( ^ω^)ルート4649のようです
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:29:15.85 ID:AgPXbt8x0
 
―序章―


生きてるという実感がないままオトナになろうとしていた。


虫取り網を持って山へ向かっていたあの頃と、何が違うのか。
それでもこの国では、ある年齢を迎えると強制的にオトナとなるのだ。


いったいいつまでこの無意味な行進を続けなくてはならないのだろうか。
隣を歩いている誰にも、きっとそれはわからない。

どうして僕は生まれて、どうやって死ぬべきなのか。
オトナはみんな閉口し、それから作り笑いを浮かべて、いつかわかるよと言う。

この世界はどうやら錯乱している。
あるいは、僕の頭が既に腐り始めているのだろう。

どうしてこうなってしまったのだろう。
変わっていったのは、景色だけではなかった。


―序章 終わり―

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:31:21.59 ID:AgPXbt8x0
 
―本章―


 「起きろ」



( ^ω^)


 「お…こいつ目を覚ましたぞ」

 「こっちにも人がいるぞ」

 「もぉー、暑いんだけどー」


( ^ω^)


(^ω^ )

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:33:53.61 ID:AgPXbt8x0
( ^ω^) (暗い……)


  _
( ゚∀゚) 文句言うなって

ミセ*゚−゚)リ クーラーとか無いワケ?
  _
( ゚∀゚) あのなあ……



目が慣れてくると、薄暗い部屋(?)の中に、数人の男女がいるのが見えた。

一人の派手な化粧の女が、さっきから暑い暑いとわめいている。
ガタイのいい短髪の男が、めんどくさそうな顔で女をなだめていた。


( ^ω^) (……ここは…?)

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:36:52.52 ID:AgPXbt8x0
 

 「ねえ、大丈夫?」


( ^ω^)


ζ(゚ー゚*ζ 怪我とか無い?


ゆるいパーマをかけた女が、座り込んだままの僕を覗き込んできた。
若い、たぶん僕と同じくらいの歳だ。


( ^ω^) ここは…

ζ(゚−゚*ζ んー…もしかして、何も覚えてない?


上半身だけを動かして、もう一度辺りを見回す。
かなり広い部屋だ。小学校の体育館くらいの広さがありそうだった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:40:40.16 ID:AgPXbt8x0
 
床の手触りからして、コンクリート造りだろうとわかった。

空きビルの一室という感じだが、窓は見あたらない。
天井からぶら下がっている非常灯のようなぼんやりとした光だけが光源だった。



( ^ω^) 覚えてないお

ζ(^ー^*ζ じゃあ、私たちと一緒だ

( ^ω^) (笑ってる場合じゃねえだろ)


真っ先に思い浮かんだのは「誘拐」。

誰かが拉致して、ここに連れ込んだということ。
でもいったい誰が、どうやってこの人数を―――――何のために。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:44:33.93 ID:AgPXbt8x0
( ・∀・) 全員起きたぜ

長身のスリムな青年が、目を覚ました者たちを連れて、僕の元へやってきた。


ζ(゚ー゚*ζ ゴクロー

女は軽い口調で彼をねぎらう'ふり'をした。

  _
( ゚∀゚) よし…じゃあ、一度整理しようや


筋肉質の男が僕の前にどかっと尻をおろすと、周りの者もその場に座った。
床の上で丸く集まると、全員の顔が見渡せた。


( ^ω^)


( ^ω^) (みんな若いな…)

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:47:46.50 ID:AgPXbt8x0
( ・∀・)

ミセ*゚ー゚)リ
  _
( ゚∀゚)

(゚A゚* )

ζ(゚ー゚*ζ

(,,゚Д゚)

(´・ω・`)

('A`)

(-@∀@)



ほとんどの者が二十歳前後の年齢に見えた。
なかには中学生くらいの女の子もいた。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:52:08.53 ID:AgPXbt8x0
 
( ・∀・) 十人ね。結構多いな



( ^ω^) ……



ζ(゚ー゚*ζ あー、そういえば名前聞いてなかった

ミセ*゚−゚)リ 名前ー?それって必要?

ζ(゚ー゚*ζ だって、どう呼べばいいかわかんないじゃん

ミセ*゚−゚)リ 名前言いたくない人がいたら?

ζ(゚ー゚*ζ 偽名で!

ミセ*゚ー゚)リ あっそ。じゃあ私のことはテイラースウィフトって呼んで

ζ(゚ー゚;ζ あからさまは駄目だよー

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:54:42.38 ID:AgPXbt8x0
女の子たちは場にそぐわない雰囲気の会話をしていた。


  _
( ゚∀゚) 名前は必要だな。俺はジョルジュ。大学生だ。んじゃ時計回りで


ζ(゚ー゚*ζ えっとー、じゃあ私はメロンパンナで!

ミセ*゚−゚)リ はいつまんないから没ー

ζ(゚、゚*ζ えー…じゃあデレでいい…

ミセ*゚ー゚)リ 私はミセリね。フリーター


('A`) ドクオ……

(-@∀@) あさぴー

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 20:57:03.97 ID:AgPXbt8x0
 

華やかな女の子のあとに、暗そうな声が二人分響いた。


ドクオは誰とも目を合わせない、挙動不審気味な男だった。
今にも消え入りそうな声も合わせて、根暗そうな印象を受けた。



あさぴーは……真面目くんって感じだ。
修学旅行のしおりは必ず三回は目を通します、みたいな。



( ^ω^)


ζ(゚ー゚*ζ ねえ、君だよ?


デレが上目遣いで、子猫のような笑みをこぼす。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:00:26.91 ID:AgPXbt8x0
( ^ω^) ブーンだお。高校生


ζ(゚ー゚*ζ え、本当!?私もだよー。三年生?

( ^ω^) そうだお

ζ(゚ー゚*ζ わーい、一緒!


( ・∀・) あとであとで。次お願い


(,,゚Д゚) ぎ、ギコ・ハニャーンだ。んー、アルバイト


ギコはこの中では割と年上だろうと思った。
少しちゃらそうな感じがするが、イマドキの若者といえば、ただそれだけという気もする。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:02:24.68 ID:AgPXbt8x0
(゚A゚* ) の、のーちゃん……中学生




ζ(゚ー゚*ζ ねえ、その制服って○△中じゃない?

(゚A゚* ) そうやけど…

ζ(゚ー゚*ζ わー当たった!


( ・∀・) どこ、それ?

ζ(゚ー゚*ζ 関西のお嬢様学校だよ!制服がちょーーー可愛いんだ!

ミセ*゚ー゚)リ あ、知ってる。偏差値たけーんだよね

(゚A゚* ) え……いや……ウチは別に…

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:06:17.37 ID:AgPXbt8x0
 
(´・ω・`) 自己紹介してもいいかな


女の子に食いつかれたのーちゃんがあたふたし始めたとき、
タイミングよく次の男が声を上げた。


( ・∀・) どうぞー


(´・ω・`) ショボーンだ。会社員


物腰柔らかな落ち着いた態度だっだ。
社会人の余裕というやつだろうか。


( ・∀・) 最後、俺ね。モララー。短大生。これでも保育士希望

ミセ*゚ー゚)リ えー見えねーって!

( ・∀・) うるせえ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:08:02.93 ID:AgPXbt8x0
 
  _
( ゚∀゚) ジョルジュ 大学生

ζ(゚ー゚*ζ デレ 高校生

ミセ*゚ー゚)リ ミセリ フリーター

('A`) ドクオ

(-@∀@) あさぴー

( ^ω^) ブーン 高校生

(,,゚Д゚) ギコ・ハニャーン フリーター

(゚A゚* ) のーちゃん 中学生

(´・ω・`) ショボーン 会社員

( ・∀・) モララー 短大生

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:12:55.19 ID:AgPXbt8x0
 
  _
( ゚∀゚) 最初に聞くけど、ここに来るまえのこと、何か覚えてるやついないか?



( ^ω^)


( ・∀・) 誰も、何も、覚えてない感じ?

ζ(゚ー゚*ζ あのね、スティッチの散歩してたと思う

ミセ*゚−゚)リ はー?あの宇宙人?

ζ(゚ー゚*ζ ダックスフンド!


(´・ω・`) 気がついたらみんなここにいた。何故ここにいるのかわからない。記憶が無い
      もちろんここがどこだかも知らない。で、どうする?

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:16:04.81 ID:AgPXbt8x0
 
(゚A゚* ) …ウチ、家帰りたい…

ミセ*゚−゚)リ 私もだしー



( ・∀・) 俺、トーキョーに住んでるんだけど、みんなはどこだ

ζ(゚ー゚;ζ え!?

( ・∀・) だって関西の子がいるわけだろ。みんなばらばらじゃねえの?

(-@∀@) コウチ

('A`) 俺は……チバだけど
  _
( ゚∀゚) カゴシマだ。出身はオキナワだけど

(´・ω・`) へー。僕はカナガワ。どうやら僕らを拉致した奴らって、大きな組織みたいだね

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:18:24.39 ID:AgPXbt8x0
  _
( ゚∀゚) 組織?まさか…

(´・ω・`) 単独犯や、数人のグループが、こんな広範囲な犯罪できるワケがない

( ・∀・) まあ……そうか
 
ζ(゚ー゚*ζ ねーねー、君はどこ?

(,,゚Д゚) お、俺は…イワテ



( ^ω^)


ζ(゚ー゚*ζ ねえ、ブーン

( ^ω^) フクオカ…だお


( ^ω^) とりあえず、なんかこの話し合い意味なさそうだから、そこの扉から出ていかない?

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:21:07.81 ID:AgPXbt8x0
 

僕が扉を指さすと、みんなが一斉にその方向を振り返った。



( ・∀・) ……そうだな、行こうか

(´・ω・`) ここで駄弁っているよりは良さそうだ


( ^ω^)


( ^ω^) (暑いな……)


最後の記憶では今は六月の下旬、梅雨で蒸し暑い時期だ。
来ていたTシャツがじっとりと湿っていた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:27:22.64 ID:AgPXbt8x0
 
ζ(゚、゚*ζ 危ないかもよー。本当に行くのー?

( ・∀・) まあ、行くしかなさそうだし、さ?
      できれば情報収集してからにしたかったけど、確かに意味がなさそうだ



(´・ω・`) ふう……酷い湿気だ



( ^ω^) (危機感がないやつらだお…)



(,,゚Д゚) ……………あいつ

( ^ω^) ……?

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:28:50.04 ID:AgPXbt8x0
 


  ( ・∀・)




(,,゚Д゚) どっかで……

( ^ω^) どうかしたかお?

(,;゚Д゚) え、いや…何でもない。よし、行こう。きっと扉を抜ければ出口だゴルァ!

ミセ*゚ー゚)リ だったらいいけどねー



( ^ω^)



( ^ω^) (馬鹿ばっかり…)

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:31:59.55 ID:AgPXbt8x0
 /**
  *
  *4649
  *******/




扉には鍵はかかっていなかった。
開けると、目の前に長い通路が真っ直ぐに伸びていた。

非常灯のようなか細いランプが断続的に続いているその道は、あの世にでも通じているような不気味さがあった。



しばらく進む。
しばらく進む。
連なりとなって通路を進む。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:35:08.99 ID:AgPXbt8x0
 
  _
( ゚∀゚) 何だこれ?



ジョルジュが立ち止まった。

ζ(゚ー゚*ζ 何?

ミセ*゚ー゚)リ ろ…ルート…よろしく?



  ――ROUTE4649――


突然、通路脇に看板が現れた。
古びた木の看板は、田舎町の県道で雨風にやられたそれのように、ぼんやりとそこに突っ立っていた。

書かれていた文字に、デレが笑いをこぼす。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:38:07.81 ID:AgPXbt8x0
 
ζ(゚ー゚*ζ よろしくだって!よろしくー!


( ・∀・) 国道4649線みたいな?

(´・ω・`) んなアホな…

(-@∀@) 県道なら、あるかも

(´・ω・`) あるとしても、だから何なんだ


( ^ω^) 公道……



ここは公式のルートで、みんなが通る道……という、意味なのか?

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:39:42.77 ID:AgPXbt8x0
 
( ・∀・) 公道か…なるほど

( ^ω^) は?

( ・∀・) いや、いいセンスだなーと思って

( ^ω^) はぁ…


  _
( ゚∀゚) 行こうぜ


ジョルジュの一声で、また狭い通路を進み始めた。

連なりとなって、ひとまとまりに。
しばらく進む。
しばらく進む。

ルート4649。

みんなの道を。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:41:27.99 ID:AgPXbt8x0
 


 /**
  *
  *4649
  *******/




広い部屋に出た。
しかもその部屋は、今までに比べると格段に明るい。


ζ(゚ー゚;ζ トイレだー!

ミセ*゚ー゚)リ マジ!?

(゚A゚; ) あ…ウチも行きたい…

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:43:41.62 ID:AgPXbt8x0
(・∀・ ) ふーん、なんか色々あるじゃん


  _
( ゚∀゚) この部屋、換気がちゃんとされてる

( ・∀・) どこ?あー…ダクトがあるな
  _
( ゚∀゚) あそこから逃げ出せねえかな

( ・∀・) 俺たちがトカゲならいけそうねー


(-@∀@) ……

('A`)


(´・ω・`) ふうん、ほこり一つ落ちてない。造りはボロいけど廃墟ではなかったか

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:46:18.88 ID:AgPXbt8x0
 

( ^ω^) (男女共用のトイレ…)


ミセ*゚ー゚)リ はーすっきりー!


( ^ω^) (水を流せたのか…水と電気を引いてる…この部屋、ぱっと見ボロいけど、最近作ったな。
       釘にまだ錆が浮いてない。壁は…)


 コン コン


( ^ω^) ………………


< なんか置いてあるぞ


(^ω^ )

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:48:42.24 ID:AgPXbt8x0
 

(-@∀@) ほら、見て


( ・∀・) スーツケース?

(-@∀@) うん。中に封筒が、ちょうど人数分


  _
( ゚∀゚) ほー……先に見ててよ、俺もトイレ

(-@∀@) あ…僕も

(,,゚Д゚) 俺も


ζ(゚ー゚*ζ 女の子は済ませたから、さっさといっといれー


( ^ω^)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:49:41.62 ID:AgPXbt8x0
 



   封筒?




( ^ω^) (メッセージ?)


( ^ω^) 見たいお

( ・∀・) うん。一緒に見ようぜ

ζ(゚ー゚*ζ 私たちもー!

ミセ*゚ー゚)リ 何何ー?お金?


(゚A゚* ) ……お腹空いた

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:52:54.33 ID:AgPXbt8x0
 

( ・∀・)


( ・∀・) 慌てるなよ。はい、ミセリの分

ミセ*゚−゚)リ はい?

( ・∀・) 名前が書いてある。一人、一通だな



(^ω^ )


(^ω^ ) (また、扉か)


封筒は封筒で気になったが、トイレとは反対側にある扉の方に視線が向いた。

ここはルート4649。
必ずどこかへ繋がる公道―――この部屋は行き止まりではない。

それが良いのか、悪いのか、僕は知らない。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:55:07.01 ID:AgPXbt8x0
 
( ・∀・) 気になる?

(^ω^ ) 何が?

( ・∀・) あそこの扉を抜ければ、また新しい通路だろう。今度は何があるんだろうな

(^ω^ ) ただの道だろ

( ・∀・) ただの道…かな

( ^ω^) どんな道でも、今は歩くしか無いお。僕の封筒は?

( ・∀・) お…おお。はい



( ^ω^) (…?)

ぺらぺらな割に、心なしか重い。
中を開けると理解した、一枚の紙と、一つの鍵が入っていた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:56:38.10 ID:AgPXbt8x0
 

(,,゚Д゚) あ…何が入ってたんだ!

(-@∀@) 僕も見たい


( ・∀・) はいよ


ζ(゚、゚*ζ 何…これ



  _
( ゚∀゚) ……うーん


トイレから戻ってきた者たちが一斉に顔をしかめる内容だった。


( ^ω^) (仕方ないか…)

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 21:58:25.88 ID:AgPXbt8x0
 

( ・∀・) 全員、中身を見たか?



('A`) ……ああ

ミセ*゚−゚)リ 見たけど
  _
( ゚∀゚) 内容は一緒みたいだな


(,,゚Д゚) なあ、これどういう意味?

ζ(゚ー゚*ζ わかった!これドッキリじゃない!?

(´・ω・`) たぶんだが……何かのゲームのつもりだろう



( ^ω^) (ゲーム……確かに。これはまるで、ルール)

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:02:58.97 ID:AgPXbt8x0
 

  ―以下、
  紙切れに書い
  てあったナイヨウ―


  人はヒトリ たくさんいてもヒトリ だから道もヒトツ
  だからカギもヒトツ ただしルート4649だけは みんなオナジ

  自分だけのルートを通って 終わりましょう
  カギは 自分だけのもの 自分のカギは なくさないように
  ルート4649だけは みんなオナジ



( ・∀・) 封筒には名前が書いてあった。さっき調べてみたが、カギは一人一人違っていた

(´・ω・`) このカギは扉のカギなんだろう。一人一人が別々のルートを通るようにするための

(゚A゚; ) え……じゃあ、ばらばらになるの?

(´・ω・`) このルールに従うとするならだが

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:07:35.95 ID:AgPXbt8x0
 
  _
( ゚∀゚) ルートねえ。ていうか、仮にこの先ルートが別れていたとして、ばらばらになる必要あるか?
     従ったからって出られるワケじゃねえし

(,;゚Д゚) そうだ。みんな固まってた方がいい



ζ(゚ー゚*ζ んー、せっかくなら私は使ってみたい派かな!

( ・∀・) 派って…でも、俺はこの紙の内容が、それぞれのカギの合う道を選んでいけっていう指示だったら、
      従った方がいいと思うぜ
  _
( ゚∀゚) どうして?

( ・∀・) 殺すつもりだったら、俺たちとっくに殺されてる


ミセ;゚ー゚)リζ(゚ー゚;ζ


( ・∀・) 俺たちは、誰かが、何かをさせるために、集められたんだ。それに従わなかったとき、どうなるか
      こんな大規模な誘拐や、施設の準備ができる集団が本気になったら、俺たち…為す術なくね?

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:10:27.18 ID:AgPXbt8x0
 
('A`) …………


(-@∀@) じゃあ、もしもルートが別れていたら、指示通りにするっていうのは?
  _
( ゚∀゚) あぶねえよ…だって、中学生もいるんだぞ

( ・∀・) そうだけど…


ζ(゚ー゚;ζ 一人は私もいやぁぁぁ

ミセ;゚ー゚)リ はーいみんなで一緒がいいと思いまーす



( ^ω^) ばらばらでいい



 
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:12:03.85 ID:AgPXbt8x0
 
(-@∀@) …!


( ・∀・) うん?
  _
( ゚∀゚) だから…



(゚A゚; ) ウチ、一人いややって!



( ^ω^) だから、ばらばらでいいんだお。意見なんてまとまらないお
      みんながしたいようにやればいいお

( ^ω^) 話し合ったってらちが明かないお。解決できるほどの材料がないお。直感でいいんだお
      誰かに従うことはないお。自分の思ったとおりの道を行けばいいんだお


( ^ω^) (人はヒトリだから…)

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:14:38.47 ID:AgPXbt8x0
 

(´・ω・`) !


(´・ω・`) ああ、つまり君は、一緒に行動したい者は固まって、別れたい者は一人になって進めって言ってるのか


( ^ω^)


( ・∀・) まあ…そうなるかー
  _
( ゚∀゚) 危ねえと思うけど…意見がまとまらないのは、仕方ねえな


(,,゚Д゚) まあ、アレだし。ここでくすぶっててもさ!どうしようもないもんな!うん!
     お腹も減ったしなあ!

( ・∀・) 腹はともかく、水分だな。このまま時間を食うのはまずい。ブーンの案に俺は賛成だが、みんなは?

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:19:36.88 ID:AgPXbt8x0
 
(-@∀@) ……まあ


ζ(゚、゚*ζ 私はいいけど……一人でも

ミセ;゚ー゚)リ えー!一緒に行かないの!?

ζ(゚ー゚;ζ だ、だって…もしもこれが本当に'ルール'だったら…


(´・ω・`) 破ったら、'罰'があるかもね


ミセ;゚ー゚)リ ……………

(゚A゚; ) ……………


('A`) 賛成。ちなみに俺は一人で行く


  _
( ゚∀゚) でも、ま、ルートが別れているって決まってる訳でもねえし、とりあえず、進むか

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:21:01.66 ID:AgPXbt8x0
 
そう、まだ断定は出来ない。
とりあえず据え置きにしておいていい。



( ・∀・) ああ。行こう


先に進める扉を開けた。

薄暗いルート4649が、再び僕らを迎えた。




 /**
  *
  *4649
  *******/

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:23:41.55 ID:AgPXbt8x0
 

カギを入れた封筒をポケットに押し込んで、通路を進み続けた。


先頭は何となく、ジョルジュ。
彼はもしかしたら格闘技の類か何かをしているのかもしれない。

袖の短めなTシャツから、盛り上がった筋肉が自慢げに空を切る。



( ^ω^) (どれだけでかいんだ、この建物は)



しばらく無言のまま歩いた。

薄暗い通路を、名前程度しか知らない者たちがひたすら行進を続ける。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:24:58.44 ID:AgPXbt8x0
 


人生ってこんなものかもしれない。



  _
( ゚∀゚)  ( ・∀・)

ζ(゚、゚*ζ ミセ*゚−゚)リ (゚A゚* )

(´・ω・`)

(-@∀@) ('A`)

(,,゚Д゚) ( ^ω^)


決して腹の内を明かさない集団が、ただ同じ方向を、ただ同じ速度で歩いているだけ。



みたいな。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:26:19.70 ID:AgPXbt8x0
 


( ・∀・) ……お


  _
( ゚∀゚) あー……



そして、不意に向きを変えて、別れていくんだ。


ζ(゚ー゚;ζ えー…マジ

ミセ;゚ー゚)リ もー、やだぁー




( ^ω^) (こんな風に…)

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:32:45.87 ID:AgPXbt8x0
 
(´・ω・`) さて、どうするかな?



横に細長い空間に、扉が十個並んでいた。


ご丁寧に、扉の前に可愛い看板がぶら下がっていて、それぞれ名前が書いてある。

これは僕たちそれぞれの'ルート'なんだ。



( ・∀・) ……間違いないみたいだな


モララーは自分の持っているカギが、自分の扉にしか入らないことを確かめていた。


( ・∀・) さて、お別れかも

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:34:48.66 ID:AgPXbt8x0
 
ミセ;゚ー゚)リ やだ!

( ・∀・) ミセリの他に、複数で進みたいってやつはいるか?

(゚A゚; ) わ、私が…

ミセ;゚ー゚)リ ね!ね!一緒に行こう!


ζ(゚ー゚;ζ ………



('A`)  (-@∀@)


(´・ω・`) 君は?


(,;゚Д゚) お…女の子だけ?それは、危ないし…俺も、一緒に…

( ・∀・) 決まりだな

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:35:55.53 ID:AgPXbt8x0
  _
( ゚∀゚) はぁー…俺も一緒に行くよ

ミセ*゚ー゚)リ やったー!

(,;゚Д゚) え?

ミセ*゚ー゚)リ あんたがいたら安心!ね!

(゚A゚* ) う、うん…

(,;゚Д゚) えー……俺のときと反応ちがくない?



( ^ω^)


( ・∀・) ……それじゃあ、進もうか


ミセ;゚ー゚)リ ……うん

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:38:03.60 ID:AgPXbt8x0
 
(゚A゚* ) ウチのカギ、つこてええ?
  _
( ゚∀゚) ああ。何でもいいよ



( ^ω^) たぶん、また出会うお

( ・∀・) へー、何で?

( ^ω^) ルート4649は、きっとまだ続くお

( ・∀・) だといいな。んじゃな


(´・ω・`) みんな。気をつけて。僕はこれがテレビ局のしくんだ悪質なドッキリだと祈ってるよ

ミセ;゚ー゚)リ じゃあね…

ζ(゚ー゚;ζ うん…また会えたらいいね…

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:39:58.95 ID:AgPXbt8x0
( ^ω^)



カギを取り出すのにもたついている'ふり'をして、その場に最後までとどまった。




 ガチャ バタン ガチャ ガチャ  バタン ガチャバタン ガチャ バタン




一人一人、扉の奥へ消えていく。
みんなの姿が名残惜しい訳ではない。


ただ少しだけ予感を覚えていた。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:40:35.58 ID:AgPXbt8x0
 



( ^ω^)



 ガチャ



( ^ω^)



 バタン




何となくだけど、たぶん、この中にもう会えない人がいるんだろうなと。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:43:04.82 ID:AgPXbt8x0
 

何となく、そう思っただけだ。



 /**
  *
  *4649
  *******/




'僕のルート'のルートは、真っ直ぐな4649と違って、斜めに曲がったり、下ったり上ったり、忙しない道だった。
曲がりくねった道や、螺旋階段を上るうちに、方向の感覚が狂っていった。

いったいどの方角からやってきて、どこへ行こうとしていたのか。



( ^ω^)

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:45:59.59 ID:AgPXbt8x0
 

そもそも、何故ここにやってきた。
何故僕たちは出会った。
何故僕たちは進んだ。
何故僕たちは別れた。


どこからやってきて、どこへ行こうというのだ。
いつだってそうやって進んできて、そして今もそうやって進んでいる。



( ^ω^)



一人で進んでいると、足音が少ない分、静寂が目立った。

自分の足音が他の者の足音と混ざらないので、歩くという感覚がより如実に感じられた。
そう、今僕は歩いている。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:48:10.20 ID:AgPXbt8x0
 
前に進んでいる。


それは一つの希望だった。

この世界の物事は全て有限なのだから、たどり着けるかどうかは別として、
終わりへと近づいていることは確かなのだ。



それは間違いなく希望だ。


( ^ω^)


げんに、今出口らしき扉を目の前に捉えた。

細長い通路の奥に、小部屋程度の広さと、カギのついた扉が見える。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:50:23.82 ID:AgPXbt8x0
 
( ^ω^) (僕のルートは終わったか…)


カギを手に取り、鍵穴に入れようとしたとき、ふと部屋の隅にあるものに目がとまった。



( ^ω^)



( ^ω^) ガス……マスク?



博物館の展示品で、ショーケースに入れられた古代の化石なんかがあるだろう。
ちょうどあんな感じで、頑丈そうなクリアケースの中に鎮座する、でめきんのようなガスマスクを見つけた。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:52:19.76 ID:AgPXbt8x0
 

( ^ω^)


ケースにはカギがついていた。

僕は迷わずケースに歩み寄り、鍵穴にカギを突っ込んだ。


ちょうど同じとき、部屋の四隅から空気の抜ける音が聞こえた。
温泉地帯のような乳白色の煙がもくもくと立ち上る。



カギが外れた。
ガスマスクを手に取り、慎重に顔に合わせる。

やや圧迫された感じはあるが、呼吸には問題ない。


視界が、白く染まっていく。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:54:53.47 ID:AgPXbt8x0
 

( ^ω^)




( ^ω^) (いや、ここにいても仕方ないだろ……)



今度はカギを扉の鍵穴に合わせた。
しかしこのカギでは合わないようだ。


自分の腰から下が白い煙に埋まり、ただでさえガスマスクで狭まった視界がさらに白で埋め尽くされていく。



酷く冷静な自分がいた。

そんな自分に、驚かない自分を、さらに享受する。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 22:58:38.04 ID:AgPXbt8x0
 
ひとまず戻って部屋から抜け出そうとしたが、どうもガスが吹き出たときから、
この部屋は閉じ込められていたらしい。

いつの間にか元来た道がふさがっている。

中々のハイテクノロジーだ。



何となく思いつきで、ガスマスクが飾られていたショーケースの辺りを手探りで調べた。




( ^ω^) ………




カギがあった。

扉の鍵穴にぴたりと合わさるカギを回し、白い世界からゆっくりと這い出た。

体にまとわりつく煙を払い、扉を閉めて流れ込んでこようとするガスを封じ込める。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 23:02:04.83 ID:AgPXbt8x0
 
扉はオートロックだった。
締め切るとカチリと音が鳴り、完全に閉じきって開かなくなった。

カギはあるが、こちら側には鍵穴は無かった。
辺りを見渡すと、ここが以前あった休憩室のような大部屋であることがわかった。




 「良かったな。一人で」



( ^ω^)




( ^ω^)      (・∀・ )



部屋にいたのは、壁際に置かれたテーブルに腰掛けたモララー一人だけであった。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 23:05:00.76 ID:AgPXbt8x0
 

( ^ω^) どうして?

( ・∀・) ガスマスクは一つしかなかった。あのガスがもしも毒ガスなら、まずかった

( ^ω^) ふーん。他のみんなは?

( ・∀・) まだ、俺だけだ。しばらく待つ

( ^ω^) しばらくってどのくらい?

( ・∀・) 見ろ



( ・∀・) 幸い食料と水が用意されてた。トイレも毛布もある。ここで休むことができる

( ^ω^) だから、どのくらい?


( ・∀・) ………… (^ω^ )

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/06/24(月) 23:08:32.82 ID:AgPXbt8x0
 
( ・∀・) 'たどり着けるやつ'全員がここに集まるまでだ

( ^ω^) ふーん



500mlの水が入ったペットボトルと、機内食に似たミールパックが人数分用意されている。
デザートなのか、そのほかにリンゴとバナナが人数分置いてあった。


( ^ω^) いつもそうだった

( ・∀・) あ?


リンゴを一つ、手にとってかじった。


( ^ω^) 結局のところ、道は一つしかなかったんだお


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