpCr1wKB0
――セント・ジョーンズ・シティ、広場。
陽も西に傾きかける街。
広場の中央には、ふたつの人影があった。
川 ゚ -゚)「呆れるな。
結局、やる気なのは変わらんか」
小柄な女は、クー。
ポンチョとカウボーイハットは脱ぎ去り、革手袋の感触を確かめる。
白いシャツの胸元から首までを飾るのは、鮮やかなブルーのスカーフ。
('A`)「……ニホンジン、だか姫だか何だか知らねえがな。
小娘二人にコケにされ通しじゃ沽券に関わるんだよ」
痩せぎすの男は、ドクオ。
表情は無気力そのもの、しかし所作に隙はない。
長い腕をゆらり、と揺らしホルスターを撫でる。
('A`)「俺が勝ったら、その時は分かってんだろうな?
サルーンのカウンターでストリップ、その後は……」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:24:05.93 ID:GpCr1wKB0
- ('A`)「……」
(*'A`)「お、俺たち全員の……その……何だ。
あれだ……あ、アレ」
川 ゚ -゚)「くどい。ストリップだろうが私に跨ろうが、何でも好きにしろ」
(*'A`)「……あ、安心しろよ。殺しゃしねえ。
き、利き腕一本で、勘弁してやるからな」
川 ゚ -゚)「分かったから、その歯切れの悪い喋りを止めろ。
赤面するのもだ。気色悪くてかなわん」
( A )「……」
一瞬、えも言われず淋しげな表情を浮かべたドクオだが。
( A )「……面白え」
声を震わせ。
一転、凶暴な笑みを浮かべた。
(#'A`)「ハラの奥まで後悔させてやるぜ。
この"魔術師(ウィザード)"ドクオ様に歯向かったことをよ!!」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:27:41.56 ID:GpCr1wKB0
- その、少し離れた場所。
「やっちまえ、ドクオの兄貴!!」
「ヨソモンのクソ女なんざ、ドタマぶっ飛ばしちまえ!」
ガラの悪い男共の集団に囲まれ。
デレは天を仰いだ。
ζ(-、-;ζ「姫さま。お願いだから、負けないでね……ううっ」
(* ^Д^)「なに、そうカタくなるこたぁねぇよ。
あいつが負けたら、た〜〜〜っぷり可愛がってやっからな。
な、世間知らずのお嬢ちゃん?」
ζ(゚−゚#ζ「じ、じろじろ見るの、やめて下さいッ。
保安官さん、呼びますよ!!」
( ^Д^)「呼んでもいいけどよ。今はいねぇぜ?
あのヤロー、最近とみに留守がちなモンでな。なっ」
(=-ω-)「だょぅ」
ζ(゚−゚;ζ「……」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:30:37.15 ID:GpCr1wKB0
- ( ^Д^)「ま、運のツキだったと思って諦めな。
あのキショいツラだけどよ、"魔術師"ドクオさんの腕はハンパねーぜ?」
ζ(゚、゚;ζ「ま、魔法使い……」
(; ^Д^)「ち、ちげーよ! 魔術師だよ魔術師!!」
ζ(゚、゚;ζ「!?」
(=゚ω゚)ノ「ま、見てるといいょぅ。兄貴のウデは、顔からは想像も付かないょぅ?」
( ^Д^)「ツラはきめぇし女とロクにクチもきけねえ小心者だけどよ。
ドクオさんは、ヤル時ゃヤル男だぜ。な? イヨウ」
(=-ω-)「そうだょぅ、プギャー。
ドクオの兄貴は西部最強だょぅ! 顔面以外はょぅ」
ζ(゚、゚*ζ「……」
ζ(゚−゚*ζ(この人たち……ホントにあの人、慕ってるのかなあ)
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:35:16.49 ID:GpCr1wKB0
- そちらで交わされる会話もつゆ知らず。
"魔術師"ドクオ、静かに姿勢を正した。
('A`)「来いよ。
俺は、いつだって構わねえぜ」
クーに相対し、直立。
足は肩幅ほどに開き、やや膝を曲げ身を沈める。
川 ゚ -゚)「……」
脱力した上体から伸びる、その長い腕。
左手は折り曲げ、バックルのちょうど前。
そして右手は、右腰のガンベルトへ。
収められた拳銃はクーの腰のそれと同じ。
しかし銃身は、彼女のそれよりも一回り長く。
――西部を切り拓いた銃。
コルト・シングル・アクション・アーミー。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:38:52.30 ID:GpCr1wKB0
- 川 ゚ -゚)「……"魔術師"か」
クーは、未だ構えず。
静かに独りごつ。
川 ゚ -゚)「どんな奇術を見せてくれるかと思えば、中々」
不恰好なだけに見えた細長い四肢は、鞭のようにしなり。
全身に力みはなく、それでいて気力は張り詰める。
――まさに鯉口を切らんとする剣客、そのもの。
川 ー )「剣客の様は、かくや。
奴が、私に幾度も語って聞かせた通り……か」
何を思ってか、笑みをこぼす。
そして、彼女も、動いた。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:42:34.02 ID:GpCr1wKB0
- 左足を、半歩前へ。
ドクオよりも大きく膝を曲げ、腰を落とす。
そして、腰を――正面のドクオに向かって突き出すように反らせ、浮かせた。
上半身はそれにつられ、自然と反り返るような姿勢。
革のベストに絞られた胸の盛り上がりが、緩やかな曲線を描き出した。
九十度に曲げた両腕で、右腰のホルスターを包み込むように。
構える。
('A`)「……」
己のもの、すなわち、ほぼ全てのガンマンが取る早撃ちの姿勢とは。
常識とは余りにもかけ離れた姿勢に、ドクオは細い眉を吊り上らせた。
('A`)「なんだ、そりゃ。
ジョークか? それとも、俺に突っ込まれる準備でもしてんのか?」
川 ゚ -゚)「どちらも、違うな。
これが私の構え、"西川流剣術"の構えだ」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:44:53.86 ID:GpCr1wKB0
- ('A`)「……」
('A`)「お前の言うことはさっぱりだが……なおさらブチ込みたくなったぜ。
ただし、鉛玉の方をな」
言葉は、それきりで終わる。
白く照りつける太陽の元。
二人の銃士の影は微動だにせず、白い土肌に灼き付いた。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:46:37.11 ID:GpCr1wKB0
- 「……なあ」
「ああ。……決まるぜ」
観衆の野次は引き。
ただ小声の会話を交わし、立ち尽くす二人を見る。
( ^Д^)「ドクオさんが、負けるワケねぇ。
やっちまえ……あの、ワケ分かんねえクソ女を」
(=゚ω゚)「そうだょぅ。ボクだって、信じてるょぅ」
後は、ただ。
勝利を願うのみ。
ζ(-、-;ζ「……姫さま……っ!」
デレは両手を握りしめる。
目を瞑り、勝利を祈った。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:50:24.23 ID:GpCr1wKB0
- ('A`)「……」
ガンベルトに添えられたドクオの手。
何かを計るように、時折ぴくり、と震える。
川 ゚ -゚)「……」
対するクーは、悠然。
不安定な姿勢でありながら微動だにせず、そよぐ風に髪を揺らさせる。
――対峙。
体格、性別、そして構え。
何もかもが違う二人。
だが何にもまして。
対照的なのは、眼光。
猛禽類のように、射抜くが如く。クーの隙を窺うドクオ。
茫洋、とすら言える視線で、ドクオの顔、その遥か後ろを見るクー。
('A`)(……何だ、こいつ)
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:54:18.11 ID:GpCr1wKB0
- 今までに戦ったことのある、どんな相手とも違う。
何もかもが。
('A`)(何を見てやがる……?)
わずかな躊躇。
顔にも手にも、表したはずは。
川 - )「――」
なのに、見透かしたかのように。
女の手が。
ゆるゆると、動く。
(;'A`)(!!)
ドクオの頬を。
噴き出した汗が一筋、伝った。
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:56:55.74 ID:GpCr1wKB0
- (; A )
その雫が、顎を伝い落ち。
乾いた地面に落ちて砕けそして小さな黒い染みを残し――
(#゚A゚)「はッ――!!」
呼気。
細い目を弓なりに見開き、手を閃かせる。
右手は滑るように最短距離を疾り、コルトS.A.A.のグリップを掴んだ。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/12(土) 23:58:42.14 ID:GpCr1wKB0
――銃声、ひとつ。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:03:17.73 ID:ncN79W/I0
(;゚A゚)「がッ……!!」
崩れ落ちたのは、ドクオ。
拳銃を取り落し、太腿を押さえて膝をつく。
もうもうと煙を吐く銃口は、クーのコルトS.A.A.、アーティラリー。
それを、横倒しに腰の横に構え。
川 ゚ -゚)「……ふぅ、っ」
彼女は静かに息を吐き、ドクオを見た。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:07:35.89 ID:ncN79W/I0
- (;゚A゚)「っ、く!」
悟る。
あの、姿勢。腰を突き出した妙な構え。
ひねり抜き、水平に構えて発射した拳銃。
全ては、早く抜くための技。
腰を突き出した分、ガンベルトには角度が付き銃口は相手に近くなる。
そして、直立するよりも前の位置に。
普通の構えであれば、抜いて、それから撃つ。
角度を付けた銃身を捻って引く一動作を、それに代えた。
――ふざけやがって。
悪態はしかし、口を出ず。
自信を打ち砕かれ、沈んだ。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:13:01.69 ID:ncN79W/I0
- 観衆の間に、落胆と怒りの。
そして一部、驚愕の声が広がる。
(;=゚ω゚)「……!」
(; ^Д^)「ま、マジかよっ?」
ζ(゚ー゚;ζ「あ……ああ。
良かったぁ……」
肩に置かれたままのプギャーの手を振り払い。
デレ、ようやく胸を撫で下ろす。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:15:36.05 ID:ncN79W/I0
- 川 ゚ -゚)「私の勝ちだ。文句はないな」
(; A )「……」
ドクオは幾度か立ち上がろうとするが、諦め。
地面に座り込む。
(;'A`)「……へッ。殺すなり吊るすなり、好きにしろよ。
なんなら、裸に剥いて馬小屋に放り込むか?」
川 ゚ -゚)「下らん。
言ったはずだ。人を探しているだけだと」
(;'A`)「……っ」
川 ゚ -゚)「知っているのか、知らないのか。それだけを教えろ。
与太話にも、お前の命にも興味はない」
(;-A-)「……」
(;'A`)「悪いな。知らねえよ」
川 ゚ -゚)「そうか」
短い返事。
わずかに、落胆にじませ。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:22:26.23 ID:ncN79W/I0
- 川 - )「…………」
川 ゚ -゚)「これに懲りたら、もう私たちに構うな。時間の無駄だ」
(;'A`)「てめえらみてえのは、こっちから願い下げだよ。
恥かかせてやろうと思えば、逆に、女に負かされてよ……冗談じゃねぇ。
とっとと、失せやがれ」
気力なく、言い返す。
(;-A-)「……」
(;'A`)「……なあ」
ややあって。
ためらいがちに。
(;'A`)「何だ、あのふざけた早撃ちは。
あれは、お前が考えたのか」
川 ゚ -゚)「言っただろう。"西川流剣術"だと。
名前などない。強いて言うなら……居合抜き、だな」
(;'A`)「イアイ・ドロウ……?」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/13(日) 00:25:19.93 ID:ncN79W/I0
- 川 ゚ -゚)「次からは、喧嘩を売る相手は見た目で判断するなよ。ではな」
ドクオ、ぎり、と。
奥歯を噛み締める。
(; A )「待てよ……お前が探してる人間は、知らねえ。
だがよ、知ってそうな奴の心当たりはある」
川 ゚ -゚)「誰だ?」
(;-A-)「ここの、保安官さ。
いけすかねえ奴だが、顔は広い」
川 ゚ -゚)「……」
(;'A`)「あちこち遊び回って、ロクに帰ってこねえ職務怠慢野郎さ。
だが、運が良ければ会えるかもな」
川 ゚ -゚)「そうか。一応、例は言う」
短く答え背を向ける。
ざわめく観衆をかきわけ、両腕を広げたデレが、また。
涙目で走って来るのを見やり、肩をすくめた。
- Lesson 1 : 終
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