( ^ω^)ブーンは豪華客船に乗り込むようです
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:32:05.49 ID:IxNTxbN80
- 【東京にて】
(*^ω^)「おっおっ。いっぱい買っちゃったお!」
(*^ω^)「たまには無駄遣いもしたくなるってモノ……」
( ^ω^)「……お?」
[開店50周年記念福引 一万円以上のレシートで一回]
( ^ω^)「何かやってるお……えーっと……」
Σ(;^ω^)「三等に3DSがあるじゃないかお!!」 ドッキーン
(;^ω^)「ぐぬぬ……」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:34:13.51 ID:IxNTxbN80
- (;-ω-)「……一万円以上」
(;^ω^)つ□ ペラッ
( ^ω^)つ□「……お。ギリ一万円。意外だおー」
( ^ω^)「これで3DSは僕のモノだお!」
( ^ω^)b グッ
( ^ω^)「すんません、これで一回お願いしますお」
( ^ω^)つ□ スッ
( ^ω^)
( ^ω^)「あ。これを回せば良いのかお?」
( ^ω^)つ「よーし……」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:36:18.15 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)つ ガラガラ…
( ^ω^)つ コロン…
( ^ω^)
( ^ω^)「おっ? 金の玉……」
カランカラン!! カランカラン!!
(;^ω^)「な、何だお? 何だお?」
(;^ω^)
( ^ω^)「……え? 一等?」
( ^ω^)
( ^ω^ )
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:37:56.43 ID:IxNTxbN80
( ^ω^)ブーンは豪華客船に乗り込むようです
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:40:24.88 ID:IxNTxbN80
- 【東京 ドクオの家】
( ^ω^)「っつー訳で、豪華客船旅行が当たったんだお」
('A`)「それ、普通に凄ぇな」
( ^ω^)「うん。普通に凄いお」
('A`)「で、どんなスケジュールなんだ?」
( ^ω^)「スケジュール?」
('A`)「書いてあるだろ。チケットに」
( ^ω^)つ□ スッ
( ^ω^)つ□「えーっと……豪華客船『VIP?』……、6月3日から……」
( ^ω^)つ□
?( ゚ω゚)つ□「一か月間?!」 テテーン!
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:43:48.48 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「ほぉ……、どこに行くんだ?」
(;^ω^)つ□「ええと……、美府から……ニューヨークって書いてあるお」
('A`)「ま、その位はかかるか。恐らく、ほかにも観光地を巡っていくんだろ」
(;^ω^)「とんでもないモノを当ててしまったお……」
('A`)「豪華客船なんてそんなもんだ」
( ´ω`)「おーん……。一か月も拘束されるのかお……」ショーン
('A`)「……で?」
( ´ω`)「お?」
('A`)「困った事があるってんで、俺ん家に来たんだろ?」
( ^ω^)「ああ、そうだったそうだった」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:45:41.95 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「じゃあ本題に移ってくれ。俺はいち早くチキンラーメンを啜りたい」
( ^ω^) ゴクリ…
( ^ω^)「驚かないで聞いてほしいんだけど……」
('A`)「おう」
( ^ω^)「実は……」
('A`)「おう」
( ^ω^)
( ^ω^)つ□ スッ
(;^ω^)つ□「ペアチケットなんだお……!」テテーン!
('A`;)「なんと」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:48:52.55 ID:IxNTxbN80
- ( ´ω`)つ□「彼女もいなければ童貞な僕にとって、こんなの嫌がらせでしかないお……」
('A`;)「クッ! その言葉は俺にも突き刺さる……ッ」
( ^ω^)「つーわけで、一緒に行こうお」
('A`;)「俺とお前でか?」
( ^ω^)「そうだお。僕とドクオでだお」
('A`;)
(-A-;)「ま、良いだろう。一か月くらい、家空けたって文句言われないしな」
(*^ω^)「おっおっ! それでこそドクオだお!」
('A`)「よせやい」
コノヤロコノヤロ (*^ω^)つ)'A`) グイグイ
('A`)「よせやい!!!!」
( ´ω`)「ごめん」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:52:11.37 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「って言うか、お前……」
( ^ω^)「お?」
('A`)「豪華客船について、ちゃんと分かってるのか?」
( ^ω^)「ふつーに豪華な船じゃ無いのかお?」
('A`)「まあそうなんだが……。結構ややこしい所もあるんだ」
( ^ω^)「ややこしい所?」
('A`)「ああ。それなりに予習して行った方が良い」
( ^ω^)「予習かお……」
('A`)「豪華客船ってのは、現実とは別世界になるからな」
● ●
( ^ω^)「ディズニーランドみたいなモンかお?」ヤァ、ボクミッキーダオ
('A`)「んー……。合ってると言えば合ってるし、間違ってると言えば間違ってる」
( ^ω^)「お……」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:55:18.49 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「とにかく、しっかりと勉強しておくに越したことはない。楽しい一か月にする為にな」
( ^ω^)「ドクオがそう言うなら……」
( ^ω^)
( ^ω^)「つっても、どうやって勉強するんだお?」
('A`)「その辺は俺に任せろ」
(*^ω^)「おっ! 流石ドクオ。頼りになるお!」
('A`)「よせやい」
コノヤロコノヤロ (*^ω^)つ)'A`) グイグイ
('A`)「やめろ」
( ^ω^)「はい」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 01:58:21.52 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「じゃ、ドクオ先生。ご教授お願いしますお」
('A`)「良いだろう」
( ^ω^)「マジック・ザ・ギャザリングを教えてくれた時みたいに丁寧なのを望みますお」
('A`)「うーわ。懐かし。それ」
( ^ω^)「カーチャンに捨てられちゃいました」
('A`)「奇遇だな。俺もだ」
( ^ω^)「今考えると金をドブに寄付してる様なもんだったお」
('A`)「思い出には胸を張ろうぜ」
( ^ω^)「無理だお。僕は大人になってしまったんだお」
('A`)「へっ……。東京砂漠とはこの事か……」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:01:02.31 ID:IxNTxbN80
- (*^ω^)「で、どんな風に教えてくれるんだお? 教材は映像とかが良いお!」
('A`)「映像なんかより、もっと退屈しない教材があるぞ」
(*^ω^)「ほぉー。それは?」
('A`)「実際乗ってみる事だ」
( ^ω^)
( ^ω^)「は?」
('A`)「こういうのは実際に経験してみないとな」
( ^ω^)「ちょっと良く分からないお。どうやって経験するんだお」
('A`)「俺が連れて行ってやる」
( ^ω^)
( ^ω^)「は?」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:03:39.87 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「よし。準備は良いか? 早速行くぞ」
( ^ω^)「いやいやいやいや。ちょっと待て。意味わからんお」
('A`)「1、2の3、でジャンプだ。良いな?」
( ^ω^)「あの、もうちょっと分かりやすくオナシャス」
('A`)「いっくぞー」
(;^ω^)「えっ……、ちょ」
('A`)「いーち、にーーのぉー」
(;^ω^)「ええ? 何だお何だお?!」
('A`)「さん! 飛べ!」
(;^ω^)「??」
(;^ω^) ('A`) ぴょ〜ん!
l l l l l l l
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:06:44.47 ID:IxNTxbN80
第一章 1900年代前半
.
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:10:20.25 ID:IxNTxbN80
- 【1912年 イギリス サウサンプトン 港】
('A`) スタッ…
('A`)「……到着っと」
(;^ω^) スタッ…
(;^ω^)「……お?」
('A`)「よう」
(;^ω^)「ここは何処だお?」
('A`)「イギリスだ」
(;^ω^)「イギリス……? ドクオの家は?」
('A`)「未来で待ってる」
(;^ω^)「?」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:13:19.06 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「ま、説明してしまえば……。ここは1912年のイギリスだ」
(;^ω^)
(;^ω^)「頭打った?」
('A`)「嘘じゃないぞ。現に俺の格好を見ろ」
(;^ω^)
( ^ω^)「あ。スウェットじゃない」
('A`)「お前の格好も見てみろって」
?( ゚ω゚)「お! 何かよれよれのコートにパンチング帽だお?!」 テテーン!
('A`)「時代が時代だからな」
(;^ω^)「どうなってるんだお……」
('A`)「言ったろ? 実際に体験した方が良いって」
(;^ω^)「……と言う事は?」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:15:50.08 ID:IxNTxbN80
- ('A`)つ□「察しの通り。ここに二人分のチケットがある」
( ´ω`)「……やっぱり。実際に体験、が常識の範囲を超えてるお」
('A`)「まあ、いい経験になるよ」
( ´ω`)「何その適当な感じ」
('A`)「さ。乗船の時間が迫ってる。急ごう」
( ´ω`)「つーか、ちょっと良いかお?」
('A`)「ん?」
( ´ω`)「僕たちはどんな船に乗るんだお? やっぱり、豪華客船なのかお?」
('A`)「うむ。現時点で最高の豪華客船と言った所だな」
( ^ω^)「ほぉーん」
('A`)つ□「ちなみに、これが今から乗る船のポスターだ。見てみるか?」 ガサッ
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:18:48.22 ID:IxNTxbN80
- ( ´ω`)つ□「……? チタニカ?」
('A`)「読み方が違うぞ、ブーン」
( ´ω`)つ□「何て読むんだお? 僕は英語が苦手だお」
('A`)「タイタニック」
( ^ω^)
( ^ω^)「もう一度お願いします」
('A`)「タイタニック」
( ^ω^)
( ^ω^)「ゴメン。もう一回」
('A`)「タイタニック」
( ^ω^)「帰るわ」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:22:12.39 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「おいおい。そりゃ無いぜ」
( 'ω`)「おいおい。そりゃ無いぜ」
( ゚ω゚)「じゃねぇおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 ドッカーン!
('A`;)「耳元で怒鳴るなって」
(; ゚ω゚)「この船、沈むやつじゃん!! ダメじゃん!!」
('A`;)「そういう事言うなよ。良い船だぞ」
(; ゚ω゚)「良い船だって事くらい僕でも知ってるお! ってかそこじゃねぇし!!」
('A`;)「良い経験になるぞ」
(; ゚ω゚)「何でも良い経験で済ませようとするなお!」
('A`;)「こんな機会滅多に無いぞ」
(; ゚ω゚)「うるせぇ!」イランワ、ソンナキカイ!
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:26:39.52 ID:IxNTxbN80
- (-A-;)「良いか、よく聞け。ブーン」
(;^ω^)「何だお?」
('A`)「タイタニックってのはな、凄いんだ」
( ^ω^)「んな事分かってるお。自慢じゃないけど、映画も劇場で見たお」
('A`)「この船は、ホワイト・スター・ラインの神髄……、いや、世界中の船の技術、そしてエレンガントさが集まっている」
( ^ω^)
( ^ω^)「ホワイト・スター・ライン?」
('A`)「会社の名前だ。飛行機でいう、ANAやJALみたいなモンだな」
( ^ω^)「ああ……」
('A`)「他社が早さにこだわる中、タイタニックは早さを追求せずに優雅さを全面に押し出した、味な作りになっているんだ」
( ^ω^)「流行に流されないってやつかお」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:30:05.70 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「とはいえ、相当のスピードは出るがな」
( ^ω^)「へぇ……」
('A`)「さらに言えば、世界最大の客船として処女航海の前から話題になってる」
( ^ω^)「良く分からないから、ドラゴンボールで例えてくれお」
('A`)「ミスター・ポポが女」
( ^ω^)「凄い」
('A`)「そんな凄い船に乗れるんだぞ。光栄だとは思わないのか」
(;^ω^)「ぐぬぬ……」
('A`)「大丈夫大丈夫。死にゃしないから」
( ^ω^)「本当かお?」
('A`)「ホントホント」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:34:07.23 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「信じるお……」
('A`)「おう。信じてくれ」
( ^ω^) ウズウズ
(*^ω^)「……実は少しワクワクしてるんだお」
('A`)「だろ? ワクワクするだろ?」
(*^ω^)「伝説の豪華客船がどんなもんか……。ワクワクだお!」
('A`)「うんうん。早く乗りたいな」
(*^ω^)「だお。いち早く海に飛び込んでしまえば、ドクオの言うとおり死にはしないだろうし……」
('A`)(極寒の海に入ったら一分で死ぬがな)
( ^ω^)「つっても、死ぬ可能性もあるわけで」
( ´ω`) ショーン
('A`)(正気に戻った)
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:37:31.11 ID:IxNTxbN80
- 【イギリス サウサンプトン タイタニック号乗り場】
( ^ω^)「どっひゃー……。すっげぇ列だお」
('A`)「約二千人の人が集まってるからな」
( ^ω^)「二千人……トンでもないお……」
('A`)「さ。俺たちは前に行くぞ」
( ^ω^)「え? 並ばないの?」
('A`)「俺たちは三等客室だからな」
( ^ω^)「三等客室かお?」
('A`)「簡単に言えば、一番位の低い客室だ」
( ^ω^)「あー。じゃあ、一と二もある訳かお」
('A`)「そうだ。一等客室、二等客室……、そしてスイートルームだ。けど、スイートルームの数は二つしかない」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:40:32.23 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「おお。数か少ないとスイートって感じがするお」
('A`)「乗船は三等客室から。だから俺たちは先に行かないと」
( ^ω^)「そう言う事かお。だったらさっさと行くお」
('A`)つ□「ほれ、チケット。先に持っててくれ」スッ
( ^ω^)「……このペラッペラの紙がチケットかお?」
('A`)つ□「おう。昔はそんなもんそんなもん」
( ^ω^)
( ^ω^)つ□ スッ
( ^ω^)つ□))ペラペラ…
( ^ω^)つ□「何だか心許ないお〜」
('A`)「そう文句言うな。しゃーないってヤツよ」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:44:08.67 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^) キョロキョロ
(^ω^ ) キョロキョロ
+
川 ゚ -゚) + キラキラ…
+ +
ξ゚?゚)ξ + キラキラ…
+
( ´W`) + キラキラ…
+ +
( ^ω^)「凄いお〜。映画で見るような貴族ばっかりだお」
('A`)「この辺は一等客室の人たちが溜まってるからな」
( ^ω^)「というと?」
('A`)「格差があるんだよ。一等と二等、そして三等の間にな」
( ^ω^)「ふーん」
('A`)「……さ、ここが三等客室の並びだ」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:47:26.81 ID:IxNTxbN80
- (;;::;・∀・) ボロボロ
_
( ゚∀゚) ボロボロ
(,;;;:゚Д゚) ボロボロ
(;^ω^)「わわ……。むちゃくちゃ汚い人たちだお」
('A`)「これが三等客室に乗る人たちだ」
(;^ω^)「良いのかお? こんな人たちが豪華客船なんかに……」
('A`)「良いも悪いも無いさ」
(;^ω^)「そうかお……」
('A`)「彼らの多くはアメリカへの出稼ぎだ」
( ^ω^)「アメリカかお?」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:50:01.24 ID:IxNTxbN80
- 【しばらくして……】
(係´⊃`)『チケットを拝見いたします』
( ´ω`)「ようやくだお……」
('A`;)「流石に並び疲れたな」
( ^ω^)つ□「はいお」スッ
(係´⊃`)つ□ スッ
(係´⊃`)『それでは奥にお進みください』
( ^ω^)「はいはいお」
(係゚△゚)『あっ、ちょっと待って』
( ^ω^)「お?」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:51:32.49 ID:IxNTxbN80
- (係゚△゚)つ=『二人とも頭下げて』
( -ω-)「? 何するんだお?」 スッ
(-A-)「さあ……」
;;::::));;::;;;;::)
(係゚△゚)つ=< );:;;;)) )::: :; :)) ブシュゥゥゥウウ!!
;;:));;;;;;;::)
( ×ω×)「おお?!」
(×A×)「ゲホッ……!」
(係゚△゚)『はいお終い。先に進んで』
( ×ω×)「ガハッ……、ゴホッゴホッ……! 気管に入ったお……」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:55:00.07 ID:IxNTxbN80
- ( ×ω×)「ドクオー……、今のは何だお?」
(×A×)「恐らくDDTだ」
( ×ω×)「DDT?」
(×A×)「ああ。小学校の頃習わなかったか?」
( ×ω×)「この不良児がそんな事覚えてるわけねーお」
('A`;)「……まー、平たく言えば殺虫剤ってとこだな」
(;^ω^)「殺虫剤? 何でまた……」
('A`;)「船の中で変な虫が入り込んで、病気になったらどうする」
(;^ω^)「そんなやべー虫が居るのかお? この時代は」
('A`;)「いやいや。蚤やシラミがヤバイ病原菌を持って入って来ちゃうんだよ」
(;^ω^)「あー……、なるほど」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 02:57:37.13 ID:IxNTxbN80
- ('A`;)「だからこうして、乗船前にDDTを散布して回ってるって訳だ」
( ^ω^)「うーん……、映画にこんなシーンあったかお?」
('A`;)「さあ。何分、しばらく見てないもんで覚えてないぜ」
( ^ω^)「……ま、何はともあれこれで乗船出来る訳だおね」
('A`)「ああ。多分な。そして、タイタニック号は目の前だ」
画像
(*^ω^)「おお……。でっけぇお!!」
('A`)「タイタニックはオリンピック級の客船。この時代ではバケモノレベルなんだ」
( ^ω^)「僕は、とてもこの船が沈むとは思えないんだけど……」
('A`)「こうして目の前にしてみると、俺もそう思ってくるぜ」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:01:57.98 ID:IxNTxbN80
- (;;::;・∀・)「すげぇな……、タイタニック。流石は不沈船だ……」
(,;;;:゚Д゚)「俺たち、アメリカで成功すると良いな」
(;;::;・∀・)「大丈夫だよ。こんな縁起の良い船に乗れるんだからさ」
( ^ω^)「何か、不沈船とか言ってるお……」
('A`)「ああ。タイタニックは不沈船としても有名だからな」
( ^ω^)「絶対に沈まないって意味かお?」
('A`)「そうだ」
(;^ω^)「えー」
('A`)「えー、と思うのも無理はない。でも構造上、確かに不沈船なんだよ」
( ^ω^)「と言うと?」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:05:59.77 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「まず、タイタニックには浸水しても沈没しない区画が6つもある。ちなみに、区画ってのは大きく分けられたエリアだと思ってくれれば良い」
(;^ω^)「それって凄くないかお?」
('A`)「ああ。凄いんだ。さらに言えば船底は二重になってて、そこそこ固い」
( ^ω^)「おー……」
('A`)「その上、万が一の浸水時には区画を自動的に隔離出来る様、あらゆる場所にシャッターが備わっている」
( ^ω^)「無敵だお」
('A`)「そう。無敵なんだ」
( ^ω^)「じゃあ、どうして沈んでしまったんだお?」
('A`)「簡単に言えば、思ってたより水の勢いが凄すぎてシャッターがぶっ壊れた」
( ^ω^)「うわ。単純。どこが無敵だお」
('A`)「詳しくは自分の目で確かめるんだな」
(;^ω^)「嫌すぎるお」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:09:05.14 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 甲板】
(* ゚ω゚)「ひょー! もう既に人で一杯だお!」
('A`)「後から二等客室と一等客室の人たちも来るぞ」
(* ゚ω゚)「すっげー! タイタニックすっげー!」
('∀`)「今から出港が楽しみだぜ」
_
( ゚∀゚)つ トントン
( ^ω^)「?」
_
( ゚∀゚)「よお」
( ^ω^)「お?」
_
( ゚∀゚)「アンタら、先に荷物置きに行かなかったのか?」
('A`)「ああ。ごらんの通りさ。いち早く海が見たかったんでね」
_
(*゚∀゚)「ははは。俺もだよ。ちなみに、アンタら……三等客室?」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:12:32.19 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「うん、そうみたいだお」
_
( ゚∀゚)「おお! 一緒じゃねぇか! 長い船旅だし、仲よくしようぜ」
( ^ω^)[景気の良い兄ちゃんだお] ヒソヒソ
('A`)[変な奴に絡まれるよりマシだな] ヒソヒソ
_
( ゚∀゚)「あっ、そーいや自己紹介がまだだったな。俺、ジョルジュ。アンタらは?」
( ^ω^)「僕はブーンだお」
('A`)「俺はドクオ」
_
( ゚∀゚)「へぇ……。珍しい名前してんな」
('∀`;)「だろ? ハッハッハ」
(;^ω^)「おっおっおっ!」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:15:05.43 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚)「ちなみに、こう見えて俺……、スナオ家の庭師なんだ」
( ^ω^)(……スナオ家?)
('A`)「ああ……、あのスナオ家の……」
( ^ω^)[すげぇお。ドクオ何でも知ってるんだお] ヒソヒソ
('A`)[知るわけねぇだろ] ヒソヒソ
( ^ω^)[えっ] ヒソヒソ
('A`)[テキトーに口裏合わせとけ。テキトーに] ヒソヒソ
(;^ω^)[はいお] ヒソヒソ
_
( ゚∀゚)「旦那様のご厚意で乗せてもらったって訳さ……。俺にゃ勿体ない話だね」
('A`)「乗せてもらった……、って事はそのスナオ家の人たちもいるのか?」
_
( ゚∀゚)「ああ。旦那様とお嬢様がな」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:17:30.64 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「っほー……」
_
( ゚∀゚)σ「ほら、見ろ」
('A`)「ん?」
_
( ゚∀゚)σ「あそこで帽子をかぶってる女の人がお嬢様だ」
+
川 ゚ -゚) + キラキラ…
+
( ゚ω゚) ポカーン
( ゚ω゚)「むちゃくそ美人だお」
('A`;)「まるで絵画だな」
_
( ゚∀゚)「だろー? 自慢のお嬢様さ」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:21:33.95 ID:IxNTxbN80
- (;^ω^)「あの人は一等客室かお?」
_
( ゚∀゚)「当たり前だろ。二等や三等に居る人じゃないぜ」
('A`)「……って事はもうすぐ出港か」
_
( ゚∀゚)「ああ。楽しみだなぁ」
(*^ω^)「ウキウキだお!」
('A`)σ「お、見ろ」
( ^ω^)「ん?」
('A`)「港に野次馬共が集まってやがる」
( ^ω^)「おおお……、凄い人の数だお」
('A`)「これだけ注目の的だったって訳だな、この船は」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:24:07.97 ID:IxNTxbN80
- フゥゥゥ……
( ^ω^)「あっ……、煙突から煙が一杯出てきたお!」
('A`)「そろそろだな」
( ^ω^)「……ん? でも、一番後ろの煙突からは煙が出てないお」
('A`)「あれはダミーだ」
( ^ω^)「ダミー?」
('A`)「あの煙突だけは厨房なんかと繋がってて、ただの換気扇の役割を果たしている」
( ^ω^)「へぇー……。じゃあ見た目だけってヤツかおー……」
('A`)「そういうこった」
カーン……! カーン……!
('A`)「お……。動くぞ」
ボォォォォォォオオオオ!!
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:26:49.14 ID:IxNTxbN80
- (*^ω^)「おお! 動き始めたお! ゆっくりだけど動き始めたお!!」
「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
(*^ω^)「おお……、野次馬から引くくらいの歓声が……」
('A`)
(゚A゚) ギンッ
( ^ω^)「ドクオ?」
(゚A゚)ノシ「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!」 ブンブン
(;^ω^)「いきなりどうしたお、ドクオ」
(゚A゚)「何ボーっとしてるんだ! 手を振れ! お〜いって言って手を振れ!!」
(;^ω^)「え?」
(゚A゚)ノシ「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!」 ブンブン
_
(*゚∀゚)ノシ「お〜〜〜い!」ブンブン
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:29:06.49 ID:IxNTxbN80
- (゚A゚)「早くしろブーン! お〜いだ!」
(;^ω^)「何の意味があるんだお?」
(゚A゚)「意味なんてない! これが豪華客船のお約束なんだよ!!」
(゚A゚)ノシ「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いいい!!」ブンブン
(;^ω^)
(;^ω^)ノシ「おーい」 ブンブン
(゚A゚)ノシ「もっと腹の底から声出せ! お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いいいいい!!」ブンブン
(; ゚ω゚)ノシ「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いいい!!」ブンブン
(゚A゚)ノシ「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いいい!!」ブンブン
_
(*゚∀゚)ノシ「お〜〜〜い!」ブンブン
「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
.
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:31:32.07 ID:IxNTxbN80
- 【しばらくして……】
( ´ω`)「疲れたお」 クタクタ…
('A`)「いやぁ、楽しかったなブーン」
( ´ω`)「まあ……、少しは」
( ´ω`)
( ^ω^)「っていうか、あっという間だお」
('A`)「何がだ?」
( ^ω^)「港が見えなくなるの」
('A`)「うん。まあ、さっきも言ったと思うがこの船は結構速いからな」
( ^ω^)「おーん……、どのくらいだお?」
('A`)「最大で23ノットだ」
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:34:59.62 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)
( ^ω^)「いまいちピンと来ねーお」
('A`)「うーん。大体、原付くらいの速さかな……」
( ^ω^)「原付……って、あのオバチャンとかが乗ってるちっせぇバイクの?」
('A`)「そう。その原付だな」
( ^ω^)「あー……、なんとなく速い気がするかも」
('A`)「まあもっと速い客船もあるが、それでも結構速い部類だと思う」
( ^ω^)「へぇ……。1900年の初頭とは思えないお」
_
( ゚∀゚)「おーう、アンタら客室いかねーのか?」
( ^ω^)「お?」
('A`)「ああ。行くぜ。一緒にどうだ?」
_
( ゚∀゚)「ははは。俺が誘おうと思ったのによ」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:37:59.71 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「その三等客室ってのはどこにあるんだお?」
('A`)「下の方になる」
( ^ω^)「おっ……。まあ、三等って言うくらいだからそうだおね」
_
( ゚∀゚)「格安なんだし、気にしたら負けだ。負け」
( ^ω^)「おー……。どのくらいの値段なんだお?」
_
( ゚∀゚)「俺は六ポンドだって聞いたが……」
( ^ω^)[六ポンドってどの位なんだお?] ヒソヒソ
('A`)[どのくらいだろう……。今でいうと……300ドルくらいか?] ヒソヒソ
( ^ω^)[とすると……。大体3、4万円くらいってことかお……] ヒソヒソ
('A`)[安いな] ヒソヒソ
( ^ω^)[安いお] ヒソヒソ
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 03:40:59.40 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 三等客室】
_
( ゚∀゚)「おー……。これが三等客室か」
( ^ω^)
('A`)「実に三等って感じだな」
( ^ω^)
( ^ω^)「倉庫かお? ここは倉庫なのかお?」
('A`)「いや、三等客室だ」
( ^ω^)「一人一人の部屋は無いのかお? まさか、この中にすし詰めかお?」
_
( ゚∀゚)「そんなもんだろ……」
( ^ω^)「ひどい……、これが豪華客船かお……。ベッドすら無いってどういう事だお……」
('A`)「現実を見ようぜ」
( ´ω`) ショーン…
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 10:53:39.43 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚)「よーし、俺はいっちょ船内探検してくるぜ! お前らも行くか?」
('A`)「どうする、ブーン」
( ´ω`)「もうちょっと休憩してからで」
('A`)「……だそうだ」
_
( ゚∀゚)「ちぇー。じゃ、俺は先に行くからなー」
_
( ゚∀゚) タッタッタ…
('A`)「行っちまった……。元気な奴だぜ」
( ´ω`)「これが……豪華客船……」
('A`)「おいおい。いつまでしょげてるんだよ。元気出せ」
( ´ω`)「元気でねぇお」
('A`)「ったくよぉ……」
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 10:56:12.82 ID:IxNTxbN80
- (#゚;;-゚)「……みなさん聞いてください」 スッ…
ざわざわ……
がやがや……
('A`)「ん?」
( ´ω`)「なんだお?」
(#゚;;-゚)「安全な航海の為に……、一度祈りましょう」
ガヤガヤ……
ざわざわ……
(#゚;;-゚)「私たちが無事でアメリカにたどり着ける様に……」
( ´ω`)
(;´ω`)「うーん」
('A`)「複雑だな」
(#゚;;-゚)「どうか……神様……」
シーン……
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 10:58:55.95 ID:IxNTxbN80
- (-A-) スッ
(;´ω`)「ドクオ?」
(-A-)「一応形だけでも祈っとくんだ。変に思われちまう」
(;-ω-)「おっ……」スッ
(-A-)
( -ω-)
シーン……
(#゚;;-゚)「……、きっと神様も応えてくれる事でしょう」
がやがや……
ざわざわ……
ざわざわ……
( ^ω^)「……んー。何とも言えん気持ち」
('A`)「しょうがないさ。運命は時として残酷なんだ」
- 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:04:17.40 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「ドクオって意外とクール……」
( ^ω^))) ユラユラ…
( ^ω^)「おー……」
('A`)「ん?」
( ^ω^)「今更なんだけど……、結構揺れるおね」
('A`)「ああ。三等客室だからな」
( ^ω^)「お? って事は、一等客室や二等客室は揺れないのかお?」
('A`)「揺れない様な設計になってるはずだ」
( ^ω^)「すげぇ……」
('A`)「実際に行ってみるか? 一等客室とか」
( ^ω^)「入れるのかお?」
('A`)「流石に入るのは無理だろうが……、もしかしたら中を覗くことくらいは出来るかもな」
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:07:55.14 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「おーん。じゃあ行ってみようかお」
('A`)b「よし。探検だ。途中でジョルジュに会うかもな」 グッ
(*^ω^)「一回、あのでっかい階段見てみたいお! 映画で一目ぼれだお!」
('A`)「でっかい階段? オリンピック級の大階段の事か?」
( ^ω^)「……? つーか、さっきからオリンピック級ってなんだお?」
('A`)「んー。タイタニックの姉妹の呼称みたいなもんだ。その大階段はオリンピックって客船にもついてるんだ」
( ^ω^)「ほぉー。叶姉妹みたいな?」
('A`)「ニュアンス的には、てじなーにゃみたいな感じかも」
( ^ω^)「僕には違いがわからない」
('A`)「まあ、その話は置いといて……。あの階段ならすぐに見れるだろうし、そこから行くか!」
(*^ω^)「お! 行くお行くお!」
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:11:34.13 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 大階段】
(*^ω^)「おおおおおおおお!!」
('A`;)「大迫力だな、こりゃ」
(*´ω`)「マジもんだお……」ウットリ
('A`;)「こんだけゴージャスにしてるんだ。相当の金が……」
川 ゚ -゚)「あの……」
(*´ω`)「お?」
川 ゚ -゚) 「少し訪ねて良いだろうか……」
('A`)「ん……?」
( ^ω^)「あー、あなたは……」
川 ゚ -゚)「……私を知っているのか?」
('A`)「スナオ家の御嬢さんだろ?」
川 ゚ー゚)、「まあ、そうだが……」 ヘラ…
( ^ω^)「まさか話しかけられるとは思わなかったお」
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:15:17.57 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「で、そんな御嬢さんが俺たちに何の用だい?」
川 ゚ -゚)「君たちは三等客室の人間だろう?」
Σ(;^ω^)「ゲッ……! まさかお説教かお?!」ドッキーン
('A`;)「やっぱ入っちゃ不味かったか!」
川 ゚ -゚)「いや……、そうじゃないんだ……。ジョルジュって人を知ってるかと思って……」
('A`)「ん? ジョルジュ……庭師のか?」
川 ゚ -゚)「あ、ああ。そうだ。どこにいるか知ってるか? Fデッキの三等客室は見たんだが、いなくて……」
('A`)「Gデッキの客室だが……、探検とか言ってどっか行っちまったぞ」
川 ゚ -゚)「そうか……。ちなみに何処に行ったとかは?」
('A`)「いや、知らない」
川 ゚ -゚)、「……そう。ありがとう」
川 ゚ -゚) スタスタ…
( ^ω^)「行ってしもうた……」
('A`)「何だったんだろうな……」
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:18:09.90 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「まさかラブロマンスかお?」
('∀`)「かも知れん」
(*^ω^)「すっげぇ! 本当に映画のタイタニックみたいだお!」
('∀`)「ありゃ作り物の話だが、実際にあんな様なラブロマンスがあったのかも知れないな……」
(*^ω^)「ヒュー! 後で冷やかしてやるお!」
(*^ω^)
( ^ω^)「あれ……、今思ったんだけど……」
('A`)「どうかしたか?」
( ^ω^)「三等客室って他にもあるのかお?」
('A`)「ああ。最大で700人を収容出来るようになってるぜ。三等客室だけでな」
( ^ω^)「とんでもねぇや」
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:21:46.96 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 一等客室前廊下】
(*^ω^)「ぶえぇぇぇえ! 豪華すぎるお!」
('A`;)「確かに。凄い照明の数だ。シャンデリアだらけだぞ」
(*^ω^)「素人の僕でも、お金かけてるーってのが分かるお!」
('A`;)「莫大なマネーの塊みたいなモンだな」
(*^ω^)「お金シップ……」
( ^ω^) クンクン
( ^ω^)「おや。……なんか美味そうな匂いが」
('A`)「この近くにダイニングサロンがあるんだろう」
( ^ω^)「お。食堂みたいな?」
('A`)「そうそう。食堂」
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:24:05.47 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「へぇー。でも、豪華客船のごはんって高そうだお」
('A`)「ブーン、勘違いしちゃいけない」
( ^ω^)「お?」
('A`)「タダだよ」
( ^ω^)
( ^ω^)「え?」
('A`)「だからタダなんだって」
( ^ω^)「食い放題って訳かお?」
('A`)「食い放題って訳ではないが、ある程度の量は出てくる。酒に関しては飲み放題だ」
( ^ω^)
Σ( ゚ω゚)「すげええええええええええええええええええええええええええ!!」テテーン
- 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:26:14.38 ID:IxNTxbN80
- (* ゚ω゚)「凄すぎるお! 凄すぎるお!」
('A`)「お……。ダイニングのドアが開いてるから、何食ってるか見えるぞ」
( ^ω^)「おっおっ! 覗いちゃうお!」
≡≡≡≡≡( ^ω^) ピューン
('A`;)「早っ」
│^ω^) コソッ…
│A`) コソッ…
│A`)「どうだブーン」
│^ω^) 「肉ばっかりだお。すげぇお」
│A`)「ワインも美味そうだな……」
│^ω^) ジュルリ…
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:29:17.17 ID:IxNTxbN80
- │^ω^)「こんなモノを毎日食べれるなんて……」
│*^ω^)「……豪華客船は最高だお!」ポッ
_
│゚∀゚) ヌッ…
_
│゚∀゚)「二人して覗きとはいい趣味じゃねぇか」
│ ゚ω゚)そ「ジョルジュ!」 ビクッ
│A`)「お前も覗いてるじゃねぇかよ」
_
│゚∀゚)「だって美味そうな匂いがするから……」
│^ω^)「……あー。僕もお腹減って来ちゃったお」
_
│゚∀゚)「そろそろ用意されてる頃なんじゃねぇか?」
│^ω^)「お?! 僕たちにもごはんかお?!」
_
│゚∀゚)b「ああ。腹が減っては戦は出来ぬ、だぜ」 グッ
│*^ω^)「わーい! やったお!」
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:31:20.87 ID:IxNTxbN80
- (*^ω^)「あ〜、早く食べたいお! あのジューシーなお肉をかぶりつきたいお!」
('A`)「えーっと、三等客室のダイニングは……」
_
( ゚∀゚)「また下の方だ。戻らなきゃだな」
(*^ω^)「よ〜し! その三等客室のダイニングまで競争だお!」
_
( ゚∀゚)「はしゃぎすぎるなよ。一等客室の人を怪我でもさせたら……」
(*^ω^)「そん時はごめんなさいだお」
_
( ゚∀゚)「知らねぇぞ?」
三三三三 ⊂二二二(*^ω^)二⊃ ブーン!
('A`)「あーあー、行っちまった」
_
( ゚∀゚)「お前の連れ、可愛いな」
('A`)「だろ?」
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 11:33:47.94 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 三等ダイニング】
( ^ω^)
( ^ω^)σ「これは?」
('A`)「豆だな」
( ^ω^)「こんなに干からびてるのに?」
_
( ゚∀゚)「豆だって」
( ^ω^)「おーん」
( ^ω^)
( ^ω^)「じゃあ、これは?」
('A`)「そぼろだな」
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:13:08.66 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「いや、これは……、そぼろじゃないお」
('A`)「じゃあなんだ?」
( ^ω^)「肉カスだお」
_
( ゚∀゚)「あー、肉カスか。それっぽい表現だ」
( ^ω^)「だお?」
( ^ω^)
( ^ω^)「で、あとは?」
('A`)「以上だ。これが今日の晩飯だな」
( ^ω^)
( ゚ω゚)「これの何処が豪華客船の料理だおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドッカーン!!
- 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:21:39.28 ID:IxNTxbN80
- ('A`;)「いきなりどうしたブーン」
(;'ω`)「いきなりどうしたブーン」
( ゚ω゚)「じゃねぇお!! 豪華客船で出された食べ物がこれだったら釈迦も不機嫌になるお!」
('A`)「しょうがないだろう。時代だよ、時代」
( ^ω^)「くそっ! 恵まれた時代を生き過ぎたんだ!」
_
( ゚〜゚)「文句言わずに食え食え。なかなかイケるぞ」モグモグ
( ´ω`)「……本当かお?」
( ´ω`) モソモソ
( ´ω`)「普通に豆と肉カスの味だお」
_
( ゚∀゚)「それを言われちゃ悲しくなるぜ」
- 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:25:15.12 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「出されたモノは残さず食べる。人類のオキテだ」
( ´ω`)「カーチャンみたいな事言うなお」
_
( ゚∀゚)「一日一食なんだから、しっかり食べなきゃ持たないぞ」
( ´ω`)
( ´ω`)「一日一食?」
_
( ゚∀゚)「おう」
('A`)「それ、どこ情報よ」
_
( ゚∀゚)「船員」
('A`)
('A`)「まじかー」
( ^ω^)「おい。どう責任取るんだ、干物野郎」
- 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:31:14.84 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「すまん。ガチで知らなかった」
( ^ω^)「許さない。絶対に許さない」
_
( ゚∀゚)「良いじゃねぇかよ。この船に乗れてるってだけでも感動もんだぜ」
( ^ω^)「ポジティブ過ぎるお」
_
(; ゚∀゚)「そうかぁ? 俺ら位の身分の奴らなら、みんなそう思ってるかと……」
( ^ω^)「ほぉーん……」
_
( ゚∀゚)「なんてったって、天下のホワイト・スター・ラインだぜ? 最新鋭の豪華客船だぜ?」
( ^ω^)「……ドクオもさっき、ちょろっとだけ言ってたけど、そんなに凄いのかお? ホワイトなんちゃらって会社は」
('A`)「まあ、凄いっちゃ凄い」
(;^ω^)「なんか含みのある言い方だお」
- 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:36:17.74 ID:IxNTxbN80
- ('A`)[言っちゃ何だが、電化製品で言うソニーみたいなもんだ]ヒソヒソ
( ^ω^)「?」
('A`)[途上国の子供なんかは、ソニーってだけで神製品扱いだったりするだろ? 大事そうにダンボールなんて持ってさ]ヒソヒソ
( ^ω^)[あー……」 ヒソヒソ
('A`)[つまりはそう言う事だ。分かったか?] ヒソヒソ
( ^ω^)[何となく] ヒソヒソ
_
( ゚∀゚)つ□ スッ
_
( ゚∀゚)つ□「ほら、見てくれよ。俺なんか、ポスター引っぺがして持って来ちゃったもんね」
画像
('A`)「おぉ……、結構イカしたデザイン……」
( ^ω^)「そうかおー?」
- 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:40:27.80 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚)「俺ぁ、死ぬまでに一度でいいからホワイト・スター・ラインの船に乗ってみたくてさ……」
( ^ω^)「夢叶った訳かお」
_
( ゚∀゚)「おう。旦那様のおかげでな」
('A`)「キュナード・ラインとかには興味ないのか? あそこも凄い船を作ってるだろう」
_
( ゚∀゚)「あー……、何かポッと出って感じがして好きじゃねぇかな……」
( ^ω^)(僕には分からない話だお) ナンダオ、キュナードッテ
( ^ω^)
( ^ω^)「あ、そうだ」
('A`)「どうした?」
( ^ω^)「御嬢さんとやらが、アンタの事探してたお」
_
( ゚∀゚)「ん? クーお嬢様が……?」
- 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:44:41.51 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「んーと、名前は知らないけど、ジョルジュが甲板で教えてれた綺麗な人だお」
_
( ゚∀゚)「……そっか」
(*^ω^)つ「もしかして、ラブロマンスなんじゃないかお?」コノヤロコノヤロ
_
(; ゚∀゚)「ち、違ぇ……、と思うけど……」
(*^ω^)「お〜? 何だお〜? その反応は?」
_
(; ゚∀゚)
_
(; -∀-)「……違ぇよ。身分が違いすぎるぜ」
(*^ω^)「なーに言っちゃてんだお! まんざらでも無い癖に!」
_
(; ゚∀゚)「まんざらでも無い……、のかな」
('∀`)「正直だな」
_
(; ゚∀゚)「……確かに、いっぱい話したりとか、お菓子ごちそうになったりとか、散歩に連れて行って貰ったりとか色々あるけどよ」
(*^ω^)「ヒュー! 聞いても無いのに言っちゃうあたりが憎いお!」
- 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:50:21.79 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「でも……、本当にダメって言うか……。その……」
_
(; ゚∀゚)
_
(; -∀-)=3「……うん。やっぱりさ、身分が違いすぎるんだって」 ハァ
(*^ω^)「がんばれお〜! 美人の奥さんゲッチューだお!」
_
(; ゚∀゚)))… 「ええい!! この話は止めだ止め! 俺は寝るからな!」 タジタジ
(*^ω^)「お? お?」
_
(; ゚∀゚)))…「お、お、お……」タジタジ…
_
(゚∀゚; )≡≡≡ 「おやすみ!」 ピューン!
(*^ω^)「おっおっ! 恥ずかしがっちゃって。どの時代にもピュアボーイはいるもんだお」
('∀`)「好きなのバレバレだな」
- 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:53:26.37 ID:IxNTxbN80
- ( ´ω`)=3 アフ…
( ´ω`)「僕も眠くなっちゃったお……」
('A`)「結構いい時間だ。時間が経つのは早いぜ」
( ´ω`)「明日はどうするかお?」
('A`)「どうするって事もなく、適当にフラフラしようぜ」
( ^ω^)「とりあえず海でも見て……、カモメとかに餌あげて、みたいな感じかお?」
('A`)「寒いぞ、外は」
(;^ω^)「えっ」
('A`)「海の上だからな。風は吹きさらしだし、流氷も出てくれば空気も冷える」
(;´ω`)「……明日もインドアで」
('A`)「それが良い」
- 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 12:56:17.03 ID:IxNTxbN80
- 【翌朝 タイタニック号 三等客室】
( ´ω`) ギュルギュルギュル…
( ´ω`)
( ´ω`)「お腹減ったお」
('A`)「我慢だ、我慢」
( ´ω`)
( ´ω`)「ドクオは良いお。だって、そもそもがガリガリだから」
('A`)「ガリガリで悪かったな」
( ´ω`)「僕はそもそもが小太りだから、我慢ならないんだお」
('A`)「みんな我慢してるぞ」
( ´ω`)「それを言われるとグゥの音も出ません」
- 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:01:13.71 ID:IxNTxbN80
- ( ´ω`) フラフラ…
('A`)「どこ行くんだ?」
( ´ω`)「一等客室のダイニングに行って、おいしい匂いだけでも嗅いでくるんだお」
('A`;)「そんな事したら余計に腹が減らないか?」
( ´ω`)「良いんだお。僕がそうしたいって言ってるんだお」
('A`;)「絶対後悔するぜ」
( ´ω`)「そんときゃそんときだお」
( ´ω`) フラフラ…
( ´ω`)「ほら、ドクオ。お前も来いお」
('A`)「あ、俺も行くんだ」
( ´ω`)「お前が居ないと迷子になるお」
('A`)「間違っても俺にかぶりつくなよ?」
( ´ω`)「お前にかぶりつく位なら、骨っこ食べた方がまだマシだお」
- 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:04:15.60 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 一等ダイニング前】
(ヽ ゚ω゚) ゴギュルグルゴルグル……
(ヽ ゚ω゚)
(ヽ ゚ω゚)「オナカヘッタ」
('A`;)「言わんこっちゃない」
(ヽ ゚ω゚)「なんって美味そうなもん食ってるんだお」
('A`;)「朝から肉はキツイと思うがな、俺は」
(ヽ ゚ω゚)「干物の意見なんて聞いてないお」
('A`;)「着いてこさせといて酷い言いぐさだ……」
- 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:07:46.90 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)
('A`)「おっ……、ブーン。昨日の女性じゃないか?」
(ヽ ゚ω゚)「僕には肉にしか見えないお」
ε=(;;;;;;;;;;;;)=3 モワワワーン
('A`)「随分原始的な肉に見えてるんだな」
(ヽ ゚ω゚)「分かりやすいイメージをモットーに」
川 ゚ -゚)「……ん?」
('A`)「おや。こっちに気が付いた様だ」
(ヽ ゚ω゚)「見ろお。あのデブのおっさん、あんなに美味しそうに食べてる」
川 ゚ -゚) スタスタ…
('A`)「近寄ってくるぞ」
(ヽ ゚ω゚)「お肉ハウスに住みたい」
川 ゚ -゚)「やあ……、君たちは昨日の……」
('A`)「ああ。アナタは確かクーさん、でしたか?」
- 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:11:47.44 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「うむ、そうだが……。何故名前を?」
('A`)「ジョルジュから聞いたんだ」
川 ゚ -゚)「そうか……、ジョルジュが……」
(ヽ ゚ω゚) ゴギュルゴルギュルルル……
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「もしかして、腹が減ってるのか?」
('A`)「お分かり頂けただろうか」
(ヽ ゚ω゚)=3 ハッハッハッ…!
川 ゚ -゚)「分からない方がおかしい」
(ヽ ゚ω゚)「何か恵んで下さいお」
- 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:14:42.08 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「ふむ……、私の残飯で良ければすぐに用意出来るが……」
(ヽ ゚ω゚)「何でもするんで下さい」
川 ゚ -゚)「良いだろう。はしたないから、父上にはナイショだぞ」
(ヽ ゚ω゚)
(ヽ ´ω`)「女神様だお……」
川 ゚ -゚)「少し待っていてくれ。すぐに持ってくる」
川 ゚ -゚) スタスタ…
(ヽ ´ω`)「ジョルジュが好きになる理由が分かるお」
('A`)「単純で良いな、お前は」
(ヽ ´ω`)「飯の食えない時くらいは単純で居させてくれお……」
……
- 186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:17:41.46 ID:IxNTxbN80
- 【しばらくして……】
(* ゚ω゚) ガツガツガツガツ!!
川;゚ -゚)「そんな必死にならなくても……」
(* ゚ω゚)「うめぇ! 美味過ぎるお!」
川;゚ -゚)「残飯だぞ?」
(* ゚ω゚) ガツガツガツガツ!!
(* ゚ω゚)「んなもん関係ねーお! 空腹は最高の調味料だお!」
('A`)「……だそうだ」
川;゚ -゚)「まあ、喜んでくれる分には構わないのだが……」
(* ゚ω゚) ガツガツガツガツ!!
川;゚ -゚)「自分の残飯を必死に食われてるのを見ると、何とも言えない気持ちにはなる」
- 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:20:17.54 ID:IxNTxbN80
- (*´ω`)「いやぁ、マジで美味いお……」
川;゚ -゚)「良かったな……」
( ^ω^)「アンタらはいつもこういうもの食ってるのかお?」
川 ゚ -゚)「……いつもって訳では無いが、偶にだな」
( ^ω^)「すっげー……」
川 ゚ -゚)「とは言え、三等客室でもそれなりの食べ物は出ているんだろう?」
( ^ω^)
( -ω-)=3 フゥ…
( -ω-)「聞いたかお、ドクオ君?」
('A`)「ん? それなりのモノ食わせて貰っただろ」
( ^ω^)「お前は鳥か」
- 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:23:40.93 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「良いかお? 昨日出たメシを教えてやるお? 腰抜かすなお?」
川 ゚ -゚)「あ、ああ……」
( ^ω^)「まずその一。豆」
川 ゚ -゚)「豆……」
( ^ω^)「その二。肉カス」
川 ゚ -゚)「肉カス……」
( ^ω^)「以上だお」
川 ゚ -゚)「囚人みたいだな」
( ^ω^)「その上、一日一食だお」
川 ゚ -゚)「一等客室と三等客室にそこまでの差があったとは……」
( ゚ω゚)「身分の高さに罪悪感を感じるが良いお……!」 ギンッ
- 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:26:32.81 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「ふむ……。やはり、人を入れ過ぎたのが原因だろうな」
('A`)「と、言うと?」
川 ゚ -゚)「何でも、三等客室を多く売ってしまったもんだから、予定した人数よりも上回っているらしい」
( ^ω^)「なんと」
('A`)「なるほど……。それで俺らのメシはあんなもんなのか……」
川 ゚ -゚)「多分な」
( ^ω^)「客室もギュウギュウな理由も分かるお。許すまじ、ホワイトなんちゃら」
川 ゚ -゚)「確か、最下層だったか君たちは」
('A`)「ああ。一番下にある三等客室だ」
川 ゚ -゚)「じゃあ、個室じゃないんだな」
( ^ω^)「え、個室の三等客室とかあるの」
- 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:31:21.11 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「そもそも基本は個室、と言うかベースルームだ。小さいベッドが四つくらい入ってるような部屋がずらーっと並んでる」
( ^ω^)「林間学校で使ったかも。そっちの方が全然マシだお」
('A`)「まー……。さっきの理由から、大部屋に相当数入れさせられてるんだろうな」
川 ゚ -゚)「噂によると喫煙室を客室扱いにしてる場所もあるらしい」
('A`)「へぇ……。どうやら、俺らの部屋はそれっぽいかも。やたらベンチが多かっただろ?」 ※この辺は章末の資料と補足にて
(;^ω^)「思いっきし間に合わせじゃねぇかお!」
川 ゚ -゚)「さぞかし寝づらいだろうな……」
( ´ω`)「お察しの通り、死ぬほど腰が痛いお」 サスサス…
川 ゚ー゚)「ふふ……、そうか」クスッ
( ´ω`)「笑い事じゃないお」
川 ゚ー゚)、「悪かったよ……」
( ^ω^)「ま、メシに免じて許してやるお」
- 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:35:33.01 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「あ、そういえば……、まだ君たちの名前を聞いていなかったな」
( ^ω^)「ああ、そうだおね。僕はブーンで、コイツはドクオだお」
('A`)「よろしくです」
川 ゚ -゚)「ああ、よろしく。私は、クー・スナオだ」
( ^ω^)「お?」
('A`)「どうした?」
( ^ω^)「身分の高い人だって聞くからもっと長い名前かと思ったお」イメージテキニ…
('A`)「俺は別にそんなイメージ無いが……」
川 ゚ -゚)「全部言うか?」
( ^ω^)「……へ?」
川 ゚ -゚)「クー・ディエン・マスカ・トーエイク・ティオ・マズロ・トスカ・トスカ……」
( ^ω^)「うん。もうお腹いっぱいです」
- 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:38:31.86 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「洗礼名か」
川 ゚ -゚)「ああ」
('A`)「これだけの長い洗礼名となると……、スペイン系?」
川 ゚ -゚)「ほぉ……。物知りだな、君は。確かに、私の祖父の祖父はスペインの南で……」
( ^ω^)「お前らの話は難しすぎて着いて行けんお」
川 ゚ -゚)「ん? まぁ、なに。普通にクーって呼んでくれれば良い」
( ^ω^)「おっおっ。よろしくお、クー」
川 ゚ -゚)「ああ、よろしく……」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「……それでなんだが」
( ^ω^)「お?」
- 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:41:57.75 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「ジョルジュは客室に居るのか?」
(*^ω^)「ほっほー。気になるかお?」
川;゚ -゚)「……なんだその反応は」
(*^ω^)「何でもねーお! 多分ジョルジュなら客室に居るハズだお!」
川 ゚ -゚)「そうか……」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「彼も似たような食事を?」
('A`)「ああ。大体そんな感じだ」
川 ゚ -゚)「……じゃあ、昼も残飯を持ってこようか?」
(*^ω^)「ヒュー」
川;゚ -゚)「いちいちうるさいな、君は」
- 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:45:03.84 ID:IxNTxbN80
- (*^ω^)「きっとジョルジュ喜ぶお」
川 ゚ -゚)「本当か?」
('∀`)「多分な」
川*゚ -゚)「……そうか、なら持っていこうかな」
(*^ω^)「僕たちの分も頼むお」
川 ゚ー゚)「分かった分かった」
ヽ(*^ω^)ノ「わーいわーい」 ウッヒョヒョーイ
( ´W`)「……クー、友達かね?」 ヌッ
( ^ω^)(お……)
川 ゚ -゚)「あ、お父様……、友達というか……」
( ´W`)「そうか……」
( ^ω^)(すげぇ髭だお。映画の貴族みたいだお……)
- 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:48:29.43 ID:IxNTxbN80
- ( ´W`)「君たち」
( ^ω^)「お?」
( ´W`)「クーと仲良くしてやってくれな」
('A`)「ええ……」
( ^ω^)「もちろんですお」
( ´W`)「私は部屋に戻る。あまりハメを外し過ぎるなよ」
川 ゚ -゚)「はい」
( ´W`) スタスタ
( ^ω^)「おー……。あれがクーのお父さんかお」
('A`)「ウチのクーと話すな、下賤が移る! とか言われるかと思ったぜ」
川 ゚ー゚)「お父様はそんな人じゃないさ……」
- 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:52:16.23 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「それもそうだな。だって庭師のジョルジュを連れて来たんだもんな」
川 ゚ -゚)「……本当は、ジョルジュも一等客室の予定だったんだ」
('A`)「ほぉ……」
川 ゚ -゚)「でも、自分は身分が違うからって……」
( ^ω^)「あんなナリして、意外とウジウジなんだおね」
川 ゚ -゚)「気にすることないのに……」
( ^ω^)「僕だったら喜んで一等客室に乗り込んじゃうお」
川 ゚ -゚)「君くらい純粋な方がこっちとしては気が楽だ」
('A`)「ずっと一緒にいるとしんどいだけだぞ」
川 ゚ー゚)「そうかもな……」クス
( ´ω`)「ひでぇ事言うお……」ショーン
- 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:56:09.05 ID:IxNTxbN80
- 【昼 タイタニック号 三等客室】
( ^ω^)「つー訳で残飯を分けてくれる事になったお」
_
( ゚∀゚)「お嬢様が……?」
( ^ω^)「そうだお。優しい人だお」
('A`)「良かったじゃないか」
_
(; ゚∀゚)「え?」
('∀`)「大好きなお嬢様に会えるぞ」
(*^ω^)「ティヒヒ」
_
(; ゚∀゚)「お前らなぁ……」
│リ ゚ -゚) コソッ…
('∀`)「ほら。噂をすれば何とやらだ」
- 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 13:59:36.16 ID:IxNTxbN80
- (*^ω^)「わーい、残飯だお〜」
川 ゚ -゚)「ほら、好きなだけ食え」
(*^ω^)「おっおっ! 幸せだお!」
川 ゚ -゚)「あと、ほら……。三等客室の子供達にも、と思ってパンを持ってきた」
('∀`)「おお……、後で適当に配って回るか」
(* ゚ω゚) ガツガツガツガツ
('A`;)「おい、あんまりお前一人で食いすぎるなよ。多少は周りに分けないと……」
(* ゚ω゚)「分かってるお!」ガツガツガツガツ
('A`;)「分かってねぇよ!」
川 ゚ -゚)「……君は食べないのか?」
_
(; ゚∀゚)「じ、自分ですか……?」
- 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:02:12.26 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「ああ。君もお腹を空かせてると思って持って来たんだが……」
_
(; ゚∀゚)「え、えーっと……」
川 ゚ -゚)、「余計なお世話だったかな……」
_
(; ゚∀゚)「いや、そんなんじゃ……」
( ^ω^ ) モグモグ…
_
(; ゚∀゚)「何だよ、ブーン……。こっち見んな」
( ^ω^ )「別にぃ……」 モグモグ…
('A`)「素直になれば良いのに」
_
(; ゚∀゚)「おい、どう言う意味だこの野郎」
川 ゚ -゚) ジー…
_
(; ゚∀゚)
_
(; ゚∀゚)「いただきます」
- 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:05:38.51 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚) モグモグ…
川 ゚ -゚)「美味いか?」
_
( ゚∀゚)「……はい」
川 ゚ -゚)「……そうか、良かった」
( ^ω^)「上層の味を噛みしめるが良いお」
_
(; ゚∀゚)「いちいちうるせぇヤツだな……」
('A`)「一々突っ込んでたらキリ無いぞ」
( ^ω^)「何だお、その厄介者みたいな扱いは」
('A`)「おしゃべりなデブほど面倒なモノは無い」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「なあ、ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「?」
- 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:08:25.89 ID:IxNTxbN80
- 川 ゚ -゚)「後で……、一緒に甲板に出て見ないか?」
_
( ゚∀゚)「甲板に……?」
川 ゚ -゚)「ああ。ダメかな?」
_
( ゚∀゚)「……でも、俺なんかがお嬢様と」
( ^ω^)「うわ、出た」
('A`)「出ましたな、ブーンさん」
( ^ω^)「ええ、出ましたな。ドクオさん」
_
(; ゚∀゚)「うるせぇな畜生!!」
川 ゚ -゚)、「やっぱり、嫌なのか……?」シュン
_
(; ゚∀゚)「い、いえ! 嫌なんかじゃなくて! その……、本当は……」
川 ゚ -゚)「本当は……?」
- 230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:11:26.03 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「本当は……、えーっと……」
_
(; ゚∀゚)
_
(; -∀-)「やっぱ何でも無いっす」
川 ゚ -゚)「そうか……」
_
グイグイ ……((( ^ω^)つ川 ゚ -゚)(; ゚∀゚)「お? お?」
( ^ω^)「ほらほら。早く行って来いお」
('A`)「早くしないと日が暮れちまうぜ」
川;゚ -゚)「お、おい……」
_
(; ゚∀゚)「……まだ三時だろ」
(*^ω^)「楽しい時間は早く過ぎるって言うお」ニヤニヤ
- 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:15:51.60 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「この野郎、またおちょくりやがって……」
('∀`)「ほらほら。早く行った行った」
_
(; ゚∀゚)「ぐぬぬ……」
_
(; ゚∀゚)
_
(; ゚∀゚)「行きます……、か。御嬢様」
川*゚ -゚)「うん……」テレ…
( ^ω^)「お、偉い。自分から言った」
_
(; ゚∀゚)「うぜー」
('A`)「さて、このパンを子供たちに分けてやるとするか」
( ^ω^)「ちなみに、このジャムみたいなのが塗ってあるパンは僕が食べるから置いといてお」
('A`;)「一番美味そうなヤツじゃねぇか。ガキに譲ってやる余裕は無いのかよ」
( ^ω^)「あったら、こんなだらしない体してないお」
_
(; ゚∀゚) ウジウジ…
(;^ω^)「お前は早く行けお」
- 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:29:05.03 ID:IxNTxbN80
- 【夜 タイタニック号 三等プロムナードデッキ(遊歩道)】
( ^ω^)=3 ハァァ…
( ^ω^)「おお〜。息が白いお」
('A`)「これだけ寒ければ息も白くなるさ」
( ^ω^) ジー…
( ^ω^)「つーか、外に出たは良いけど何にも見えないおね」
('A`)「そりゃ夜だからな」
( ´ω`)「出る時間帯間違えたお」ショーン
( ´ω`)「……ん?」
_
( ゚∀゚)川 ゚ -゚)
( ^ω^)「お。ここから甲板が見えるお。アイツら、まだ話してたのかお……」
- 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:32:22.01 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「良くもまあ、こんな寒い場所に長時間居られるな」
( ^ω^)「ラブパワーってやつだお」
('A`)「ラブパワー(笑)」
( ^ω^)「うるせぇ」
('A`)「……さて、俺は戻るぜ。さすがに冷える」
( ^ω^)「ちょい待ちだお」
('A`)「ん?」
( ^ω^)「ジョルジュ達があれをやるのを待とうお」
('A`)「あれ?」
(*^ω^)「腕を広げて、わぁー空を飛んでるみたいってヤツ」
('A`)「映画でも寒い演出だったじゃねぇか」
( ^ω^)「僕のオキニのシーンを散々な言いぶりだお」
('A`)「俺は話題になるヤツを批判するケンモメンだからな」
( ^ω^)「ケンモメン(笑)」
('A`)「うるせぇ」
- 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:35:12.40 ID:IxNTxbN80
- ビュゥゥゥー……
::( ´ω`):: ブルッ
( ´ω`)「うおー、寒い」
::('A`)::「だから早く戻ろうって」ガクガク
( ´ω`)「うんお……」
('A`)「窓あるのに風が入り込んで来る所は評価出来ないぜ」
( ´ω`)「いっぱいイスが置いてあるけど、誰もこんな所でゆったりするのはムリだお」
('A`)「日でも出てればマシなんだがな」
( ´ω`)「さ、部屋に入ってウダウダしようお……」
('A`)「豪華客船に乗ってまでウダウダするとは」
( ´ω`)「だって何もする事ねーし」
('A`)「三等客室って悲しい事だな」
( ´ω`)「どうせならスイートとかにして欲しかったお……」
('A`)「ゲメン」
( ´ω`)「謝る気ねぇだろ」
- 245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:38:03.35 ID:IxNTxbN80
- 【翌日 タイタニック号 三等客室】
( ^ω^)「そろそろかお……」
│リ ゚ -゚) コソッ…
( ゚ω゚)「来たか」 ガタッ
川 ゚ -゚)「今日も持ってきたぞ」
(*^ω^)「おっおっ。待ってたお!」
('A`)「毎度すまんな……」
川 ゚ -゚)「どうせ捨てるモノなんだから、気にしないでくれ」
川 ゚ -゚) チラ…
_
( ゚∀゚)
川 ゚ -゚)「ジョルジュも、食べてくれよ」
_
( ゚∀゚)「え、ええ……」
- 246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 14:41:35.20 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「なーんだ、まだたどたどしい感じなのかお」
('A`)「一晩中一緒に居た癖にな」
_
(; ゚∀゚)「冷やかすなって……」
( ^ω^) モグモグ…
( ^ω^)「そうだ、クーさん」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ^ω^)「一等客室ってヤツが見てみたいお」
('A`;)「おいおい、何を言い出すんだお前は」
_
(; ゚∀゚)「お嬢様のお部屋だぞ、バカ野郎!」
( ^ω^)「だって、暇だし」
('A`;)「ちょっと仲良くなったらすぐこれだ」
- 259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:04:23.01 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「ドクオも見たいんじゃないかお?」
('A`;)
( ^ω^)「どうなんだお? ん? ん?」
('A`;)
('A`;)「見たい、です」
_
(; ゚∀゚)「お前らなぁ……」
川 ゚ -゚)「私は別に構わないが……」
_
(; ゚∀゚)「ええ?」
(*^ω^)「おっおっ! やったお!」
('A`)「……良いのか?」
川 ゚ -゚)「ああ」
('∀`)「……やったぜ」
- 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:07:34.10 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「お、お嬢様……」
川 ゚ -゚)「君も一緒にどうだ?」
_
(; ゚∀゚)「……へ?」
川 ゚ -゚)
_
(; ゚∀゚)「それは……、その……。自分みたいなのが……」
川 ゚ -゚)「嫌か?」
( ^ω^)「あーあー。また困らせてしまって」
('A`)「憎い男だぜ」
_
(; ゚∀゚)「お前らは黙ることを知ってくれ!」
川 ゚ -゚) ジー…
川 ゚ -゚)「嫌なら、良いんだが……」
( ^ω^)(クーさんも結構ヤリ手だおね……)
- 263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:11:26.35 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 一等客室】
_
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)「結局来てしまった」
( ^ω^)「おお……、すっげぇお……」
('A`*)「素晴らしい……。一つ一つの家具、全てがシックな色合いで統一されてるんだ……」
\('A`*)ノ「かと思えば、対照的な照明は華々しく……。くぅー! しびれるぜ!」 ジタバタ
( ^ω^)「実に豪華客船って感じだお」
川 ゚ -゚)「何、豪華とは言え三日も経てば慣れて普通に感じてくる」
( ^ω^)「とんでもねぇ発言」
('A`*) ナデナデ
(;^ω^)「恥ずかしいから箪笥を撫でるのはやめて!」
- 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:14:19.71 ID:IxNTxbN80
- ('A`*)「気持ちいぞ。お前もやってみろよ、ブーン」
( ^ω^)
( ^ω^) ナデナデ
( ^ω^)(やべぇ。別に気持ちよくない)ナデナデ…
('A`*)「この机も良いなぁ……。傷一つ無い……」
( ^ω^)「全部、タイタニックの為に買いそろえたって事かお?」
('A`*)「全部……って事はないだろうが、この状態を見ると買い揃えたモノも多くあるだろうな……」
( ^ω^)「すっげぇ……」
('A`*)「ホワイト・スター・ラインがどれだけ本気だったかが分かるぜ」
('A`*) スリスリ
(;^ω^)「恥ずかしいから机に頬ずりするのはやめて!」
- 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:17:15.89 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚) ボー…
川 ゚ -゚)「どうした?」
_
( ゚∀゚)「え?」
川 ゚ -゚)「ボーっとしてしまって……」
_
( ゚∀゚)「いや……、凄いなって思って……」
川 ゚ -゚)「どこが?」
_
( ゚∀゚)「どこが……、何か違う世界に住んでるんだなって思ってしまって……」
川 ゚ -゚)「そうかな……。私にとっては君の方が凄いと思う」
_
( ゚∀゚)「なんでです?」
川 ゚ -゚)「だって、君は私の様に温室暮らしじゃない……。厳しい環境で育って来ている」
_
( ゚∀゚)「そうっすかね……」
川 ゚ -゚)「そうさ。……私みたいな苦労の何も知らない人間にとっては君みたいな存在が大きく見えるんだ」
_
(; ゚∀゚)「……え、えーっと」
川;゚ -゚)「す、すまん……。変な事言ったな」
- 269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:20:58.12 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)(お、何か良い雰囲気……)
( ^ω^)[ドクオ……] ヒソヒソ…
('A`)
('A`)b グッ
( ^ω^)b グッ
(;-ω^)「……おお! 急にお腹が」 イテテ…
(-A-;)「き、奇遇だなブーン。俺もだ」 イテテ…
川;゚ -゚)「大丈夫か……?」
(;-ω^)「ズルして良いもの食ってたからバチが当たったんだお……」
(-A-;)「キリキリするぜ」
川;゚ -゚)「トイレならそこに……」
- 272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:25:08.76 ID:IxNTxbN80
- (;^ω^)「いや、僕たちは大人しく客室で寝てる事にするお」
('A`;)「だな。それが良い……」
川;゚ -゚)「そ、そうか……?」
(;^ω^)「うんお。客室見せて貰ったのに、ゴメンお」
川;゚ -゚)「いや、気にしないでくれ……」
(;^ω^)「じゃあまた……」
('A`;)「ごゆるりと……」
バタン……
川;゚ -゚)
_
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)(あれ。二人っきり……?)
- 276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:30:35.36 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 廊下】
(*^ω^)「ふっふっふ……」
('A`)「ブーン」
(*^ω^)「お?」
('A`)b グッ
(*^ω^)b グッ
('A`)「男にして貰えると良いな、ジョルジュ」
( ^ω^)「クッ……、何かそう考えると急に悔しいッ」
ヒソヒソ…
( ^ω^)「……ん?」
- 278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:33:43.29 ID:IxNTxbN80
- ξ゚?゚)ξ「良いのですか? 御嬢さん、三等の人を部屋に……」
( ´W`)「うむ……」
( ^ω^)「……クーさんのお父さんだお」
('A`)「……見つかるとややこしくなるかも知れない。隠れよう」
( ^ω^)「おっ……」
ξ゚?゚)ξ「……それに、どう考えても庭師のジョルジュの事が」
( ´W`)「分かっている」
ξ゚?゚)ξ「ならどうして……。御嬢さんには許嫁がいるのでは……」
( ´W`)「……この船旅の間は許してやってくれ」
- 280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:37:08.75 ID:IxNTxbN80
- ( ´W`)「私とて、クーの気持ちは分かっている。だが……」
ξ゚?゚)ξ「スナオ家が生き残る為には……」
( ´W`)「……そうだ。あそこの大地主と縁を深めるしかない」
ξ゚?゚)ξ「なら、なおさら……」
( ´W`)「良いんだ。今だけは……、クーの好きにさせといてくれ」
ξ゚?゚)ξ「しかし……」
( ´W`)「それに、クーも知っているさ」
ξ゚?゚)ξ「何をです……?」
( ´W`)「彼とは……、どう世界がひっくり返っても結ばれない運命にある事を」
ξ゚?゚)ξ「……そうですか」
( ´W`)「だから、今だけはそっとしておいてくれ。……私からのお願いだ」
- 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:40:43.30 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)
('A`)
( ^ω^)「……なんか、聞いちゃいけない話を聞いてしまった感がMAX」
('A`)「だな」
( ´ω`) ショーン…
( ´ω`)「何だか落ち込んぐ」
('A`)「没落スレスレの家には良くある事とは言え……」
( ´ω`)「あー。今更ジョルジュを部屋に置いて来た事が悔やまれる」
('A`)「でも、一緒に出てきたら今の話を聞くことになってしまうな」
(;´ω`)「それもそれで……」
('A`)「運命は残酷だぜ」
- 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:43:29.30 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 エレベーター】
ウィーーーーン
( ^ω^)「エレベーターなんてあったのかお」
('A`)「階段で上り下りしてたからな。気づかないのも無理はない」
( ^ω^)「まるで海上に浮かぶホテルって感じだお」
('A`)「その表現はかなり正しいぞ」
( ^ω^)「まー、お世辞にも三等客室は豪華とは言えないけど」
('A`)「だな」
( ^ω^)
('A`)
ウィーーーーン……
- 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:45:23.36 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「ん?」
( ^ω^)「なんか、テンション下がっちゃったお」
('A`)「まーな……。あんな話、聞いちゃったらな……」
( ^ω^)
('A`)
チーン……
( ^ω^)「おっ……」
('A`)「着いたぞ。ここからは階段だ」
(;^ω^)「直接一番下まで連れて行ってくれる訳じゃ無いのかお……」
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:48:53.77 ID:IxNTxbN80
- 【翌日 昼 三等ダイニングサロン】
( ^ω^) モグモグ…
( ^ω^)「豆も豆でおいしく感じる様になって来たお」
('A`)「良いことじゃないか」
( ^ω^)「この肉カスも結構イケるっていうか……」
( ^ω^)
( ^ω^)「あれ? ジョルジュは?」
('A`)「そういえば姿が見えないな……」
( ^ω^)「メシの時間になれば来るかと思ったのに……」
('A`)「客室じゃないかな」
( ^ω^)「何やってるんだろうお」
- 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:51:48.64 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 三等客室】
_
( ゚∀゚)つο イソイソ…
( ^ω^)「ジョルジュ」
_
Σ(; ゚∀゚)つο「うおっ」 ビクッ
( ^ω^)「何やってるんだお?」
_
(; ゚∀゚)「な、何もしてねぇよ」
('A`)「……何か作ってんだろ?」
_
(; ゚∀゚)
_
(; ゚∀゚)「ちょっと、ブローチなんかを……」
(*^ω^)「見たいお見たいお!」
_
(; ゚∀゚)「見せる様なもんじゃねぇし」
- 297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:54:56.85 ID:IxNTxbN80
- _
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)「結局見せてしまった」
( ^ω^)つο「お〜……。意外に精巧だお」
('A`)「手先が器用なんだな」
_
(; ゚∀゚)「一応それだけが取り柄だと思ってる……」
( ^ω^)つο「これは貝殻で作ったのかお?」
_
(; ゚∀゚)「ああ……、船に乗る前に買ってきたんだ」
('∀`)「ほぉ……。で、それは誰にプレゼントするんだ?」
_
(; ゚∀゚)「プレゼントなんて……ただ作ってるだけだって」
( ^ω^)「まーたまた、嘘ばっかり」
- 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 15:57:24.80 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「別に嘘じゃねぇよ……。一回試しに作ってみて……」
(*^ω^)「作ってみて?」
_
(; ゚∀゚)「……それで、良い感じに出来たら、今度はもっと良い貝で作って……、プレゼントしようかなって」
(*^ω^)「ヒュー」
_
(; ゚∀゚)「やめい」
('∀`)「喜ぶと良いな」
_
(; ゚∀゚)「どうだろうな……。俺が作るのなんかよりも、もっと良いの持ってるかも知れないし」
(*^ω^)「そういうのは、良いものとか良いものじゃないとか関係無いんだお」
_
(; ゚∀゚)=3「ホントかねぇ」ハァ…
(*^ω^)「ホント、ホント。僕を信じてお」
_
(; ゚∀゚)「……ま、なんとなく勇気出てきたわ」
('∀`)「そいつぁ、よかったぜ」
- 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:00:16.32 ID:IxNTxbN80
- _
(; ゚∀゚)「……ありがとよ」
( ^ω^)「例には及ばんお」
_
( ゚∀゚)「……つっても、このブローチ今日中に出来上がりそうなんだ」
( ^ω^)「お?」
_
( ゚∀゚)「俺が作ったなんて言わないでさ、お嬢様に見せて……、綺麗だなって思ってくれたら……自信出ちゃうな」
(*^ω^)「ティヒヒ」
_
(; ゚∀゚)「なんだよ」
(*^ω^)「いやぁ、可愛い事言うなぁと思って。ねぇドクオさん?」
('∀`)「ああ。純粋で良いな」
_
(; ゚∀゚)「あんましからかうんじゃねぇよ……」
- 303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:03:19.10 ID:IxNTxbN80
- 【夜 タイタニック号 三等客室】
( ^ω^)「出来たら、すぐに見せに行っちゃったお」
('∀`)「可愛いヤツめ」
( ^ω^)「でも……、クーのお父さんが言ってた事……」
('A`)「ああ……。ま、気にしないでおこうぜ」
( ^ω^)「そうだ! 船がニューヨークに着いたら駆け落ちでもして……」
( ^ω^)
( ^ω^)「あれ?」
('A`)「どうした?」
( ^ω^)「この船、沈むじゃん」
('A`)「だな」
- 306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:06:10.96 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)「じゃあ、クーさんもジョルジュも死んじゃうのかお?」
('A`)「そればかりはわからん」
( ^ω^)「おっ……」
('A`)「言いたかないが……」
( ^ω^)「何だお?」
('A`)「多分、クーさんだけは助かると思う」
( ^ω^)「根拠は?」
('A`)「これは、資料によって違うんだが……、一等客室の女子供からボートに乗せたらしいからな」
( ^ω^)「あー……」
('A`)「かなり説はあるが、何もなければクーさんは助かる……。かもな」
( ^ω^)「そうかお……」
- 310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:09:10.68 ID:IxNTxbN80
- ( ^ω^)
( ^ω^)「と言うか」
('A`)「ん?」
( ^ω^)「いつ沈むの?」
('A`)「もう、そろそろだ」
( ^ω^)「えっ」
グラ……
(( ^ω^)) ユラユラ…
(('A`)) ユレユレ…
(;^ω^)「……おっ。何か揺れたお」
- 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:12:56.24 ID:IxNTxbN80
- ('A`)「氷山にぶつかった」
(;^ω^)「え? 今のがかお?」
('A`)「ああ」
(;^ω^)「もっと映画みたいにガガガガガ! ってぶつからないのかお?」
('A`)「皆勘違いしてるが、氷山衝突時に開いた穴はほんのちょっと。こんなもんだろうな」
(;^ω^)「……何か嫌な恐怖が」 ドキッ…
ざわっ……
ざわざわ……
揺れたか……?
(;^ω^)「……なあ、ドクオ。早く逃げなきゃマズイんじゃないかお?」
('A`;)「……ああ。そしてここは、ほぼ最下層」
- 322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:15:55.49 ID:IxNTxbN80
- (;^ω^)「と、言いますと?」
ピキッ……
キシ……、 キリ……
ミシ……
('A`;)
('A`;)「来るぞ」
バキッ…
バキッ…
バキッ……
バキッ……!
バキバキッ!
(; ゚ω゚)「んだお……、この音」
('A`;)「逃げろ! ブーン!」
- 327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:18:44.10 ID:IxNTxbN80
ドバァァァァアアアアア!!
(; ゚ω゚)「ぎゃあああああああああああああ!! 水が! 水が!!」
('A`;)「船首付近からの傷が広がったんだ! 走れ!」
(; ゚ω゚)「ぬおおおおおおおおおおおお!!! 水の勢いマジやべぇええええええ!!」
≡≡≡≡(; ゚ω゚) ダッシュ!
≡≡≡≡(;'A`) ダッシュ!
(; ゚ω゚)「ふぉおおおおおおおおおおおお!!」 タッタッタ
(;'A`)「もっと早く走れ! 閉じ込められるぞ!」 タッタッタ
(; ゚ω゚)「へ?」 タッタッタ
(;'A`)「区画ごとにシャッターがある。浸水しないように閉めるんだ! 閉まってしまったらもうお終いだぞ!」タッタッタ
(; ゚ω゚)「ぎゃああああああああああああ! 思った以上にやべぇぇぇええええ!!」タッタッタ
……
- 333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:21:12.07 ID:IxNTxbN80
- (;'A`)「ぐわ……、この辺はもう水浸しか……」 ジャブジャブ…!
(; ゚ω゚)「は、早くしないと……」
(;'A`)「一応、浸水し始めた区画は抜けたらしいから大丈夫だが……、思った以上に水の勢いが強い」
(; ゚ω゚)「どういう事だお?」
(;'A`)「現存の資料で見る過程なんかよりも、沈むの早いぞ、これ」
「きゃああああああ……!」
「走れー!! 浸水してるぞー!!」
「甲板だ! 甲板に行けばボートがある……!」
(; ゚ω゚)「甲板にボート……」
(;'A`)「……そうだな。とりあえず、甲板だ」
(; ゚ω゚)「どのくらいの距離があるお?」
(;'A`)「わからん。がむしゃらに走りすぎて此処がどこだか分からない」
- 336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:24:02.37 ID:IxNTxbN80
- (; ゚ω゚)「やべぇじゃねぇかお!」
(;'A`)「とにかく、上に上に、だ! ここでフラフラしてても何の意味も無いぞ!」
(; ゚ω゚) ジャブジャブ…
(; ゚ω゚)「簡単に言うけど、水に足がとられて中々前に進めないお!」
(;'A`)「水温も低すぎる。完全に舐めてかかってたぜ」
(; ゚ω゚)「この野郎! どうすんだお!」
(;'A`)「うるせぇ! とにかく甲板を目指せ! 死んじまう!」
(; ゚ω゚)「わーってるお!」
(; ゚ω゚) ジャブジャブ
(;'A`) ジャブジャブ…
(; ゚ω゚)「中々前に進まねぇええええええええええええええええええ!!」ジャブジャブ
- 342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:27:07.35 ID:IxNTxbN80
- 【タイタニック号 甲板】
(; ゚ω゚)「ようやく着いたお……!」 ゼェゼェ…
(;'A`)「マジで死ぬかと思った……」 ゼェゼェ…
(; ゚ω゚)「しかし、凄い人の数だお……、まるで身動きが取れない……」 ゼェゼェ…
「女子供を先に乗せろ! 三等客室の人間は後だ!」
「沈むぞ! 早くしろ!」
「乗れ! 早く! 誰でも良い!」
「どこからの浸水だ!」
「船首か? 船底か?」
(; ゚ω゚)「情報がぐっちゃぐちゃじゃないかお……」
(;'A`)「船員もパニクってる。無理もない」
(; ゚ω゚)「こんな状態じゃまともに避難出来る訳ねーお……」
- 346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:30:24.96 ID:IxNTxbN80
- (((; ゚ω゚) ギシギシ…
(; ゚ω゚)「ド、ドクオ……」」
(;'A`)「あ?」
(; ゚ω゚)「この船はどのくらいで沈むのかお?!」
「キャー……ッ」
「バランスを取れ!! 転ぶぞ!!」
「どけっっ!」
「逃げろーー!!」
(;'A`)「だいたい二時間……、いや、一時間半か?!」
(; ゚ω゚)「意外と時間が無いお……ッ」
(;'A`)「とにかく、ボートだ。無理やり割り込めばなんとかなるかも……」
(; ゚ω゚)「良いのかお?!」
(;'A`)「四の五の言ってられるか!!」
- 348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:34:16.38 ID:IxNTxbN80
- (; ゚ω゚)「……あ」
(; ゚ω゚)σ「あああああああああああああああ!!」
(;'A`)「ど、どうした?」
(; ゚ω゚)σ「あのボート、半分も乗って無いのに出ちゃったお!!」
(;'A`)「そんな事言ったら出て行ったほとんどのボートがそうだぞ!」
(; ゚ω゚)「こりゃ死人が山のように出る訳だお……!」
(;'A`)「そう言う事だから、無理やり割り込めば何とかなるかも知れないって言ってるだろ!」
(; ゚ω゚)「よっしゃ! 本気出す!!」
川;゚ -゚) キョロキョロ
(;^ω^)「おっ……。クーさん? あれ、クーさんじゃないかお?」ハッ…
(;'A`)「……良かった。一等客室だったから上手く逃げてこれたんだ」
- 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:37:04.66 ID:IxNTxbN80
- 川;゚ -゚)「ジョルジュ……」
(;´W`)「え……?」
川;゚ -゚)「お父様、ジョルジュがいないんだ……」
(;´W`)「何?」
川;゚ -゚)「い、行かなきゃ……!」
≡≡≡≡≡川;゚ -゚) ダッシュ!
(;´W`)「おい! 何処に行く! クー!!」
(; ゚ω゚)「どうしたお? クーさん、船内に戻って行っちゃったお?!」
(;'A`)「きっとジョルジュを探しに行ったんだ!」
(; ゚ω゚)「なっ……、止めなき」
- 357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:41:16.91 ID:IxNTxbN80
バチィ!!
Σ(; >ω<)「おっ?!」
(;^ω^)「……電気が消えた?」
(;'A`)「船内の通電が途絶えた……のか? まさか発電室がやられたんじゃないだろうな……?」
(;^ω^)「ど、どどど……、どうすんの……」
バキ…… ベキ……
キキィィ……
キ――――――――――――ィィ……
(;'A`)「なんだ……、この音は……。船体が折れる……?」
(; ゚ω゚)「ぎゃあああああああああああああああああ!! 何処があと一時間半だおおおおおおおおおおお!!」
(;'A`)「この様子じゃあと10分が良い所だ!!」
(; ゚ω゚)「音怖すぎ笑えねえええええええええええええええええ!!」
「次のボートは?!」
「こっちには無いぞ!!」
「なんでこれしか積んでないんだ?!」
「知るかよ!! どうなってるんだ!」
- 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:44:32.54 ID:IxNTxbN80
- (;'A`)「ボートも無くなったか……!」
(; ゚ω゚)「ど、どど、どうすんだお……? このまま沈み行くのを待つだけかお?」
(;'A`)「と、とりあえず……、救命胴衣を……」
(;^ω^)「なるほど……。救命胴衣を着て飛び込む訳だお。なんとか助かりそう……」
(;'A`)「いや、そんな事したら三十秒で死ぬ!」
(; ゚ω゚)「何で?!」
(;'A`)「極寒の海だぞ! 浸かっちまえば心臓停止か凍死がオチだ!」
(; ゚ω゚)「もう詰んでるじゃねぇかお! 救命胴衣意味ねぇし!」
ガコンッ!!
……(((; ゚ω゚)「お?」グラ…
……(((;'A`)「傾き始めてる……、いよいよマズイ……!」
- 364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:47:27.79 ID:IxNTxbN80
ギギギギギ……ッ
ミシミシ……ッ
(; ゚ω゚)「おっ……、転ぶ……!」
(;'A`)「柵を掴め!落ちたら死ぬぞ!」
(; ゚ω゚)つ「落ちなくても死ぬお!!」 ガシッ
(;'A`)つ「それを言ったらお終いだ!」 ガシッ
「きゃああああああああ!!」
「わああああああああああああ!!」
「誰かぁあ! 誰かああ!!」
「神様ぁぁあ!」
……(((((; ゚ω゚)つ「お、お、お、……も、もう、ほとんど垂直に」
(;'A`)つ「ぐおお……、手が千切れそうだ……!」
画像
- 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:51:37.81 ID:IxNTxbN80
- ベキッ……! パキパキ……!
バキ……! バキキキイイ……!!
(; ゚ω゚)
(; ゚ω゚)「何、このやばそうな音」
(;'A`)「船体が折れるぞ! しっかりつかまれ!」
バキベキバキ……ベキバキキ……!!
バキキキバキバキ……!
キィィィイイイイ!!
キシィィィィィイイイイイイ……!!
ガコ……ッ!!
(; >ω<))))≡≡≡≡≡≡「うわぁあああ!!」
(;'A`)「ブーン!」
(; >ω<)つ ガシッ!
(; ゚ω゚)つ「死ぬ!! 死ぬ!! ヤバイ!! 死ぬ!!」ハァハァ!!
- 374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:54:52.76 ID:IxNTxbN80
- (;'A`)「大丈夫か?!」
(; ゚ω゚)つ「これが大丈夫に見えるんなら、アンタどうかしてるお!!」
ヒュルルル……パァン!!
パァン!! パァン!!
(; ゚ω゚)つ「な?! 花火? こんな時に花火なんて上げるなお! 場違いにもほどがあるお!」
バキバキ……!
「キャァァァアアアア!!」
「助けてくれぇぇええええええ!!」
(;'A`)「違う、花火じゃない! これは信号弾だ! 撃つのが遅すぎるぜ!」
パァン!!
バキバキバキバキ……! ヒュルルル……パァン!!
ドドド…… パキッパキッ……!!
(; ゚ω゚)「何言ってるか全然聞こえねぇお!! もっと大きな声で喋れおおおお!!!」
- 379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:57:11.45 ID:IxNTxbN80
「わぁぁぁあああああ!!」
「たすけてぇぇぇぇえ!!」
「いやぁぁぁあああああああ!!」
(;'A`)「……人が落ちていく」
(; ゚ω゚)「誰かぁぁぁあああ! 助けておおおおおお!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
(;'A`)「俺たちもダメだ、ブーン。もう沈むぞ……!」
(; ゚ω゚)「ぎゃあああああああああああああ!! 嫌ぁぁぁあああああああ!!」
(;'A`)「覚悟を決めろ!」
(; ゚ω゚)「なんだお?! 何言ってるか全然聞こえないお!! ドクオ、声小さすぎるんだお!!」
(;'A`)「……もうダメだ!!」
(; ゚ω゚)「ぴぃぃぃいいいいいいいい!! 水が迫ってくるぅぅううう!!」
- 384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 16:59:00.88 ID:IxNTxbN80
.
- 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:01:17.12 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
( ^ω^) チーン
⊂⊃
('A`) チーン
⊂⊃
( ^ω^)「おい」
⊂⊃
('A`)「ん?」
⊂⊃
( ^ω^)「死んじまったお」
⊂⊃
('A`)「だな。海に浸かってからはあっという間だったな」
⊂⊃
( 'ω`)「だな。海に浸かってからはあっという間だったな」
⊂⊃
( ゚ω゚)「じゃねえええええええええええええええええええええええええええ!!」ドッカーン
- 398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:04:11.95 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
('A`)v「そう気にするな。大丈夫、大丈夫」 ブイッ
⊂⊃
( ^ω^)「うぜー」
⊂⊃
('A`)「と言うことで、初の豪華客船はどうだったかな?」
⊂⊃
( ^ω^)「最悪だったお」
⊂⊃
('A`)「そうか……、残念だ」
⊂⊃
( ^ω^)「これを最高だったって言えるキチガイは居ないと思います」
⊂⊃
('A`)「それはそうと、ブーン」
⊂⊃
( ^ω^)「それはそうと、じゃねーよ。流そうとすんなよ」
- 405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:07:10.58 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
('A`)「どうして、沈没してしまったか気にならないか?」
⊂⊃
( ^ω^)「氷山にぶつかったからじゃないのかお?」
⊂⊃
('A`)「もっと根本だよ。どうして氷山にぶつかってしまったか、だ」
⊂⊃
( ^ω^)「あー……。それは少し気になるかも」
⊂⊃
('A`)「そいじゃ、少しだけ時を遡って見てみよう」
⊂⊃
( ^ω^)「おっおっ。どのくらいまで遡るんだお?」
⊂⊃
('A`)「俺たちが船に乗る前だな」
⊂⊃
( ^ω^)「え、そんな前まで?」
- 409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:10:33.08 ID:IxNTxbN80
(船 ´ゝ`)「……おい」
(゚⊆゚ 船)「ん?」
⊂⊃
( ^ω^)「なんか、船員が会話してるお」
⊂⊃
('A`)「此処から全ては始まったんだ」
(船 ´ゝ`)「双眼鏡、知らね?」
(゚⊆゚ 船)「え? しらねーけど……」
(船 ´ゝ`)「おっかしぃな……。どこいったんだろ……」
(゚⊆゚ 船)「前使ってたヤツは?」
(船 ´ゝ`)「ブレアじぇねぇかな……」
- 412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:13:12.07 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
( ^ω^)「ブレア……?」
⊂⊃
('A`)「前任の航海士だ。どうやら、彼がありかを知ってるらしい」
(゚⊆゚ 船)「おいおい。ブレアって降格になったんじゃねぇか?」
(船 ´ゝ`)「だな。引き継がないまま帰っちまったぜ……」
(゚⊆゚ 船)「参ったな……。どうする?」
(船 ´ゝ`)「何とか肉眼でいけねぇかな……」
(゚⊆゚ 船)「氷山や船は分かるだろうけどな〜……。でも夜だったら怖いぜ」
(船 ´ゝ`)「船は音で分かるし、氷山は臭いでわかるさ。何とかなるって」
(゚⊆゚ 船)「お前がそう言うなら良いんだけどよ……」
- 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:17:33.43 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
( ^ω^)「あーあーあー。この会話からやっちまってる感がにじみ出ている」
⊂⊃
('A`)「どうも、双眼鏡は二等航海士キャビンにしまってあったらしいけどな」
⊂⊃
( ´ω`)「しっかり確認しておけお……」 ショーン
⊂⊃
('A`)「……ブーン、どうやら次の場面に移るみたいだ」
⊂⊃
( ^ω^)「お?」
(通信;゚△゚)「ぬおおおおおおおおお!! 通信が絶えねぇええええええ!!」
ブプッ……
(通信;゚△゚)「ん……?」
「オー……、ブブブブブ……プーーーーーーー」
(通信;゚△゚)「なんだ、このビープ音は……。混信してるのか?」
- 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:22:09.50 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
( ^ω^)「これは……?」
⊂⊃
('A`)「当日の通信室だな。どうも忙しそうだ。その上混信してるのか?」
⊂⊃
( ^ω^)「良く分からないけど、大変そうだお」
(通信;゚△゚)「だあああああああ!! 次々に処理しないと追いつかねぇ!!」
「……こちらカリフォルニアン、こちらカリフォルニアン。貴船は流氷群に接近している、繰り返す、貴船は流氷群に接近……」
(通信;゚△゚)「次! 次! どんどん整理しないと大変だこりゃ!」
⊂⊃
( ^ω^)「お? 流氷群に近づいてる事、教えてくれてるじゃねぇかお」
⊂⊃
('A`)「だが、気が付いてない様だな。これだけ忙しくちゃ、連絡の一つや二つ見逃しちまうぜ」
- 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:26:42.86 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
( ^ω^)「なーんか、いろんな要因が積み重なってるって感じかお……」
⊂⊃
('A`)「そうだ。ちなみに、船長は流氷群の危険を勘で察知して、航路を南側にとっている」
⊂⊃
( ^ω^)「でも、ぶつかっちゃった訳だおね」
⊂⊃
('A`)「その点に関しては運が悪かったとしか言いようがない」
⊂⊃
( ^ω^)「あ。シーンが変わるお」
⊂⊃
('A`)「これは……、船の上だな。見張り番だ」
(船 ´ゝ`)「……ん?」
(゚⊆゚ 船)「どうした……?」
- 444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:29:46.62 ID:IxNTxbN80
- (船 ´ゝ`)「なんか、先の方がぼやけて見えないか……?」
(゚⊆゚ 船)「どれ……?」
(゚⊆゚ 船) ジー…
(゚⊆゚ 船)「暗くて良く分からないぜ」
(船 ´ゝ`)「そうか……。気の所為かも知れん。すまない」
(゚⊆゚ 船)「いや、なに……」
(゚⊆゚ 船)「……あ?」
(゚⊆゚;船) ドキッ
(゚⊆゚;船)「……気の所為なんかじゃないぞッ」
(船 ´ゝ`)「え?」
(゚⊆゚;船)「氷山だ……ッ!! 鐘を鳴らせ!!」
⊂⊃
( ^ω^)「おっ……。どこに氷山が見えるんだお?」
- 452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:32:48.45 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
('A`)σ「あのでっぱりだ」
⊂⊃
( ^ω^) ジー……
⊂⊃
( ^ω^)「本当だ。良く見たら確かに……って感じだお」
⊂⊃
('A`)「これを肉眼で確認ってのも酷な話だな」
⊂⊃
( ^ω^)「双眼鏡があっても厳しいお……」
カーン!! カーン!! カーン!!
【(゚⊆゚;船)「……こちら見張り! ブリッジ、聞こえるか?!」
【(゚⊆゚;船)「良く聞け!! 真正面に氷山!! ぶつかるぞ!」
- 461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:35:23.15 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
( ^ω^)「さて……、どうなるかお?」
⊂⊃
('A`)「次はブリッジ内部だ」
(ブ;`凸´)「と、取り舵いっぱい!!」
(ブ;゚只゚)「全速前進……ッ!!」
(ブ;`凸´)「ボイラー室は?!」
(ブ;゚只゚)「連絡が行ってるハズだ!」
⊂⊃
('A`)「ごらんの通り、即座に回避行動に移ってる」
⊂⊃
( ^ω^)「凄い連携だお。訓練されてなきゃ無理無理」
⊂⊃
('A`)「だが……」
- 469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:37:49.56 ID:IxNTxbN80
- (((ブ;`凸´))) グラッ…
(ブ;`凸´)「……ぶつかった?」
(ブ;゚只゚)「マズイ……ッ! 防水隔壁を閉めろ!! 今すぐだ!」
⊂⊃
( ^ω^)「防水隔壁?」
⊂⊃
('A`)「俺の言ってたシャッターの事だ」
⊂⊃
( ^ω^)「ああ……。浸水した区画を閉じ込めちゃうやつかお」
⊂⊃
('A`)「……これがタイタニックが氷山に激突するまでの一連の流れだ」
⊂⊃
( ^ω^)「なるほど……」
- 474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:39:44.88 ID:IxNTxbN80
- (ボ;`∪´)「……圧力下げろ!! 爆発するぞ!!」
⊂⊃
( ^ω^)「お……? 今度は?」
⊂⊃
('A`)「ボイラー室だ。既に浸水が始まってる様だな……」
(ボ;`∪´)「マズい……防水隔壁が下がる!! お前ら逃げろ! どの道この船は沈む!」
(゚Θ゚; ボ)「機関長はどうするんですか!!」
(ボ;`∪´)「俺は良い! 最後まで排水する……! 早く行け!」
(゚Θ゚; ボ)「そんな……」
⊂⊃
( ^ω^)「この人、最後まで残るつもりかお?」
- 480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:41:42.46 ID:IxNTxbN80
- (゚Θ゚; ボ)「機関長一人で残るつもりですか……ッ」
(ボ;-几-)「だったら俺たちも……」
(ボ;`∪´)「死ぬぞ、お前ら……」
(゚Θ゚; ボ)「死にませんよ……! 最後まで排水して、稼働させて、陸地に上がれば死にません!」
(ボ;`∪´)「……後悔するなよッ」
(ボ;-几-)「良いから早く指示を!」
(ボ;`∪´)「……ワトソンは蒸気圧の調整! 出来るだけ低くだ! 俺は電力を調整……、お前は残ってるバカをかき集めて排水、急げ!」
⊂⊃
( ^ω^)「ボイラーの人たち、凄いお……」
⊂⊃
('A`)「彼らが映画のように逃げ出していたら、水蒸気爆発が起こってどてっぱらに大きな穴が開いていたな……」
⊂⊃
( ^ω^)「結局、この人たちはどうなっちゃったんだお?」
- 484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 17:43:16.95 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
('A`)「全員死んじまったに決まってるだろ」
⊂⊃
( ´ω`)「……そうかお」ショーン
⊂⊃
( ´ω`)
⊂⊃
( ^ω^)「あっ」
⊂⊃
('A`)「どうした?」
⊂⊃
( ^ω^)「クーとジョルジュはどうなったお……?」
⊂⊃
('A`)「そういえば……、どうなったんだろう……」
- 545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 19:01:28.69 ID:IxNTxbN80
Ο
○ ο ο
ο 。
。 _ 。 ブクブク…
川 - )つ⊂( ∀ )
⊂⊃
( ^ω^)「……やっぱりかお」
⊂⊃
('A`)「甲板に居た俺らが死んでるのに、こいつらが死なない訳無いもんな……」
⊂⊃
( ^ω^)「手、つないでるって事は……会えたんだおね」
⊂⊃
('A`)「……だな」
⊂⊃
( ^ω^)「ブローチ、見せれたのかな……」
- 550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 19:03:33.28 ID:IxNTxbN80
⊂⊃
('A`)「衝突した時点でクーと一緒に居なかったから、見せれてないだろう」
⊂⊃
( ^ω^)「……今日の昼まで元気だったのに」
⊂⊃
('A`)「事故って言うのはそういうもんだ。今までの流れが、プツっと切れちまうんだよ」
⊂⊃
( ´ω`)「それは分かってるけど……、やるせないお……」
⊂⊃
('A`)「クーのお父さんが言ってた事、思い出しちゃうな」
⊂⊃
( ´ω`)「?」
⊂⊃
('A`)「どう世界がひっくり返っても結ばれない運命にあるって話さ」
⊂⊃
( ´ω`)「あー……」
- 554 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 19:06:07.63 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
('A`)「本当に、そうだったのかもな」
⊂⊃
( ´ω`)「それを言われると、もっと切なくなるお……」
⊂⊃
( ´ω`)ショーン…
⊂⊃
('A`)「……さて気分も沈んだし、そろそろ戻るか」
⊂⊃
( ´ω`)「戻るってどこに?」
⊂⊃
('A`)「何処にって……、俺んちだよ」
⊂⊃
( ^ω^)「へ? 戻れるの?」
⊂⊃
('A`)「そりゃそうだろ。帰れなかったら嫌すぎる」
⊂⊃
( ^ω^)「てっきり僕はこのまま死んだものかと……」
- 560 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/05/29(火) 19:08:44.34 ID:IxNTxbN80
- ⊂⊃
( ^ω^)「またジャンプかお?」
⊂⊃
('A`)「ああ。当たり前だ」
⊂⊃
( ^ω^)「何か意味はあるの? ジャンプのくだり」
⊂⊃
('A`)「これがなきゃ、時代を飛ぶって感じがしないだろ」
⊂⊃
(;^ω^)「そーかお?」
⊂⊃
('A`)「愚痴なら後で聞いてやる。ほら、行くぞ……、いち、にーのー」
⊂⊃ ⊂⊃
( ^ω^)「さん」('A`) ピョーン
l l l l l l
………
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