ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)ふたりはプリキュア!のようです
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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:17:26.48 ID:9PWV84hz0
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「……なんてことなの……あんなに美しかった、天の園が…………」
「……」
「ラードーンめ……絶対に、絶対に許さない!!」
「……早く、人間界に行こう」
「……」
「天の園を捨てて行くのが辛いのはわかる。でも……」
「……」
「……あまり悠長に構えていると、ここにもネタマシイが来てしまう」
「……わかってる」
「門は開いた、急ごう」
「うん。…………待ってってね、皆、女王様。必ず私たちが、伝説の戦士を連れてくるから……」
*** *** ***
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3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:18:33.03 ID:9PWV84hz0
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OP
http://www.youtube.com/watch?v=eM_XgIE9NDg
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4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:19:25.02 ID:9PWV84hz0
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第一話『ぶっちゃけありえない!?ふたりはプリキュア!!』
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5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:21:22.21 ID:9PWV84hz0
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うららかな春の陽気。
流れる風は心地よく髪をなびかせ、つい口ずさんだ鼻歌をそっと運んでゆく。
( ^ω^) 「〜〜♪」
とある地方の町、小日向町。
緑が多く、かといって田舎と呼べるほど未開発ではない。
自然と共生する未来の町。
そういったコンセプトの下開発が行われ、そして現在、その通りの町並みが広がっている。
( ^ω^) 「〜〜♪」
先ほどから呑気に鼻歌を歌うこの青年の名は、内藤ブーン。
今年の春からこの街に住むようになった、大学生である。
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6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:23:59.77 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) (……住み始めてまだ半月だけど、ここは本当にいい街だお!)
( ^ω^) (緑が多いけど鬱陶しくはないし、住んでる人もみんな親切)
( ^ω^) (大学からちょっと遠いのが難点だけど、原付を買えばそれも大したこと無いお)
簡潔で丁寧な独り言を終えた彼は、歩みを早め目的地へと急いだ。
今日は土曜日。大学の講義はほとんどが休み。
代わりに、新入生に向けてのサークル勧誘会があるのだ。
それなりに大変だった受験を終え大学に入り、新生活にもいくらか慣れてきた。
憧れのキャンパスライフを充実した物にする為にも、サークルへの参加は必須のように思える。
( ^ω^) (……えーっと、文化部は……わあ、いっぱいある……)
( ^ω^) (運動部は、……お。少林寺拳法部なんてのもあるのかお)
( ^ω^) (……テニスは……え、週一回しか活動しないの……?)
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8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:29:09.47 ID:9PWV84hz0
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バスに乗り、事前に配布されていたサークル、部活動の目録を眺める。
もういくつか目星はつけているが、態々休みを潰して行くのだから色々見て回ろうと考えていた。
( ^ω^) (まずはショートムービーを流しているらしい映研だお!)
大学前のバス停で降り、活動場所になっている教室を目指した。
構内のメインストリートは、勧誘の人でごった返しており、活気がある。
笑顔でビラを渡してくる先輩を何とか掻い潜り、目的地へ繋がる階段にたどり着く。
( ;^ω^) 「今日まで勧誘が禁止されていただけあって、すさまじい熱気だお」
新入生がやるべきこと、慣れるべきことは多い。
この大学では、新入生が早々に諸先輩共の悪習を引き継がないように、入学半月はサークルへの参加を禁止しているのだ。
( ;^ω^) 「……お?」
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11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:31:54.30 ID:9PWV84hz0
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手に余るほどのビラを鞄に入れていると、階段前のエントランスに、知人の姿が見えた。
(A`; 三 ;'A) キョドキョド
( ^ω^)ノ 「おーい、宇津田くーん」
(;'A`)そ 「アッ、内藤君……!」
( ^ω^) 「宇津田君も見学かお?」
(;'A`) 「ソ、そうなんだけど。構内地図とか、全部忘れてきちゃって、どこ行ったらいいか」
( ^ω^) 「お、それは大変だお。よかったら僕と一緒に回るかお?」
(;'A`) 「エッ、いいの?」
( ^ω^) 「一人で回るよりはたのしいお!」
(;'A`) 「ヨカッタ……、一人で心細かったから、助かるよ」
彼の名は宇津田ドクオ。
一年プレゼミで同じになった青年だ。
人見知りで挙動不審だが、親しくなってみれば非常に気のいい人物である。
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16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:34:26.09 ID:9PWV84hz0
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二人は、とりあえずブーンが目当てにしていた部活動を中心に構内を回った。
それぞれの部活へ出向き、出し物を眺めたり、どういった活動をしているのか説明を受ける。
内藤が目的にしていた部活動はかなり活発に活動しているらしく、先輩部員たちも悪くは無いように見えた。
(;'A`) 「オレ、特別目的の部活があるわけじゃないんだ」
( ^ω^) 「お、どれか良さそうなとこあったかお?」
(;'A`) 「エット、写真部か映研かな……」
( ^ω^) 「映研のSM(ショートムービー)面白かったお!」
(;'A`) 「ウン、それに、俺元々カメラに、興味あってさ」
( ^ω^) 「おー―……」
(;'A`) 「アッ、でも、経験は無いんだけどさ……」
一通りめぼしい部活サークルを見終わり、談話スペースで缶コーヒーを飲む。
端っこに作られた仮設のステージでジャズ研が演奏を行っていた。
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17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:37:21.35 ID:9PWV84hz0
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(;'A`) 「ナ、内藤君は、どうするの?」
( ^ω^) 「お、僕はハンドボール部に入ろうと思うお」
(;'A`) 「ヘェ、やってたの?」
( ^ω^) 「高校にはハンドボール部無かったんだけど、社会人のチームに混ぜて貰ってたんだお」
(;'A`) 「スゴイ、俺、運動神経無いから、尊敬する」
( ^ω^)+ 「ふっふっふ。動けるデブとは僕のことだお」
二人の話は概ね弾んでいた。
明るくひょうきんな内藤は、話題を途切れさせず、宇津田の興味を考慮して話を広げ。
口下手な宇津田は、反面聞きに回るのが上手く、内藤の話を真摯に耳を傾ける。
( ^ω^) 「お、こんな時間だお。そろそろ帰るかお」
('A`) 「ソウダネ、今日はありがとう」
( ^ω^) 「どうってことないお!こっちこそ一緒に回ってもらえて助かったお!」
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18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:42:28.57 ID:9PWV84hz0
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日が傾き始め、勧誘を行っていた人たちも片づけを始めていた。
新入生で残っている者はほとんどおらず、内藤と宇津田も談話室を出る。
(;'A`) 「アッ、内藤君も、バス?」
( ^ω^) 「だお。次のは……おーんまだ20分くらいあるお……」
前のバスが出たばかりらしく、バス停は空いている。
二人はベンチに座って、バスを待つことにした。
(;'A`) 「……アレ?」
( ^ω^) 「お?」
(;'A`) 「ナンカ、空の色が……」
ぼんやりと見上げた空模様。
宇津田の言葉の通り、いくらか様子がおかしかった。
夕暮れの、色の薄くなった青に、紫色の染みのような部分がある。
西日が作り出すには、少々おかしい。
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22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:46:12.34 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「なんだろう……妙に不吉な……」
内藤が呟いた瞬間、紫の染みが瞬く間に広がり、あっという間に空を包み込む。
同時に周囲が薄暗くなり、言葉には表せない不快感が、肌を通り抜けて直接内臓に響いてきた。
( ;^ω^) 「な、なんだこれ……」
(; A ) 「ウッ」
( ;^ω^) 「宇津田君!しっかりするお!」
宇津田が苦しげに胸を押さえ、ベンチから崩れ落ちた。
介抱しようとした内藤も、ふらつき、ベンチの背もたれにつかみかかる。
( ;^ω^) 「……うう、意識が……」
泥酔の感覚に似ていた。
重たい浮遊感が眩暈を引き起こし、意識に靄がかかる。
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24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:49:39.88 ID:9PWV84hz0
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( ;^ω^) 「くっ……とにかく、救急車を……」
長年スポーツを続けてきた根性で、ブーンは携帯電話を取り出した。
緊急ダイヤルを回そうとして力が入らず、ついつい取り落とす。
( ;^ω^) 「く、くそ……っ」
もはや限界であった。
少し手を伸ばせば届くはずの携帯電話を取る気力が湧かない。
( ; ω ) 「う、うう」
そんな、内藤の心と意識が、絶望に飲まれそうになったその瞬間であった。
「「ノーブルフラー―――ッシュ!!」」
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25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:53:44.55 ID:9PWV84hz0
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少女の、幼さ残る甲高い声と共に、天から光が降り注ぐ。
僅かに熱を持つ光は内藤を苛んでいた不快感を瞬く間に消し去り、折れかけた心を救った。
( ;^ω^) 「こ、これは……それに、今の……」
(;'A`) 「……?」
意識の明晰を取り戻し、天を見上げた内藤と宇津田。
その眼に映ったのは、落ちてくる二つの影。
あっという間に落下してきた二つの影は、軽やかにアスファルトに着地した。
ξ;゚听)ξ 「なんてこと……こんなに早くラードーンの追手が来るなんて」
川 ゚ -゚) 「大丈夫ですか?ここは危険ですので、早く避難してください」
影の正体は、少女だった。
年の頃十代の初め。特筆すべきは、その姿だ。
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28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 17:57:47.31 ID:9PWV84hz0
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派手な森ガールファッションというべきか。
どこかの夢の国から出てきたというべきか。
ひらひらとしたファンシーな服を着た、現実離れした二人である。
( ;^ω^) 「君たちは一体……?」
ξ;゚听)ξ 「だめ、間に合わない!クール、私が時間を稼ぐから、その二人を連れて……ッ」
焦る少女の片割れの言葉をすさまじい地響きが遮った。
内藤は見ていた。
その原因が、少女たちと同じく空から落ちてきた巨大な影によるものだということを。
川;゚ -゚) 「万事、窮すか……」
|:::::゚::W:゚::| 『ネェェェタァァァマァァァシィィィ……ッ』
ξ;゚听)ξ 「く、くそお!」
川;゚ -゚) 「ダメだツン!天の園の加護が無い今、真面にネタマシーと戦っては!」
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30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:00:33.98 ID:9PWV84hz0
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後から現れた影は、文字通り真っ黒な姿をしていた。
藁人形のような造形に、瞳と瞼の無い虚ろな白い目。
笑みの形を取っている、頭の端まで裂けた赤い口。
世界の底に沈殿した、負の汚泥。
嫉妬と憎悪の化身、ネタマシーである。
ξ;゚听)ξ 「明日を信じる、聖なる光……ッ」
|:::::゚::W:゚::| 『ネタマシィィィィィィッ!!』
ξ;><)ξ 「あうっ!!」
両手を突き出し、何かを放とうとしていた少女の体をネタマシーが腕で薙ぎ払う。
少女は受け身も取らず跳ね飛ばされ、地面を転がった。
道路の反対側の植木にぶつかり、小さな体は力なく地に伏せる。
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33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:06:07.44 ID:9PWV84hz0
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川;゚ -゚) 「ツン……ッ!やっぱり今の私たちでは……」
吹き損ねた笛のような音を立てて、吹き飛ばされた少女の体が爆発した。
ピンク色の煙を吹き出し、それが引くと、少女の姿は消えている。
代わりに、小さなぬいぐるみが、同じ姿勢で横たわっていた。
|:::::゚::W:゚::| 『ネェェェタァァァッッ!!』
( ;^ω^) 「危ない!」
川;> <) 「ううっ!」
内藤の忠告も虚しく、もう一人の少女もネタマシーに弾き飛ばされる。
先の少女とは逆の、大学を囲う藪に突っ込んだ。
彼女も同様に水色の煙の上げて、ぬいぐるみのような姿になってしまった。
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36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:11:16.27 ID:9PWV84hz0
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(;'A`) 「ナ、ナ、なんだこれ……」
( ;^ω^) 「お、おおお……」
|:::::゚::W:゚::| 『ネェェェタァァァ……』
ξ;゚听)ξ 「うう、せっかく、ここまで、もうだめなのかツン……」
川;゚ -゚) 「ツン、あきらめちゃダメだクー、まだ、わたしたちにはきぼうがあるクー……ッ!」
「ハーッハッハーッ!!!まーだプリキュアなんておとぎ話を信じてるのか?」
( ;^ω^) 「?!」
また新たな声が聞こえた。
いろんなことが同時に起きて混乱している内藤は、反射的にそちらに目を向ける。
そこには、空中に立つ。黒づくめの男。
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39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:14:11.39 ID:9PWV84hz0
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( ・∀・) 「大人しく俺たちの元に下れ、天の園の妖精共。そうすればせめて楽に消し去ってやろう」
ξ;゚听)ξ 「クラッシュスリー……モララー……ッ!」
川;゚ -゚) 「よんかんぶまで、ここにくるなんて……」
( ・∀・) 「わかるはずだ。女王とその近衛騎士たちですら敵わなかった我らに、たかが妖精の貴様らが敵うはずがない」
ξ;゚听)ξ 「そんなこと、やってみなければわからないツン!」
ぬいぐるみになっていたその身体が、再び人型のそれに戻る。
しかし全身はボロボロで、立ち上がるのすらやっとの様子だ。
( ・∀・) 「その気骨だけは、認めてやろう。勇敢な妖精よ」
男の手に、突如巨大なハンマーが現れた。
シンプルな造形でありながら、その大きさは、破壊力の高さを想像させる。
男はそれを軽々と一度素振りして地面に降り立った。
ゆっくりと、獲物を前に舌なめずりをするハイエナのように、少女に歩み寄る。
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40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:18:37.45 ID:9PWV84hz0
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( ;^ω^) 「……ッ!」
( ・∀・)´ 「……何のつもりだ、人間」
( ;^ω^) 「なにがなんだかよくわからないけど、暴力はよくないと思うお!!」
男と少女の間に割って入り、手を広げて進路を遮る内藤。
例えばそう、道を狭める邪魔な木の枝を見る様子で、男はため息を吐いた。
( ・∀・) 「……なるほど……妖精がシットワールドを中和したのか……」
( ;^ω^) 「……?」
( ・∀・) 「どけ、人間。今ここで死にたくはないだろう?」
ξ;゚听)ξ 「そいつの言う通りよ!早く逃げて!」
( ;^ω^) 「うう、で、でも……」
内藤の目に映るのは、黒光りするハンマー。
あれで軽く払われれば、恐らくひとたまりもない。
しかし、かといって傷だらけの少女を置いて逃げることはできない。
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42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:22:12.81 ID:9PWV84hz0
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(;'A`) 「ダ、大丈夫?えーと、」
川;゚ -゚) 「あなたもはやくにげるクー!わたしたちはだいじょうぶだクー!」
(;'A`) 「ソ、そうは見えないよ……」
内藤が男と対峙する間、宇津田はもう一人の、少女(今はぬいぐるみだが)の元に駆け寄った。
水色の体表には複数の傷があり、体には力が無い。
やかましく逃げろというが、これを置いて逃げるほど、宇津田も臆病では無かった。
( ・∀・) 「やれやれ……できればまだ人間に手を出したくは無かったが……」
男がハンマーを振り上げる。
紫に濁る空気の中、先端が怪しく光った。
ξ;゚听)ξ (く、せめて、この人間だけでも……!)
( ・∀・) 「さらばだ。勇気ある弱き者」
( ;`ω´) 「……ッ!」
ハンマーが、勢いよく振り下ろされた。
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44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:23:50.75 ID:9PWV84hz0
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\ ヽ i | / / /
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二 = 二
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/ / / | i, 丶 \
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46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:24:58.92 ID:9PWV84hz0
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その刹那、まばゆい光が天へと立ち上った。
強く、気高く、しかし鮮烈に目を焼くようなとげとげしさは無い。
( ^ω^) 「……お?」
ξ゚听)ξ 「これは……?」
内藤も少女も、状況は呑み込めていなかった。
光が肌に、心に与えるぬくもりに、まどろみのような心地よさを感じるばかりだった。
('A`) 「……力が……」
川 ゚ -゚) 「……まさか、これは、でんせつの……」
宇津田と、もう片割れの少女もまた同じであった。
少しだけ違ったのは、彼らはより客観的に、冷静に、この状況を見ていたということ。
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47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:29:16.84 ID:9PWV84hz0
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そして何より、この状況に痛烈な困惑を覚えていたのは。
( ;・∀・) 「この光は天の園の……ッ!いや、それよりもはるかに強力な……ッ!」
離れた地面に膝をついたこの男。
直感的に感じ取った、光の危険性に大きく跳びのいたのだ。
現に、直近で光を受けた彼の左腕は、輝きに浸食され元の形を失っていた。
ξ゚听)ξ 「……こんなところで、見つかるなんて」
川 ゚ -゚) 「ツン!」
ξ゚听)ξ 「わかってるツン!」
少女が再びぬいぐるみの姿へ。
変化はそれにとどまらず、もう片割れも含めて、彼女らはさらに小さな、細く四角いものに変身した。
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48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:33:43.10 ID:9PWV84hz0
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二つとなった二人は、「ξ」の方が内藤へ。
「川」の方が宇津田の手へと収まる。
( ;^ω^) 「え?なにこれ?」
ξ゚听)ξ 「あなたたちがほんとうに『プリキュア』なら、わかるはずだツン!」
(;'A`) 「プリ……キュア……?」
川 ゚ -゚) 「さあ!はやくへんしんするクー!!」
手に収まった少女たちが叫ぶ。
彼女らは今、長方形の、折り畳み式のコームの姿をしていた。
( ^ω^) 「……力が、記憶が流れ込んでくる……」
('A`) 「……平和を、幸せを願って戦い続けてきた彼女たちの……想い……」
( ;・∀・) 「よくわからんが、そうはさせるか!!行け、ネタマシー!!」
|:::::゚::W:゚::| 『ネェェタァァァァッ!!』
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51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:39:29.37 ID:9PWV84hz0
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ネタマシーは、より近くにいた宇津田に目標を定めた。
一足跳びで間合いを詰め、体重の乗った拳を振り下ろす。
しかし、宇津田には当たらない。
光に包まれ、流星の如くその場を離脱した宇津田は、内藤の元に着地する。
( ^ω^) 「……宇津田君」
('A`) 「……内藤君」
交わす言葉はそれだけで十分であった。
二人は手に持ったコームのお尻同士を、丁度拳をぶつけ合う要領でぶつけ合う。
軽やかなメロディと共に櫛の部分が開き、虹色の光が爆ぜる。
( ^ω^) 「「……デュアル=オーロラ=ウェイブ!」」 ('A`)
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55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:43:22.69 ID:9PWV84hz0
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二人は向かい合い、それぞれのコームで、互いの髪を一度、梳いた。
コームが纏う虹色の光が髪に移り、すぐさま全身へ広がってゆく。
光はうねり、煌めき、リボンのような軽やかさで体を包み込む。
身に纏っていた服が消え、光のシルエットが二人のボディラインをあらわにする。
( ^ω^) 「!」
内藤が前髪を、弾くように横へ流す。
髪の毛は光の粒を振りまいて、毛先がくるりと跳ね上がる。
('A`) 「!」
宇津田が後ろ髪を掻き上げる。
髪の毛が清流の如く可憐に流れ長さを増し、虹色の粒子がキラキラと沸き立った。
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57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:45:41.62 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「……!」
内藤の体の各所で光が弾け、濃紺の衣装が現れる。
ショートドレスを基調に、肩、腕、足には厚みのあるパッドで耐久性を確保しつつ。
服のポイントに飾られた桃色のフリルとリボンが、しかし乙女の可憐さを忘れさせず。
ミニのスカートから覗く太腿はスパッツを纏い、覘いたおへそはチャーミングで卑猥さは微塵も生ませない。
('A`) 「……!」
宇津田も同じように、衣装をまとってゆく。
白が基調のロングドレスに、内藤と同じよう防具を備え。
水色のフリルやリボンは控え目に、しかしレースの描く美しい模様が存在を希薄にはさせない。
長い黒髪携えたその姿は、戦乙女であり、純潔を守った花嫁でもある。
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61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:46:59.00 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「光の使者、キュアブレイブ!」
('A`) 「光の使者、キュアワイズ!」
\( ^ω^ )> 「「ふたりはプリキュア!!」」 <('A`)/
虹色の光が弾け、二人はまっすぐにネタマシー及びモララーをにらみつける。
その眼に宿る、勇気の光。
その眼を煌めかす、英知の光。
('A`) 「深淵から湧き上がりし破壊の使徒よ!!」
( ^ω^ )9m 「すっかりちゃっかり消え失せろ!!」
気高き力を前に、ネタマシーは怯えの呻きをあげた。
モララーは切迫した表情を浮かべ、ハンマーを握りしめる。
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63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:49:37.05 ID:9PWV84hz0
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ξ゚听)ξ 「……これが、プリキュアなのかツン……」
川 ゚ -゚) 「……ちからづよいのにやさしいひかりだクー……」
( ・∀・) 「忌々しい伝説の戦士……プリキュアァァ!!」
|:::::゚::W:゚::| 「ネタマァァァ...(……いや、おかしいだろ。プリキュアってせめて女子だろ)」
( ・∀・) 「怯えるなネタマシー!所詮は見た目が変わっただけの人間だ!」
|:::::゚::W:゚::| 「ネタァマァ...(怯えるよ。よく見ろよ、すね毛はみ出してるぞ。ヘソ出しする腹のボリュームじゃねえぞ)」
( ・∀・) 「行けネタマシー!天の園の生き残り共を殲滅するのだ!」
|:::::゚::W:゚::| 「ネェェェタァァァァ......(……いやまあ仕事だからやるけどさ)」
対極である聖なる光に怯えるネタマシー。
自らを奮起させるように天に向かい大気を揺らがす咆哮を放つ。
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66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:52:30.46 ID:9PWV84hz0
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巨大な体を物ともせず、ネタマシーはプリキュアに躍りかかる。
太い腕を引き絞って放つ、上空からの突きおろし。
ワイズは素早く攻撃を察知。
一足飛びで横へ逃れる。
その飛距離は常人のそれでは無く、ワイズはいくらか戸惑いの表情を浮かべた。
一方のブレイブ。
こちらも攻撃を察したが、回避行動は行わない。
振り下ろされたネタマシイの巨大な拳を、両の掌で受け止める。
|:::::゚::W:゚::| 「!!!」
すさまじい衝撃音が走った。
体重の乗った一撃はアスファルトの地面を大きく陥没させる。
('A`) 「ブレイブ!!」
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67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:53:52.47 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「……ぎぎぎ」
ワイズの視線の先、ブレイブは無傷で生きていた。
両の掌でしっかりと拳を受け止め、足を蟹股にして耐えている。
地面がへこんだのは、彼が衝撃に耐え、楔の役目を果たしたからに過ぎない。
('A`) 「ハァァァッ!!」
力づくでブレイブを押しつぶそうとするネタマシーにワイズが飛び掛かる。
胴を軸に、独楽の要領で三回転。
勢いの付いた蹴りをネタマシイの横っ面に叩き込んだ。
て,
|::#)::W:゚::| そ 「!!!」
さすがの巨体を蹴り飛ばすことはできないが、衝撃が波紋を描き、ネタマシイの上体が横に逸れる。
この隙を、ブレイブは逃さない。
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69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 18:56:25.88 ID:9PWV84hz0
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たたらを踏むネタマシイにあえて真正面から突進。
ネタマシイが体勢不十分のまま慌てて振るった拳を掻い潜り懐へ潜る。
そして目の前を埋め尽くすそのがら空きの腹部に、
( ゚ω゚) 「でぃりゃあああっ!!」
|::::: ::W: ::| ゚ 、*。´ 「?!」
大きく振りかぶった、全力のパンチ。
空間が痺れて音を立てるほどの一撃は、ネタマシイの体を大きく歪ませ、吹き飛ばした。
ξ゚听)ξ 「すごいっツン……」
川 ゚ -゚) 「あのネタマシイをかるがるやっつけてるクー」
コームの側面に取り付けられた妖精たちが呟く。
ネタマシイが地面に落ち、なお勢いを失わず転がっていくのを、彼女らは半ば呆然と見送る。
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72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:00:27.96 ID:9PWV84hz0
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|:::::゚::W:゚::| 「ネ゙ェェェダァァァァァマ゙ァァァァ!!!!」
怒りを露わにネタマシイが立ち上がる。
ダメージは濃厚だが、動けるだけの十分な力を残しているようだ。
クラウチングスタートの姿勢を取り、爆ぜるように走り出す。
目標はワイズ。
それぞれ一撃づつ攻撃を受け、比較的力の無い方に狙いを定めた。
川;゚ -゚) 「くるクー!!」
('A`) 「大丈夫……ッ」
足を前後に開き、拳法の構え。
逃げずに立ったままのワイズに対し、ネタマシイは再び拳を突き下ろす。
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73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:01:54.24 ID:9PWV84hz0
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先ほどブレイブが受け止めた時よりも、勢いが乗っていた。
ネタマシイは彼らを潰すことしか頭に無い。
走りのエネルギーをそのまま攻撃に乗せ、自身が傷つくこともいとわない一撃だ。
空をしびれさせる黒い拳が、ワイズの頭を捕らえるその瞬間。
その華奢な体が、流水の如く揺らめいた。
('A`) 「……ハァッ!!」
拳を寸前で回避し、すり抜け、飛び上がりながら自身の蹴りをネタマシイの顔面に合わせる。
金属を砕くような鈍い音。
攻撃のために全霊をかけたネタマシイの力全てが、その一点に返されていた。
空振りの拳が地面を叩くも力は無く、ネタマシイはそのまま地面に突っ伏し、動きを止める。
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75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:04:53.68 ID:9PWV84hz0
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( ・∀・) 「……ネタマシイ、寝るのは早いぞ!!」
ξ;゚听)ξ 「まずいツン!」
( ^ω^) 「何がだお?」
川;゚ -゚) 「クラッシャースリー……ぬまのくによんかんぶはネタマシイをふっかつさせることができるんだクー!!」
( ・∀・) 「深き怨念の泥よりいでし根深き穢れの魂よ……その憎悪であらゆる希望を破壊しろ!!」
|:::::゚::W:゚::| 『ネタァァァァァァァ!!!』
妖精たちの言葉の通り、ネタマシイは再び立ち上がる。
目を凝らせば、紫色の靄が絡みついてダメージを修復しているようだ。
(;'A`) 「これじゃキリが無いよ」
( ;^ω^) 「何か方法は無いのかお?」
ξ゚听)ξ 「けがれたたましいそのものをじょうかできれば……そうだツン!」
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77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:08:37.83 ID:9PWV84hz0
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ξ゚听)ξ 「プリキュアにも、じょうかのちからがあるはずだツン!それをつかうツン!」
( ^ω^) 「そんなこと言ったって、どうやって?」
川 ゚ -゚) 「プリキュアのちからをつかいこなしているきみたちなら、わかるはずだクー!」
(;'A`) 「今の時点で結構いっぱいいっぱいなんだけど……」
ξ゚听)ξ 「いのるツン!ねがうツン!」
川 ゚ -゚) 「あすのきぼうを!ぞうおにまけないつよいちからを!」
( ^ω^) 「「……」」 ('A`)
( ・∀・) 「これ以上余計なことをさせるな!行けネタマシイ!」
|:::::゚::W:゚::| 「ネェェェタァァァ!!」
悩む二人にネタマシイが襲い掛かる。
両腕を振り上げ、ハンマーのように振り下ろす。
二人は同時に大きく後退してその一撃をかわした。
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78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:11:12.48 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「やってみよう、ワイズ」
('A`) 「そうだね、ブレイブ」
二人は目を閉じた。
自身の中で輝くプリキュアの力に問いかける。
穢れた魂を救う力を。
明日へ繋がる猛き光を。
そしてそれは、すぐに見つかった。
( ^ω^) 「ワイズ!」
('A`) 「ブレイブ!」
二人のプリキュアは、互いの手を取る。
力が通い合い、高まるのが自分たちでわかった。
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79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:14:58.18 ID:9PWV84hz0
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( ω ) 「ブレイブ=ファイヤー!!」
勇ましき雄叫び。
黒い焔が渦を巻き現れ、ブレイブの体を包み込む。
轟々と燃え盛りブレイブの髪がキラキラと舞った。
( A ) 「ワイズ=ファイヤー!!」
同じく、ワイズの体を白い炎が包み込む。
二色の炎が斑に混ざり合い、螺旋を描き、巨大な球を作り出した。
('A`) 「プリキュアの、気高き魂が!!」
( ^ω^) 「穢れた心を打ち祓う!!」
( ^ω^) 「「プリキュア、マーブルフレアー!!!」」 ('A`)
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83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:18:04.22 ID:9PWV84hz0
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黒白の炎の球が回転を増し。
二人そろって差し出した掌に収縮する。
わずかに間をあけ火炎の弾が炸裂し、灼熱の波動が放たれた。
反動で二人の髪が大きく靡き、閃光が濃い影を作る。
|::i::l!!::W:!il| 『ネタマシィィィィィィィ!!!!』
モノクロの炎は光の波動となり、ネタマシイを飲み込む。
どす黒くヘドロのように粘度を持った負のエネルギーを瞬く間に浄化。
数秒と待たずに、ネタマシイを焼き尽くした。
残された淡く輝く魂がくるくると彷徨い、ブレイブの腰元下がっていたコームに吸い込まれる。
ξ*゚听)ξ 「やったツン!!」
川*゚ -゚) 「ネタマシイをやっつけたクー!!」
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85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:19:06.72 ID:9PWV84hz0
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( ・∀・) 「……こいつら、今この場で始末しなければ……」
安心もつかの間。
憎しみをいっぱい顔に浮かべ、モララーが片腕でハンマーを構えた。
登場時の気楽さは一切なく、殺意が空気を震わせている。
( ^ω^) 「……まだ残っていたおね」
('A`) 「ブレイブ」
( ^ω^) 「うん。強い、こいつ」
ξ゚听)ξ 「きをつけるツン!みためはひとのようでも、ぜんぜんちがうツン!」
川 ゚ -゚) 「モララーはぬまのくにのよんかんぶクラッシャースリー。ネタマシイよりもなんばいもつよいクー!」
( ・∀・) 「忌まわしき伝説、俺が断ち切る!」
高まる緊迫感。
プリキュアと四幹部クラッシャースリーの激突は目前かと思われた。
が、その時。
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86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:23:24.37 ID:9PWV84hz0
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( ・∀・) 「……!!ラードーン様?!」
( ^ω^) 「?」
('A`) 「……?」
( ・∀・) 「……はは、仰せのままに……」
なにか独り言をつぶやいて、モララーは武器を引いた。
しかし未だ敵意萎えぬ目でブレイブ、ワイズを睨む。
( ・∀・) 「プリキュア、今日のところは見逃してやる……だが次に会った時は、その命必ず貰い受けるぞ!」
( ^ω^) 「あ、待て!」
('A`) 「……逃げられた」
捨て台詞を残し、モララーは天へと飛び立った。
紫の空に到達すると溶け込むように消え去り、それと同時に空の色も元に戻る。
眩しくも温かい夕日が、二人を包んでいた。
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90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:25:17.23 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「僕たちが、伝説の戦士、プリキュア?」
ξ゚听)ξ 「そうだっツン」
(;'A`) 「デ、でもプリキュアって、女の子がなるものなんじゃ……」
川 ゚ -゚) 「わたしたちもそうきいていたから、すこしとまどってるクー」
ξ゚听)ξ 「でも、きみたちがへんしんしてたたかったのはじじつだツン」
川 ゚ -゚) 「いままでもイレギュラーなプリキュアはすくなからずいたクー。キミたちにもなにかりゆうがあるんだクー」
場所は、宇津田の家でもある、郊外の喫茶店。
ぬいぐるみ、もとい天の園の妖精を名乗る、二人の少女、ツンとクー。
二人はモフモフとしたその外見のままフォークを使い、宇津田の用意したシフォンケーキを食べていた。
ふんわりしっとりとした生地にほんのりと紅茶の香りがついている。
レモンを絞ってホイップした生クリームは濃厚ながらもあっさりとしており、いくら食べても飽きが来ない。
共に出されたダージリンティも甘い香りと舌を洗う軽やかな渋みが心地よく、ケーキとの相性は抜群だった。
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92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:26:43.14 ID:9PWV84hz0
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( ^ω^) 「僕たちは、どうすればいいんだお?またあの化け物と戦えばいいのかお?」
ξ゚听)ξ 「それもあるツン。でも、とりあえずやってほしいのが……」
ツンがフォークを置き、自分の首元を弄った。
フワフワとした首毛の中から、小さな楕円形のものを取り出し内藤に差し出す。
( ^ω^)つ゚ 「これは?」
ξ゚听)ξ 「“あすのたまご”だツン」
川 ゚ -゚) 「このせかいすべてのせいめいをつかさどるせいなるちからのかたまりだクー」
( ^ω^) 「このウズラの卵みたいなのが……」
(;'A`) 「チイサイね……」
ξ‐凵])ξ 「ほんとうはもっとおおきかったんだツン……でも……」
川 ゚ -゚) 「じょおうさまがラードーンにきゅうしゅうされてしまって、ほとんどのちからをうしなってしまったんだクー」
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93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:28:44.22 ID:9PWV84hz0
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ξ゚听)ξ 「ふたりには、このあすのたまごをせいちょうさせてほしいんだツン」
( ^ω^) 「成長?」
川 ゚ -゚) 「みんなのきぼうを、ちょっとずつわけてもらうんだクー」
(;'A`) 「希望を……」
ξ゚听)ξ 「ひとのおおいところでもっているだけでもいいツン。たまごはそれでせいちょうしていくツン」
川 ゚ -゚) 「あとは、たまごをねらってくるやつらから、たまごをまもってくれれば……」
( ^ω^) 「……わかった」
ξ*゚听)ξ 「!!」
(;'A`) 「オ、おれもやってみる」
川*゚ -゚) 「!!」
( ^ω^) 「どこまで手伝えるか分からないけれど、困ってる人を放っては置けないお!」
(;'A`) 「ウン、役に立てるか分からないけど……」
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95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:32:10.88 ID:9PWV84hz0
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みるみる妖精たちの顔が明るくなってゆく。
同時に、内藤の手の中にあった明日の卵が淡く輝いた。
きっと、この場でもっとも絶望の淵に立っていたのは彼女たちだったのだろう。
ふたりは喜びを露わに口元をクリームで汚しながらケーキを食べ進める。
その様子をみて、内藤と宇津田は優しく微笑んだ。
ξ*゚听)ξ 「なにはともあれ、しんせいプリキュアたんじょうだツン!」
川*゚ -゚) 「かんぱいだクー!」
( ^ω^) 「ははは、よろしくだお、二人とも」
/ ,' 3 「……」
/ ,' 3 「……」
/ ,' 3 「ぶっちゃけありえない!?」
カウンターの陰で盗み聞ぎしていた宇津田の祖父、荒巻スカルチノフは、無類のプロ幼女であった。
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97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/09/23(月) 19:35:11.37 ID:9PWV84hz0
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第一話『ぶっちゃけありえない!?ふたりはプリキュア!!』 おわり
ED
http://www.youtube.com/watch?v=N1IMQxnl744
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